目次
どんぐりの毒性の正体は「タンニン」
「タンニン」って何?
タンニンは渋味や苦味の成分で緑茶にも含まれています。毒物ではありませんが、多量に摂取すると体調不良を引き起こす恐れがあるため毒性という言葉で表現されているのでしょう。
どんぐりを生で食べると起こる症状
どんぐりにも様々な種類があります。日本に自生しているどんぐりだけでも20種類を超えます。そして、どの種類のどんぐりも食べることができます。
しかし、種類によってはタンニンを多く含むどんぐりもあれば、ほとんどタンニンを含まないどんぐりもあります。
もしもタンニンを多く含むどんぐりを生で食べてしまった場合には、あまりの苦さに飲み込むことはできないでしょう。飲み込んでしまったとしてもどんぐり一粒程度の少量であれば重い症状が起きることはありません。
苦いのを我慢してまで生のどんぐりを大量に食べることはないと思いますが、食べてしまった場合には腹痛・下痢・吐き気・嘔吐などの症状を引き起こす恐れがあります。
どんぐりの毒性(アク)を抜く方法
どんぐりに含まれるタンニンは渋味・えぐみ・苦味が強く、多量に摂取しなければ毒性はないものの決して美味しくいただくことはできません。
どんぐりは正しくアク抜きをすれば美味しく食べることができますし、実は栄養価の高い木の実です。子供さんが拾い集めて持って帰って来てくれた日には、ぜひ正しくアク抜きをして美味しくいただいてください。
どんぐりのアク抜きの方法と手順
- ボウルにどんぐりとたっぷりの水を入れます。
- プカプカと浮かんできたどんぐりを取り除きます。
- 沈んでいるどんぐりを取り出し、殻をむいてから細かく砕きます。
- 鍋にどんぐりと水を入れて沸騰させた後、弱火から中弱火でじっくり茹でます。
- アクが浮いてきますので、こまめに取り除いてください。
- ザルでお湯を切り、どんぐりを水で洗います。
- どんぐりをザルに入れたまましっかり水気を切ってください。
- どんぐりの味見をし、まだ渋味・えぐみ・苦味が強くアクが残っていると感じた場合には、再度4~7の手順でアク抜きをしてみてください。
手順2でプカプカと水に浮くどんぐりを取り除く理由は、「過去にどんぐりの中に虫がいた」もしくは「今もどんぐりの中に虫がいる」という可能性が高いからです。
どんぐりを美味しく食べる方法
食べられるどんぐりの種類と見分け方
日本に自生している22種類のどんぐりです。全て食べることができます。タンニンをほとんど含んでおらず毒性を気にせずに食べることができるどんぐりは「マテバシイ」「スダジイ」「ブナ」「クリ」「ツブラジイ」です。
シリブカガシ | 殻の表面が粉っぽく白い |
マテバシイ | 実が細長い・殻斗には薄くて白い物質が付いている |
イチイガジ | 実にハッキリとした縦縞模様がある・殻斗は毛で覆われており横島模様がある |
オキナワ ウラジロガシ |
奄美大島~沖縄に自生している・日本で最も大きなどんぐり |
ウラジロガシ | 実がラグビーボールのような細長い楕円形・稀に丸い形をしたものもある |
シラカシ | 実の半分ほどを覆っている殻斗には輪層状の段々模様がある |
ウバメガシ | 実の先端に白い毛が生えている |
ナラガシワ | 実のてっぺんが白い毛で覆われている |
ミズナラ | 本州で最も大きなどんぐり・非常に濃い茶褐色をしている |
ブナ | ひとつの殻の中に三角形のような実が2つ入っている |
イヌブナ | ブナと似ているが大きさはブナの3分の2程度 |
クリ | 鋭いトゲのある殻で覆われている・甘くて生でも食べられる |
コナラ | 誰もがよく知るあの形のどんぐり・大きさが様々で判別は意外と難しい |
クヌギ | まん丸などんぐり・アベマキとよく似ている |
カシワ | トゲのようだがやわらかい殻斗に覆われている |
アカガシ | 細長いものもあれば丸いものもある・実が毛で覆われている |
ツクバネガシ | 実が毛で覆われている・実に縦の縞模様がある |
アラカシ | 殻斗に横島のような輪層状の模様がある・実には白い縦縞模様がある |
ハナガガシ | 四国南西部~九州中南部に自生している・お椀型をした実には縦ジワがある |
スダジイ | 実が細長く先が尖っている・アーモンドのような形をしている |
ツブラジイ | 実がまん丸で小粒・どんぐりの中で最も小さい |
アベマキ | 本州~九州に自生する・ミズナラと同じくらい大きなどんぐり |
おすすめのどんぐりの調理方法
「マテバシイ」「スダジイ」「ブナ」「クリ」「ツブラジイ」のようにタンニンをほとんど含まないどんぐりは、鍋やフライパンで乾煎りするのがおすすめの調理方法です。
- どんぐりの表面に付いたホコリやゴミや砂を払い落とします。
- どんぐりをザルに入れてサッと水洗いをします。
- ボウルにどんぐりとたっぷりの水を入れます。
- プカプカと浮かんできたどんぐりを取り除きます。
- どんぐりをザルに入れて水を切ります。
- 鍋やフライパンにどんぐりを入れ、殻がひび割れるまで乾煎りします。
- こまめに鍋やフライパンを揺すりながら乾煎りします。
- ひび割れた殻をむき、どんぐりの実を食べます。
どんぐりの実は冷えると硬くなって食べづらくなります。調理したばかりの温かいうちに食べるとより美味しいです。お好みによっては冷えて硬くなったどんぐりも食べ応えがあっておすすめです。
しっとり!どんぐりパウンドケーキの作り方
材料
- アク抜きをしたどんぐり、または乾煎りしたどんぐり(お好みの量)
- 薄力粉 :100g
- 発酵バター(無塩):100g
- グラニュー糖 :80g
- 全卵:90g
- 塩 :0.5g(ひとつまみくらい)
- ベーキングパウダー:2g
必要な道具
- パウンドケーキの型(17cm×8cmなど)
- クッキングシート
- ボウル
- ホイッパー(泡立て器)
- ゴムベラ
下準備
- ボウルにバターを入れて室温に戻しておく
- ボウルに卵を入れて解し、室温に戻しておく
- 薄力粉とベーキングパウダーをボウルに振るっておく
- クッキングシートをパウンドケーキの型のサイズにカットして敷いておく
- オーブンを180℃に予熱しておく
作り方と手順
- 室温に戻したバターをクリーム状になるまで練ります。
- 練ったバターにグラニュー糖を半分加えて混ぜます。
- さらに残り半分のグラニュー糖と塩を加えて白っぽくふんわりとするまで混ぜます。
- 解いて室温に戻しておいた卵を4回に分けて加えながら混ぜます。
- 振るっておいた薄力粉とベーキングパウダーを加えて混ぜます。
- アク抜きをしたどんぐり、または乾煎りしたどんぐりを加えて混ぜます。
- 全ての材料をよく混ぜ合わせた生地をパウンドケーキの型に入れます。
- 180℃に予熱したオーブンで45分焼きます。
焼き時間は様子を見ながら調整してください。爪楊枝や竹串を刺して生地がくっついてこなければ焼き上がりです。パウンドケーキの型からクッキングシートごと取り出し、そのまま冷まします。
最後に
どんぐりそのものに毒性はありません。ただし、どんぐりに含まれるタンニンを大量に摂取すると腹痛・下痢・吐き気・嘔吐などの症状を引き起こす恐れがあります。そのため毒性があると表現することがあります。
タンニンをほとんど含まない「マテバシイ」「スダジイ」「ブナ」「クリ」「ツブラジイ」を食べるのがおすすめです。それぞれの実の旬の時期をご参考ください。
- マテバシイ:10月頃
- スダジイ :10~11月頃
- ブナ :8~11月頃
- クリ :8~10月頃
- ツブラジイ:11~12月頃
他の種類のどんぐりも正しくアク抜きをすればタンニンによる渋味・えぐみ・苦味を取り除くことができ、美味しく食べることができます。
どんぐりを使ったパウンドケーキの作り方をご紹介しましたが、パン・ホットケーキ・クッキー・炊き込みご飯と合わせても美味しいのでぜひお子さんやご家族と一緒にどんぐりを美味しくお楽しみください。