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ベーキングパウダーを入れすぎでお菓子が不味くなる理由
ベーキングパウダーを使って美味しくできるはずのお菓子が苦い!…と感じたことはありませんか?
ベーキングパウダーは、「料理」というよりは、「科学反応の実験」に近い感覚とでもいうのでしょうか、ベーキングパウダーを入れすぎれば膨らんで見栄えよくできるわけではなく、逆に美味しさを失ってしまうこともあるんです。
ほんの少しの量の違いで、お菓子の美味しさや膨らみを大きく左右するベーキングパウダーですので、入れすぎないように正確に計量をして使用するよう細心の注意が必要です。
ベーキングパウダーを入れすぎると苦味が増す
ベーキングパウダーを入れすぎて苦味を感じるのは、ベーキングパウダーの原料に重曹が含まれていることが原因です。
ベーキングパウダーに入っているアルカリ性の重曹は、もともと苦味のある成分で、水を加えて加熱すると炭酸ガスが発生し、食材を膨らませてくれます。
それと同時に、生地もアルカリ性になるので、苦味と独特の臭いがあります。
本来であればお菓子の生地から自然と抜けていくのですが、ベーキングパウダーを入れすぎてしまうと、苦みだけが残り、お菓子が不味くなってしまうのです。
ベーキングパウダーに含まれている重曹の量はかなり少なめで、適正な量を使用すると苦味を感じることはないでしょう。
入れすぎると膨らまなくなる
ベーキングパウダーを多めに入れすぎると、その分だけ生地が膨らむかといえば、むしろその反対で膨らまなくなってしまいます。なぜそうなるのか不思議ですよね?
生地にベーキングパウダーを入れれば入れるだけ炭酸ガスが多く発生します。
その結果、一度膨らみはするものの破裂してしまい、まん中が膨らむどころか、逆にへこんでしまうからなのです。おまけに食感がボソボソになってしまうので、レシピの分量をまもることはとても大切です。
《 ポイント 》
- ベーキングパウダーの原料に苦みの原因である重曹が含まれている。
- ベーキングパウダーを入れすぎるとまん中が逆にへこんでしまう。
- ベーキングパウダーを入れすぎると食感がボソボソになる。
ベーキングパウダーを入れすぎた時の対処法
ベーキングパウダーを入れすぎてしまわないように、スプーンなどを使って、ゆっくりすくって入れると良いのですが、誤って入れすぎた場合にはどのような対処法があるのでしょうか?
ベーキングパウダーを入れすぎてしまった直後であれば、即座にスプーンで取り除けますが、すでに混ざってしまった場合には、入れすぎたベーキングパウダーの量にあわせて、小麦粉や卵などの量を増やすなど、対処してみましょう。
ケーキの場合
ケーキを焼く際にベーキングパウダーを入れすぎてしまった場合には、急遽、同じ分量でもう一つケーキの材料を準備して、入れすぎてしまった方と出来るだけ均一に混ぜ合わせます。
それを二等分にしてオーブンでケーキを二つ焼きます。予定に反してケーキを二つ作ってしまうことになりますが、こうすることで材料は無駄にせずに済みます。
ホットケーキの場合
ホットケーキのように混ぜるだけのお菓子の場合は、ほかの材料を倍量にして作ります。
例えば、ベーキングパウダー5gとレシピにあったのに、間違って8g入れすぎてしまった場合、「8÷5=1.6」なので、他の材料に1.6をかければ倍量になります。
蒸しパンの場合
蒸しパンにベーキングパウダーを入れすぎたときの対処法として、少しだけレモンを入れてみてください。
ベーキングパウダーの入れすぎにより、膨らまないのは仕方ないのですが、レモンを加えて、重曹のアルカリ性を中性に近づけることで、苦味が多少緩和されるでしょう。
ただし、ベーキングパウダーを入れすぎると酸味が強くなってしまいますので、レモンクリームソースやはちみつなどで苦味を緩和のも一つのアイデアといえるでしょう。
スコーンの場合
スコーン生地を冷蔵庫で冷やす前であれば、一旦作業を止めて、入れすぎたベーキングパウダーの量を基準にしてベーカーズパーセント(粉に対して他の材料の配合率を表したもの)の計算をし直します。
どれ位の材料を追加すればいいのかを割り出し、ベーキングパウダー以外の追加する分の材料を、再度レシピ通りの手順で混ぜて、冷やす前の最初の生地とひとつにまとめ、よく混ぜ合わせます。
クッキーの場合
クッキーを作る際にベーキングパウダーを入れすぎた場合には、他の材料を足さずにそのまま焼き上げます。
当然、いつもの味とは違ったクッキーになります。焼き上がった味が苦くて美味しいとは言えないクッキーを、粉々にして作り直します。
イチゴジャムとラム酒を少量加えて甘味を出したり、チョコチップを多めに入れるなどして形を整えて作り直すことで、苦味が無くなり甘くておいしいクッキーにリカバリーできます。
カップケーキの場合
カップケーキを作っている時にベーキングパウダーを多く入れすぎてしまった場合、レシピにどおりそのまま焼いてしまいます。
カップケーキのトップが上手に割れるどころか膨らみが悪く、味も苦くていまいちなのですが、甘めホイップクリームやチョコレートソースなど、甘めのトッピングでデコレーションしてみましょう。
デコレーションの材料分のコストはかかりますが、美味しく食べることができます。
《 ポイント 》
- ベーキングパウダーを入れすぎてしまった直後であれば、即座にスプーンで取り除く。
- ベーキングパウダーが混ざってしまった場合には、小麦粉や卵などの量を増やす。
- ベーキングパウダーを入れすぎて、焼き上げたあとは甘めのトッピングでデコレーションする。
ベーキングパウダーに関するQ&A
A.ベーキングパウダーを過剰に取りすぎると体に毒と言われるのは、中にアルミニウムが含まれているのがその理由です。
ベーキングパウダー以上にアルミニウムが含まれる食物は他にも沢山あり、一度にまとめて大量摂取しない限り害はありません。
よって、ベーキングパウダーに含まれているアルミニウムの量は、健康上ほとんど問題にならないと考えて良いでしょう。
A.ケーキでベーキングパウダーを入れずに焼いたお菓子は膨らまないので、ずっしりと重く仕上がります。卵白を泡立ててたっぷり加えるシフォンケーキであれば、ベーキングパウダーを省いても大丈夫です。
クッキーの場合だと、ベーキングパウダーが入っている物は、サクサクと軽くなり、入れてない物だとカリカリの食感に仕上がります。
A.ベーキングパウダーの原料には、重曹が使われています。その重曹に水が加わり、加熱されることで化学反応を起こし炭酸ガス(二酸化炭素)が発生します。
これが分解されずに、口に入れて水分に触れると舌がピリピリするのです。
A.最も重要なのは、レシピ通りにベーキングパウダーの量を正確に計ることです。中でもお菓子づくりの場合には、材料を正確に計量することがとても重要になってきます。
注意するポイントとして、「山盛り」にした1杯と、「すりきり」1杯では大きな差が出てしまので、計量スプーンですりきり1杯にするには、一旦山盛りにすくってからナイフの背を使って、スプーンからはみ出ている分をすりきって落とすようにしましょう。
もし、ベーキングパウダーを正確に計っているにもかかわらず、苦いと感じるようでしたら、レシピより量を少なめにして調節してくださいね。
A.ベーキングパウダーとは、通称「ふくらし粉」とも言い、パンやお菓子などの生地の風味を損なうことなく膨らませる食品添加物のことです。
主な原料は重曹で、それに酸性剤などが加えられています。重曹は炭酸ガス(二酸化炭素)を発生させてお菓子をふくらませますが、重曹だけだと出来上がったお菓子に少し苦みが出ます。その苦みを消すために酸性剤が加えられたものがベーキングパウダーなのです。
重曹とは、炭酸水素ナトリウムが 99%以上含まれている「重炭酸ソーダ」のことです。重曹は加熱することで炭酸ガスを発生させ、生地を膨らませますが、生地がアルカリ性になるので、色が黄色っぽくなり、独特の苦い味が特徴です。縦方向に膨らむベーキングパウダーとは違って、重曹は横に膨らみます。
A.お菓子を膨らませるのはベーキングパウダーだけではありません。卵白を泡立てた「メレンゲ」、濃い目の焼き色をつけたどら焼きや、サクッとしたクッキー作りに適した「重曹」、発酵時間が必要な「イースト」などがあります。
《 ポイント 》
- ベーキングパウダーは一度にまとめて大量摂取しない限り体に害はない。
- ベーキングパウダーを入れずに焼くと、膨らまずにずっしりと重く仕上がる。
- ベーキングパウダーは加熱されることで化学反応を起こし炭酸ガスが発生し舌がピリピリする。
- 最も重要なのは、ベーキングパウダーの量を正確に計ること。
- ベーキングパウダーは縦方向に膨らみ、重曹は横に膨らむ。
- ベーキングパウダー以外で膨らますには、「メレンゲ」「重曹」「イースト」がある。
ベーキングパウダーの入れすぎには注意!
「ベーキングパウダーを入れすぎるとお菓子が不味くなるので、入れすぎた分に合わせて、他の材料の量を増やして調整してみよう!」
今回は、ベーキングパウダーを入れすぎた時の対処法と、お菓子が不味くなる理由について解説してみました。
ベーキングパウダーは、ほんのちょっとの量の違いで、お菓子の美味しさや膨らみを大きく左右するので、正確な計量が何より大切です。
ベーキングパウダーの量を入れすぎれば大きく膨らんで見栄えよく仕上がるわけではなく、逆に美味しさを損なってしまうこともあるんですね。
お菓子作りは計量が大切なので、正確に計量して、ベーキングパウダーを入れすぎないように、細心の注意をしながらお菓子作りに挑戦してみましょう!