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雛人形を処分する方法
みなさんは、そもそも「雛人形」がどのような意味を込められた人形なのかご存じでしょうか? 本来「雛人形」は、女の子の健やかな成長と幸福のために、「厄除け」として飾るものなのです。つまり、「御守り」的な意味合いがとても強い人形なのです。
しかも「雛人形」は、「一人に一つの雛人形」という決まりがあります。つまり厳密には、みなさんが幼少の頃に飾られた「雛人形」は、生涯に渡ってあなたのもの、ということになります。「一人に一つの雛人形」とは、そういう意味なのです。
だから、“おさがり”として誰かに譲渡してはいけないのです。もしかすると、“おさがり”で「雛人形」をゆずるのを見たことがあるかもしれませんが、本当のところでいえば、正しくはありません。
「厄除け」として意味のある「雛人形」は、こうした理由から、誰かに“おさがり”として譲渡したり中古品で売り渡すのも良くないということになります。ましてや、「ゴミ」として処分するのはもってのほかという感じがしますよね。
とはいえ現実問題、もう飾る機会のなくなってしまった古い「雛人形」は、どうにかして処分しなくてはなりませんよね。そんなときは、どうすればいいのでしょうか?
供養して処分
もっともよい「雛人形」の処分方法は、やはり「供養」でしょう。お寺や神社で供養をお願いすることができるので、まずは最寄りの寺社を調べてみることをオススメします。いわゆる「人形供養」というものですね。
公式ホームページの一覧のなかに、必ず「供養・お焚き上げ」に関する項目があるはずです。そこをチェックして事前情報を得ておきましょう。
予約が必要なところもあれば、申し込んだその日に「雛人形」を持ち込んですぐ供養をしてくれる寺社もありますので、そのへんも合わせて確認します。もしも「雛人形」に強い思い入れがあるのであれば、供養をしてくれる人に「最後のお別れをさせてほしい」と頼んでみましょう。
寺社によっては、供養の様子を一般公開しているところもあります。また、感謝のメッセージをしたためた手紙も一緒にお焚き上げしてくれたりもするので、心残りのない素敵なお別れをすることができるはずです。
ただし、こうした人形供養は費用(お布施など)が発生するので、金額は必ずチェックしておきましょう。
一般社団法人日本人形協会に預けて供養代行してもらう
人形供養をしてもらう寺社を探す暇がない、その手間が正直めんどうだ、という方もいるかもしれません。そんなときは、一般社団法人の「日本人形協会」に「雛人形」供養の代行を頼んでみましょう。
「日本人形協会」に人形を預ければ、あとは供養をしてくれる寺社を探すところから供養の申し込みまで、すべて代行してくれます。
というより、例年10月に「東京大神宮」で開催される「人形感謝祭」という供養行事が行われており、実は「日本人形協会」は、引き受けた「雛人形」をそこに送り出して供養をお願いしているのです。
なので、もしも時間に余裕があれば、「日本人形協会」に雛人形を預けたあと、10月に自分の足で「東京大神宮」へ赴いて、供養の現場に立ち会うこともできますので、東京にアクセスできるお住まいの方は、「日本人形協会」に預けるというのも一つの方法だと思います。
ちなみに、「日本人形協会」への供養代行の仕方はいたって簡単です。公式ホームページで、電話やウェブ上で供養代行を申し込めば、あとから自宅に梱包セットが届きます。それに雛人形を包んで「日本人形協会」に送ってあげましょう。そうすれば供養代行の手続きは完了です。
詳細はこちら→ 一般社団法人日本人形協会
寄付
できるならば、「一人に一つの雛人形」という古来からの“ならわし”に従うのがもっともベストであることには変わりませんが、老人ホーム、養護園、保育園、幼稚園、その他福祉施設などに寄付するのも、一つの手段ではあります。
きっと「雛人形」たちも、誰かの笑顔のためにまた活躍の場を得られて喜ぶことでしょう。真心がこもってさえいるなら「譲渡」でもバチがあたるようなことはないはずです。少なくとも現代では、「雛人形」の譲渡は、ごく一般的になってきました。
事実、徳島県の勝浦町というところでは、毎年「ビッグひな祭り」、「かつうらビッグひな祭り」、「南紀勝浦ひなめぐり」などの大規模なご当地イベントを開催しており、そこで寄付された「雛人形」たちを飾っているといいます。
自分の「雛人形」に「今後も飾られていてほしい」という気持ちがあるならば、徳島県の「ビッグひな祭り」などに相談してみるとよいでしょう。全国の「雛人形」を引き取っているので、どこに住んでいようと心配ありません。
手数料だけでなく、保管料がかかるということなので、金銭的な面でも要相談ですね。「雛人形」の引き取り募集は、毎年4月~10月と言われています。その点も注意してください。
買い取り業者に引き取ってもらう
「雛人形」は、一家で代々受け継いでいるものもあります。たいていは高価な人形なので、かなりの値打ちがある場合があります。もともと「雛人形」は立派な工芸品であり、職人の粋を凝集した作品です。それゆえ、「雛人形」がかなりの金銭的値打ちをもつこともしばしばあります。
供養するにはあまりにもったいないと思う場合は、買い取り業者に引き取ってもらうことをオススメします。ただし、単なるリサイクルショップにお願いするよりも、美術品や工芸品を専門的に取り扱う業者に任せることをオススメします。
目利きの利く人たちでなければ、せっかく価値が高いのに、買い叩かれてしまう恐れもありますので、気をつけてください。また、オークションやフリーマーケットで売りに出すというのも一つの手段です。
たいていの人は、人形供養や寄付などの方法を選びますが、「自分の雛人形が誰かに必要とされているなら本望」と考えが整理できているのなら、オークションやフリマに出品してもいいかもしれません。
ごみとして処分
あまり気が進まないかもしれませんが、どうしても「雛人形」を「ごみ」として処分せざるを得ないケースもあるかもしれません。ごみとして処分する場合は、自治体のルールに従って適切に対応しましょう。
雛人形を処分する時期
「雛人形」は小さな女の子の健康と幸福を願い、「厄除け」するためのものです。では、そんな「雛人形」を手放すのは、いったいどのような時期なのでしょうか?
「雛人形=厄除け」という意味合いを大事にしたいなら、自分(あるいは自分の娘)が結婚するとき、成人したとき、厄年を迎えた後などが良いとされています。
一方で、単純に「もう飾ることもなくたったし、保管も大変だからどうにかしたい」と思うタイミングで手放す方法を考えるのも間違いではありません。
雛人形を処分する前にやるべきこと
雛人形を手放す際、「供養」や「譲渡」(あるいは買い取り)の方法をとるならば、もともと人形に付属していた小道具やパーツはできるだけ揃えるようにしておきましょう。手放す際には、“感謝の気持ちを述べる“意味もかねて最後に一度飾ってあげましょう。
もしもそのとき、汚れなどがあれば拭いてあげるとよいですね。仕舞いっぱなしだった「雛人形」の箱に、手紙・写真・個人情報が分かるものが紛れ込んでいるかもしれないので、あらかじめ確認しておきましょう。
最後に
「雛人形」は女の子の健やかな成長と幸せを願い毎年飾られるものです。
最終的にはごみとして処分することはもちろんできますが、できるなら「人形供養」や寄付などの「譲渡」という方法をまずは考えてみてはいかがでしょうか。心残りなく「雛人形」とお別れすることができるはずですよ。