目次
バジルを育てる前に
ハーブは育てる方法は様々で、「種」からだったり、「苗」からだったり、また肥料選びにも工夫が必要です。収穫までの道のりを覚えておくことで、栽培の成功率はグッと上がるはずです。
また、バジルは本来同じ株が何年も生きる「多年草」ですが、室内で育てる場合は冬を越すのが難しいので、一年で栽培収穫し冬の前に枯れてしまう「一年草」と認識しておくと良いでしょう。
栽培から収穫までの流れ
バジルを栽培し、収穫するまでの工程をおさらいしていきましょう。
バジル一個体との付き合いは「約半年」です。春に植え、芽吹いて成長したら摘み取り、切り株からまた成長し摘み取る、これを冬前まで繰り返します。
栽培と収穫のローテーションは以下をご覧ください。
- 4月~6月に栽培を始める
- 水やりと肥料をしっかり与えて育てる
- バジルの背丈が20㎝程育ったら芽の先を摘み取る
- 発育気温が整う10月頃まで収穫ができる
- 冬になると枯れてしまう
- 次の春にまた新しく育てる
以上の様に、4月に植えて、10月頃までの6か月間、栽培と収穫が楽しめます。ちなみに、バジルは種から育てた場合、約30日間で収穫に適した大きさまで成長します。その大きさが約20~30㎝です。
成長したら芽の先を摘み取ってお料理に使いましょう。根から摘み取るのではなく、あくまで「芽の先」です。芽の先を摘み取ることで、切り口から新たな葉が成長します。
また、注意してほしいのが「摘み取らずに放置」すること。適切な大きさである30㎝以上になっても摘み取らず、成長を続けると、バジルはピンク色の可愛い花を咲かせます。見ていて癒されますが、花を咲かす程成長するとバジルの茎は「硬く」なってしまいます。花芽が見えてきたら早めに切り落としてください。
種か苗か決める
ハーブにしても、野菜にしても、植物を育てる場合は「種」から始めるか、「苗」から始めるかの2つのパターンから選べます。
バジルの場合は、初心者でも育てやすいハーブなので、どちらにせよ難易度はあまり変わりありません。楽しみ方や用途などが自分に合っているかどうかで選ぶとよいでしょう。
種まきと苗から育てるメリットとデメリットをおさらいしていきます。
種まきのメリットとデメリット
メリット
- 価格が安い
- 好きな時期に栽培と収穫ができる
- 達成感が味わえる
デメリット
- 全てが実るとは限らない
- 使用期限がある
- 小まめな乾燥対策が必須
種から育てるのに向いている人は「収穫を気長に待てる人」「成長の達成感が味わいたい人」です。種は100円から購入でき、たっぷり入っているので非常に安価です。自力で育てることができれば達成感も味わえるでしょう。
また、「4月から6月の種まきが良い」と伝えましたが、地域によって気温が違うので、お伝えした時期よりも早く、または遅く植えることができます。バジルを育てるを時期を自分でずらして栽培できるので、北海道や沖縄など、極端に温度差のある地域には扱いやすいですね。
しかし、一から育てるので収穫までの道のりが長い上に、全ての種が発芽するとは限りません。中には虫に食べられて成長できずに終えてしまうこともあります。
また、バジルは乾燥に弱いので、一から育てる場合は乾燥を避けるために置き場所を選んだり水やりを小まめにやったり、また肥料を絶えず与え続けることが必要です。忍耐力が求められます。
苗から育てるメリットとデメリット
メリット
- すぐに収穫できる
- 比較的楽に育てられる
- ポット苗なら植え替えが簡単
デメリット
- 価格が高い
- 育てる時期を選べない
- 購入前に見極めしなければならない
最大の利点と言えば「収穫までの早さ」でしょう。ある程度育った状態なので、購入して数日、あるいはその日に摘むことができます。一から育てる必要もないので「育てるのが苦手な人」や「早く家に飾りたい、料理に使いたい人」におすすめです。
ポット苗なら、鉢からスポッと抜いて用意したプランターに植えるだけで、自宅に家庭菜園所がすぐでき上がります。しかし、その分お値段は高め。種は100円で購入できますが、苗のハーブは500円以上はするでしょう。おまけに、育てられるのはその個体だけ、当然冬は越せず、購入してから冬前までしか自宅におけません。
また、苗は購入前に「長持ちするかどうか」の確認が必要です。プロが育てたからと言っても、欠損が多かったり栄養不足のまま店頭に並んでいる個体はあります。
土・肥料はハーブ用がおすすめ
苗で育てるか、種で育てるかが決まったら次は「土選び」です。しかし、園芸用の土は種類が多すぎて何を選べばいいのか迷いますよね。
バジルの様なハーブ類に適した土は、アルカリ性・有機物が多く含まれている・保水性の高い土、がベストです。それらがひとまとめになった「ハーブ用の土」を購入しましょう。
しかし、ハーブ用の土だけでは栄養が多すぎるため、根腐れを起こしやすいという欠点があります。水が多すぎて根腐れを起こすこともあるので、通気性がよくて水をうまく排水できる「赤玉土」を全体の2割ほど入れるのがおすすめです。
また、「うちには庭の土があるから大丈夫!」という方は要注意。日本の土壌は基本的には「酸性」であり、ハーブの栽培に向いていません。
《 ポイント 》
- バジルを育てる前に種まきの時期を確認しよう
- 種と苗、育てやすい方から始めよう
バジルを苗から育てる場合
それでは、バジルを苗から育てる場合に必要な物や、工程を詳しく見ていきましょう。
準備する物
- ジョウロ
- プランター
- ハーブ用培養土
- 鉢底石
ジョウロはシャワー状に水がでるものがおすすめです。
水流が弱いので、かけすぎて土をえぐったり、必要以上に水が溜まることを防げます。また、鉢底石を入れれば排水性が高くなるのでより水腐れを防げます。
培養土はハーブ用の有機物が多いものを選びましょう。
プランターの大きさの目安
植える株の数によって「鉢」に植えるか、「プランター」に植えるかを変えましょう。
バジルは縦にも横にも大きく育つので、大き目の鉢でも1株が限界です。しかし、プランターなら幅が長いので数株植えることができます。
目安でいうと、6号鉢(直径18㎝くらい)から7号鉢(直径21cmくらい)に1株、60cm幅のプランターに2~3株植えられます。
苗の選び方
苗を選ぶときは、必ず状態の良いものを選びましょう。以下のバジルが、状態の良い健康的な個体の見分け方です。
- 葉は明るい緑色
- 黄色く変色していない
- 茎が細くてひょろひょろしている
- カビや虫がついている
実際に手に取り、葉の裏を見てみたり、茎をつまんでゆさゆさと横にゆすってみましょう。栄養のいきわたっていないバジルは、根元に張りがありません。
健康的でないバジルは、購入しても成長が遅く、収穫量が少なくなります。また、育ち切る前にダメになるパターンもあるでしょう。
苗植えの手順
- 鉢底石を敷く
鉢やプランターの下に、鉢底石をまんべんなく入れます。 - ハーブ用培養土を入れて穴を掘る
鉢やプランターが9割程度埋まる程、土を入れてください。バジルを植える箇所だけ、ポット苗と同じサイズの穴を掘ります。 - 穴に水を注ぎバジルを植える
掘った穴に水を注ぎ、バジルを植えます。バジルをポット苗から取る際は、根元を押さえながら逆さにして苗を土ごと穴に差し込んでください。苗植えはこれで完了です。 - 間引きをする
茎がひょろひょろと弱いバジルが育った場合は、双葉を出す頃に間引きしてください。間引きを2回ほど繰り返せば、強くて太い茎に成長します。
《 ポイント 》
- 苗は購入前に健康な物を選ぶ必要がある
- 環境を整えたら、間引きを忘れずに
種まきから始める場合
次に、種まきから始める場合を説明します。
準備する物
- ジョウロ
- プランター
- ハーブ用培養土
- 鉢底石
苗植えのバジルと同様に、シャワー状に水が出るジョウロ・ハーブ用の培養土・排水性の高い鉢底石を用意してください。
種まき時期
バジルは20℃以上の気温で発芽し、20℃から25℃前後の気温で成長するハーブです。なので、種まきは気温の安定する4月下旬~6月の間に始めることが好ましいでしょう。
しかし、地域によって温度差があるため、早く気温が上がる場所では4月初旬から種まきを始めても問題ありません。
種まき方法
- 育苗ポッドに種まき用土をいれる
種の場合、鉢やプランターにすぐに植えず、始めはポットで育てます。ポットに土を9割程入れてください。 - 種を入れるためのくぼみを作る
種を入れるために、小さなくぼみを作ります。2~3㎝の感覚をあけて植えましょう。 - 鉢皿に水を入れる
バジルは乾燥に弱いので、鉢皿に水を溜めて常に吸水ができる「底面吸水」がおすすめです。 - 発芽したら間引きする
2~7日くらいで発芽しますが、成長の遅い芽や茎の細い株は間引きしてください。 - 成長したら苗植えする
葉が10枚くらいに増えてきたら鉢やプランターへ移しましょう。
《 ポイント 》
- 種まきは20℃から25℃の暖かい時期に行おう
- 葉が増えてきたら苗植えをする
日々のお手入れ
バジルを育てる時のポイントを4つ見ていきましょう。
置き場所
バジルの置き場所は、日当たりと風通しの良い場所を選びましょう。日光にあてなければ成長が遅くなります。しかし、真夏の日光は強すぎて葉が硬くなってしまうので、真夏は日陰に置きましょう。
また、バジルは乾燥を防ぐために水を多く与えるために、空気を入れ替えなければ湿度が上がり蒸れてしまうので注意してください。真夏以外は、ベランダで育てても良いでしょう。
水やりのタイミング
バジルの水やりは一日一回、乾燥しやすい夏場は朝と夕方の一日二回、水を与えましょう。
しかし、バジルは乾燥に弱いので、水やりの回数に限らず、表面が乾いたらたっぷりと水を与えるようにしましょう。
肥料
バジルに必要な肥料は長い間効き目を継続させる「緩効性肥料」です。
肥料は、植えつけ後に与えます。その後は10日に一度、肥料が切れるたびにたっぷりと追肥してください。肥料が切れたサインは、葉の色に現れます。葉の発色が悪くなったら追肥しましょう。
しかし与えすぎると逆にダメージになるので、肥料の与える目安量を守ることが前提です。
害虫対策
ベランダでバジルを育てた場合、虫に食べられる場合があります。そのため、害虫を寄せ付けないために駆除する必要があります。
しかし、バジルは料理でも使用するため、できれば殺虫剤を使わずに対策したいので、防虫ネットをかぶせて虫から守ると良いでしょう。
《 ポイント 》
- 直射日光は避け、水分はたっぷり与える
- 肥料は分量を守って与える
バジルの剪定や摘み方
収穫時期を迎えたバジルを摘み取る場合は、一番上に生えている芽を摘み取ってください。
これは、「摘心」と言い、摘み取った場所から左右に芽が生まれて、以前よりたくさんの葉っぱを増やすようになる剪定方法です。
たくさん生えてくると、葉っぱと葉っぱが重なり合ってしまうのですが、そうなると風通しが悪くなり成長に悪影響がでます。葉が茂ってきたら思い切ってバッサリ切り落として次の芽の成長に繋げましょう。
《 ポイント 》
- 剪定は一番上に生えている芽を摘み取る
最後に
バジルはお料理をワンランクアップさせる香りと味を持つハーブですが、初心者でも育てやすいのでおすすめです。バジル育てるには日当たりや風当りなど乾燥を防ぐ環境を整えて、ハーブ用の土や肥料を用意します。
詳しい植え方は、種や苗別に紹介しているので参考にしてください。バジルを使いこなしてちょっとおしゃれな料理を作りましょう!