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コーヒーは腐る?
乾燥した食品であるコーヒーには「腐る」というイメージがありませんよね?
毎日飲んでいると見た目も味の変化も気にすることがないのでピンときませんが、結論から言うと、コーヒー豆や挽いた粉などは基本的には腐ることはありません。
コーヒーは焙煎することで、豆を高温にさらし水分を飛ばすため、菌は繁殖しにくい弱酸性の環境になります。そんなコーヒーが腐るのかどうか、本当にコーヒーを飲んでも大丈夫なのかを調べてみました。
コーヒーの「腐る」と「酸化」は別もの
細菌などの微生物が原因で物質が変化してしまうのが、「腐る」という現象です。
空気中を漂っている微生物が食べ物に付着すると、高温多湿の中でどんどん繁殖して食べ物の性質を変え、食中毒など健康被害を引き起こしてしまいます。
それに対して「酸化」とは、焙煎したコーヒー豆から出る油分が空気に触れることで風味が落ちてしまう状態です。
コーヒーの賞味期限
コーヒーに記載されている賞味期限は未開封での賞味期限なので、開封したものは期限まで日持ちしないと考えておきましょう。
また、「要冷蔵」と書かれているコーヒーは、保存方法を守らずに常温放置すると、期限に関係なく腐る可能性があります。
コーヒー豆
- 挽いた豆:常温5日、冷蔵庫2週間、冷凍1ヶ月
- 焙煎済み豆(真空パックの場合):1年~1年半
- 生豆:3年
粉のコーヒー
- びんのインスタントコーヒー:未開封1年半~3年、開封後1ヶ月
- スティックコーヒー:2年
コーヒー飲料
- 淹れたコーヒー(ホット・アイス):常温当日中、冷蔵庫2~3日
- 紙パック入り:2週間
- ペットボトル:10ヶ月
《 ポイント 》
- コーヒー豆や挽いた粉などは基本的に腐ることはない。
- コーヒーに記載されている賞味期限は未開封での期限。
コーヒー飲料が腐ったときの見分け方
コーヒーには本来、柑橘系のような爽やかな酸味がありますが、酸化することによって舌がピリピリするような酸っぱい味がします。
コーヒーが腐る場合や、酸化するのは、豆よりも粉の状態の方がその進みがはやくなります。
缶やペットボトルに入ったコーヒー飲料が腐った時の見分け方
缶やペットボトルのコーヒーも、唾液に含まれている雑菌の繁殖によって腐ることがあります。単に風味が落ちるだけではありません。缶やペットボトル飲料が一番危険なのです。
特に牛乳やクリームなどを使ったコーヒー飲料は、中に含まれているタンパク質を栄養源として、雑菌の繁殖が早まる可能性が非常に高くなり腐ることがあります。
見た目にはコーヒが腐るかの判断がつきにくいのですが、白いカビのようなものが浮いてとろみを感じたり、本来のコーヒーとは違った酸っぱさや、水が腐るような臭いを感じた場合、食中毒など体に害を与える可能性がありますので、缶やペットボトルのコーヒーは開封したら腐る前にその日のうちに飲みきるようにしましょう。
《 ポイント 》
- コーヒーは豆よりも粉の状態の方が傷みがはやく腐る可能性がある。
- 乳やクリームなどを使ったコーヒー飲料は、雑菌の繁殖がはやく腐る可能性がある。
- コーヒーの開封後は腐る前にその日のうちに飲みきるようにする。
コーヒー豆・粉が腐ったときの見分け方
インスタントコーヒーが腐った時の見分け方
水分が約2~3%と極めて少ないインスタントコーヒーは、時間の経過とともに風味は落ちてきますが、腐ることはないとメーカーが公表しているようです。
なのに、カビが生えるなどのトラブルは珍しくありません。腐ったインスタントコーヒーの見分け方は以下のような特徴があげられます。
緑色などの見るからに変な色をしている
コーヒーを水分や雑菌が付着した清潔でないスプーンを使ってすくったために、カビが生えてしまった状態です。
白い粉が浮いているように見える
コーヒーの白い粉のようなものは、カビではなくカフェインが結晶化し、粉の表面に浮き出たものです。飲んでも体に影響はないので、ビンを振ってさらさらした粉状に戻れば問題なく飲むことができます。
粉が黒く固まってしまう
コーヒーの粉が黒く固まっているのは、湿気を吸ってしまったのが原因です。この場合もビンを振ってさらさらした状態に戻れば問題ありません。
ただし、コーヒーが完全に固まって元の状態に戻らないようであれば、コーヒーの風味がかなり落ちてしまっているので、飲まない方がよいでしょう。
お湯を注ぐと油が浮いてくる
コーヒーの浮き出てくる油は、もともとコーヒー豆に含まれている油分なので、飲んでも害はありません。
このようにインスタントコーヒーの見分け方は、粉の表面に緑色などの見るからに変な色カビが生えていたり、コーヒーの味ではない変な味や臭いで判断できます。
コーヒーは腐ることはないというものの、カビが生えてしまったのは、粉を取り出すために使うスプーンに唾液や水分がついている場合、そこから雑菌が移って、繁殖したのが主な原因です。
よって、コーヒーの粉を取り出すときは、清潔な乾いたスプーンを使うようにしましょう。それ以外の特徴でも、日が経つにつれて風味は落ちてきますので、コーヒーの開封後は腐る前に早めに消費するようにしましょう。
コーヒー豆を挽いた粉が腐った時の見分け方
コーヒーの粉が白や黒に変色しているのは、カフェインが浮き出たり、カフェインが湿気を吸収してしまったことによるものです。
腐っているわけではありませんが、変色して塊になっている場合はコーヒーの風味もかなり落ちているので、飲まない方がよいでしょう。
もちろん、インスタントコーヒーと同様に、取り出す時のスプーンなどに注意しないと、緑色などの変な色カビが発生してしまいます。
コーヒー豆が腐ったときの見分け方
コーヒー豆の鮮度を知る簡単な方法として、コーヒー豆を挽いた粉にお湯を注いだときの膨らみ具合で確かめることができます。
お湯を注ぐとコーヒーの粉が膨らむのは、中にたまっていたガスが放出されるからなのですが、コーヒー豆が古くなればなるほど、中のガスは自然に放出されてしまい、風味が落ちてしまいます。
また、コーヒーの購入直後であれば、ふんわりと口に広がる香りと爽やかな酸味を実感できますが、これが不快な渋みや鋭い酸味になると、傷み始めてきているものと判断がつきます。
さらに油臭さやツンとした酸っぱい臭いがすれば、コーヒーが腐る可能性があります。
《 ポイント 》
- コーヒーに水分や雑菌が付着したスプーンを使うとカビが生えてしまう。
- 本来のコーヒーの味ではない変な味や臭いで判断できる。
コーヒーの保存方法
インスタントコーヒーの保存方法
ビン詰めのインスタントコーヒーを保存する場合、最も気をつけなければいけないことは、ビンの口に貼られている紙のふち全体を剥がさないようにすることです。
この紙には、ふたとの密着度を高め湿気が入るのを防ぐ役割がありますので、ふたとの間に隙間を作らないよう残しておいた方が無難です。
袋詰めのインスタントコーヒーの場合は、空気を抜いて密閉状態にします。一番よい方法は、使う分だけ小分けにしたものをアルミバッグのような密閉容器に入れ替えておくと完璧でしょう。インスタントコーヒーは、基本的に常温保存が適しています。
コーヒー豆と違って溶けやすいインスタントコーヒーは、冷蔵庫や冷凍庫で保存すると、出し入れの際に結露を吸うことで、湿気ったりカビやすくなってしまうからです。
インスタントコーヒーの日持ちの目安は、開封後一ヶ月程度ですが、湿気の多い夏場や、一ヶ月以内に飲みきれない場合には、冷蔵庫で保存した方が無難でしょう。
コーヒー豆の保存方法
コーヒー豆は、生豆と焙煎後の豆とで保存方法が違ってきます。
コーヒーの生豆の保存方法は、風の通る麻袋などに入れて、直射日光の当たらない涼しい場所に吊るして豆にカビを生やさないようにしておきます。
酸化を遅らせることができる焙煎後のコーヒー豆は、保存容器に入れて密閉し、飲用するまでの期間によって保存方法が違ってきます。
焙煎後二週間以内に飲む場合は常温保存で
コーヒーをすぐに使い切るのであれば、常温での保存が一番適しています。
コーヒーを冷蔵庫や冷凍庫で保存した場合、確かに日持ちはするのですが、庫内と庫外との温度差によって発生した結露の水分を吸ってしまう可能性が出てきます。
焙煎後一ヶ月以内に飲む場合は冷蔵保存で
冷蔵保存は、コーヒー豆の酸化の原因を完璧に防いでくれる非常に有効な方法です。コーヒーを冷蔵保存する際に気をつけるべきことは、なるべく奥の方にしまっておくという点です。
冷蔵庫は毎日頻繁に開け閉めするものなので、扉の近くに置いておくと、温度の変化によって結露してしまい、酸化を早めてしまうのでなるべく奥の方にしまっておくようにします。
この点に気をつければ、冷蔵保存はコーヒー豆にとって最適だといえるでしょう。
焙煎後それ以上保存する場合は冷凍庫保存で
コーヒーの冷凍保存は、コーヒー豆の水分が抜けた隙間に空気が入り込むことで酸化が進み、傷みやすくなってしまうので、一ヶ月以内に使い切れない場合の最後の手段と考えるのがよいでしょう。
粉のコーヒーの保存方法
コーヒーの粉は、コーヒー豆を砕いたものですので、保存方法は基本的には豆と同じです。
しかし、表面積が大きくなることによって酸化のスピードは早まるので、コーヒー豆よりも日持ちしないということを覚えておきましょう。よって、コーヒーが粉の場合はコーヒー豆の状態よりも早く使い切ることが大切です。
コーヒー飲料の保存方法
缶やペットボトルのコーヒー飲料の保存方法で大切なことは、あたたかい場所に放置しておかないことです。
夏に車内のような暑すぎるところに放置しておくとコーヒーの風味が落ちてしまいますので、なるべく冷蔵保存にします。
未開封のコーヒー飲料であれば無菌の状態なので、特に問題はありませんが、開封したコーヒーは雑菌が繁殖して腐る可能性があるため、速やかに飲みきってしまいましょう。
コーヒー飲料を冷蔵庫で保存しているものであっても、開封後は1~2日のうちに飲み終えてください。
特に、ミルク入りのコーヒー飲料は雑菌が繁殖しやすいので要注意です。缶やペットボトルのコーヒーの容器には、注意書きが記載されていますので、確認しておくと安心ですね。
《 ポイント 》
- コーヒーのビンの口に貼られている紙のふちは剥がさない。
- インスタントコーヒーは常温保存が適している。
- コーヒーの焙煎後の豆は、飲用するまでの期間によって保存方法が違う。
- コーヒーを挽いた粉は豆よりも日持ちしない。
- ミルク入りのコーヒー飲料は雑菌が繁殖しやすく腐る可能性があるので要注意。
腐ったコーヒーの豆の活用術
コーヒー豆は、挽いて粉状にした時から時間が経つにしたがって酸化が進み、風味が落ちていきます。
もちろん、賞味期限が過ぎたコーヒー粉は、腐ることがないとしても飲用としてふさわしくありません。そんなコーヒーの効能を生かしつつ再利用する方法を紹介します。
挽いたコーヒーには消臭効果がある
挽いたコーヒーや、使用済みコーヒーを乾燥させたものには、活性炭以上にアンモニアの脱臭効果があることが明らかにされています。
家庭用消臭剤に使われる活性炭とよく似た構造をしている挽いたコーヒーに水を加えると、コーヒーの面積が増え、嫌なニオイを吸収します。
つまり、排水口のニオイをとる脱臭剤としだけでなく、冷蔵庫や下駄箱の消臭剤として活用したり、生ゴミに直接振りかけてイヤなニオイを取ることができるわけです。
防虫剤として活用できる
コーヒーの香りは虫よけとしても使うことができます。
フライパンの油が落としやすくなる
挽いたコーヒーや、乾燥させた使用済みコーヒーをフライパンに入れてこすると油が取れやすくなります。飲用できないからといって捨てずに再利用すれば、環境にもやさしく節約にもなりますね。
《 ポイント 》
- 使用済みコーヒーは、活性炭以上にアンモニアの脱臭効果がある。
- コーヒーの香りは、虫よけとして使うことができる。
- 使用済みコーヒーは、フライパンについた油が取れやすくなる。
最後に
コーヒーが腐るときの見分け方や注意点について、いかがだったでしょうか?
今回紹介した内容をまとめると、正しく保存した未開封のものであれば、賞味期限切れになっても飲める可能性はありますが、美味しさや風味が落ちていることもあり得ます。
コーヒー飲料以外は、ほとんど長期保存できるというものの、保存方法によってはコーヒーの状態が変わるので、ちょっとでも変だと感じた場合は飲むのをやめましょう!
コーヒーの傷みや腐るなどは目で確認しにくいため、長く保存できると思われがちですが、適切な保存を心がけ、いつでもおいしいコーヒーを飲めるような、そんな暮らしをおくってみませんか?