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新生姜の旬と収穫時期
新生姜は初夏になるとスーパーなどの店舗でも並び始めるので初夏から夏にかけてが旬の時期と思われてしまうと思いますが、本来の新生姜の旬の時期は11月頃の秋になります。
初夏から夏に出回る新生姜は、ハウス栽培または早く収穫されたものになります。ハウス栽培は12月から1月頃の期間に種となる根生姜を植えて栽培するのですが、露地栽培のものは4月頃に種となる根生姜を植えます。このように栽培を開始する時期が分かれています。
甘酢漬けなどで使用される新生姜は夏の時期に収穫される赤い茎がついているものです。赤い茎がついている色が白い新生姜は初夏の6月頃から8月の時期に多く出回る新生姜で夏が旬とされています。一方の秋が旬とされる新生姜は根生姜として収穫されてすぐ出荷される色白の生姜です。
ハウス栽培または早く収穫された新生姜が多く出回る初夏から夏にかけての時期が一般的に旬と思われていることもあるので、露地栽培の新生姜の旬である11月頃はスーパーなどの店舗での取り扱いの量もやや少なめとなっています。 この取り扱いの量の違いが旬が夏と思われてしまう理由です。
新生姜とは…生姜の種類と特徴
新生姜とは種となる根生姜の上の部分にできる新しい根の部分のことで、一般的に言われる生姜と比較すると、茶色の皮になる前段階の色白の物で辛味が穏やかでみずみずしさがあります。
新生姜の旬は11月頃ですが、一般的に生姜と言われる茶色の皮の生姜は新生姜をすぐに出荷せずに数ヶ月の間貯蔵してから出荷される物になります。
生姜は生育段階で種類が分かれています。
老成生姜または古根生姜
前年に種生姜として植え付けに使用した部分を貯蔵して随時出荷されるもので、繊維質で辛みが強い生姜です。一般的に生姜と言われる生姜は老成生姜または古根生姜です。
葉生姜
葉生姜の旬は6月から8月で、新生姜が育ち始めてから2cmから3cmになった葉をつけたままの状態で出荷される生姜です。葉生姜の根茎は柔らかくて、辛味も一般的な生姜ほど強くはありません。風味が良く生のまま食べることも可能です。芽の付け根の赤い色が強く出ているものが良品とされています。
矢生姜(芽生姜)
矢生姜は葉生姜よりもさらに早採りをして陽にあてずに育てます。出荷直前に陽をあてて茎に赤みをつけます。矢生姜の旬は、色が濃いのを旬とすると1月から2月です。収穫量が多い時期を旬とすると4月から6月くらいです。
主に高級料亭などで焼き魚などのあしらいのはじかみとして添えられている生姜です。はじかみは甘酢漬けで魚の臭みを消してくれるだけではなく、口の中をさっぱりさせてくれます。
生姜の主な産地
生姜の年間収穫量トップ10
順位 | 都道府県 | 収穫量 | 割合 |
1位 | 高知県 | 20,833t | 41.89% |
2位 | 熊本県 | 5,861t | 11.86% |
3位 | 千葉県 | 4,166t | 8.58% |
4位 | 宮崎県 | 2,915t | 5.83% |
5位 | 鹿児島県 | 2,886t | 5.77% |
6位 | 和歌山県 | 2,790t | 5.69% |
7位 | 静岡県 | 2,095t | 4.38% |
8位 | 茨城県 | 2,040t | 4.11% |
9位 | 長崎県 | 1,489t | 3.01% |
10位 | 愛知県 | 695t | 1.44% |
全国の生姜の収穫量:49,466t(平成29年度調べ)
生姜の主な生産地は高知県になります。高知県だけで全国の40%を生産しています。次いで熊本県、千葉県の順になりますが、高知県と比較すると出荷量には大きな差があります。
国内で生姜が消費される生姜の量の半分は国内で生産されて、残りの半分は輸入されています。そのほとんどが中国からの輸入になっています。
新生姜の栄養と効果
漢方でも使用されるなど健康食品としても知られている生姜にはカルシウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、ナイアシンなど数多くの成分が含まれています。その中でも生姜の辛味成分となるジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロンが重要になります。
新生姜は旬にかかわらず生姜と栄養面で大きな違いはありません。但し、栽培期間が長く生育期間も長い生姜の方が新生姜よりもわずかながら多めになっています。
ジンゲロール
ジンゲロールは免疫細胞を活性してくれる効果や殺菌作用や胆汁分泌の促進や抗炎症作用や吐き気・頭痛を抑える作用があります。但しジンゲロールは、とても酸化しやすい成分なので空気に触れると3分程度で消滅してしまいます。
また加熱処理をすると別の成分に変化してしまうので、ジンゲロールを摂取する場合には食べる直前にすりおろして食べる方法が効果的でおすすめです。
ジンゲロン
ジンゲロールを加熱するとジンゲロンという成分が生成されます。ジンゲロンは血行を促進する効果や血圧を安定させる効果のほか新陳代謝を向上させ脂肪の燃焼を促進してくれるので、発汗作用などの効果効能があるのでダイエットや成人病の予防の効果があるとされています。
ショウガオール
ジンゲロンの他にもジンゲロールを加熱することでショウガオールという成分が生成されます。
ショウガオールは身体を温める効果や殺菌作用があり活性酸素の除去、中枢神経系の調整作用などの効能があるとされています。ショウガオールはジンゲロールと比較しても身体を温めてくれる効果が高いので冷え性の改善に役立つとされています。
シネオール
生姜の特有の香り成分であるシネオールは、胃腸の機能を整えて食欲を増進させる作用があります。吐き気がする時には擦った生姜をお湯に溶かして飲むことで症状が落ち着かせることができます。その他にも疲労回復の効果や消炎効果もあります。
美味しい新生姜の選び方
美味しい新生姜を選ぶときに参考にする事は
- 全体的に色が白くみずみずしいもの
- 表面にハリ、ツヤがあるもの
- 茎の部分が鮮やかな赤色になっているもの
以上のことを確認して選びましょう。たとえ旬でも新生姜の端の部分が水っぽかったり乾燥してしまっているものは避けてください。
新生姜の保存の方法
新生姜は普通の生姜と比較して水分を多く含んでいるので、基本的に長期間の保存に向いていません。新生姜を旬に購入した場合にはなるべく早く食べきるようにしましょう。
冷蔵保存する場合
保存をする場合には、新聞紙やキッチンペーパーなどで包んでからビニール袋に入れるかアルミホイルで包んで冷蔵庫で保存しましょう。この方法で2週間ほど保存できますが常温での保存はできません。
冷凍保存する場合
冷凍保存をする場合には、生姜を調理をするときに使いたい形にあらかじめカットして、1回で使用する分ごとにラップで包んでから冷凍庫で保存しましょう。使用時は解凍せずにそのまま使用してください。
生姜を長期間保存する場合には甘酢漬けがおすすめです。旬の新生姜のうまみが凝縮した一品です。
新生姜を甘酢漬けで保存する場合
新生姜の甘酢漬けのレシピ
- 新生姜の加工
割り箸や包丁、ナイロンたわしなどで新生姜の皮をこそげ取り、繊維に沿ってごく薄く切ります。 - 熱湯にくぐらせる
手順1で加工した新生姜を熱湯にさっとくぐらせて、水気を良く切ってから、ざるなどに広げて冷まします。 - 甘酢の材料を入れ煮立てる
鍋に酢を1/2カップ、水を1/2カップ、砂糖大さじ4、粗塩大さじ1/2を入れて煮立てます。 - 漬ける
手順2で冷ました新生姜を煮沸消毒したホウロウ容器に入れ、手順3で作った甘酢を入れて蓋をします。
こうすることで密封状態になり、長期の冷蔵保存が可能になります。作った翌日から約1年間おいしく食べることができます。
最後に
一年を通して食べられている新生姜は甘酢漬けにされているもので、新生姜がスーパーなどの店舗に出回る時期は夏になってからです。
新生姜の旬は秋に収穫されてすぐに出荷されるものですが、甘酢漬けに使用される赤い茎がついている夏に出荷される物も旬とされています。一般的な生姜と比較すると辛味も穏やかでみずみずしさを堪能することができます。
旬を逃さずに食べることでその野菜の持つ本来の美味しさを感じることができるので旬とされる時期を参考にしてください。