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キルシュがない時の代用
「レシピには書いてあるけれど、家にキルシュが無い!」そんな時、キルシュの代用として使うことのできるお酒は様々あります。お酒ごとにそれぞれ特徴があるため、他の材料との相性を考慮しながらキルシュの代用として使うものを選んでみましょう。
ラム酒
サトウキビが原料の蒸留酒です。ラム酒はとても風味豊かで、適量を入れると食感がしっとりとします。キルシュと並んでお菓子作りではよく使われるお酒といえるでしょう。また、製菓専用のラム酒も販売されています。
ラム酒のタイプは大きく分けて以下の二つ。
- 透明な「ホワイトラム」
- 茶褐色の「ダークラム」
ダークラムはラムレーズンのラムとして有名ですが、色が付きやすいのが難点。フルーツの漬け込みの際に鮮やかな色を失いたくないのであれば、ホワイトラムを選ぶと良いでしょう。キルシュの代用としてはダークラムがオススメです。
ドライフルーツとの相性が良く、パウンドケーキに加えるととても美味しく仕上がります。また栗と合わせて使われることも多いお酒です。ケーキに使った場合、日が経つほどにしっとりとして、香りも豊かになるのも特徴的です。
ブランデー
本来、ぶどうを発酵させた後に蒸留したお酒に付けられた名称がブランデーです。しかし現在では、果実からつくった蒸留酒の総称として用いられています。ブランデーの種類はたくさんありますが、ぶどうを原料としたシンプルなブランデーがお菓子作りには適しているといえます。
またブランデーにはランクがあり、熟成年数によってVO・VSO・VSOP・XO、ナポレオンなどと分類され、値段にも差が出ます。
お菓子作りに使う場合は、VOまたはVOクラスのもので、値段でいうと1000円から2000円程度のものが良いようです。チョコレートやドライフルーツ、さらに生クリームなどの乳製品と相性が良いお酒です。
ウイスキー
大麦、ライ麦、とうもろこしなどの穀物の麦芽が原料のお酒です。お酒に詳しくない人からは、ブランデーと混同されてしまうこともあるウイスキーですが、共通点は「どちら蒸留酒であるということ」のみです。
ブランデーは果実、ウイスキーは穀類を原料とした全く異なるお酒。お菓子作りに使用する際は、入れる量に注意しないと、酒臭さが全面に出てしまうため気を付けなくてはなりません。
ウイスキーボンボンがあるようにチョコレートとの相性は抜群です。アイスクリーム、ドライフルーツとも良く合うお酒です。ケーキのスポンジに加えると、かなり大人な味わいが楽しめます。
グラッパ
イタリアの蒸留酒「ブランデー」の一種で、ワインを造った後に残るぶどうのしぼりかすを蒸留して造られます。イタリアでは食後酒としてポピュラーです。クリームチーズやナッツとの相性が良いお酒です。イタリアで造った物のみ、グラッパと名乗ることが許されています。
カルバドス
りんごが原料の蒸留酒で、フランスのノルマンディー地方で造られた物のみカルバドスと名乗ることができます。
それ以外の地方で造られた同様の蒸留酒はアップルブランデーと呼ばれ区別されているのが特徴です。りんごとの相性は抜群で、タルトなどに入れると芳醇な香りが食欲をそそります。
キルシュとは
キルシュは、ドイツ語で「さくらんぼ」のことを意味しています。その名の通り、発酵させたさくらんぼの果汁から造られるブランデーの一種。種ごと潰したさくらんぼを発酵させ、およそ6週間ほど寝かせた後で蒸留します。
色や甘みはありませんが、さくらんぼの爽やかな香りが特徴的。キルシュはヨーロッパでは非常にポピュラーなお酒として親しまれているようです。
またチェリーはもちろんのこと、ブルーベリーやいちごなどのベリー系と相性が良いお酒です。ケーキや焼き菓子、カスタードクリームやシロップの香り付けなど、お菓子作りでは幅広く使われるお酒で、製菓専用のキルシュも販売されています。
キルシュの特徴
キルシュはチェリーブランデーの一種です。チェリーブランデーは、さくらんぼをブランデーなどに漬け込んで赤い色と味を移したものと、無色透明で甘味のない2つのタイプがあります。
購入の際には、チェリーブランデーが「ブランデーと名が付いていながらウオッカに漬け込んだもの」か、「全くブランデーを使っていないのか」を確認しておきましょう。
味や色に違いがあるので、「どちらも同じ」と思って使うと、せっかくのお菓子がうまくいかないこともあります。キルシュと相性が良いのはベリー類で、いちごタルトやブルーベリーマフィンなどを作る際にはもってこいのお酒。
ショートケーキのスポンジに使われるシロップや、生クリームに加えるのもまたオススメです。焼き菓子のみならず、シロップやカスタードクリームなどの香り付けに使用することもできて、お菓子作りでは幅広く出番のあるお酒と言えます。
キルシュはドイツ語であり、キルシュワッサーとも呼ばれます。フランス語では「オー・ド・ヴィ・ド・スリーズ」と呼ばれ、いずれもさくらんぼのブランデーを意味。
カクテルのにも用いられるほか、そのままで飲用もされます。ヨーロッパでは食前酒として飲まれることが多いお酒ですが、ドイツでは逆に食後酒として親しまれているようです。
キルシュ以外のお菓子に使うお酒
キルシュ以外にも、お菓子作りに使われるお酒は数多くあります。その中から代表的なものを、いくつかご紹介していきます。
ラム
原料:さとうきび
使用:パウンドケーキ、モンブラン、ティラミス、チョコレートケーキなど
味:風味豊かな香りと深みのある味わいで、お菓子作りによく使われるお酒です。
ブランデー
原料:ぶどう
使用:パウンドケーキ、フルーツの漬け込み、栗の渋皮煮、生チョコレートなど
味:しっとり感とブランデーの風味が大人の味で、奥深い仕上がりとなります。
キュラソー
原料:オレンジ
使用:ショコラケーキ、チーズスフレ、オレンジゼリーなど
味:爽やかなオレンジの香りとふくよかでバランスのよい風味が特徴的です。
グラッパ
原料:ぶどう
使用:パウンドケーキ、チーズケーキなど
味:フルーティな香りと風味が広がるのが特徴です。
カルバドス
原料:りんご
使用:アップルタルト、アップルパイなど
味:香りが良くなり風味がマイルドになります。
ワイン
原料:ぶどう
使用:ワインゼリー、りんごやいちじくのコンポートなど
味:爽やかな風味や味の深みが増します。
キルシュを代用して楽しくお菓子作りを
お菓子作りをたまにしかしない人は、キルシュを一本買う事をためらってしまうことでしょう。
けれど、使うお酒の量は僅かでも、入れないと風味が全く違ってしまいます。他のお酒を代用すればレシピと違うものにはなりますが、逆に新しい発見があるかもしれせん。
時にはレシピにとらわれすぎず、他のお酒を代用して新しい味を見つけてみるのもいいのではないでしょうか?試行錯誤の末に自分好みの発見があるのもおかし作りの楽しみのひとつ。ぜひ色々なお酒を使って楽しんでみてください。