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ヒートテックを乾燥機にかけるとどうなる?
速乾性に優れたヒートテックは、洗濯してもすぐ乾いてくれるのでとても万能な繊維です。ですが、乾燥機にかけると繊維が痛んでしまい、伸びるのではなく収縮して縮んでしまいます。
ヒートテックに使われている素材は、主に伸縮性のあるポリエステルなどの合成繊維ですが、タグには「乾燥機のご使用はお避け下さい」と書かれていますよね?
そのポリエステル、ポリウレタン、レーヨン、アクリル素材を多く使っていることが、ヒートテックを乾燥機にかけてはいけない理由となっています。
ポリエステル素材と乾燥機
身近な合成繊維の一つであるポリエステル素材は、安くて丈夫なので衣料によく使用されています。それだけでなく、速乾性があり熱やシワにも強い特性を持っています。その反面、汗や水を吸いにくい、汚れが付くと落としづらい、静電気が発生しやすい特徴もあります。
また、乾燥機にかけると、縮む可能性が高いので避けた方が良い素材でもあります。以前、ポリエステル素材を乾燥機にかけると、ポリエステル素材の製品自体が溶けてしまうという記事を目にしたことがありましたが、ポリエステルの融点は200℃で、家庭用乾燥機の出力ではそこまで高温になりませんので、家庭用の乾燥機でポリエステル素材が溶けることはありません。
ポリウレタン素材と乾燥機
ポリウレタン使った衣類は、「伸縮性がある」「軽い」「速乾性がある」「丈夫で革に似た質感を出せる」という特徴があり、ヒートテックのインナーだけでなく、ストレッチジーンズやスーツにも用いられています。ポリウレタンは、ウレタン素材が配合された化合物で、品質表示タグでは、「PU」と表記されています。
劣化しやすく、乾燥機で縮む傾向があります。ポリエステルとポリウレタンは名前が似ているのですが、それぞれに特徴があり、ともに衣類には欠かすことのできない存在です。
レーヨン素材と乾燥機
レーヨン素材は、シルクの手触りや光沢を持った合成繊維で、オシャレ着に多く使われる素材です。肌触りや見た目が良い一方で、水に弱く濡れた状態で擦れると、「縮む」「生地が傷む」などのデメリットが生じる性質を持っています。
吸湿によって発熱する特性を持つレーヨンですが、ヒートテックはレーヨン素材100%の製品ではないので、そこまで神経質になる必要はありませんが、乾燥機にかけることはやめた方がよいでしょう。
アクリル素材と乾燥機
ヒートテックに使われている4種類の素材のうちのアクリル素材は、空気の層を多く含み保温性を確保するふっくら柔らかい風合いと暖かさが特徴です。洗濯しても縮んだり型崩れしたりしませんが、乾燥機にかけると静電気が起こりやすくなります。アクリルの洗濯で得に注意したいのが「熱」であり、乾燥機の熱で傷んでしまう可能性があります。
《 ポイント 》
- ヒートテックは乾燥機にかけると繊維が伸びるのではなく収縮して縮む。
- ポリエステル素材の製品自体が溶けることはない。
- ポリウレタン素材は劣化しやすく、洗濯には注意が必要。
- レーヨン素材は水に弱く、擦れると縮んでしまう。
- アクリル素材は静電気が起きやすく、乾燥機の熱で傷んでしまう可能性がある。
ヒートテックを乾燥機にいれると洗濯機が故障する?
ヒートテックとは
まずはヒートテックがなぜ暖かいかを説明しましょう。先端のテクノロジーで作られた特殊な糸を、特殊な構造で編み込んだ製品で、人間の体から発せられる水蒸気を繊維が吸着し、水分子の「運動エネルギー」を「熱エネルギー」に変えて発熱する、それがヒートテックの暖かさの原理です。
乾燥機付き洗濯機が故障する理由とは
乾燥機付き洗濯機が故障する理由のひとつに、洗濯槽の下にあるプラスチック部分が溶けて、まわりに癒着してしまうことがあげられます。さらに、回転するプロベラ部分にも癒着が広がって、羽が外れなくなってしまう場合もあるようです。
なぜ、プラスチック部分が溶けるかと言うと、乾燥機にかけているヒートテック製品は、乾燥させている最中にかなりの高温になってしまう為、高温に耐えられないプラスチックが溶けてしまうのです。
つまり、洗濯機が動かなくなった原因は、ヒートテック素材が乾燥機付き洗濯機の内部の温度を、想定以上に上げてしまうことだったわけです。
なので、ヒートテック製品には「乾燥機のご使用はお避け下さい」と記載してあるのですが、意外と見落としている方が多いのかもしれませんね。
もしくは、「乾燥機禁止」の注意書きを見たとしても、まさか乾燥機付き洗濯機が故障するとは思いもよらず、「服が傷まないように念の為」程度に考えているのではないでしょうか。
乾燥機付き洗濯機には注意書きがない?
その一方で、古い乾燥機付き洗濯機側には注意書きがありません。というのも、ヒートテックが登場したのは、2003年で、それ以前にはまだ、ヒートテックによる故障の危険性が明らかになっていなかったのです。
ですから、2003年以前に発売された乾燥機付き洗濯機には、注意書きがないのです。最近の新しい乾燥機付き洗濯乾燥機でも、温度センサーは、駆動部には対応していないので、プロベラなどのプラスチックの溶解は防げないようです。
《 ポイント 》
- ヒートテックを乾燥機にかけている最中にかなりの高温になり、ラスチックが溶けてしまう。
- ヒートテック製品には「乾燥機のご使用はお避け下さい」と記載されている。
ヒートテックの効果を維持する洗濯方法
タグに記載されている洗濯表示を参考にした上で、洗濯の仕方や干し方を意識すればヒートテックを長持ちさせることができます。
「乾燥機禁止」なのであれば、どういった洗濯をすれば良いのでしょうかが気になりますよね。
ヒートテックの洗濯の方法
ネットに入れて洗う
ポリエステル、ポリウレタン、レーヨン、アクリルなどの合成繊維を含むヒートテックは、濡れた状態で擦れると生地が傷みやすいため、ネットに入れて保護して洗うようにしましょう。
洗濯ネットは、100円ショップにもさまざまな種類が取り揃えられていて、安くてそれなりに丈夫なので重宝します。
洗濯ネット一枚だと心配という人方には、いつも使っているネットを二枚重ねて使う「二重ネット」にしてみてはいかがでしょうか?
洗濯に使用する水の水温に注意する
お風呂の残り湯を洗濯に利用する場合は、入浴直後の残り湯は避けてお湯の温度が40℃以下に下がってからにします。
塩素系漂白剤を使わない
注意事項にも記載があるように、ヒートテックは塩素系漂白剤を使った漂白は出来ないので注意してください。
蛍光剤無配合の洗剤が望ましい
ヒートテックの生地は薄いので注意が必要です。普段使いの洗剤を使って洗濯してもよいのですが、特に淡い色合いの製品には、蛍光増白剤の入った洗剤をできるだけ使わないようにした方が比較的長持ちさせられるでしょう。「蛍光剤無配合」と書かれた洗剤を選ぶと安心です。
干し方
洗濯表示にある絵表示は「日蔭の吊り干し」という意味です。表示にあるとおり、ヒートテックの正しい干し方は、直射日光を避けて、ハンガーにかけて干すようにしますが、伸縮性のあるヒートテック製品の場合だと、釣り干しすると伸びてしまう可能性があります。
なので、長い間、ヒートテックの効果を維持して大事に使いたいという方は、「釣り干し」ではなく、「平干し」にしてください。工夫した針金ハンガーでも十分ですが、平干し専用のネット、例えば、干物や干し野菜を作るときに使うネットの様な商品があるのでそれを使ってみてもよいでしょう。
型崩れ防止はもちろんのこと、乾きにくい脇の下も乾きやすくなります。また、ヒートテックに使われているポリエステルやポリウレタンなどは、熱や紫外線が苦手ですので、直射日光を避け、風通しのいい日陰干しにしてください。
通常のヒートテックは薄いので、日陰でも短時間で乾きます。この少しの手間が長持ちさせるコツなので、ぜひ試してみてください。
《 ポイント 》
- ヒートテックは洗濯表示を参考にして、洗濯の仕方や干し方を意識すれば長持ちさせることができる。
- ヒートテックは直射日光を避け、風通しのいい日陰で平干しにする。
ヒートテックの着用時の注意点
ヒートテックは乾燥機で使えないのは分かりましたが、ヒートテックの着用時の注意点について説明します
運動時の着用は避ける
沢山汗をかく運動時に着用すると、大量の汗をかきやすくなるだけでなく、その汗に反応してますます発熱するという悪循環に陥ってしまいます。
そうなると、ヒートテックが全く乾かない状態が続き、それが急に冷えてしまいます。特に登山をする人などは、体が冷えてしまうととても危険です。
乾燥肌を悪化させる
摩擦性湿疹や皮膚炎を患っている方は要注意です。汗を吸収することによって発熱するため、乾燥肌の人が着用すると、余計に水分が奪われ悪化してしまうケースがあるようです。
そもそも、化学繊維は敏感肌やアトピーの人には向かない素材なので、赤みやかゆみが生じて、しまいにはかぶれてしまう場合もあります。
よって、着用時に体にかゆみを感じたら、すぐに着るのをやめましょう。乾燥肌の人の防止策として、肌に優しいコットン100%の肌着を着た上から、ヒートテックを重ねて着用する方法がおすすめです。
特にお子様の肌はまだ弱いので、注意しながら着用させる必要がありますが、万が一炎症が起きてしまった場合はすぐに皮膚科で受診するようにしてください。
《 ポイント 》
- ヒートテックは汗に反応してますます発熱する。
- ヒートテックは乾燥肌の人は、水分が奪われて悪化する。
最後に
ヒートテックがなぜ乾燥機を使えないのか、その理由はお分りいただけましたか?
冬になると寒さから体を守ってくれるヒートテックを多くの方が愛用していますが、このヒートテック、洗濯方法や取扱いには少し注意が必要なようですね。ヒートテックを乾燥機にかけてしまうと、縮んだり生地が傷むだけでなく、洗濯機が故障する原因にもなってしまうのでやめておきましょう。
また、洗濯方法もネットを使用して、陰干しが必要だったりと意外に繊細な繊維です。正しい取扱い方法を再確認して、ヒートテックの効果を維持しながら長持ちさせてみませんか?
今回の記事が、寒い冬に向けて少しでも皆様のお役立てれば嬉しいです。