目次
ドライアイスの溶ける時間
ドライアイスは保存状態によって溶ける速さが変わるのでしょうか?ドライアイス自体の温度はマイナス79度で周囲と気温差がある場合、ドライアイスが溶けていきます。
ドライアイスの気化の速度を遅らせるには、ドライアイスの保存環境を変えるのが重要です。常温や冷凍庫などではどれくらいのスピードで溶けるのか、それぞれ見ていきましょう。
常温で放置
まず、常温でドライアイスを放置した場合です。1kgのドライアイスの塊だと「約2~3時間」で溶けてしまいます。
冷凍庫
次に、家庭で準備可能な最も冷たい保存用具の冷凍庫です。その冷凍庫内であってもドライアイスは「約4時間」で溶けてしまいます。常温と比較しても、1時間程度の時間しかドライアイスの溶けを遅らせることができません。
クーラーボックス
続いて、クーラーボックスを使用してドライアイスを保存した場合です。こちらも「4時間」でドライアイスが溶けてしまいます。冷凍庫とほぼ同じ時間で溶けてしまいます。
新聞紙に包んで発泡スチロール
最後に、ドライアイスを新聞紙に包んで発泡スチロール内に保存した場合です。ドライアイスは「15時間」溶けずに残ります。
ドライアイスを布や新聞紙で包むことによって、ドライアイスの気化を遅らせることが可能です。常温で保存した場合のおよそ5倍の時間、気化させずに残すことができます。
ドライアイスの保存方法
ドライアイスが溶ける時間は分かりましたが、ドライアイスに保存方法はあるのでしょうか?結論から言うと、ドライアイスが発する冷気を逃さないよう、布や新聞紙を使って冷気を周囲に確保することでドライアイスの気化を遅らせることが可能です。
まず、家庭で冷たい温度で保存する道具といえば、冷凍庫があります。しかし、冷凍庫の温度はマイナス18度以下と、ドライアイスの温度であるマイナス79度と比較しても60度近い温度差があります。
そのため、冷凍庫やクーラーボックスではドライアイスを長時間保存することは困難と言えるでしょう。しかし、ドライアイスを布や新聞紙で包んだあとにクーラーボックスに入れた場合は、ドライアイスの気化を遅らせることができます。
保存の際はドライアイスの周囲を、ドライアイスに近い温度に保つことが重要です。またドライアイスの保存は、発泡スチロールの入れ物であれば保冷性に優れつつ、軽量で持ち運びがしやすいため効率的です。
そのほか、ドライアイスを保存するポイントは「熱伝導率の低いものに包む」こと。金属のトレイや皿など熱伝導率の高い金属に触れると、ドライアイスの熱が奪われ気化が進んでしまいます。
ドライアイスの効果的な使い方
ドライアイスは使い方次第で冷却効果が変化します。ドライアイスの効果的な使い方とはどのようなものでしょうか?
ドライアイスを長持ちさせるには
上でも解説しましたが、ドライアイスを新聞紙や布に包んで保存すれば、ドライアイスの気化を遅らせることができます。冷凍庫と比較しても60度近い差がドライアイスにはありますが、冷凍庫よりも低い温度で保存する道具は家庭にはないでしょう。
そのため、ドライアイス自身が出す冷気と最も近い温度にするためには、ドライアイス自体を使うこと。つまり、ドライアイスの発する冷気を利用して保存するのが、最も冷たい温度で保存できるのです。
ドライアイスを使った保冷
ドライアイスを利用する際は「冷気は下にたまる」という特徴を活かします。冷やしたいものの上にドライアイスを置けば効率的に冷やすことが可能です。
また、ドライアイスで保冷する際は、保冷する物の間に隙間を空けておくのがポイント。そうすることで隙間にまで冷気が行き渡り、効率的に冷却することが可能です。また、その際に小さいドライアイスを使用すれば、さらに効率的に冷却できます。
ドライアイスを保冷剤と合わせて使用する場合、ドライアイスの温度により保冷剤が溶けるのを防げます。保冷剤の保冷効果を持続させたいときにドライアイスを併用すればさらに、長時間の保冷が可能となるでしょう。
ドライアイスで演出する
また応用として、白い煙を出すドライアイスは、アイススイーツに活用されたりアルコール類の演出に使用されたりしています。ご家庭でもドライアイスを料理にうまく活用すれば、より華やかになるでしょう。ただし、ドライアイスは二酸化炭素ですので十分に換気をしてご使用ください。
ドライアイスを使う時の注意点
冷凍物の保冷に便利なドライアイスですが、取り扱いには注意点があります。
素手での使用は危険
ドライアイスの温度はマイナス79度と大変低く、素手で触ると凍傷になる恐れがあります。乾いた厚手の軍手をつけたり、トングを使用したりしてドライアイスを直接触らないようにしてください。また、お子様がドライアイスを誤って口に入れたり、触れたりしないよう注意が必要です。
小さな容器に入れて密閉すると破裂する恐れがある
ドライアイスは気化すると、約750倍の大きさの空気に気化します。そのため小さな容器に入れて密閉した場合、ドライアイスの圧力に耐えられず破裂する恐れがあります。ペットボトルなどの密閉性の高い容器で保存することは避けましょう。
密室でドライアイスを使用すると酸欠に陥る可能性がある
ドライアイスは二酸化炭素です。ドライアイスが気化する際、空気中に二酸化炭素として気化します。そのため、密室でドライアイスを使用すると、酸欠に陥る危険性があります。
例えば、自動車でドライアイスを運ぶときや、部屋で大量のドライアイスを使用する際は、換気をするよう注意してください。
ドライアイスとは
ドライアイスとは二酸化炭素を固化成型したもので、マイナス79度という超低温の固体です。
周囲から熱を奪いながら、液体にならずに直接気化します。
0度におけるドライアイスの冷却力は、1kgにつき約152kcalで、同じ容積の氷の約3倍の冷却力です。気化してできる炭酸ガスは無色・無臭の気体です。ドライアイスを商品とした場合、形状によって分けられます。
- 粉末状のドライアイスを「スノー」
- 小粒のドライアイスを「ペレット」
- 塊のドライアイスを「ブロック」
ブロック状の大きな塊のドライアイスは溶けにくく、長時間にわたって利用できます。スノー・ペレットのドライアイスは、ブロックと比較すると急速に対象物を冷やすことが可能です。しかし、短時間で気化してしまうのがデメリットです。
溶けても水にならいため、「ドライ(乾いた)」「アイス(氷)」と呼ばれています。工業用分野では、金属を洗浄するドライアイスブラストや、金属の低温処理に利用されていほか、テレビや映画、舞台などでは、煙や霧といった演出に活用されています。
まとめ
ドライアイスの使用方法を知るだけでも、保冷効果を高めることができます。長持ちさせる方法も知っていれば、キャンプや物の持ち運びにも活用できます。また、その一方でドライアイスの取り扱いには注意しなければなりません。ドライアイスのメリットと使用法を理解し、効率的にドライアイスを使用しましょう。