目次
入院中のお見舞いのタイミング
「早くお見舞いに言った方が失礼がないに決まっている!」
相手を案じてすぐに行動することはありがたいことかもしれませんが、ケガや病気で弱っている人には、重荷になりかねません。
相手の状態やタイミングを見計らってからお見舞いすることが「真の思いやり」と言えます。
入院直後や手術前後は避ける
お見舞いに行く相手が、職場の上司や同僚、または友人である場合、「入院した直後」に赴くのは避けましょう。
入院直後は、本人にとっても、家族にとっても慌ただしい時期。突然の事に、不安やストレスも多く感じているはずです。
そんな折に見舞いに来てもらうのは、嬉しい反面気を配るだけでストレスが溜まるので、本人が落ちつかない状況で顔を出すのは好ましくありません。
また、「手術直後」は特にお見舞いに訪れてはいけないタイミングです。
手術の後は身体的にも精神的にも弱っている状態です。まともにコミュニケーションを取るのも難しいでしょう。体が思うように動かせないのに、身内でない相手(ましてや目上の人物)が訪れると、余計に気を使わせてしまいます。
《 ポイント 》
- 患者さんの容態や気持ちが落ち着いてからお見舞いに行こう!
家族の方に確認する
では、具体的に身内以外は入院した後、また手術の場合は術後どれぐらい経ってからお見舞いに出向くべきなのでしょうか?
一番良いのは入院している本人ではなく、入院している人の家族に「いつ頃お見舞いに訪ねるのが好ましいでしょうか?」と事前に確認を取ることです。
万が一、本人に確認してしまうと、内心は辛くても断るのは失礼だからと考え、「いつでも来てください」と気を使わせてしまいます。
ご家族の連絡先を知らない場合は、入院後4~5日過ぎてからお見舞いに行けば問題ないでしょう。また、手術の場合も同じく必ず事前に確認を取ってください。
《 ポイント 》
- お見舞いに行く前に患者さんのご家族や病院に訪れても良いか確認は重要
面会時間を必ず守る
社会人として、面会時間を守るのは当然のマナーです。
病院側では、患者さんが安静にできる「午後の安静時間」が面会時間として設けられていますが、その面会時間を守らず早く訪れたり、ダラダラと居続けるのは好ましくありません。
お見舞いをする際は時間を守り、周りの患者さんや日中お世話をしてくれる看護師さんにも配慮をしましょう。
《 ポイント 》
- 面会は患者さんの負担にならないよう時間を気にする
入院中のお見舞いのマナー
お見舞いに行く際のマナーをおさらいしましょう。
マナーを守って訪れることは、患者さん自身やご家族の体裁を守ることにも繋がります。
短時間の面会にする
入院中は普段よりも落ち着いた状態でいる方が心身ともに休まります。
見舞客は、退屈な入院生活の良い刺激になりますが、長時間の面会は逆に疲れてしまいます。「他人と接する」というのは実はエネルギーのいることです。
患者さんが疲れないように、面会は15~20分くらいでの短時間で終えると良いでしょう。寝たきりの患者さんなら、それよりももっと早く終えてください。
また、安静にしている周囲の患者さんに気遣って、携帯はマナーモードにしておきましょう。
《 ポイント 》
- 患者さんを疲れさせない面会時間は15分から20分
- 患者さんの状態によってはすぐに立ち去る判断もするべき
お子さん連れや大人数でのお見舞いは避ける
お見舞いは、「回復を祈る気持ちがあれば誰だって来ても良い」というわけではありません。訪れることで、患者さんに迷惑や心配をかけさせる場合があります。
お見舞いに適していない3つの状況を見ていきましょう。
1. 子ども連れでお見舞いへ行く
病院内は、ウィルスなどの感染症を患う患者さんも入院している場所です。なので、免疫力の弱い小学生以下の子どもはウィルス感染の恐れがあるため同行させてはいけません。
お子さんに病気が二次感染してしまわないように、大人はマスクの着用も鉄則です。
2. 大人数で訪れる
大人数で病室へ来られると、仰々しく、見舞われる相手も気持ちが落ち着きません。他の患者様にも迷惑です。多くても3~4人までに留めてお見舞いに伺いましょう。
3. 異性の見舞いに一人で訪れる
入院中は普段と同じように身だしなみを整えられる環境ではないので、身内や恋人でもない異性の見舞いへ行く際に、一人は禁物です。
ただでさえ衰弱している状態なのに、望まない相手が訪れるのでは気持ちが休まらないでしょう。
同情の言葉はNG
入院中の人は精神的にも弱っているので、言葉選びは慎重に行ってください。
入院患者に対して「辛いね」などの同情の言葉を贈ったり、「仕事の事は任せて、ゆっくり休んで」など、逆に回復を焦らせる仕事の話をしてはいけません。
一見優しさのある行動ですが、療養中の人にとっては歯がゆい気持ちになるでしょう。
周囲ができるフォローは、同情の言葉よりも「退院したら美味しいもの食べに行かない?」「元気になったら海に行こうよ!」など、回復が楽しみになるような発言が何よりも励ましの言葉になります。
《 ポイント 》
- 「辛いね」「ゆっくり休んでね」などの言葉は逆に不安や心配をあおる
- 「元気になったら~しよう!」と希望のある言葉をかけよう
スポーティーな服装や強い香水は控える
お見舞いに行く際は身なりもその場に適したものを着用しましょう。落ち着いた色の、普段着で行くなら問題ありません。
遊びに行くわけではないので、スポーティーな格好や、露出度の高い服装、キラキラのアクセサリーや香水をまとった華やかな装いも好ましくありません。患者さんのご家族の面目もあるので注意しましょう。
正装をする必要はありませんが、仕事帰りならスーツでもOK!しかし、派手な色のスーツなら控えてください。
《 ポイント 》
- お見舞いの身だしなみは落ち着いた色の洋服
- スーツでも大丈夫、しかし色が派手なら控えよう
睡眠中は起こさないで帰る
お見舞いに伺ったタイミングで、患者さんが睡眠中であったり、安静にしないといけない場合は、無理に起こさず速やかに立ち去るのがスマートな対応です。
その際、お見舞いの品物はその場にいる家族に渡すか、ナースステーションにいる看護師さんに預けると良いでしょう。
入院中のお見舞いの品
お見舞いに持って行く品物。実は相手との関係によって相場を変えなければなりません。また、用意する品物は患者さん目線で考えましょう。
相場
贈る相手との関係によって、選ぶ品物の相場を変えましょう。付き合いの薄い相手にあまり高額の物を贈るとかえって気を使わせてしまいます。
一般的な例ですが、関係別で渡す品物の相場は以下です。
- 両親:1万円から3万円
- 祖父母・兄弟・姉妹:5,000円から1万円
- 職場の上司・部下・同僚:3,000円から5,000円
- 友人:3,000円から5,000円
お花
お見舞いの品の代表といえば「お花」ですよね。月並みかもしれませんが、やはり喜ばれます。
しかし、最近では花粉によるアレルギーや細菌の発生が危惧され、花に限らず食品や果物まで、あらゆる「なま物」が禁止されている病院も多いです。病院側に確認をとってから購入すると良いでしょう。
また、花は花言葉も含めて様々な意味を含んでいるので、選ぶ際は注意してください。例えば、鉢植えのお花は、花が根付く=寝付くと「ずっと寝たきり」の様に連想させます。
特に避ける花は「百合」です。百合は香りが強く花粉も多いため、そばに飾ると患者さんにとって苦痛になるでしょう。
それでもお花を持ち込みたい場合は、花粉がでない・手入れがいらない・退院後家に持ち帰れる、とメリットの多い「プリザーブドフラワー」がおすすめです。
《 ポイント 》
- 花言葉の意味を事前に調べる、鉢植えは花に限らず不吉な意味合いになる
- プリザーブドフラワーならもらう側も困らない
喜ばれるもの
患者さんにとって嬉しいお見舞いの品物といえば、花を除けば「入院生活に必要な物」です。
タオルやブランケット、ティッシュなど、生活必需品はいくらあっても困らず重宝します。女性ならスキンケアグッズなども良いでしょう。
また、退屈しのぎの雑誌や漫画など、患者さんの好みに合わせたものをチョイスすると非常に喜ばれます。
避けたほうがよいもの
入院中に避けたほうがいい品物は、基本的に「なまもの」です。
入院中は食事制限が設けられ、それに見合った病院食が提供されます。なので、好物だからといって、揚げ物や食べきれないほどの大量の果物の持ち込みは好ましくありません。
場合によっては食べれないまま、腐ってしまい処分に困ることになります。
入院中のお見舞い金
お見舞い金を渡す際は、袋の選び方と書き方にそれぞれマナーがあります。これらのミスは「知らなかった」じゃ済まされないので注意しましょう。
袋の選び方
お見舞い金を包む水引きの種類と袋の色の組み合わせは、必ず「紅白の結びきり」を選んでください。
まず袋の色ですが、紅白はお祝い・お見舞い・挨拶など、様々な場面で使用できる色です。白黒は法事やお葬式などの場面で飲み使用する物なのでお見舞いには適しません。
そして水引きですが、水引きとは袋を包む紐の事です。(最近ではイラストにもなっています)水引きは「蝶結び」と「結びきり」の2種類があり、蝶結びは何度起きてもめでたい事を意味するので、お見舞いに持っていくと「何度でも入院しますように」と失礼な意味合いになるので注意してください。
対して、結び切りは「一度きりであって欲しい」という意味が込められており、「これ以上入院することがありませんように」と良い意味合いになるので、こちらを選びましょう。
封筒の書き方
お見舞い金を包んだ封筒に表書きと名前を書く際は、筆ペンもしくは毛筆を使いましょう。
まず表書きですが、水引きの真上に3文字で「お見舞」または「御見舞」と書きます。この際、決して「お見舞い」の様に「い」を付けて4文字にならないようにしてください。
4という数字は「死」を連想させるので、文字数であっても4文字にならないようにしなければなりません。
そして、名前は水引きの真下にフルネームで書きましょう。夫婦で名前を書く際は、夫がフルネームで書き、夫の名前の左横に妻の名前だけ書けばOKです。
《 ポイント 》
- 表書きは3文字で「御見舞」
- 名前はフルネームで書こう
入院中のお見舞いの渡しかた
失礼のないお見舞いの品を用意したら、タイミングを見計らい、気の利いた言葉と一緒に贈りましょう。
タイミング
お見舞いを渡すタイミングですが、病室は長時間滞在できるものではありません。時間がないので、対面したら最初に手渡ししましょう。
万が一、相手が寝たきりや睡眠中なら、相手の家族や看護師に預けてください。
《 ポイント 》
- 品物は最初に手渡す
- 相手の状態によっては、手渡しせずに預ける
気付かう言葉も忘れずに
渡す時は相手の体を思いやる心を言葉にし、お見舞い金と一緒に渡しましょう。
- お見舞いの品の代わりでございます。
- 休養なさってください。
などの、気遣いの言葉も必要です。
特に、「お見舞いの品の代わりでございます」は必須。本来なら、お見舞いに訪れたらお金ではなく品物を渡すのが常識です。お金を渡すということは「後は自分で必要なものを買いに行って」と身内が行う対応です。
しかし、最近ではそういった部分も変わりつつあり、お金を渡すことも珍しくありません。念のため、失礼と捉えられないように一言を添えましょう。
最後に
もしも明日、身の回りの人が入院することになったら、私たちは慌てず、失礼のないように準備をしましょう。
すぐに駆け付けたいと思う人もいるかもしれませんが、初期の対応は家族がやるべきことです。身内でない者の来訪は、相手にとっては嬉しいかもしれませんが「気を使わせてしまう」ということを認識しておくべきです。
また、品物やお金などの贈り物は、相手が不快に思わないように、快気を願った意味合いの物を用意してください。入院中の対応は非常にデリケートなので、不吉な意味を連想させる物や言葉に注意を払いましょう。
マナーを心がけることこそが、「本当に思いやりのある行動」だと思います。