目次
洗濯機を重曹で掃除してはいけない理由
洗濯機に対しても例外ではない“掃除には重曹”という概念。なぜ、そのような固定概念を持つようになってしまったのか。
きっと、テレビ番組での「掃除には重曹が効果的!」と紹介されることが増えたからなのではないでしょうか。
悪臭や刺激もなく、安全に手軽に使用することができるという点からも、重曹を使ったお手入れが注目されているのかもしれません。
“赤ちゃんにも安心!”とか“敏感肌にも優しい!”なんで紹介されてしまうと、洗濯機を重曹で掃除してみよう!と、誰だって試してみたくなるものです。
洗濯機を重曹で掃除すると、どうなるのか?
とある家電製品のメーカーによると、
- 洗濯機の汚れを重曹で掃除する場合、重曹の洗浄力が弱いため、大量の重曹を必要とする
- 大量の重曹を洗濯機へ入れると、溶け残ってしまう可能性が高い
- 水質が硬水に寄る場合、重曹が固まりやすく、洗濯機の排水経路に詰まる可能性が高い
このようなことから、「洗濯機を重曹で掃除することは適さない」としています。
洗濯機を重曹で掃除する方法を紹介しているメーカー
とある家電製品のメーカーによると、
- 洗濯機を重曹で掃除する場合、使用量と使用方法に十分に注意すること
- 洗濯機に重曹が溶け残ってしまわないよう、水に溶かしてから使用すること
- 洗濯機に重曹が溶け残ってしまわないよう、十分にすすぎ洗いを行うこと
このような注意喚起がなされています。
重曹では洗濯機のカビを除去できない!
洗濯機の気になるカビですが、重曹では除去することができません。重曹には、カビを除去するほどの洗浄力がないからです。
では、大量の重曹を入れた場合、洗浄力が上がり、洗濯機のカビを除去することができるのか?
これも答えはNOです。
どんなに大量の重曹を入れてもカビは除去できませんし、溶け残ってしまった重曹が洗濯機の中や、排水経路に詰まってしまう可能性があります。カビを除去するどころか、洗濯機が故障する原因になりかねません。
洗濯機の中を掃除することによって、多少のカビは洗い流されるかもしれませんが、重曹を入れて掃除したからといって、洗濯機の中のカビが全てキレイさっぱり除去されるわけではない、ということを理解してください。
なぜ「洗濯機の掃除には重曹が効果的だ」と紹介されるのか
洗濯機を重曹で掃除してはいけない理由について解説しましたが、「じゃあ、なぜ、洗濯機の掃除には重曹が効果的だ、とテレビ番組で紹介されるのか」と疑問に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
重曹の中和作用
重曹の作用として注目されるのが、中和作用です。掃除に重曹が効果的であると言われるようになったのは、この作用を持つことが理由でもあります。
悪臭の原因である酸性のニオイは、重曹が持つ弱アルカリ性の性質によって中和され、無臭である中性のニオイへと近づけることによって、悪臭が軽減されるというものです。これが、洗濯機の掃除には重曹が効果的だ、と紹介される理由のひとつです。
重曹の静菌作用
そして、重曹には静菌作用があります。洗濯機の掃除に重曹を使用することによって、洗濯機の中に存在する菌の繁殖や、活動を抑制してくれるという作用です。これもまた、洗濯機の掃除には重曹が効果的だ、と紹介される理由です。
紹介された効果の内容について
- 皮脂汚れは酸性で重曹は弱アルカリ性だから洗濯機の中の皮脂汚れを中和してくれる。
- 洗濯機の中の汚れのほとんどは酸性だから、重曹で中和して分解して除去できる。
- 塩素系や酵素系の洗濯機クリーナーよりは洗浄効果は弱いが、弱アルカリ性で肌に良い。
- カビのニオイや嫌なニオイを軽減することができる。
とあるテレビ番組では、このように紹介されていました。一見、洗濯機の掃除に重曹が効果的である、と考えてしまうかもしれません。
しかし、洗濯機を重曹で掃除してはいけない理由を解説したように、洗浄効果の弱い重曹では大量に使用しなければならず、溶け残る可能性や、排水経路に詰まる可能性、洗濯機が故障してしまう原因となる可能性が高いため、おすすめすることはできないのです。
洗濯機の正しい掃除方法
洗濯機を掃除するときは「取扱説明書」をご確認ください。各メーカーごとに、正しい掃除方法が記載されています。
取扱説明書を紛失、または処分してしまった場合には、メーカーに問い合わせるか、公式ホームページで確認することができます。お使いの機種を選び、製品についての紹介欄から取扱説明書を読むことができます。
メーカーの公式ホームページで確認することができなかった場合には、これからご紹介する洗濯機の正しい掃除方法を参考にしてください。
洗濯機(洗濯槽)の掃除に使用することができるもの
- 塩素系の洗濯槽クリーナー
- 酸素系の洗濯槽クリーナー
洗濯機の中の汚れや、カビを確実に取り除くことができ、洗濯機に適した洗浄効果と、除菌効果を持つのが洗濯槽クリーナーです。塩素系と酸素系がありますので、お使いの洗濯機に合うもの、お好みのもの、汚れやカビの状態によって選択してください。
塩素系の洗濯槽クリーナーで洗濯機を掃除する方法
塩素系の洗濯槽クリーナーの特徴は、主成分が「次亜塩素酸ナトリウム」というアルカリ性の成分であるというところです。カビに対する殺菌力がかなり強いです。
しかし、ニオイが強く、洗濯槽へのニオイ残りが気になることがあります。ただし、掃除の後、洗濯物にニオイが移ることはありません。
また、肌についてしまうと刺激が強いので、洗濯機へ入れる際にこぼれてしまわないよう、使用する際は十分に注意してください。お使いの洗濯機に「洗濯槽洗浄コース」がある場合には、その機能を使って運転すると良いです。
洗濯槽洗浄コースがない場合には、標準コースなどを選び、洗い→すすぎ→脱水の順番で運転すると良いです。商品によって、使い方に違いがありますので、使用方法と、使用上の注意をよく読んでからお使いください。
酸素系の洗濯槽クリーナーで洗濯機を掃除する方法
酸素系の洗濯槽クリーナーの特徴は、主成分が「過炭酸ナトリウム」という発泡力に優れた成分であるというところです。カビや雑菌、水垢などの汚れを泡の力によって洗浄・除菌します。ツンとした刺激臭もありません。
もし肌に付いてしまっても、刺激が弱く優しいので、すぐに水でキレイに洗い流せば問題ありません。また、環境にも配慮されています。ただし、塩素系と比べると掃除にかかる時間が長めです。
とある商品の使用方法では、「洗いで5分ほど運転した後、2時間ほど放置してください。」と記載されています。また、塩素系と比べると、洗浄力は弱めです。
商品によって使い方に違いがありますので、使用方法と使用上の注意をよく読んでからお使いください。
最後に
洗濯機の掃除に重曹が適していないことがおわかりいただけたでしょうか。
洗濯機の製造と販売を行っているメーカー各社からも注意喚起がなされています。洗濯機の掃除には、洗濯槽クリーナーを使用して、正しいお掃除で洗濯機を清潔に保ちましょう。