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甘酒は酔うこともある
おいしくて栄養たっぷりの甘酒は、お正月やひな祭りなどで飲むだけでなく健康志向の方にも人気の飲み物です。
そんな甘酒ですが、場合によっては酔うこともあるようです。なぜ甘酒で酔うのでしょうか?
原材料で違う甘酒のアルコール量
甘酒にはアルコール入りのものとノンアルコールの2種類があります。
- 米麹(こめこうじ)を原料にして作られた甘酒 → ノンアルコール
- 酒粕(さけかす)を原料にして作られた甘酒 → アルコール入り
この二つは原料によって違いがあり、上記のようにアルコール成分のあるなしは、成分表に書いてある「原料」や「アルコール度数」でその違いを見分けることができます。
「アルコール入り」の甘酒でもアルコール度数は1%程度とそれほど高くはありません。だからと言ってたくさん飲んでしまうと、体質によっては酔ってしまう人もいて、場合によっては酒気帯び運転になる可能性もあるので注意が必要です。
手作りの米麹甘酒はアルコール発酵が始まることもある
「酒粕」とは違って「米麹」自体には、アルコール分は含まれてないので安心です。とはいうものの、手作りした米麹甘酒は発酵が進むことでアルコール発酵が始まることもあるんです。
市販のものでしたら、アルコール分を含んでいない甘酒として販売されていますので、あくまでも手作りで米麹の甘酒を作った場合に起きてしまうことなんです。それはどうゆうことなのでしょうか。
米麹を加温して出来上がった甘酒を常温に放置しておくとアルコール発酵が始まります。酵素はほとんどなくなっているものの、麹の胞子がほんのちょっとでも残っていると発酵は進んでいきます。
それを飲んだら、しっかりアルコール成分入りの甘酒になってしまうというわけです。すぐにアルコール発酵にならなくても発酵自体は進んでいるので、沸騰させても完全にアルコール分が飛んだとは言い切れません。
酒粕甘酒のアルコール度数
日本酒を製造する過程を経て最後に残るのが「酒粕」です。
この酒粕自体には100g中およそ8%のアルコールが含まれているのですが、甘酒を作るときの加熱によってアルコールが飛ぶため、およそ5.5%のアルコールが残ります。
市販の酒粕甘酒のほとんどは、アルコール分が1%の未満のソフトドリンク(清涼飲料水)に分類されて販売されているので、法的には未成年のお子様が飲んでも問題ありません。
ところが、注意が必要なのは自家製で甘酒を作った場合です。
酒粕を購入して甘酒を手作りした場合、沸騰させるので多少のアルコール分は飛ぶのですが、それでも出来上がりの甘酒の中には5%程度のアルコール分が残ります。
《 ポイント 》
- 原料の違いによってアルコール入りのものとノンアルコールの2種類がある。
- 米麹でも手作りした甘酒はアルコール発酵が始まることがある。
- 市販されている酒粕甘酒は、アルコール量が1%以下のソフトドリンクに分類されている。
甘酒で酔うのを防ぐには
お米を蒸して、そこに「麹菌」という菌を付けて発酵させた「米麹」は、みそやしょう油の原料としても使われています。この米麹自体にはアルコール分はありませんから「米麹」を原料としてつくられた甘酒はノンアルコールになります。
健康を維持するのに欠かせない必須アミノ酸を始め、沢山の栄養素が含まれていますので、疲労回復や夏バテ防止のために、江戸時代の人々は真夏に甘酒を飲んでいたとも言われています。
米麹の甘みはブドウ糖なので、効率よくエネルギーチャージできる「飲む点滴」とも呼ばれているくらいですから、発酵学の専門家いわく、米麹でつくられた甘酒は赤ちゃんに与えても大丈夫との事。
その一方で、体質によっては米麹甘酒やソフトドリンク(清涼飲料水)として販売されている酒粕甘酒でも酔うという方もいるのも事実です。
そんな方へ、甘酒で絶対に酔わないための注意点をまとめてみました。
アルコールに対する自分の体質を把握しておく
大切なことは、自分がアルコールに対して体質が合うのか、合わないのかを知っておくことです。
アルコールに弱いと実感している方は、アルコール分が1%未満のソフトドリンクに分類されている酒粕甘酒であっても避けた方がよさそうです。
確実なのはアルコール分が含まれていない米麹甘酒を選んで飲むことですが、ノンアルコールであっても酔うという人は米麹甘酒も控えたほうがよいかもしれませんね。
いずれにせよ、暗示にかかりやすい人はアルコールがほとんどゼロでも、「酒」とつく名前と雰囲気で、酔ったような気分になることもあるようです。
買う前や飲む前に確認しておく
お店で市販されているものについては、商品表示を見て「酒粕甘酒」か「米麹甘酒」か、そして念のためアルコール度数はどうか確認しておきましょう。
「酒粕」と「米麹」をブレンドした甘酒も市販されていますので、選ぶ時にはその点も注意してください。
訪問したご家庭で自家製の甘酒を出されたときや、イベント会場や神社で甘酒を振舞われた場合には、原料が酒粕なのか米麹なのかを尋ねて、アルコールが含まれているかをしっかり確認するようにしましょう。
《 ポイント 》
- 米麹甘酒かソフトドリンクとして販売されている酒粕甘酒を選ぶ。
- 自分がアルコールに対して体質が合うか合わないのかを知っておく。
- ノンアルコールでも酔うという人は米麹甘酒も控える。
- 飲む前にアルコールが含まれているかをしっかり確認する。
甘酒で酔わないためのアルコールの飛ばし方
酒粕を原料とした甘酒にはアルコールが含まれますが、ここでは甘酒のアルコール分を飛ばす方法を紹介しましょう。
沸騰させて飛ばす
お酒を使った料理を作るとき同様、酒粕甘酒のアルコールも熱を加えて沸騰させます。酒粕を溶かした水(ぬるま湯)を4分間沸騰させる方法で飛ばします。
<材料>
- 酒粕:200g
- 砂糖:140g
- 水 :1.2ℓ
- 塩 :ひとつまみ
- お好みで生姜
<アルコールを飛ばす方法>
- 分量どおりの水を鍋に入れて火にかけ、ぬるま湯を作る。
- 小さめにちぎった酒粕200gを入れてふたをし、酒粕がふやけやすくなるまでおよそ30分置く。
- 酒粕のかたまりを木べらや泡だて器で潰す。
- 酒粕甘酒が小さめにぼこぼこする状態になるまで4分間混ぜながら加熱する。
- 4の中に砂糖と塩をひとつまみ入れて軽く混ぜて溶かしたら出来上がり。
こうすることでアルコールのほとんどを飛ばせるのですが、微量のアルコールはどうしても残ってしまいます。しっかりアルコールを飛ばしたい場合は、次に紹介する日本酒を使って飛ばす方法がおすすめです。
日本酒を使う
アルコールを飛ばすのに日本酒を使うと聞いて驚かれたと思いますが、実は日本酒で甘酒のアルコールを飛ばすことができるんです。
<日本酒で甘酒のアルコールを飛ばす方法>
- 鍋に甘酒と日本酒を入れて混ぜる。
- 鍋を火にかけて沸騰させる。
- 沸騰した甘酒にマッチやライターで火をつけアルコールを飛ばす。
- 火が燃え尽きたら出来上がり。
《 ポイント 》
- 4分間沸騰させる方法で飛ばす。
- 甘酒と日本酒を火にかけて沸騰したら火をつけてアルコールを飛ばす。
甘酒は子供や運転する前に飲んでも大丈夫?
甘酒を飲んで酔う可能性があるのは酒粕甘酒ですが、アルコール分が1%の未満のソフトドリンクとして販売されているものは、適量であればお子さんやドライバーの方が飲んでも差し支えありません。
1%未満に抑えられた「清涼飲料水」として販売されているくらいですから、飲んでもアルコール分を感じることはありません。ですが、例え1%未満であってもアルコールが含まれていますので、アルコールの分解が上手に行えないお子さんや妊婦さん、授乳中の方は念のため酒粕甘酒は避けたほうが賢明でしょう。
正確なアルコールの分量が不明なため、今から車を運転するという方や、体質的にアルコールが合わない方も過信しないほうがよいと思われます。メーカーもそのことについて、商品の裏書きに注意書きを記載しています。
呼気1Lあたりにアルコール濃度が0.15mg以上含まれると、飲酒運転とみなされますので、大好物だからと大量に飲めば酒気帯び運転となるかもしれません。過去に、奈良漬けや粕汁で、アルコールが検出されたという事例もありました。どうしても甘酒を飲みたい時は、手作りでない市販の米麹甘酒をおすすめします。
《 ポイント 》
- お子さんや妊婦さん、授乳中の方は念のため酒粕甘酒は避けたほうがよい。
- ドライバーや、体質的にアルコールが合わない方も過信しない。
- 大量に飲めば酒気帯び運転となる可能性もある。
最後に
いかがでしたでしょうか。甘酒は原材料の違いによって「ノンアルコールの甘酒」と「アルコール入りの甘酒」の2種類があり、アルコール入りの甘酒は酔うことがわかりましたね。
酒粕が入っていないものを選べば、妊娠中や授乳中の女性、お子さんも飲むことができます。
基本的に市販されている酒粕甘酒は、アルコール1%未満のソフトドリンク(清涼飲料水)扱いですが、アルコールはゼロではありません。今回紹介した注意点に気をつけながら、甘酒をおいしくいただきましょう。