目次
料理の名脇役・かぼすの知識をおさらいしよう
料理にはネギや生姜などの薬味、大根おろし、レモンなどが添えられていることがあります。これらの食材はメインとなる料理を引き立ててくれる役割を持っています。
そのため、メインの食材となるわけではありません。しかし、これらの引き立て役となってくれる食材はメインの料理の美味しさをさらに引き出してくれるので、なくてはならない存在となることも多いです。
そのような名脇役の食材の1つとして、かぼすが挙げられます。何気なく添えられているかぼすですが、どのような食材で旬の時期はいつかなど、基本知識をおさらいしてみましょう。
かぼすの旬
かぼすの旬の時期は8月から10月です。
この時期に出回るかぼすは果汁を多く含み、上品な風味が楽しめます。旬が過ぎた11月頃から出回っているかぼすは旬の時期に収穫したかぼすを冷蔵保存されていたものです。
かぼすが旬を迎える時期については、大分から毎年「大分かぼす旬入り宣言日」がPRとして発表されています。この宣言を旬の時期の判断要素とするのもよいでしょう。
なお、春頃から出回っているのはハウス栽培されたものです。
かぼすの特徴
かぼすは香酸柑橘類と言われる種類で、実を食べる柑橘類とは違って果汁や皮をすりおろすなどして香りや酸味を楽しむ食材です。
果実は緑色のうちに収穫され、熟すにつれて黄色に変色していきます。果汁をふんだんに含み、絞ったときの香りが爽やかな柑橘類の香りが特徴です。
かぼすの効用
かぼすは酸味があります。酸味がある食材が持つイメージどおり、クエン酸とビタミンCを多く含んでいます。
クエン酸は胃液の分泌を整えてくれます。そのため、風邪などで胃が弱っているときや、食欲不振の状態になっているときなどに効果的です。また、ビタミンCも含んでいるため、風邪予防にも効果的です。
他にも、クエン酸には筋肉に蓄積された乳酸を分解する効果もあるため、筋肉の疲れなどが原因の肩こりなどにも効果があると言われています。
日本でいつ頃から栽培されている?
効用たっぷりの美味しいかぼすですが、日本で親しまれるようになったのはいつ頃からでしょうか。
日本でかぼすの歴史は江戸時代から始まり、最初は風邪の予防薬、整腸剤、アカギレの薬などに使われていました。栽培が盛んになったのも江戸時代で、大分の医師が京都からかぼすの苗木を持ち帰り、植え付けたことがきっかけと言われています。
太平洋に面した大分の気候はかぼすの栽培に適していたことで、各地に広まって行きました。
かぼすの特産地は?
かぼすの栽培が盛んになったきっかけは大分にありましたが、現在でも大分ではかぼすの栽培が非常に盛んな地域です。
かぼすの国内生産量の9割ほどが大分となっています。大分産のかぼすは上品な香りで、白身魚などの淡白な料理でも風味を損なわずに香りづけすることができます。
かぼすは未熟な状態で収穫されるので緑色をしていますが、みかんやレモンなどと同様に旬の時期を超えて熟すると黄色くなります。しかし、熟しすぎてしまうと風味や酸味が弱くなってしまいます。
すだちとの違いは?
かぼすは未熟な状態で収穫されるため、緑色をしています。また、すだちも未熟な状態で収穫されるためので緑色をしていて、育っていないみかんのような見た目をしています。そのため、かぼすとすだちはよく間違われます。
すだちとかぼすのわかりやすい違いは大きさです。すだちは3cmから4cmほどの大きさしかなく小ぶりなことに対して、かぼすは5cmから6㎝ほどあるのでテニスボールくらいの大きさがあります。
≪ポイント≫
- かぼすの旬は「8月~10月」
- かぼすは香りや酸味を楽しむ「薬味」
- 「食欲増進」「疲労回復」の効果がある
- 「江戸時代」からある食材
- かぼすの主な産地は「大分県」
- すだちと比べると、かぼすは「5~6㎝」とサイズが大きめ
上手なかぼす選びのポイント5選
かぼすは料理のメインとなる食材ではありませんが、その上品な香りが好まれ、旬の時期になるとかぼすは必ず食べるという人もいます。
旬の時期のかぼすは果汁が多く香りも豊かですが、その中でも美味しくかぼすに共通する特徴があります。
かぼすの選び方のポイントはいくつかあるので、この機会に把握しておきましょう。
濃い緑色のものを選ぶ
先に述べた通り、かぼすは熟すと酸味や風味が落ちてしまいます。そのため、かぼすは未熟な状態で収穫されます。逆に、かぼすは緑色が濃い方が酸味や風味が強いです。
どうしてもかぼすの酸味が強すぎると食べられないという人は、少し黄色い物を選ぶと良いでしょう。熟して黄色くなったかぼすは風味が落ちてしまいますが、酸味は和らいでまろやかになっている物もあります。
表面が乾燥しているものは避ける
かぼすを選ぶ際には、表面の状態もしっかりと確認しましょう。表面が乾燥していたり、しわしわになっていたりするものは、鮮度があまり良くありません。
特にかぼすは、果汁などの水分が風味や酸味に大きな影響を与える食材です。表面の張りを確認するようにしておきましょう。手に取って適度な弾力と皮の張りがあるものが、鮮度の良いものとなります。
ただし、かぼすは保存性を高めるために収穫してから表面の水分を少し飛ばすこともあるので、表面が少し乾燥している場合は弾力も確認しましょう。
手にとって重さがあるもの
かぼすは同じくらいの大きさの物であっても、手に取ってみるとその重さが異なる場合があります。手に取って重みを感じるかぼすは内側に多くの果汁を含んでいます。
逆に、手に取って軽いと感じるものは乾燥していて、内側の水分も抜けてしまっている可能性があります。そのため、弾力を確かめるときには、そのかぼすの重さも確認するようにしましょう。
また、多くの果汁を含んでいるかぼすはふっくらとしていて、丸みがあります。
旬のかぼすを選ぶ
かぼす選びのもっとも簡単なポイントは、旬のかぼすを選ぶことです。
かぼすの旬の時期は8月から10月です。これまで挙げてきたような選び方のポイントも満たしているものが多いので、ハズレを引く可能性も低くなります。
現在では栽培技術も向上しているため、一年を通じて風味の良いかぼすが手に入るようになりましたが、できるだけ旬のかぼすを選びたいですよね。
緑色と黄色の味の違いは?
緑色のかぼすは強い酸味が含まれています。一方、黄色のかぼすはまろやかな風味を味わえます。
両者の違いは熟成度の違いによるものです。熟すにつれて黄色に近づいていきます。かぼすは酸味が強いよりも、まろやかな方が好きという場合以外は、緑色の濃い物を選ぶことをおすすめします。
かぼすの上手な保存方法
かぼすは保存方法を間違ってしまうと、せっかくの風味や酸味が飛んでしまうことがあります。そのため、上手に保存してその風味や酸味を守ってあげる必要があります。
かぼすは柑橘系のため、みかんのように涼しければ常温保存でも大丈夫と思っている人もいます。しかし、かぼすは10℃以上になると品質が低下していきます。そのため、かぼすは冷蔵庫で保存する必要があります。
また、冷蔵庫の中でも野菜室での保存が理想的です。冷蔵庫でかぼすを保存する際には、密閉できるタイプの袋やタッパーなどに空気を抜いて入れておきましょう。果汁だけであれば、小分けにして冷凍保存するのもよいでしょう。
- 10℃以下を保つ。冷蔵庫に入れるのがおすすめ。
- 空気を逃がさないように密閉出来る容器や袋に入れる
旬を知って美味しいかぼすを楽しもう!
料理のメイン食材にはなりませんが、料理にとってなくてはならない名脇役となる食材があります。その食材にはいろいろな種類がありますが、かぼすもその名脇役となってくれる食材の1つです。
かぼすの風味や酸味は料理の風味を崩さずに、良い香りづけをしてくれます。特に旬の時期には果汁が多くなり、風味や酸味が強くなります。
そのため、かぼすの旬や特徴、保存方法などを把握して、かぼすをさらに楽しめるようになりましょう。