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鉄フライパンがくっつく原因
鉄製のフライパンは、正しくメンテナンスをするとずっと使い続けられるうえに、栄養素のひとつである「鉄分」を十分に補えるなど、いいことだらけなのです。
そこで、なぜ鉄フライパンはくっつきやすいのか、その原因について説明しましょう。
油ならしをしていない
購入した後、最初に使う前に「油ならし」をしましたか?油ならしとは、「鉄に油をなじませる」ことなのですが、取扱説明書にも油ならしの必要性が書かれていたかと思います。
油を入れてまんべんなく広げておくことで油膜ができるので、食材がくっつきにくくなります。
油がなじんでいない
「油ならし」とは別に、調理をする際にしっかりと油をなじませてから食材を入れるようにしないとくっついてしまいます。最初に鉄フライパンを空焼きして、表面に酸化被膜ができたら油を入れてなじませます。
この酸化被膜にはたくさんの小さい穴があって、そこに油が入り込むことで食材がくっつきにくくなるのです。
火加減に問題がある
食材を焼いたり炒めたりする前の「予熱」に適した温度は約180℃です。適温に達するとフライパン表面の油が波立ち始めます。煙が出るか出ないかぐらいの時に食材を入れるようにします。
汚れが付着したままにしている
鉄のフライパンは台所用洗剤を使って洗わないのが基本です。せっかく油ならしをしても、常に台所用洗剤で洗っていると油膜が取り除かれてしまいます。
汚れがひどい場合は、鉄のフライパンの中でお湯を沸騰させて熱いうちに汚れをこすって取るようにしますが、この時にしっかり洗えていなくて汚れが付着したままだと、その部分にくっついてしまいます。
《 ポイント 》
- 購入後、最初に油ならしをしなかった。
- 食材を入れる前にしっかりと油をなじませていなかった。
- 温度が約180℃にならないうちに食材を入れてしまった。
- 汚れが付着したままだと、その部分にくっついてしまう。
鉄フライパンがくっつかないようにする方法
鉄のフライパンは使い始めが肝心です。鉄フライパンがくっつくのを防ぐ方法のひとつ、「油ならし」の手順について説明しましょう。
新しく買った時や、使い続けているフライパンがいつの間にかくっつきやすくなっていたら、油ならしをして油膜を張らせます。その方法はとても簡単ですので、「使い始め」と「サビや焦げがついてしまった時」にサビや焦げを取り除いてから行って下さいね。
油ならしの手順
- 鉄フライパンをお湯でよく洗う。
- 鉄フライパンを軽く空焼きして、水分を蒸発させながら温める。
- うっすら煙があがったら鉄フライパンの周りから1/2~1カップの食用油を入れる。
(食用油であればどんな種類でもOKです) - 鍋をグルッと動かして、油をまんべんなく広げる。
- 様子を見ながら弱火~中火で2~3分加熱し、油を十分に染み込ませる。
(この時、野菜くずなどを炒めると油がなじみやすくなります) - なじませたら火を止めて、余分な油をオイルポットに戻す。
- 熱いので火傷しないように注意しながら、キッチンペーパーを使って刷り込むようにして油を拭き取る。
調理する前に「油返し」をする
鉄フライパンを上手に使いこなしている人たちが必ず行っているのが、調理の前の「油返し」という作業です。これは、表面に油をしっかりとなじませるのが目的です。
油がまだなじんでいない使い始めの頃は、焦げ付きやすいので少し多めの油で調理して、徐々に慣らしていきましょう。こうして一手間かけることによって、食材を焦げ付きにくくすることが出来ますので、毎回調理前に必ず行うようにしましょう。
温度にも気を付ける
油返しをした後の鉄フライパンは温度が下がっています。加熱不足の鉄フライパンに食材をいれてしまうとこびりつく原因になるので、何も入れていない状態の時に中心までしっかりと加熱しましょう。
食材を焼く、または炒める時の適切な温度はおよそ180℃なので、その温度に達するまで予熱をしっかりおこないましょう。適温になるとフライパン表面の油が波立ちますので、それを目安にしてください。煙が出るか出ないかぐらいのイメージです。
すぐに食材を取り出す
料理が出来上がったらすぐに食材を取り出すようにします。鉄フライパンに食材を入れっぱなしにしていると、焦げてくっついてしまう原因になるので、フライパンの中に放置したままにせずに、早めに器に盛り付けましょう。
《 ポイント 》
- 使い始めが肝心、新品は油ならしをしてから使用する。
- 調理前に「油返し」をして表面に油をしっかりとなじませる。
- 適温の180℃に達するまで予熱をしっかりしておく。
- 調理後は早めに器に盛り付ける。
鉄フライパンがこびりつかないためのお手入れ方法
洗剤を使わずに洗う
調理後の鉄フライパンを洗う場合、中性洗剤などを使って洗わないようにします。いつも洗剤で洗っていると、せっかく油ならしをしたのに油が洗い流されてしまうからです。
汚れが気になる場合は、鉄フライパンの中でお湯を沸騰させて熱いうちに、タワシやナイロンブラシでこすると汚れが取れます。
洗った後は煙が出るくらいまで空焼きしますので、殺菌にもなるため衛生面での心配はいりません。その後には軽く油をなじませてから保管しましょう。
サビの取り方
サビや焦げつきが取れないときは、「お湯を使ってタワシでこする」→「乾かす」→「野菜くずを油で炒めてなじませる」3つの手順を繰り返しましょう。
保管時の注意点
鉄フライパンについた水気は、ふきんで拭くだけでは取れませんので、コンロで軽く空焼きしてふきんで拭ききれなかった水分を飛ばしてしまいましょう。
常に使っている鉄フライパンだと、コンロで空焼きしてしっかり乾かしてから収納するとサビをふせぐことができます。
たまにしか使わない鉄フライパンや、湿気が多い場所に収納する場合には、油を薄く塗っておきましょう。何年も使っていると油膜ができて、ぬらなくてもよくなります。
《 ポイント 》
- 調理後は洗剤を使わずに洗う。
- ひどい汚れは、お湯を沸騰させてタワシやナイロンブラシでこする。
- コンロで空焼きしてしっかり乾かしてから収納する。
- 軽く空焼きして拭き取れなかった水分を飛ばす。
鉄フライパンでくっつかない焼き方
卵料理が鉄フライパンにくっつかない焼き方
卵を入れてすぐに炒めると鉄肌にくっついてしまうので、鉄フライパンに油をなじませた後に卵を入れるようにします。そして、表面に火が通るまで約10秒~15秒待ちます。そうすると、卵がスルッと鍋肌から離れてくれます。
鉄には「親水性」があり、水分が残っている素材を離さないという性質を持っていますので、水分がなくなったらきれいに離れてくれます。
お肉が鉄フライパンにくっつかない焼き方
牛ステーキ肉は、中が冷たいと火を通す時間がかかり表面が硬くなってしまいますので、常温に戻して内部の温度を上げておきます。牛ステーキ肉の厚みが1cm程度であれば20分~30分程度、2cmなら1時間弱くらいでしょうか。
硬い筋があれば、事前にキッチンバサミを使って切っておきましょう。たたいてしまうと肉汁が出やすくなるのでやめた方がよさそうです。冷凍した肉を使う場合は、前日の夜に冷蔵庫に移して解凍をしてから常温に戻します。
その後、キッチンペーパーで水分を軽くふき取り、焼く10分前に塩とコショウで下味をつけます。お肉の場合も卵と同じように、表面に少し焦げ目がつくまで待ちます。
《 ポイント 》
- 鉄は水分が残っている素材は離さないという性質を持っている。
- 鉄フライパンに油をなじませた後に卵を入れる。
- お肉は常温に戻して内部温度を上げておく。
- 表面に火が通って少し焦げ目がつくまで待つ。
最後に
鉄フライパンがくっつく原因と、こびりつくのを防ぐ正しいお手入れ方法について解説しました。
手間がかかるように思えるかもしれませんが、ちょっとしたひと手間で料理がグッと美味しくなります。ひとえに「鉄製のフライパン」と言ってもさまざまあり、どんな鉄を使うかによっても違いがあるようです。
例えば、厚手の鉄フライパンを使うと高温をキープできるので、短時間でよく火が通り、旨味が食材の中に凝縮されて美味しく仕上がります。卵はふんわり、炒め物の野菜はシャキッとさせられるので旨味が出ておいしくなるというわけです。
また、中華鍋などの薄い鉄フライパンでも高温に強く、フッソ加工に比べて圧倒的に耐久性があります。手軽に使えるテフロン加工のフライパンは、コーティングが剥がれると買い替えですが、鉄フライパンは長く使うことができる優れもの。
「軽くてサビなくてくっつかない」からという理由で、安いフッソ加工のフライパンを使っている方は、一度試してみてはいかがでしょうか。