目次
窒化鉄フライパンの特徴
窒化加工とは、サビびてはいけない航空機の部品などに使用されている窒化加工を、鉄フライパンに応用した焼き入れ技術の一つです。
高温の窒素ガスの中に鉄フライパンを入れる焼き入れが難しいため、一日に限られた数しか生産できません。
鉄のサビやすいという欠点を解決した窒化加工は、通常の鉄の5倍、ステンレスと比べても2倍の強度があるので、剥がれる心配や使う度に空焼きをする必要もなく、調理の前後に油を塗る習慣さえ身に着けておけば長い年月にわたって愛用できるでしょう。
また、大気中の成分の一つである窒素は、自然界に存在する環境に害のない気体です。その窒素を用いた技法なので、環境面や健康面の心配がなく、人体に無害というのが「窒化鉄フライパン」なのです。
《 ポイント 》
- 窒化加工は、航空機のサビてはいけない部分に使用されている。
- 油を塗ったり、空焼きをする必要がない。
- 環境面や健康面の心配がなく、人体に無害。
窒化鉄フライパンにはどんなデメリットがある?
窒化鉄フライパンのデメリットは、食材がくっつきやすい、硬い物に強くぶつけるとひびや傷ができやすいなどがあげられますが、それらを詳しく解説していきます。
硬い物に強くぶつけるとひびや傷が入ってしまう
窒化鉄フライパンは丈夫ではあるものの、窒化加工により鉄が硬化して銅のような状態になります。金属製の硬いお玉やヘラで強くたたいたり、硬い物に強くぶつけると、ひびが入ったり傷ができてしまいます。
ひびや傷ができると、調理中の塩分や酸がそこから染み込み、腐食してフライパンの表面にプツプツと小さな穴が開きクレーター状になってしまいます。もちろん、窒化鉄以外の他のフライパンでも同じことが言えるでしょう。
料理することで摂れる鉄分が少ない可能性がある
鉄製のフライパンを使うと、「調理するだけで鉄分が摂れる」というメリットがありますが、窒化鉄のフライパンは、普通の鉄フライパンよりも調理に入る鉄分が少ないようです。よって、窒化鉄フライパンでの鉄分摂取は、あまり期待しない方が良いでしょう。
値段が高い
特殊な技術が必要な窒化加工は、他のフライパンより値段が高いものがほとんどです。良品や難しい技術を駆使して作られる商品は、それなりのコストがかかりますのでやむを得ません。
ですが、鉄のフライパンのようにきちんと手入れをしながら使えば、一生もののフライパンになるのではないでしょうか。
食材がくっつきやすい
気軽に使えるテフロン製のフライパンとは違って、窒化鉄のフライパンは正しい使い方をしないと食材がくっつきやすくなってしまいます。
例えば、餃子を焼いたときにフライパンに皮がくっつき、中の具材が出て崩れてしまいます。
《 ポイント 》
- 硬い物に強くぶつけると、ひびや傷ができる。
- 鉄分摂取は期待しない方が良い。
- 他のフライパンより値段が高い。
- 正しい使い方をしないと食材がくっつきやすい。
窒化鉄フライパンのメリット
窒化鉄フライパンのメリットとして、頑丈でサビにくい、油なじみが良い、変形しにくいなどがあげられますが、それらを詳しく解説していきます。
丈夫でサビにくい
最新技術と言われている窒化加工の一番のメリットは、サビにくいことでしょう。ですが、油返しや油ひきなどのお手入れが要らないわけではなく、手入れを怠ればサビたり食材がくっついたりしてしまいますので、注意が必要です。
窒化鉄はさび防止の技術なのですが、絶対にサビないわけではありません。洗った後、濡れたままで放置しているとサビることもあり得るので、洗ったらきちんと水気を拭き取っておきましょう。
窒化加工された鉄の強度は非常に強いということは、先にお伝えしたとおりですが、硬い物に強くぶつけるとひびや傷が入ってしまう可能性があります。
ただし、金属製のお玉やヘラを普通に使っている分には、表面が削れたりすることはありません。
表面が剥がれない
窒化鉄フライパンはコーティングしているのではなく、鉄そのものに加工がされています。そのため、フッ素樹脂加工のフライパンなどと違って、傷が付いても剥がれることはありません。
テフロン加工は、経年劣化とともに剥がれてくるので、口に入ってしまう恐れがありますが、窒化鉄フライパンにはそういった心配はありません。
油なじみが良い
窒化鉄フライパンには、油がなじみやすいというメリットもあります。油なじみが良くなるのは、窒化加工によって表面に細かい凹凸(約2~3μm)ができるためです。
だからと言って、手入れが要らないわけではありません。取扱説明書にもあるように、使う前の油返しや洗った後に油を塗り込むなどの手入れは行ってくださいね。
IHコンロで使っても変形しにくい
IHコンロでフライパンを使うと底に熱ムラが生じやすく、普通のフライパンだと変形してしまうことがあるようです。その点、窒化鉄フライパンなら丈夫で変形しにくいので、IHコンロでも安心して使うことができます。
普通の鉄フライパンよりお手入れが楽
洗剤を使って鉄フライパンをゴシゴシ洗うと気持ちがいいと思う方もいるようですが、洗剤は使わなくても大丈夫です。
水やお湯で流しながらほんの数十秒、たわしでゴシゴシとこすって終わることがほとんどです。洗剤を使わなくていい分経済的ですし、環境にも優しく手荒れの心配もしなくてすみます。
寿命が長い
「表面が剥がれない」の項目でもお伝えしましたが、窒化鉄フライパンを含め、鉄製のフライパンは、テフロンよりも断然長持ちします。
テフロン加工は2年ぐらいで寿命が来てしまいますが、窒化鉄のフライパンは、取っ手が外れたりしない限り穴があくまで使えます。
一番心配な「サビ」でも、窒化鉄加工だったら心配いりません。寿命が長いということは、結果的にコーティングされたフライパンのように頻繁に買い替えずに済むので、お手入れ次第では節約に繋がるのではないでしょうか。
《 ポイント 》
- サビにくいこと。
- 傷が付いても剥がれることはない。
- 表面に細かい凹凸があるため油がなじみやすい。
- 変形しにくくIHコンロでも安心して使える。
- テフロンよりも長持ちするため節約につながる。
窒化鉄フライパンのお手入れ方法
最初に使う前に
最初にフライパンの内側と外側を洗い、「油ならし」をしてから使用します。これは上手に使うための大切な作業ですので、必ず行ってくださいね。
窒化鉄フライパンは、油ならしの前に「空焼き」をする必要はありませんが、特に最初は念入りに油をなじませておきましょう。
毎回使う前に
料理が焦げつかず、より美味しく仕上げるためには、毎回使う前に「油返し」をする必要があります。フライパン表面に油をしっかりなじませて、フライパン内面全体の温度を均一にすることが目的です。調理を始める前に毎回行う作業ですが、慣れると面倒くさいと思わなくなりますよ。
使った後の洗い方
調理をした後は、洗剤を使わずに普段はお湯だけでゴシゴシ洗います。
保管の仕方
普通の鉄フライパンは、サビを防止するために油を塗ってから保管しますが、窒化加工をしている窒化鉄フライパンは、油を塗らずに保管することができます。お湯で洗った後、水気を拭き取りよく乾燥させたらそのまま収納してください。
汚れがこびりついてしまった場合
フライパンの汚れがひどい部分に直接火があたるように、ガスコンロの火力を全開にして煙が出なくなるまで熱して汚れを全部焼ききってしまいます。
火傷しない程度まで冷めたら、金属タワシや金属ヘラを使って汚れを削り落とします。水で洗い流したら水気を良く拭き取り、しっかりと乾燥させてください。
IHでの使用方法
IHなど電磁調理器は、トッププレートに接したフライパンの底面にあるドーナツ状の部分だけを発熱させます。そのため、ドーナツ状の発熱する部分とそれ以外の部分で大きな温度差が生じ、底面が変形して外側にふくらむことがあります。
窒化鉄フライパンなら丈夫で変形しにくいので、IHでも気兼ねなく調理することができるでしょう。
《 ポイント 》
- 最初の「油ならし」と毎回使う前に「油返し」をする。
- 洗剤を使わずにお湯だけでゴシゴシ洗う。
- よく乾燥させたら油を塗らずに保管できる。
- こびりついた汚れは直接火をあてて煙が出なくなるまで熱して焼ききる。
- 丈夫で変形しにくいので、IHでも気兼ねなく調理できる。
最後に
窒化鉄フライパンのメリットとデメリット、そして注意点について解説しました。いかがでしたでしょうか?
「普通の鉄フライパン」にも「窒化鉄フライパン」にも、そして手軽に使える「フッ素加工のフライパン」にも、それぞれメリットとデメリットがあるのですね。
鉄製のフライパンを初めて使ってみたいけれど、何を選んだら良いのか迷ってしまったら、1つの考え方として、「窒化鉄フライパン」をおすすめします。サビができないように「窒化加工」された窒化鉄フライパンは、慣れてしまうと長く使える優れものだからです。
窒化加工されている分、普通の鉄フライパンよりも少々お値段が張りますが、初心者でなくてもサビが気になる方にはぜひ一度試していただきたいおすすめのフライパンです。