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にんにくのにおいの原因はアリシン
にんにくを丸ごとホイル焼きにしたにおいと、刻んだにんにくのにおいを比べると、ホイル焼きの方がにおいは少ないです。
においの原因はアリシン
にんにくは、丸ごとのままよりも、刻んだりして傷をつけたにんにくの方が強くにおいます。にんにくの独特のにおいは、アリシンという成分によるものです。
アリシンは強烈なにおいを発する物質で、にんにくを潰したり、切ったり傷をつけたりすると、アリナーゼという酵素が反応し、アリシンに変化して強いにおいを発するのです。
アリシンとは
強いにおいを持つ硫黄化合物の一種で、主ににんにく・長ネギ・タマネギ・ニラなどのユリ科の野菜に含まれる成分になります。
にんにくのアリシン成分が口や胃から排出されて口臭となったり、体内に吸収された後、汗と混ざって体臭として放出されたりします。
にんにくによる口臭は非常に強く、煩わしいものですが、数時間でにおいは和らぎます。一方、体臭は血液にのって全身をめぐるので、翌日になっても臭いが残ってしまうことがあります。
アリシンの効果的な摂取方法
アリシンは、疲労回復、血栓予防、感染症予防、生活習慣病予防に効果があります。
アリシンはにんにくの表面を傷つけて細胞を壊すことで生成されるので、アリシンの栄養を体に取り入れるなら、刻んだりつぶしたりして食べるのが効果的です。
また、油で炒めるなどして調理すると、アリシンの成分が壊れにくくなります。
なお、生にんにくは食べ過ぎると腹痛や貧血を起こすことがあるので、1日に1片までとするのがおすすめです。加熱した場合は、1日に2~3片が適量といわれています。
アリシンの効能については、記事末尾の「アリシンの効果効能について」をご覧ください。
にんにくのホイル焼きでにおいを抑えるには
にんにくのにおいを抑えるには、このアリシンの生成を抑えることがポイントになります。
アリシンはにんにくの組織が破壊されることで生成されるので、にんにくのにおいを抑えるにはホイルで丸焼きにした方がいいでしょう。また、加熱することでもにおいを抑えることができるので、この調理法はにおいが気になる人に最適です。
〈においを抑える調理の手順〉
- 包丁を使わず、にんにくを傷つけないようにする
- ラップでにんにくを「皮をむかずに」包み、電子レンジで1分~1分半、様子を見ながら加熱時間を調整する
- 電子レンジで加熱した後、にんにくの皮を手でむくか、アルミホイルに包んでオーブンや魚焼き器で3~5分、様子を見ながら焼く
にんにくのにおいを抑えるには、にんにくの組織をなるべく傷つけないようにすることです。
皮付きのまま、にんにくをホイル焼きすると、においが軽減されるだけでなく、にんにくの歯ごたえが増しておいしいので、ぜひお試しください。
にんにくのホイル焼き以外でにおいが気にならない調理法
ここでは、にんにくのホイル焼き以外の、においを極力気にしない食べ方を紹介したいと思います。
にんにくの味噌漬け
- 鍋にお湯を沸かし、皮をむいたにんにくを入れる
- 1分ほど茹で、鍋から取り出して水気を切る
- フライパンに料理酒、みりん(お好みで)、砂糖、味噌を入れて焦がさないように弱火にかけ、②を入れる。
- ③の材料に熱が通り、全体が混ざったら火からおろす
- ④の粗熱がとれたら、保存用の密封容器に全て移し替える
- 半日から1日ほど寝かせて出来上がり
にんにくの素揚げ
- にんにくは皮ごとよく洗い、水気を切っておく
- フライパン、または揚げ鍋に油を入れて熱しておく
- よく水気を切ったにんにくを②に入れ、皮付きのまま、やや弱めの中火できつね色になるまで揚げる
- 油を切ったら、皮をむいて盛り付ける。塩・コショウ、わさび醤油、ゆずポン酢など、お好みの調味料でどうぞ
にんにくのホイル焼きを食べる際に気を付けること
にんにくのホイル焼きはアリシンの生成を比較的抑えられる調理法ですが、前述の通り、にんにくの食べ過ぎには注意が必要です。
生にんにくは1日1片程度、加熱したにんにくは1日2~3片程度が適量と言われています。
アリシンは疲労回復や生活習慣病の予防、殺菌などの効果が高いのですが、一方で強い刺激物でもあります。
アリシンを食べ過ぎると、胃の粘膜や胃壁を傷つけ、腸内の善玉菌を殺してしまい、腸内環境が悪化して腹痛や下痢、便秘の原因になることもあるのでご注意ください。
にんにくのにおい対策
にんにくをできるだけ加熱調理して、におい成分を発生させない方法をご紹介しましたが、ここでは、にんにくを食べる前と食べた後の効果的なにおい対策についてご紹介します。
にんにくを食べる前に牛乳を飲む
牛乳はにおい対策に効果的な飲み物です。アリシンはタンパク質と結びつきやすいため、タンパク質を多く含む牛乳を飲むことで、においを抑えることができます。
にんにくを食べる前や食べている最中にお茶を飲む
お茶に含まれるカテキンという成分もアリシンと結合し、においを緩和する効果があると言われています。
緑茶だけでなく、ウーロン茶やジャスミン茶などにもカテキンは多く含まれており、これらにも高い効果があると言われています。
にんにくを食べた後にリンゴを食べる
リンゴに含まれるポリフェノール成分には、にんにくのにおいを抑える効果があると言われています。特に、りんごの皮にはポリフェノールが多く含まれているため、皮ごと食べるとよいでしょう。
食後に口臭タブレットを飲む
口や胃に残ったにんにく臭には、口臭予防のタブレットが効果的です。口臭や胃の中の食べ物に効く、ペパーミント味やレモン味のにおいエチケット用のタブレットは、コンビニやドラッグストアで購入できます。
食後に歯磨きやマウスウォッシュを口に含んだうがいを!
口の中に残ったにおいは、歯を磨いたり、マウスウォッシュでうがいすることで、比較的簡単に除去することができます。しかし、胃から上がってくるニオイには、牛乳やお茶、タブレットなどが効果的です。
夜間の入浴と合わせて翌朝のシャワーが効果的
汗で出たにんにく臭の体臭を直接、効果的に洗い流すことができるため、翌朝にシャワーを浴びることをおすすめします。
最後に:アリシンの効果効能について
にんにくのホイル焼きのにおいについてお話しましたがいかがでしたでしょうか。
にんにくには多くの栄養素が含まれており、健康維持にとても効果的です。最後に、どのような効果効能があるかご紹介します。
疲労回復効果
にんにくが疲労回復やスタミナアップに効果的な食品と言われるのは、アリシンの働きによるものです。
アリシンは糖の代謝を促し、体を動かすエネルギーを作り出すビタミンB1と結びつくことで、そのビタミンB1の働きを持続させる効果があると言われています。
血液の流れを正常化させる効果
アリシンを含む硫黄化合物は、血液が固まるのを防ぎ、血栓を予防する効果があります。
健康な状態であれば、血液はスムーズに流れ、血栓はできにくいものです。しかし、不規則な生活習慣が続くと血液がドロドロになり、血管の血流が悪くなって血栓ができやすくなります。
また、硫黄化合物には血行を促進し、血液をサラサラに保つ働きがあります。血液の流れを正常に保ち、血栓を予防し、心筋梗塞や脳梗塞の予防にも効果的です。
感染症予防
アリシンは強い殺菌作用があるため、食中毒の予防にもなります。また、サルモネラ菌、腸チフス菌、コレラ菌などの病原体から健康を守り、風邪の予防にも効果的と言われています。
生活習慣病の予防に効果的
コレステロールを含む食品を摂りすぎ、血液中のコレステロールが過剰に増えると、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などの原因になります。
アリシンは、血液中のコレステロール値の上昇を抑えることで、生活習慣病の予防に効果があります。
血糖値の上昇を抑制する効果
アリシンは、血糖値の上昇を抑えることで、糖尿病の予防に効果があります。
糖尿病は、肥満や運動不足などの生活習慣により、血糖値が正常に保たれなくなることで発症します。糖尿病は、エネルギーとして使われるはずの糖が細胞にスムーズに取り込まれず、血液中に残ってしまい、血糖値が高くなる生活習慣病です。
糖尿病が悪化すると、全身の血管や神経に悪影響を及ぼし、合併症や動脈硬化の原因となります。
アリシンは、体内でビタミンB1と結合すると、血糖値を正常に保つホルモンであるインスリンの分泌を促進し、血糖値の上昇を抑制する効果があります。
強い匂いを持つアリシンを特に多く含むにんにくは、健康維持にとても役立つ香味野菜なのです。