目次
古い灯油の処分方法
余ったポリタンクの灯油を処分してくれるところや方法を4つ紹介します。どの方法を利用する場合でも、灯油を入れる注入ノズルや吸引ポンプを外しておき、しっかり栓を閉めて密閉した状態で安全に引き渡すようにしましょう。
ガソリンスタンド
出光やエネオスといったガソリンスタンドなど、灯油の販売店には古くなった灯油の引き取り義務が課せられています。持ち込み先は、必ずしも購入したガソリンスタンドでなくても構いません。
ガソリンスタンドに灯油の引き取りを依頼すると、ほとんどの場合引き取り料として300円~500円ほどかかります。中には無料で引き取ってくれるガソリンスタンドもあるようです。
しかし、セルフのガソリンスタンドでは引き取りに対応できないこともありますし、地域や店舗によっても対応が変わるので、灯油を引き取ってもらえるかどうか問い合わせてから持って行くと良いでしょう。
ホームセンター
ホームセンターで購入した場合は、購入店に持ち込めば処分してくれるのが一般的です。多くは無料で引き取ってもらえますが、購入時のレシートが無い場合は料金を取られることもあります。
店によっては購入した灯油でなくても引き受けてくれこともあるようです。ガソリンスタンドと同じく店舗によって対応が異なるので、灯油を持ち込む前にまずは問い合わせてみましょう。
回収業者
粗大ごみ回収業者の中には、灯油も回収してくれるところがあります。メリットは自分で持ち込まずに済むことです。次に当てはまる人は回収業者に依頼すると良いでしょう。
- 車がなくて灯油を持って移動できない人
- ガソリンスタンドや販売店が遠い人
- 灯油以外に引き取ってもらいたい不用品がある人
回収業者に依頼すると便利ではありますが、料金が10,000円~25,000円ほどと他の処分方法よりも高額になります。トラックへの積み放題プランなどを利用し、他の不要品とまとめて引き取ってもらってお得に利用するようにしましょう。
回収業者を選ぶ時は、自治体から許可を得ている業者を選ぶようにしてください。無料や格安で引き取ると言いながら、後から高額な料金を求めてくる悪徳業者もいるので注意が必要です。
灯油販売店
灯油を配達してもらっている家庭であれば、その販売店に灯油の処分をお願いするのが手近な方法です。こちらの方法でも自宅まで灯油を引き取りに来てくれるので、楽に処理をすることができます。
欲しい人に譲る
もし知り合いに「灯油が欲しい」という人がいるなら、その人に譲ってしまえば簡単に灯油を処理することができます。お金もかかりませんし、相手も無料で灯油が手に入るのでお互いに助かる方法です。
古い灯油の間違った処分方法
思わずやってしまう、古い灯油の間違った処分方法を挙げてみました。処分方法が分からないと適当に処理してしまいたくなりますが、皆さんはこうした行動は絶対にやめましょう。
ビニール袋に入れて家庭ごみ回収の日に出す
灯油は危険物に該当します。普通のゴミと同じようにビニール袋に入れて、家庭ごみ回収の日に出すのはやめましょう。袋が破れて他のごみに染み込んだところに火が点くと、火事が起こるかもしれません。
古新聞やぼろきれに染み込ませて家庭ごみ回収の日に出す
ビニール袋がだめなら、古新聞やぼろきれに染み込ませて捨てるのは良いだろうと考える人もいるかもしれません。床にこぼしてしまったくらいの少量であれば構いませんが、灯油は布に染みこま込ませると発火しやすくなる性質を持っています。染み込ませる灯油が大量の場合は火事が起こるリスクがあるので危険です。
一部の自治体では、2ℓ以内の少量の灯油であれば布や紙にしみ込ませて燃えるゴミとして捨てることが認められているようですが、できれば控えたほうが安心でしょう。
川に流す
生態系に悪影響が出る可能性があるため、灯油を川や海に流すのは止めましょう。河川に灯油が滞留した場合、取り除くためには多額の費用がかかります。
環境犯罪として流した人が取り締まられる可能性も否定できません。家の前の道路にある排水溝も川に直結している可能性があるので、灯油は流さないようにしてください。
地面にまく
灯油を除草剤として使う方法もありますが、土中の生物を殺してしまったり必要な植物を枯らしてしまったりもします。臭いでも近所に迷惑をかけるので、止めるのが賢明です。また、土に埋めても灯油は分解されません。土壌汚染を引き起こすので土に埋めて処理するのも絶対にやめましょう。
下水に流す
下水に灯油を流すと、下水道施設に尋常でない被害をもたらすリスクがあります。下水道管の清掃作業が始まれば多額の税金が使われることになります。その上、通行止めにして作業を行うことになれば、渋滞が起きるなどの2次被害が起こる可能性も考えられるでしょう。
また、流れた灯油に火が点くことは考えにくいものの、可能性はゼロではありません。万が一火事になれば、爆発事故につながります。灯油はトイレなど下水に流さないでください。
凝固剤で固める
灯油を凝固剤で固めて処分しようとするのはNGです。揚げ物をした後の油を凝固剤を使って捨てるという人は多いと思いますが、凝固剤は常温の油には溶けません。
凝固剤を溶かしたいからといって、灯油を加熱すると火災が発生する可能性が高いです。大変危険な行為ですので絶対にやめましょう。凝固剤は調理用油のみに使用し、灯油の処理には使わないようにしてください。
燃やす
灯油を燃やして処分しようとするのは、とても危険なので絶対にやめましょう。灯油そのものは引火点が40度以上であるため、ガソリンなどに比べて火がつきにくい性質を持っています。例えば、バケツに入れた灯油に火のついたマッチ入れても、燃えることなくマッチの火は消えてしまうでしょう。
しかし、灯油でも揮発した蒸気に引火するなど条件がそろえば発火する危険性は大いにあります。燃やそうとして灯油に火を近づけると、あっという間に火事が起きてしまうかもしれません。
実際に、ストーブの火を消さないまま給油しようとして火事になる事故は冬に多発しています。処分したいからといって灯油を燃やさないようにしましょう。
灯油の正しい保管方法
灯油を保管するときは、正しい保管方法をするようにしましょう。間違った方法で保管され変質した灯油を使用すると、暖房器具の故障などにつながります。灯油を保管する時には、次のことに気をつけて変質を防ぎましょう。
色がついたポリタンクや金属性の入れ物に保管する
灯油を入れる入れ物は、ポリ容器が一般的ですよね。昔は白色が主流だったものの、飲料水用のポリ容器と区別するために他の色が付けられました。関西圏では青色、関東圏では赤色がメジャーです。濃い色を付けると紫外線からの影響を抑えて、劣化を遅らせることがわかっています。
ポリタンクは製造から5年ほどが寿命です。5年以上経っても使えなくなるわけではありませんが、灯油を安全に保管することが難しくなります。劣化する前に買い替えるようにしましょう。ポリタンク以外だと、金属製の一斗缶やドラム缶でも灯油は保管することができます。
直射日光が当たる場所を避ける
ポリ容器に色が付いているからといって、直射日光の当たる場所での保管は劣化を早めます。日当たりの良いベランダなどに置く人が多いですが、少しでも日に当たらないよう、コンテナに入れたり日除けを使用したりするなどの工夫をしたいところです。
冷暗所に保管する
灯油は車庫などの冷暗所(低い温度が保たれる場所)に置いて保管するのがベストです。ただし、真夏などは車庫の温度が上がる可能性があるので、一時的に室内へ移動させるなどして注意してください。室内に置くときは、涼しい玄関などが良いでしょう。
雨水が当たらない場所を選ぶ
蓋のわずかな隙間から雨水が浸入してしまう可能性はゼロではありません。雨水が混ざった灯油をストーブに使うと故障の原因になるので、気をつけてください。コンテナの中などに入れておくと安心です。
周囲に火気がない場所を選ぶ
灯油はガソリンとは違い、液体そのものに引火することは基本的にありません。それでも高温になる場所に保管していて引火点に達した灯油は、ガソリン同様の引火危険が生じます。火気や火花が起きる器具から遠ざけて保管することが大切です。
風通しの良いところに保管する
灯油は揮発しやすく、発生した蒸気は空気より重いので、低所にたまりやすいです。風通しの良いところに保管することで、引火のリスクを抑えられます。
残った灯油を使い切る理由と古い灯油の見分け方
なぜ残った灯油は使い切る必要があるのか、古い灯油のチェック方法と共に説明します。
残った灯油を使い切る理由
オイルが酸化しやすいことはよく知られているように、灯油も長期保管で酸化します。また、長い間入れておいたポリ容器から可塑剤が溶け出し、灯油を変質させます。
変質した灯油をストーブに使用すると、ストーブの芯にタールが付着し、着火できなくなったり消火できなくなったりすることがあるので注意が必要です。ストーブが故障する可能性もあるでしょう。さらに不完全燃焼が起きて一酸化炭素中毒になるリスクも潜んでいます。
また、灯油を入れっぱなしにしておいたシーズンオフ中のストーブを倒してしまうと、灯油がこぼれる可能性があります。処理が大変になり、火災リスクが高まるので、入れっぱなしは止めましょう。
国民生活センターからも「暖房器具に昨シーズンの余った灯油は使わないで」と注意喚起がされていますので、灯油は使い切るようにしてください。
古い灯油の見分け方
秋口など、ストーブシーズン初めに購入した灯油が余ったら、ストーブを使わなくなる春先に処分するのがベストになります。灯油は時間が経つと黄色、そして茶色に変色していきます。それほど時間が経っていなくても、薄黄色になった段階で処分しましょう。酸っぱい臭いになっているときも同様です。
灯油自体に変化が見られなくても、虫などの異物や水、別の油が混じっている場合は使用できません。また、軽油やガソリンを使っていた入れ物に灯油を入れると、成分が混ざって使えなくなるので注意してください。ちなみに、灯油にガソリンが混入しているとピンクっぽい色になり、水が混入していると分離した状態になります。
残った灯油を使い切る方法
「冬が終わったのにストーブに灯油が残ってしまった!」という時は、洗濯物を部屋干しする時に利用するのがオススメです。1ℓ程度の残量なら、中型のストーブで2時間前後で灯油を消費できるでしょう。火災には気を付けてくださいね。
また、春先や梅雨の時期に急に訪れる肌寒い日も灯油を使い切るチャンスです。ストーブが切れた後でも灯油がわずかに残っていることがあるため、スイッチを数回オンにして完全に点火しなくなるまで使うようにしましょう。
灯油の性質
劣化の有無を確認する上で、正常な灯油の状態を知っておくことが大切です。灯油の性質をご紹介しますので、使用する前に知っておくようにしましょう。
常温では自然発火はしない
灯油の引火点は40~60度です。直射日光に当たるところで保管していたからといって、この温度に達することは基本的にありません。
沸点や引火点が高温
灯油の沸点は145度~270度。発火点は220度です。
無色または淡紫黄色
正常な灯油の色は、無色または淡紫黄色です。灯油と軽油は似ていますが、灯油のほうが薄い色をしています。
臭いがある
石油製品ならではの独特の臭いがします。くさいと感じる人が多数派かもしれませんね。
水やアルコールに溶けない
オイルなので、水と混ざっても分離します。アルコールも同様です。
水より軽い
水と混ざったときは、多くのオイルと同様に浮きます。
硫黄分が少ない
灯油は硫黄分が少ないため、燃焼時の臭いが少ないです。
静電気が発生しやすい
灯油は静電気が発生しやすい性質があります。注入時や輸送時は特に静電気が発生しやすく、条件しだいで発火する恐れもあります。火気は近づけないように注意しましょう。
まとめ
灯油は、液体そのものは着火しにくく、燃焼時の臭いが少ないことで、家庭用燃料として普及してきました。扱いやすい石油製品ですが、安全とは考えないことが大切です。
シーズン明けにもったいない、買いに行くのが面倒といった理由で、前年の灯油を使いたくなるかもしれませんが、使用前に変質していないか確認してください。変質していたら、適切な方法で処分しましょう。灯油のことを正しく理解し、安全に使用するようにしてください。