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料理酒のアルコールを飛ばすには何分かかる?
アルコールは沸点が低いので、火にかけると簡単に飛んでしまいます。入れる量にもよりますが、料理酒は大量に入れるものではないので、軽く火にかけるだけでアルコール臭はなくなります。
料理酒を入れて3分ほど煮詰めるだけで十分でしょう。お肉を柔らかくする目的でお酒に漬けている食材の場合は、焼いている間に自然と飛んでしまいますので、それほど気にする必要はありません。
アルコールは調理により揮発しにくい
料理酒のアルコールの沸点は約78℃ですが、加熱しても食材内部に入り込んだ料理酒のアルコールは揮発しにくく、糖質、蛋白質、脂質などの「とろみ」が邪魔をして時間をかけてもアルコールを完全に飛ばすことは困難なのです。
アルコールが「完全に」揮発しないということは、多くの実験により確認されているのですが、アルコールが残ることによるメリットもあります。微量のアルコールが残ることで加わる芳醇な香りやアルコールの殺菌作用により、料理自体が傷みにくくなるなどの効果が得られます。
料理酒のアルコールが残ることのメリットとデメリットはどちらも程度の問題なのでしょう。
どのくらいのアルコールが残るのか
料理の種類、調理方法、加えた量、調理道具などにより違いがでます。
料理酒のアルコールの残存濃度が心配な場合には、直接味見をして確認するしかありません。どんな料理法でも完全にアルコールを飛ばすことは不可能で、長時間煮込んだとしても加えたアルコールの5%ほどは残ると言われています。加熱時間の短い料理では10~50%、フランベ(アルコールに火をつける調理法)の場合は75%ほど残るそうです。
料理酒と日本酒の違い
料理に使用するお酒は、料理専用の「料理酒」と飲用の「日本酒」のどちらかを使用している方が多いと思いますが、料理専用の料理酒には食塩や添加物が含まれているものもあるのをご存知ですか?
健康に気を配っている妊婦さんにとってはアルコール成分だけでなく、食塩や添加物が加えられているかどうかの確認も必要でしょう。また、素材の旨味を引き立たせ料理にコクを加えるという面では、料理専用の酒よりも日本酒が適しています。
ただし日本酒は料理酒よりもアルコール度数が高い場合が多いので、しっかりアルコール分を飛ばすよう心掛けてください。
料理酒のアルコールを飛ばす(煮切る)方法
飲酒用のお酒や料理酒、みりんを時間をかけて煮ることで、中に含まれているアルコール分を飛ばして取り除くことを「煮切る」という言葉で表現します。
飲酒用のお酒や料理酒、みりんは、製品になった後に再発酵させないように数10%程度のアルコール分を含んでいます。調理の際に、そのアルコール分を飛ばして取り除かずに残ったままの料理は、不快な風味で料理が美味しく感じられません。それを防ぐためにも、煮切るというひと手間が必要になるわけです。
煮切る目的は、あくまでもお酒やみりんに含まれている余分なアルコールを取り除き、風味を引き立たせるためなのです。
通常の調理で煮切りする方法は、次のものがあげられます。
使う前の料理酒を沸騰させる
料理酒を単体で沸騰させて、あらかじめアルコールを飛ばす方法です。水の沸点が100℃であるのに対して、アルコールの沸点が78℃なので、加熱すればアルコールが先に蒸発しますので、それだけで大部分は沸騰だけで煮切ることができます。
また、料理酒に他の調味料を混ぜて味を完成させたものを沸騰させ、アルコール分を飛ばす方法もあります。こちらは、主に煮込み料理のなどに用いられています。
おひたしや酢の物にはあらかじめ料理酒単体を煮立たせた「煮切り酒」を使います。煮切り酒を加えることで風味が豊かになりますが、煮切らずに加えてしまうとアルコールが気になって食材やだしの味を邪魔してしまうこともあります。
着火して煮切る
調理の際に着火して煮切る方法があります。料理酒を入れた鍋を火にかけて沸騰させ、そこにライターなどで火を着けて揮発しているアルコールを飛ばします。このやり方はアルコールを飛ばす効果が高いので、沸騰させただけの煮切りを不安に感じる方におすすめの方法だと言えるでしょう。
電子レンジで料理酒のアルコールを飛ばせる?
電子レンジを使って、料理酒のアルコールを短時間で飛ばすことも可能です。
深めの耐熱皿に料理酒を入れて沸騰するまで加熱し、アルコール分を取り除きます。沸騰したらすぐにストップするのではなく、数秒間煮立ててアルコールを飛ばしてから取り出すようにするのがポイントです。
<用意するもの>
- 料理酒
- 少し大きめの耐熱容器
<手順>
- 少し大きめの耐熱容器にレシピの分量の料理酒を入れる
- ラップをかけない状態で電子レンジに入れ、様子を見ながら1~2分加熱する
- 加熱し終わったものは沸騰しているので20~30秒放置する
- アルコールが飛んだら出来上がり
煮切れているどうかを確認したい場合は、やけどに注意しながら香りを嗅いでみたり、なめて確認してみると良いでしょう。電子レンジは料理酒を少量使う時や、手早く作りたい時に手軽に出来るのでおすすめです。
料理酒のアルコールを飛ばす効果と役割
調理中にお肉を柔らかくしたり、魚介類の臭みを取って風味を良くするために料理酒を入れますが、その時にどうして料理酒のアルコールを飛ばすのかご存知ですか?
料理酒に含まれるアルコールは、アルコール臭を発生させてしまいますので、火にかけてアルコール分だけ取り除く必要があります。これは、お酒の成分と効果だけを残して風味よく仕上げることがアルコールを飛ばす目的です。
主に次のような効果や役割があります。
- 味をしみ込みやすくする
- 旨味やコクを引き出し風味が豊かになる
- 煮崩れを防ぐ
- 食材に照りをつける
- 酸味を和らげる
料理酒のアルコールを飛ばす時間が短くアルコールが残っている状態だと出来上がった料理の味に悪影響を与えてしまうことがありますので注意が必要です。どんな目的で料理酒を使うのかを明確にしたうえで、料理に加えるタイミングや時間を間違えないことがポイントになります。
料理酒は子供や妊婦に影響ある?
料理酒のアルコールは調理により飛ばすのが難しくなり一部が料理に残るので、子供や妊婦さんに影響はないのかと気になる方もいるかと思います。ですが、煮る焼くなどの一般的な調理法でアルコールを飛ばした状態であれば影響はありませんので心配しなくても大丈夫です。
水の沸点が100℃なのに対して、料理酒のアルコールの沸点は78℃なので、料理する際に加熱すれば先にアルコールが蒸発し、料理が出来上がったころにはアルコールは飛んでいることになります。蒸発する際にアルコール臭の湯気が出ますが、妊婦さんが吸ったからといって心配する必要はありません。
筑前煮や魚の照り煮など、時間をかけて煮汁を煮詰める料理であっても食材や煮汁に溶け込んだ料理酒のアルコールを完全に飛ばすことはできませんが、こちらも一般的なレシピや調理法であれば問題ありません。
最後に
多くの調理で使う料理酒のアルコールは時間をかけても完全に飛ばすことは出来ませんが、基本的なレシピでは問題になるほどのアルコールが残ることはありません。
料理の性質や加えるタイミングなどを考慮して上手に使うことにより、料理の風味を引き立たせることができるでしょう。
料理酒のアルコールを時間をかけて飛ばす、煮切るという工程は、さまざまな料理で味付けの基本となります。普段何気に使っていた料理酒の煮切る目的と方法をしっかり覚えておけば、今よりもっと料理上手になること間違いなしです。
料理酒の効果や役割を把握していただき、皆さんの料理にお役立てください。