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ほうれん草の旬の時期と産地
ほうれん草の旬の時期と、最も収穫量の多い地域を見ていきましょう。
ほうれん草は冬が旬
ほうれん草が最も美味しく食べられる旬の時期は「冬」です。11月から翌年1月までに収穫されたほうれん草は「砂糖をまぶしたような甘みがある」とも言われるほどです。
普通の野菜は氷点下を下回ると枯れてしまいますが、ほうれん草は氷点下でも枯れず、ゆっくりと成長して栄養分を蓄える性質があり、厳しい寒さを乗り越えたほうれん草ほど美味しくなります。
ほうれん草の主な産地は関東
ほうれん草は全国各地で栽培されている野菜です。全国の収穫量上位5県を見てみましょう。
- 千葉県:39,000t
- 埼玉県:32,000t
- 群馬県:20,000t
- 茨城県:15,300t
- 宮崎県:13,000t
ご覧の通り、宮崎県以外は全て関東地方です。ほうれん草は「厳しい寒さを乗り越えたほど栄養豊富で美味しくなる」と伝えましたが、それならなぜ北海道や東北がほうれん草の産地にならないのでしょうか?それは、ほうれん草は寒すぎると発芽しないからです。
ほうれん草の発芽に適温なのは気温15~20℃。関東ではハウス内は適温を保てます。また、北関東では外気温が氷点下を下回るので、「厳しい寒さを経験させることもできるのです。
常に、発芽に適した気温を保ち、寒じめを行える外気温まで下がる。関東地方の収穫量が多いのは、栽培の環境にとても適しているからなのでしょう。
ほうれん草の旬の時期は種類によって違う
ほうれん草の種類と、それぞれの旬の時期を見ていきましょう。
ほうれん草の種類
私たちがスーパーでよく見かける一般的なほうれん草の特徴といえば
- 大きな緑の葉っぱ
- 緑の細長い茎
上の2つですよね。旬の時期は前項でお話しした通り、11月から1月の真冬。ソテーやおひたしなど、様々な調理法で美味しく食べられます。
また、ほうれん草は他にも、寒じめによって見た目も味わいも変わる「ちぢみほうれん草」や、品種改良したことで生でも食べられる「サラダほうれん草」など、種類も様々で旬の時期も変わります。
ちぢみほうれん草
ちぢみほうれん草とは「寒じめ」と呼ばれる露地栽培を行うことで、栄養豊富で肉厚の葉っぱに育ったほうれん草のことです。葉の表面は全体的にしわしわで縮まっているので「ちぢみほうれん草」と呼ばれています。
旬の時期は、12月から2月。寒ければ寒いほど効果的な栽培方法なので、一般的なほうれん草よりも、気温の低い真冬が食べごろです。
あくが多いので、食べる際は、下茹でする必要があります。甘みと旨味が濃厚なので、お浸しや汁物に加えて召し上がるのがおすすめです。
サラダほうれん草
サラダほうれん草とは、その名の通り「サラダとして食べるため」に品種改良をしたほうれん草のことです。
見た目は普通のほうれん草よりも葉が小さく、茎が長いのが特徴。また、アクが少ないので、下茹でする必要がなく生の状態で食べられます。サラダほうれん草は1年中収穫できますが、春から初夏が最も美味しい季節と言われています。
比較的に高値なので、サラダに少しだけ混ぜたり、飾りつけに使うなど、料理のアクセントとして利用するといいでしょう。
赤軸ほうれん草
赤軸ほうれん草は、サラダほうれん草と同じく、生でも食べられるように品種改良されたほうれん草の1種です。旬の時期は、普通のほうれん草と同じく11月から1月の冬。
特徴的なのは赤紫の茎です。なんだか苦そうな見た目をしていますが、下茹でしなくても生の状態で美味しく食べられます。茎が赤紫色をしているのは、抗酸化作用を含んだ「アントシアニン」が多分に含まれているからなのです。
ただ、赤軸ほうれん草もサラダほうれん草と同じく高値なので、プレートのアクセントとして飾りつけに使うことをおすすめします。
旬のほうれん草の選び方と保存方法
食べごろのほうれん草をスーパーで見つけるための選び方と、美味しく長期間食べられるほうれん草の保存方法を見ていきましょう!
選ぶときのポイント
美味しいほうれん草の選び方のポイントは、
- 葉っぱの厚み
- 葉っぱの色
- 付け根の太さ
以上の3点にあります。
栄養の高いほうれん草は、葉っぱが厚く、色も濃いハッキリとした緑になっています。みずみずしく葉がシャキッとした物を選びましょう。
また、付け根の部分に注目してください。根っこが付いた部分がふっくらとしている物は、「甘み」がたくさん含まれている証拠です。
野菜室で保存
せっかく食べごろのほうれん草を見つけたなら、長期間美味しく食べられる保存方法を取りましょう。まず、ほうれん草を野菜室で保存する場合です。
- ほうれん草を新聞紙で包む
ほうれん草を新聞紙で包んでください。ほうれん草は常に呼吸をしており、外気に触れていると水分を失うので、新聞紙に包んで水分の放出を防ぎます。 - 袋に入れて口を閉じる
次に、新聞紙に包んだほうれん草を大き目の袋に入れて口を閉じましょう。ポイントは「軽く口を閉じる」です。強く閉めすぎると、放出した水分が行き場を失い蒸れてしまいます。 - 根を立てて保存する
その状態で根を下にし立てて保存してください。立てることで、茎がまっすぐ伸びた状態が保たれます。
この方法で、大体1週間ほどは美味しい状態を保てます。
冷凍保存は茹でてから
続いて、冷凍保存する場合です。生の状態で保存すると、解凍後にしなしなになりやすいので、茹でてから冷凍するのがおすすめです。
- ほうれん草を茹でる
ほうれん草を水で洗って土を落とします。その後、沸騰した水の入った鍋に入れて30秒ほど茹でてください。 - 冷水に浸ける
茹でたほうれん草を、冷水に浸けてください。荒熱を取った後は、ほうれん草を絞り、ペーパーで水気をしっかり切ります。 - カットする
ほうれん草をお好みの大きさにカットし、小分けにしてラップで包んでください。 - 袋に入れて冷凍保存
ジップロックなど、冷凍保存に適した袋に包み、冷凍庫に保存します。
以上の方法で、約1ヶ月は保存可能です。
旬のほうれん草の栄養価
旬のほうれん草は、どんな栄養が含まれているのか?これを見れば、きっとほうれん草の魅力に気づき、お料理に使いたくなるはずです。
カリウム
カリウムは体内の塩分を体外へ排出するよう促してくれるので、血圧を下げる効果的があります。飲みすぎ食べ過ぎの人におすすめの栄養素です。
鉄分
鉄分といえば血液を作る栄養素です。ほうれん草は牛レバーに匹敵する程、鉄分が含まれていると言われます。貧血気味の人は、お料理にほうれん草を加えてみるのはいかがでしょう?
ビタミンC
免疫力を向上させ、病気の予防に繋がるビタミンC。ほうれん草は、下茹での際に水分と一緒にビタミンCが流れ出てしまいます。しかし、下茹でのいらないサラダほうれん草や赤軸ほうれん草なら、多くのビタミンCを摂取できるのでおすすめです。
βカロテン
βカロテンは抗発がん作用や育毛・視力回復・皮膚の健康に効果がある栄養素です。厳しい寒さを乗り越えたほうれん草は、多くのβカロテンを含みます。特に「寒じめ」を行った「ちぢみほうれん草」は、βカロテンをはじめとする様々な栄養素がたっぷり含まれているので、体質改善にはもってこいです。
旬のほうれん草の茹で方
旬のほうれん草は栄養分がたっぷり含まれていますが、取りすぎると害になる「シュウ酸」も多く含まれています。しかし、正しく下茹ですれば問題ありません。
- 根元の泥を洗い流す
ほうれん草は根元も美味しい部分。なので、根についた泥を綺麗に洗い流すことが必要です。束がばらけないように、根を少しだけカットします。そして、水をためた容器に根を付け手で泥を洗い落してください。 - 葉っぱを洗う
容器の水を新しいものに入れ替えて、葉っぱを洗います。 - 鍋に水を入れて沸騰させ、塩を入れる
鍋に約2ℓの水を入れて、火にかけ沸騰させてください。沸騰したら、塩を小さじ1杯加えます。 - 茎を茹でる
沸騰した水に、ほうれん草の茎だけを浸けます。そのまま30秒維持してください。 - 全体を茹でる
30秒経ったらほうれん草全体を鍋に入れて、さらに30秒茹でます。 - 冷水を流しながら荒熱をとる
茹でたほうれん草を容器に移し、冷たい水を流しながら荒熱をとってください。流水にさらすことであく抜きができ、シュウ酸を流しやすくなります。 - 水気を切る
荒熱が取れたら容器から出して、軽く絞れば下茹で完成です!
最後に
ほうれん草は甘みや旨みがあるので、鍋料理・炒め物・汁物など様々な料理に適しています。また、栄養も多いので体質改善を行いたい人にはおすすめです。
ほうれん草は通年スーパーで購入できますが、厳しい冬を乗り越えたほうれん草は食べごろ!特に、関東地方の寒じめを行った「ちぢみほうれん草」は格別の甘みと旨み、そして栄養を含んでいます。
ですが、栄養と一緒に摂りすぎると害になる「シュウ酸」もたくさん入っているので、正しい茹で方であく抜きを行ってください。