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浴槽のサビは「もらいサビ」
もらいサビとは
サビとは、鉄の表面で酸素と水が反応し酸化することで発生します。そうしてサビができた金属製品から、錆だけが他の物に移ってできる汚れのことを、「もらいサビ」と言います。
お風呂の浴槽や床はFRPというプラスチックやホーローなどの材質で作られているので、それ自体がサビるわけではありません。
ですが、ヘアピンやカミソリの刃など金属製のものを浴槽に置きっぱなしにしたり、水道水の中の鉄分や、鉄製の水道管がサビることにより、そのサビが浴槽に付着することがあります。
多くはうっかり置いてしまったことが原因で移ってしまった「もらいサビ」ですが、ホーローのユニットバスだけに限らず、ステンレスの浴槽や台所のシンクでも発生します。
サビの種類
サビには色で見分けることができる3つの種類があります。
- 「銅」は、青色(いわゆる緑青)
- 「錫」や「アルミニウム」は、白色
- 「鉄」は、赤茶色や黒色 (家庭で見られるサビ汚れの大半は鉄の赤錆によるもの)
浴槽が茶色くなってしまう現象は、「サビ跡」や「もらいサビ」といった呼ばれ方をしますが、その多くはうっかり置いてしまった方のサビが移ってしまった汚れで、サビをもらってしまった側が原因でないのが、「もらいサビ」といわれる理由でしょう。
もらいサビの原因
- ヘアピンやカミソリの刃などの鉄製品から出たさびが浴槽に付着したもの。
- 水道水に含まれる微量の鉄分が浴槽に堆積したもの。
- 鉄製の水道管のさびが浴槽に付着したもの。
- 工事中に出た鉄管の切粉などが浴槽に付着したもの。
《 ポイント 》
- 金属製のものを浴槽に置きっぱなしにするともらいサビが発生する。
- 水道水の鉄分、道管のさび、鉄管の切粉などが浴槽に付着してもらいサビになる。
浴槽のサビが「軽度」の場合
浴槽のもらいサビの対策として、最も重要なのは、発見したらなるべく早く対処することです。
できたばかりのもらいサビであれば、まだ表面に留まっているだけなので、指先でこするだけでも落とせるのですが、付着の仕方によってそれに相応しい落とし方があります。
歯磨き粉を使う
浴槽の表面だけの軽いサビ程度であれば、歯磨き粉を使って落とすことができます。
適量を布に付けて、浴槽の表面をキズ付けないように、優しくこすってみましょう。歯磨き粉であれば、浴槽だけでなく、洗面台や洗面ボウルの素材でも大丈夫なので、安心して使うことができます。
ですが、しばらく放置してしまった浴槽サビの場合は、サビが浴槽に染み込んでしまっていますので、歯磨き粉では落としきれなくなっています。
重曹を使う
粒が粗くて水に溶けにくい重曹は、浴槽のもらいサビに直接振りかけてから磨きます。自然由来の研磨剤なので、浴槽に合成洗剤を使いたくない方は、重曹なら安心して浴槽に使うことができますね。
浴槽のサビにふりかけてその上からスポンジや雑巾でこすりますが、コツとしてはクレンザーを使う時と同じように、小さく円を描くようにクルクルとこすります。
こすり終えたら、水をかけて洗い流し、その後乾拭きをして完了です。
クリームクレンザーを使う
浴槽についたサビが、プラスチックの表面に付着しているだけの軽いサビ程度であれば、落とすのはそれほど大変ではありません。クリームクレンザーのような研磨力のある洗剤を、柔らかな布やスポンジにつけて削り落としてみましょう。
浴槽に重曹を使う場合と同様に、雑巾にクリームクレンザーを適量とり、サビがあるところを小さく円を描くように、クルクルとやさしくこすってください。
こすり終えたら、水をかけてクレンザーを落とし、最後に乾拭きすれば完了です。力を入れて強くこすりすぎると、浴槽に微小なキズが付くことがありますので注意してくださいね。
《 ポイント 》
- 浴槽の表面だけの軽いサビ程度なら歯磨き粉を使って落とす。
- 浴槽に合成洗剤を使いたくない方は重曹なら安心して使うことができる。
- 浴槽に研磨力のあるクリームクレンザーを使って落とす。
浴槽のサビが「重度」の場合
粉末還元型漂白剤を使う
ハイドロハイターハイドロハイターハイドロハイターハイドロハイター
重度の頑固な浴槽サビには、粉末還元型漂白剤が効果的です。
浴槽についたもらいサビは長い時間放置されると、固く頑固なサビへと変化してしまいます。こうなってしまうと、歯磨き粉や重曹、クリームクレンザーではなかなか落としきれません。
ましてや、落ちにくいからと言って強い力でこすり続けてしまうと浴槽自体に傷つける恐れもあります。これらの方法でも落とすことが出来ない場合には、鉄分による汚れを落とすことに適したサビ汚れ専用洗剤の「ハイドロハイター」を使ってみましょう。
ハイドロハイターは、服についた赤土の汚れやサビを落とすために用いられる還元系漂白剤です。一般的には洗濯機に入れて使う粉末状の漂白剤ですが、浴槽についた頑固なサビを落とすのにも効果を発揮します。
ハイドロハイターは、重曹やクリームクレンザーのようにこすり落とすというよりは、溶かしてから落とすイメージなので、力を入れてゴシゴシこする必要はありません。
40~70度くらいの少量のお湯で溶き、ペースト状にした漂白剤をサビの上に塗ります。10分~20分程放置してから、水に浸して固く絞ったスポンジで擦ると、 あっと言う間に綺麗にサビを落とすことが出来ます。
スポンジの代わりに古いストッキングを使うと、浴槽に傷が付きにくいのでぜひ試してみてください。
酢とクレンザーを使う
浴槽のサビができた部分に、少量の食用酢を塗り、20分程度置いた後でクレンザーを少量振りかけ、使い古した歯ブラシや食器洗い用スポンジの硬い方の面でこすります。その後、水で洗い流します。
ちなみに、クレンザーには粉末状のものとクリームタイプの2種類がありますが、粉末状の方がクリームクレンザーよりも研磨剤の割合が高く、クリームクレンザーの研磨剤割合が50%程度なのに対して、粉末状のクレンザーは90%と、大きな違いがあります。
その分浴槽の表面に傷がつきやすいので、粉末状のものよりクリームクレンザーを活用した方が無難なようです。
「らくらくさび落とし」を使う
力を入れてこすらなくても、きれいに浴槽のサビが落ちると評判の「TOTOらくらく錆落とし」を使う方法があります。
浴槽の水気をふき取った後、乾いた柔らかい布に「TOTOらくらく錆落とし」をサビ部分に塗りつけます。みるみる紫に変色してきますので、そのまま20分間放置してから、乾いた柔らかい布でさっとひと拭きするだけです。
後は水でよく流して終了ですが、こする手間をかけることなく、浴槽をきれいにすることができる優れものです。
カビキラーを使う
こちらの方法は、ハイドロハイターやTOTOらくらく錆落としの商品に比べると効果は弱いものの、お金をできる限りかけたくない場合に試してみてください。
浴槽のサビの部分にカビキラーを直接スプレーし、その上にコットンやテッシュペーパーを敷いてパック状態にします。10分から20分ほど放置した後に、敷いていた物を取り除き、スポンジで擦ります。
《 ポイント 》
- ハイドロハイターは溶かしてから落とすので、浴槽をゴシゴシこする必要がない。
- クリームクレンザーの研磨剤割合が50%程度なのに対して、粉末クレンザーは90%
- 浴槽のサビを酢とクレンザーを使って落とす。
- らくらくさび落としは手間をかけずに浴槽をきれいにできる。
- カビキラーはハイドロハイターやTOTOらくらく錆落としに比べると効果は弱い。
浴槽のサビ対策で使用してはいけない掃除道具
- サンドペーパー
- メラミンスポンジ
- 漂白剤
- 研磨剤の割合が高い粉末のクレンザー
- 研磨力の強い磨き粉
- 酸性の洗剤
- アルカリ性の洗剤(カビキラーを除く)
- ラッカー、シンナーなどの溶剤
- アルコール、塩酸、アンモニア、苛性ソーダなどの薬品
- オレンジオイル配合の洗剤(樹脂部分でなければ使用できます)
これらを使用すると、浴槽の表面を傷めてしまい、サビの汚れが細かな凹凸の奥にまで入り込んで落ちにくくなるので注意が必要です。
《 ポイント 》
- 浴槽の表面を傷めてしまうとサビが細かな凹凸の奥にまで入り込んでしまう。
浴槽のサビ対策の注意点
事前に試してみる
浴槽が変色など異変が起きないように、洗剤や薬剤は一度目立たない場所で試してから行うようにしましょう。
洗剤を長時間放置しない
浴槽に重曹やクレンザー、ハイドロハイターなどを使ったときに30分以上放置しないようにして、洗剤をしっかり洗い流すようにしてください。洗剤がついたままの状態で長時間放置すると、浴槽が変色するなどのトラブルを引き起こす可能性があります。
こすりすぎない
浴槽の頑固なサビを落としたいからと力を入れてこすりすぎると浴槽に傷をつけてしまいます。力で落とそうとせず、洗剤を上手に活用するようにしましょう。
換気をしながら行う
浴室内で洗剤を使うときには、アンモニア臭などの洗剤の強い臭いで気分が悪くなったりしないように、必ず換気を行ってください。
洗剤の匂いやアンモニア臭が苦手な方は、換気をするのはもちろんですが、その上にマスクをするなどの対策が必要でしょう。
水気があるとサビ汚れは落ちにくいので、水気を飛ばすという意味でも、換気をしておく方がより効果的です。
ゴム手袋を着用する
手荒れを防ぐために、手につかないようにゴム手袋をしてご自身の肌を守りましょう。
《 ポイント 》
- 洗剤や薬剤は浴槽の目立たない場所で試してみる。
- 浴槽に洗剤がついたままの状態で長時間放置しない。
- 力を入れてこすりすぎると浴槽に傷がつく。
- 気分が悪くならないように、必ず換気をする。
- 手荒れ防止のためゴム手袋を着用する。
もらいサビの予防方法
本来はサビができない材質でつくってある浴槽でも、金属製品を置きっぱなしにしたり、濡れた状態で放置していると、もらいサビを発生させ掃除の手間がかかってしまいます。それを予防するためには、日頃からもらいサビができないように心がけることが大切です。
その為には、ヘアピンやカミソリなどを濡れたまま浴槽に放置しないこと、そしてお風呂上がりは水気を拭き取って、換気をする習慣をつけることです。
日常的に心がけることによって、浴槽にもらいサビが発生しにくくなりますので、実践してみてください。
《 ポイント 》
- 日頃から浴槽にもらいサビができないように心がける。
- ヘアピンやカミソリなどを濡れたまま浴槽に放置しない。
- お風呂上がりは浴槽の水気を拭き取って、換気をする習慣をつける。
最後に
いかがでしたでしょうか?このサビの汚れは衛生的に問題あるわけではないのですが、何より見た目の不快感が先に立ってしまいますよね?
浴槽ではできるだけ金属製の物を置きっぱなしにしないことを心がけ、もしサビが移ってしまった場合は、先にお伝えしたコツと道具さえあれば簡単に落とすことができます。
浴槽のサビ汚れを落とすには、「こすって落とす」方法と「化学の力で分解する」二つの方法がありますが、それでも浴槽のサビがどうしても落ちない場合には、より強い薬剤を使ってきれいにしてくれる専門業者に依頼する最終手段もありますので、汚れの度合いに合った方法で対処してみてくださいね。