目次
パセリを栽培する前に
まずは、パセリの種類や栽培暦についておさえておきましょう。
パセリの種類
葉がカールして縮れているパセリは、「カーリーパセリ」または「縮葉種」という名称です。香りと苦みが強いのが特徴です。付け合わせとしてよく見かけるのもカーリーパセリです。
一方、三つ葉のような平らな葉をしているのが「イタリアンパセリ」です。カーリーパセリよりも香りと味がマイルドなので食べやすく、パスタのトッピングなどに使うととても美味しいです。
根部分を食用とする、「根パセリ(ルートパセリ)」という名の珍しいパセリもあります。
《 ポイント 》
- 葉が縮れたパセリの名称は「カーリーパセリ」または「縮葉種」という
- 葉が平らな「イタリアンパセリ」は香り&味がマイルドで苦みが少ない
- 根を食べられる「根パセリ(ルートパセリ)」もある
栽培カレンダー
家庭菜園でパセリを育てる場合、春まき時期は4~5月、秋まき時期は9~10月です。収穫時期は3~5月、7~12月と、真冬以外のほぼ一年中楽しむことができます。
パセリの栽培暦
1 月 |
2 月 |
3 月 |
4 月 |
5 月 |
6 月 |
7 月 |
8 月 |
9 月 |
10 月 |
11 月 |
12 月 |
|
種まき | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||||
収穫 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
パセリは2年草なので、1年目はそのまま放っておいても冬越しし、時期が来たら若葉が出てきて収穫できます。種まきをした翌々年に花が咲き、種ができた後はそのまま枯れてしまいます。
《 ポイント 》
- パセリの春まき時期は4~5月、秋まき時期は9~10月
- 収穫時期は3~5月、7~12月
- パセリは2年草なので、2年目に花が咲いて枯れる
パセリの栽培方法
パセリは小さなスペースでも簡単に栽培できるハーブです。市販のパセリ栽培キットがあれば、さらに気軽にパセリを育てることができます。
では、パセリの基本的な栽培方法について見ていきましょう。
種まきをするか苗を購入
パセリを栽培するには、種から育てる方法と苗から育てる方法の2通りあります。
種から育てる方法
種をまくときには、無肥料の種まき用培養土を使用してください。
用意するもの
- パセリの種
- 育苗ポット
- 種まき用培養土
手順
- 種まき用培養土を、育苗ポットの8分目くらいまで入れる
- 種を3~4粒まく
- 薄くパラパラと土をかける
※土をかけすぎると、光が届かなくなり発芽しにくくなる - 種が流れないように、霧吹きで水をかける
- 発芽まで約2週間、土が乾かないように霧吹きでこまめに水やりをする
- 本葉が5~6枚になったら、一番元気な株を1つ残して間引く
庭に直接種をまく場合も、発芽までは土が乾かないように管理してください。発芽後は株同士が混み合わないように、20cmほど間隔をあけて間引きをおこないます。
苗から育てる方法
パセリの苗は、春先~秋口に店頭に並びます。葉色のいい元気な苗を選んでください。苗のまん中部分から、ハリのあるみずみずしい葉がたくさん出ている苗がベスト。葉色が黄色っぽいものは避けましょう。
パセリを苗から栽培するのは、とても簡単ですよ。
《 ポイント 》
- 元気なパセリの苗は、葉色がはっきりとした緑色&中心から葉がたくさん伸びている
プランターへ植え付け
あらかじめ、自分で育てた苗か市販のパセリの苗を用意しておきます。使用するプランターの深さは、20~30cmあるといいでしょう。
用意するもの
- パセリの苗(2~3株)
- 60cmプランター
- 野菜用orハーブ用培養土
- 鉢底ネット
- 鉢底石
手順
- プランターの底に、鉢底ネットと鉢底石を入れる
- 1に野菜用orハーブ用培養土を8分目くらいまで入れる
- 真ん中部分に、ポットと同じくらいの深さの植え穴を掘る ※株間は15cm程度
- 根を崩さないように、ポットから苗を抜く
- 苗を土に植える
- 土と苗のすき間が埋まるように土をかぶせて、株元をギュッと押す
- 土と苗に、たっぷりの水を注ぐ
パセリは移植を嫌うので、植え付けの際には根を傷つけないように注意してください。プランターに種を直播して栽培することもできます。
《 ポイント 》
- パセリは、長さ60cm、深さ20~30cmのプランターに植える
- 苗を植え付けるときには、根を崩さないようにする
地植え
パセリを畑に地植えにする場合は、苗の植え付けの2週間以上前に、苦土石灰や草木灰をすき込んで土を中和させておきましょう。畑1平方メートルあたり、2~3kgが目安です。
パセリを地植えにする方法
- 植え付けの約2週間前に、土に堆肥または腐葉土を土にすき込む(1平方メートルあたり、2~3kg)
- 幅50cm、高さ10cm程度の畝を作り、約2週間畑を寝かせる
- 畝の真ん中部分に、ポットと同じくらいの深さの植え穴を掘る ※株間は20~30cm程度
- 根を崩さないように、ポットから苗を抜く
- 苗を土に植える
- 土と苗のすき間が埋まるように土をかぶせて、株元をギュッと押す
- 苗と畝に、まんべんなくたっぷりの水を注ぐ
畑に種を直播して育てることもできますが、市販のパセリの苗を植え付けたほうがすぐに収穫できます。
《 ポイント 》
- 植え付けの2週間前までに畑の土作りをしておく
パセリの栽培方法のポイント
パセリの栽培は簡単ですが、ポイントをおさえておくことで、より元気な株を長持ちさせることができます。
パセリを栽培するときのコツを5つ紹介します。
置き場所
パセリは日当たりを好みます。しかし夏の強い日差しには弱いので、半日陰になるような場所がベストです。
水やり
夏は土が乾きやすいので、乾燥に気を付けるようにしましょう。乾燥しすぎるとパセリの葉が黄色くなり、風味も落ちてしまいます。
土がつねに湿っていても生育に悪影響を及ぼします。とくに、冬場は土が乾いたことを確認してから水やりするようにしてください。
肥料
元肥として、苗の植え付け時に緩効性肥料をすき込みましょう。プランター栽培なら、肥料を与える必要はありません。
地植えの場合、生育期に株が弱っているようなら、液体か固形肥料で月に2回程度追肥してください。
間引き、花茎を摘む
パセリを種から育てたら、一番元気な株以外は間引き、適度に株間をあけると大きく育ちます。
枯れた下葉や黄色くなった葉は、こまめに除去して風通しをよくしてください。ただし葉が少なくなると株が弱ってしまうので、注意しましょう。
また、株を長持ちさせるには、花芽を早めに摘んで実がつかないようにするといいですよ。種を採りたい場合は、種ができるまで放っておいて大丈夫です。
収穫方法
パセリは、本葉が15枚ほどになったら外側から順に収穫します。また、かならず葉の部分だけでなく根元から切りましょう。
すべて収穫せずに、最低8枚葉を残しておくと、通年収穫し続けることができます。
《 ポイント 》
- 置き場所は日差しが強すぎない場所がおすすめ
- 土が乾燥し過ぎないように注意する。水のやりすぎもNG!
- プランター栽培のパセリなら、元肥を与えれば追肥の必要はない。
- パセリの株同士の間隔をしっかりあけたほうが大きく育つ。
- 収穫するときは、かならず外側の葉から!
パセリを水耕栽培で育てる
パセリは水耕栽培にも適したハーブです。室内の明るい場所で育ててください。インテリアとしても楽しめますよ。
用意するもの
- パセリの苗
- スポンジ
- 容器(プラスチック容器またはグラス)
手順
- 容器の口の形に合わせて、カッターでスポンジを切る ※容器の口のサイズより少し大きめに切る
- スポンジの外側から中心に、カッターで1本切り込みを入れる
- パセリの根を傷つけないように土をふるい落とし、水でやさしく洗う
- 容器に水を入れる
- スポンジの切り込みに、パセリの葉の付け根部分がスポンジから上に出るようにしてはさむ
- 根を3分の1までカットする
- スポンジではさんだパセリの苗を、容器にはめる
- 水が濁ったら、こまめに水替えをする
- 2週間に1回程度、通常の2倍に薄めた液体肥料を与える
暖かい季節は2~3日に一度、冬場は1週間に一度は水を取り替えましょう。プラスチックのドリンク容器を再利用して、パセリの水耕栽培に使うのもおすすめです。
《 ポイント 》
- パセリは水耕栽培にも向いている
- パセリを水耕栽培する場合は、こまめに水を取り替える
パセリ栽培に関するQ&A
パセリの栽培に関する質問にお答えします。
A.パセリをよく洗って汚れを落とし、水を入れたボウルにパセリの根元を浸し、吸水させます。その後軽く水気を取り、新聞紙またはキッチンペーパーでフワッと包んでください。
さらにポリ袋かフリーザーパックに入れ、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。新鮮なまま、約1週間もちます。
A.冷凍保存できます。よく洗って吸水させたパセリの水気を取り、使いやすい大きさにカットしておきます。
カットしたパセリをフリーザーパックに入れ、空気を抜きながらしっかりチャックをしめて冷凍庫に入れてください。パセリを冷凍すれば、約1ヶ月もちます。
A.そのまま束にして逆さに吊るしておけば、2週間ほどでパリパリになります。しかし、湿度が高いとカビが生えることがあるので、電子レンジでドライにすると安心です。
よく洗ったパセリの水気を取り、耐熱皿にキッチンペーパーを敷いてパセリをのせ、500ワットで約2分加熱します。パリパリになったらほぐし、乾燥剤と一緒に密閉できる瓶などに入れて保存しましょう。
長ければ1年ほどもちます。パセリを冷凍や乾燥させて保存すれば、かなり長持ちさせることができます。
《 ポイント 》
- パセリは冷蔵・冷凍保存&ドライにして保存できる
パセリ栽培で気を付ける病害虫
パセリの葉や若芽は、キアゲハの幼虫の大好物です。幼虫を見つけ次第駆除するようにしましょう。また、若いパセリの茎が根元から倒れていたら、付近の土を掘るとネキリムシがいるはずです。
ネキリムシは、夜に地上にあらわれて若葉を食害します。土を掘ってネキリムシを見つけたら、すぐに捕殺しましょう。
パセリ農家ではなく家庭菜園でパセリを育てる程度なら、農薬などを使う必要はありません。
《 ポイント 》
- キアゲハの幼虫はパセリの葉や若芽を食害する
- ネキリムシは夜中に地上に出てきて根元から茎を倒してしまう
最後に
パセリは比較的栽培が容易なので、キッチンハーブとして庭の片隅やプランターに植えておくと非常に重宝します。
市販のイタリアンパセリは、少量でも値段は高め。自分で栽培すれば、いつでも新鮮なパセリを長期間食べられます。ぜひ、自宅でパセリを栽培してみてくださいね。
パセリの栽培記録を日記代わりに残しておくのも、なかなか楽しいですよ!