目次
じゃがいもを育てる前に
さっそくじゃがいもの育て方に移る前にいくつか知っておく知識や準備するものがあったりするので、そちらを先にお伝えします。
植え付けの時期は「春」がおすすめ
じゃがいもの植え付け時期は以下の2つがあります。
- 春:3月〜4月中旬
- 秋:8月下旬〜9月
2種類ありますが初心者が育てやすい季節は「春」。
夏は暑さで種イモが腐りやすく、冬の寒さが例年より早く来てしまうと大きく育てることが難しいです。また、種イモの販売期間や植え付けの期間も短いので余裕がありません。
初めて育てる場合は、春に植え付けをしてみましょう。
種イモの選び方
種イモとは、農林水産省の検査に合格して品質が保証されているものを言います。この検査がなぜおこなわれているのかというとウイルス病を防ぐためです。
ウイルスに罹ったじゃがいもを育てると、そのウイルスが残ってしまいます。じゃがいもの収穫量が少なくなってしまう原因になるのでしっかりとした種イモを選ぶようにしましょう。
選ぶときのポイントとしては、小さめの種イモを選ぶことです。小さめのものを選ぶと、切る手間が省けるので楽になりますよ。1kgでおよそ20個入っているものを選んでみてください。
準備しておくもの
準備しておくものは育てる環境ごとで違ってくるので、1つずつ紹介します。合わせて準備することもお伝えするので、一緒に準備してみてください。
プランターで育てる
- プランター
- 野菜用培養土
プランターで育てるときは深さが30cm以上のものを選ぶようにしましょう。それ以上小さいとうまく育てることができません。横幅は1株につき40cmくらいのものを選ぶと余裕を持って育てられます。
用土の袋で育てる
- 用土の袋
- キリ
キリを使って袋の底に水が流れる穴を作ってあげると、用土の袋のままでも育てることができます。
畑で育てる
- 完熟堆肥:2~3kg
- 成分8-8-8程度の化成肥料または、有機配合肥料100g
畑の準備をする場合は1平方メートルあたりに上記の分量撒いておきましょう。他の野菜では石灰を撒いてpHを調整しますが、じゃがいもの場合は必要ありません。
《 ポイント 》
- 植え付けのシーズンは2回。初心者には「春」がおすすめ!
- 種イモは農林水産省から品質が認められているものを選ぼう
- 準備しておくものは「育て方」によって違う
じゃがいもの育て方
準備ができたところで、ここからは育て方を紹介していきます。植え付け以外にも手順がいくつかあるので気をつけましょう。
種イモの芽出し
じゃがいもを植え付ける前に種イモの準備をしておく必要があります。それが芽出しです。芽出しをすると生育がよくなりますので忘れないようにしましょう。
芽出しに適した環境は程よい日差しがあり、気温は10〜20℃です。植え付けの2〜3週間前にやりはじめましょう。
種イモの切り方
種イモは40〜60グラムがオススメです。40グラムくらいのものはそのまま植え付ける事ができますがそれ以上になるときは切って植えるようにしましょう。
手順を説明していきます。
- 芽の数を数えて大体半分になるように切る
- 風通しのいい場所に置いて切り口を乾かす
- そのまま植える
切るときは縦方向に切るようにしましょう。また、乾かすときは切り口がコルク状になるまで乾かしてください。切った直後に植えたい場合は切り口に草木灰をまぶすと植えたイモが腐らずに済みます。
植え付け
植え付けの方法です。少し手順が多いですが、コツを掴むとうまくできるようになります。
- 畑に畝を作る
- 幅60〜70cm、深さ15cmの溝を作る
- 切り口を下にして種イモを置いていく
- 種イモの間に堆肥をコップ1杯分位撒く
- 土を6〜7cmかぶせていく
- 土をかぶせ終わったら完了。
切り口は必ず下にして植えるようにしてください。腐敗を防ぐことができます。30cm間隔で植えていきましょう。
最後に、土が乾いている場合は水を与えるようにしてください。プランターや用土袋で育てる場合は畝や溝は作らなくて大丈夫です。15cmくらいの深さの場所に植えるようにしましょう。
芽かきと土寄せ
芽かきと土寄せも大切な作業です。忘れずにしっかりとしましょう。
芽かき
芽かきは複数の芽が出てきたときに、選別する作業のことを言います。10cmほど成長したら芽かきをしてあげましょう。
- 残す芽を選ぶ
- 残す芽の根元を抜けないように押さえる
- 取り除く芽の根元を持って引き抜く
- すべて引き抜いたら空いた穴に土をかぶせておく
残す芽は太くイキイキとしているものを選びましょう。また、抜くときは優しく抜いてあげましょう。勢いよく抜くと種イモまで取れてしまう可能性があります。この時雑草も軽く抜いておくと良いです。
土寄せ
土寄せのタイミングは2回あります。
- 1回目:芽かきするとき
- 2回目:蕾がついたとき
それ以外にも追肥や土が崩れてしまったときには積極的にしましょう。
手順は1mほど離れた土を持ってきてかぶせるだけです。土寄せと一緒に軽く中耕もすると生育に良いです。
花は早めに取り除く
ジャガイモの花は早めに取り除くようにしてください。咲かせたままにしておくと花に養分が送られてしまいます。養分を取られないようにするためにも早く取り除くようにしてください。
《 ポイント 》
- 芽出しをすると生育がよくなる。程よい日差しがあり、気温は10〜20℃がベストな環境
- 種イモは縦方向に切り、コルク状になるまで乾かす
- 種イモは切り口は下にして植える
- 芽かきは10cm伸びたときに行い、土寄せは2回する
- プランターや用土袋で育てる場合は畝や溝は作らなくて良い
じゃがいもを育てるときに注意する病害虫
じゃがいもを育てるときに気をつける害虫はテントウムシダマシです。葉の内部を食べてしまうので、花や果実が傷ついてしまいます。見つけたときには防虫剤を撒いて対処してください。
かかりやすい病気は「疫病」と「そうか病」です。
疫病は梅雨の時期など湿気が多いとかかりやすいです。葉っぱや茎が褐色の病斑に覆われてしまいます。風通しを良くして、雨で土がはねないように工夫しましょう。かかりたてならば薬での治療も可能です。
「そうか病」とはじゃがいもの表面にかさぶたのようなものができるもので、対策としては土のpHを酸性にしておくことです。アルカリ性だとかかりやすいので注意しましょう。
《 ポイント 》
- 気をつける害虫はテントウムシダマシ。病気は「疫病」と「そうか病」
- 薬剤を撒いたり土を酸性にして対処する
育てたじゃがいもの収穫と貯蔵
じゃがいもが育ったらいよいよ収穫です。貯蔵しておく方法も合わせて紹介するので試してみてください。
梅雨前に収穫
収穫は5〜6月の梅雨前にしましょう。じゃがいもは天候が悪いと雨で濡れてしまい、腐りやすくなってしまいます。必ず天気のいい日にしましょう。
収穫するタイミングとしては、地上部の茎葉が黄色くなってきて枯れたときです。日数でいうと植え付けてから100日程度と言われています。
長期保存させる貯蔵方法
貯蔵する場合は以下のステップで保存してみてください。
- 風通しのいい場所に陰干しする
- 表面が乾燥したら冷暗所で保存する
じゃがいもを保存するときは洗わないようにしてください。乾かすときはできるだけ重ならないようにすると早く乾きます。冷暗所が家に無い場合は冷蔵庫の野菜室で保存してください。
《 ポイント 》
- 収穫は上部の茎葉が黄色くなってきたときが合図。梅雨前に始める
- 貯蔵するときは、水で洗わずに乾燥させてから保存する
じゃがいもの育て方でよくあるQ&A
ここからはじゃがいもの育て方についての質問にお答えします。皆さんの疑問にも答えられているかもしれないのでぜひ覗いてみてください。
A.これは生理障害であり、黒色心芯腐と呼ばれます。じゃがいもの内部が酸素不足になることによって起こります。
A.形が変形していても食べることができます。
A.予防策としては水はけの良い畝を作ってあげて、肥料のあげすぎに注意しましょう。
育てるじゃがいもの種類と特徴
ここからは育てるのにおすすめのじゃがいもの種類と特徴を紹介していきます。
ダンシャク
日本でじゃがいもが普及するきっかけにもなった芋。スーパーでよく見かける方も多いと思います。ダンシャクの特徴は、早生種のため適応能力に優れていること。また、長期間の保存も利くので家庭で育てるのにとても向いています。
メークィーン
こちらも人気の品種です。ねっとりとした食感で煮崩れしにくいのが魅力。
規格外のいもが出やすいので、栽培経験者に向いているじゃがいもです。低温貯蔵で甘くなるので、甘いじゃがいもが好きな方は、こちらを選んでみてはいかがでしょうか?
ニシユタカ
暖かい地域で収穫されている品種です。茎が太く丈夫で病気にも強いことが魅力です。じゃがいも自体も見た目がよく、たくさん取れるので大量にじゃがいもが欲しいという方はこちらの品種がおすすめです。
《 ポイント 》
- 適応能力が高く育てやすいのがダンシャク
- 規格外のいもが出やすいが、甘くて美味しいのがメークィーン
- 見た目がよくたくさん取れるのがニシユタカ
最後に
今回はじゃがいもの育て方について紹介しました。
じゃがいもは手間が多少かかる野菜ですが、手間をかけた分だけ美味しいものを食べることができます。面倒と思わずに1つ1つ丁寧にやっていきましょう。
じゃがいもは病気などにかかりやすいので注意してください。また、収穫は梅雨前には必ず終わらせるようにしましょう。
湿気で腐ってしまう可能性があります。貯蔵は必ず乾燥させてから保存してください。そのまま貯蔵してしまうと傷む原因になります。
育てる種類のおすすめも紹介しているので、種イモを選ぶときに覚えておくようにしましょう。きちんと育てて美味しいじゃがいもを家族で食べられるようになりましょう。