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ピーマンの旬と収穫時期
ピーマンの旬は6月~9月頃。夏は価格が安く、大量に出回る美味しい時期となります。
ピーマンの旬と収穫の時期は、一般的な家庭菜園の場合だと、6月~10月中旬までです。秋が訪れると、気温が下がっていくため、花がつきづらくなり徐々に収穫量が減っていきます。
多少の地域差があり、先に寒さが訪れる東北地方は、10月初旬が最後の収穫の時期ですが、関東以南は10月中旬頃まで収穫が可能です。ピーマンは初夏から秋までと、結構長い期間にわたり収穫できる育てやすい野菜のひとつなのです。
ピーマンの選び方
旬にかかわらず店でピーマンを選ぶ時のポイントは、色が全体的に均一で濃く、艶があるものを選ぶようにしましょう。持ったときに重みがあり、弾力があるものは肉厚になります。軸の切り口が茶色く変色したり干からびたりしているものは、新鮮さに欠けていますので避けてください。
【ピーマン選びのポイント】
- 全体的に色が均一で濃いものを選ぶ
- 艶があるものを選ぶ
- 持ったときに重みがあるものを選ぶ
- 軸の切り口が茶色く変色は選ばない
- 軸の切り口が干からびたりしているものは選ばない
ピーマンの主な生産地
ピーマンは全国各地で栽培されています。冬でも宮崎や高知などでハウス栽培されたピーマンが出荷されるので、一年を通して安定して市場に出回っています。
こちらはピーマンの収穫量のランキングです。
順位 | 都道府県 | 収穫量(t) | 占有率(%) |
1位 | 茨城県 | 33,900 | 23.41 |
2位 | 宮崎県 | 27,000 | 18.65 |
3位 | 高知県 | 13,000 | 8.98 |
4位 | 鹿児島県 | 13,000 | 8.98 |
5位 | 岩手県 | 7,960 | 5.50 |
6位 | 大分県 | 5,770 | 3.98 |
7位 | 北海道 | 5,200 | 3.59 |
8位 | 熊本県 | 3,370 | 2.33 |
9位 | 青森県 | 3,220 | 2.22 |
10位 | 福島県 | 2,900 | 2.00 |
平成28年産 野菜生産出荷統計より
ピーマンとは?
ピーマンとはナス科トウガラシ属の果菜で、獅子唐辛子やパプリカと同じ唐辛子の仲間です。
辛味の調味料として使われるトウガラシを品種改良したものですが、カプサイシンはほとんど含まれていないので、辛味ではなく甘味が強いのが特徴です。
草丈は60~80cmほどに成長し、未熟な状態の時に収穫したものが緑色で、放っておくと熟して赤や黄色に色づき甘味が強くなるようです。
ピーマンという名前はフランス語の「piment ピマン」やスペイン語の「pimiento ピメント」という唐辛子を意味する名前からきているとか。日本へは明治の時代に伝わり、第二次大戦後に一般の家庭に浸透したといわれる馴染みのある野菜です。
ピーマンの種類と特徴
ピーマンと言えばビニール袋に入った緑色のピーマンを思い浮かべますが、色鮮やかなパプリカも同じ仲間なんです。
いったいどこまでがピーマンで、どこからがパプリカなのか?実際にはピーマンとパブリカの境界線は無いのと同じで、生産者や売り手がその時々に判断していると思っていいでしょう。
では一般的に出回っているピーマンの種類や品種をご紹介していきます。
緑ピーマン
スーパーでよく見かける緑色のピーマンの総称が「緑ピーマン」です。大きさは7cm前後で、果肉はやや薄め、多少の苦みと青臭さを感じます。
炒めものや揚げ物、肉詰めなどに利用されます。「さらら」「京波」「京ゆたか」などが代表的な品種です。
赤ピーマン
名前の通り、赤ピーマンは赤色の果肉のピーマンです。緑ピーマンが完熟したものが赤ピーマンになります。
赤ピーマンの旬は緑ピーマンの旬の2ヶ月ほど後になります。緑ピーマンと比べて甘味があり、臭みが少なめでやわらかい皮が特徴です。
パプリカ
パプリカはピーマンの仲間です。緑ピーマンや赤ピーマンよりもかなり肉厚で、丸みのある形状が特徴的です。
パプリカの旬は、緑ピーマンの旬と同じ6月~9月。赤、オレンジ、黄色と果肉の色が鮮やかであり生でも食べられるので、サラダやマリネ、炒めものに利用されます。
長円筒型ピーマン
緑ピーマンを細く引き伸ばしたような形で長さは13〜20cmほどです。肉厚で甘味があり、苦味や青をそれほど感じないことから食べやすいとされています。「とんがりピーマン」などの品種が有名です。
フルーツピーマン
別名「フルーツパプリカ」とも呼ばれるフルーツピーマン。赤、黄、オレンジなど色の種類が多く、生のまま食べられるほどに甘みがあります。「アナスタシア」「スウィーピー」「セニョリータ」などが有名です。
バナナピーマン
バナナピーマンは、淡い黄緑色をしたバナナのような形をしたピーマンです。まるで大きなトウガラシのように見えますが、甘みが強いのでサラダやマリネ、炒めものなどに使います。
黄緑色ですが、熟してくるとクリーム色、黄色、オレンジとだんだん色が変わり、完熟すると赤色になります。
ピーマンの栄養と効果
ピーマンは旬にかかわらず栄養価の高い野菜です。熟せば黄色や赤色に変化しますが、中でも太陽をいっぱい浴びて熟したオレンジや赤ピーマンの栄養価が一番高いのは当然のことです。
ビタミンC
ピーマンで注目すべき栄養素といえば、美肌にうれしいビタミンC!緑ピーマンのビタミンC量はレモンよりも多く、その量は100gあたり76mg。(レモン果汁100gあたり50mg)。さらに緑ピーマンよりも、パプリカのほうが約2倍ビタミンCを多く含んでいます。例えば、赤ピーマン1/2個で一日のビタミンCの推奨量を摂ることができます。(※1.2)
ビタミンCは、風邪の予防や疲労回復、肌荒れ対策などの効果が期待できます。ただし加熱に弱いため調理で減少しやすいのですが、ピーマンのビタミンCは加熱に強いのことが特徴!これはピーマンに含まれているビタミンPが、加熱によるビタミンCの破壊を防ぐ働きがあるからです。
β-カロテン
ビタミンC同様、β-カロテンも豊富。特に赤ピーマンは緑ピーマンの約3倍のβ-カロテンが含まれているんです。(※1)驚いてしまいますよね。
抗酸化力の強いβ—カロテンは、活性酸素の発生を抑えて体を守る働きがあり(*3)、必要量がビタミンAに変換されます。ビタミンAは、皮膚や粘膜の健康を保つことで抵抗力を高め風邪や感染症を予防したり、目の機能を正常に働かせたりする働きがあります。(*4)潤いのあるキレイなお肌作りに欠かせない栄養素です。
クエルシトリン
タキイ種苗株式会社とお茶の水女子大学との共同研究によると(*5)、ピーマンの苦味成分は、ポリフェノールの一種である「クエルシトリン」にピーマン特有の臭いが加わって感じることが判明しました。
そこでクエルシトリンが通常の10分の一以下で、苦味をほとんど感じない「子どもピーマン」という品種が2010年から販売されています。このクエルシトリンには高血圧抑制や抗うつ作用などの効果があるという報告(※5)があります。
クロロフィル
ピーマンの緑色葉緑素であるクロロフィルには、強い抗酸化作用があり、悪玉(LDL)コレステロールの酸化を防ぎ、血中コレステロールを下げる(*6)と言われています。
(*1)文部科学省 食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/ <最終閲覧日:2020/7/29>
(*2)厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf <最終閲覧日:2020/7/29>
(*3)厚生労働省 eヘルスネット 抗酸化ビタミン
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-008.html <最終閲覧日:2020/7/29>
(*4)公益財団法人 健康長寿ネット ビタミンA
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-a.html <最終閲覧日:2020/7/29>
(*5)タキイ種苗株式会社 「ピーマンの苦味成分」を解明
https://www.takii.co.jp/info/news_120319.html <最終閲覧日:2020/7/29>
(*6)農林水産相 MAFF TOPIC(2)
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/0907/mf_news_02.html <最終閲覧日:2020/7/29>
ピーマンの保存の方法
野菜室で保存
- キッチンペーパーなどで水気を拭き取る(※水気があると傷みます)
- 乾燥を防ぐために新聞紙などで軽く包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室に入れる
- ポリ袋の口は空気が通るように軽めに結んで密閉しないようにする(※蒸れて傷みやすくならないようになります)
保存する時の温度は?
【適温】5~10度
野菜室は、ピーマンの保存に適している5~10度の環境です。ご家庭の冷蔵庫に野菜室がない場合は、冷蔵庫の冷たい温度がピーマンに直接伝わらないように注意しましましょう。
ちなみに、冷気の吹き出し口や奥は低温なので、その部分を避けたところで保存するといいようです。
保存できる期間は?
【期間の目安】1週間程度
新鮮であれば1週間程度は持ちますが、少しシワシワになっても構わなければ、3週間程度まで保存が可能です。ただし、ピーマンは傷みが他のものに移りやすいので、傷んだものは早めに取り除いておきましょう。
カットしたものはラップにくるむか袋やタッパーに入れて、2日以内で食べきるようにしましょう。
干して保存
ピーマンは干して保存する方法もあります。干すことで水分が抜け、うまみが凝縮されます。
- ピーマンを半分にカットして種とワタを取り除く
- カットしたピーマンの断面を上にして天日で2日間干す
- 干し終わったピーマンを保存袋やビンなどの密閉容器に入れて冷蔵庫で保存
保存できる期間は?
【保存期間】約1ヶ月
これで1ヵ月ほど持たせることができます。使うときは、干しシイタケを戻すときの要領と同じく、水で戻してから煮物や炒め物に使うといいでしょう。
ピーマンは冷凍保存に向いていない
ピーマンは冷凍すると食感や味を損ねてしまうので冷凍保存には向いていません。
ただし、どうしてもという場合には、千切り、乱切り、みじん切りなど用途に合わせてカットしてから、ゆでたり炒めたりして、それをしっかり冷ましてから冷凍用保存袋に入れて保存します。
最後に
最近では、どこのスーパーでも旬にかかわらず一年中、さまざまなピーマンを目にするようになりました。ピーマンは栄養豊富なだけでなく、料理に加えることで食卓を華やかに彩ってくれる、まさにすぐれものの食材です。カラフルで苦みのない品種を使って、料理を楽しみながら子供の好き嫌いの改善にも役立ちます。
日本最大ダイエットアプリの管理栄養士を経て独立。プロテニス選手含め、栄養指導経験は延べ1200名以上。「働く女性が自信を持ち、実力発揮できる体を実現してほしい」という想いから「食で可能性を引き出す」ことをモットーに活動中。確実に変化が出る個人サポートやセミナー、商品開発サポートなどを行なっている。
β-カロテンは加熱すると吸収率がUP!乾燥肌やドライアイが気になるなら加熱料理で食べるのもおすすめですし、ビタミンCを強化したいなら、生でかじってもOK!なおピーマンに含まれるビタミンCなどの栄養素は、収穫から徐々に減少していきます。購入したら新鮮なものを早めにいただきましょう。