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正月飾りの正しい処分の方法
先に結論を言いますと、正月の飾り物全般(門松、鏡餅、しめ飾り、破魔矢)は、基本的に神社で「どんど焼き」をして清めるのが良いでしょう。
後述しますが、もしも神社で処分できない場合は、自宅で飾り物を清めて処分することも可能です。詳しくは以降の記事を読んでみてください。
正月飾りとは
みなさんも、小さい頃から家庭で「正月飾り」を飾る習慣があったのではないでしょうか。
たいていの人は、自分が家庭を持った今でも「正月飾り」を新しい家族と飾って新年を祝っていることでしょう。
正月飾りはいろいろと種類があり、鏡餅を飾る場合もあれば、しめ縄を円形にした「しめ飾り」、そして伝統的な「門松」などがありますよね。しかし、この「正月飾り」に込められた意味や、飾る習慣の意義についてあまりよく知らない方も意外に多かったりします。
そもそも「正月飾り」の風習は、「神道」が背景にあります。古来より日本人は、さまざまな場面で「豊作」を祈ってきた民族です。春夏秋冬、実りや恵みの雨を願って神様にお祈りしてきました。
そんな中で、農耕の新しい年を告げる「正月」は、豊作を願う日本人には取り分けて特別な行事でした。神道には「五穀豊穣」をつかさどる「年神様」という神様がいます。「正月飾り」は、この「年神様」を祀るための大切な儀礼道具なのです。
とはいえ、現代人にとってみれば、いまさら「豊作」を願うのもなんだかヘンな話のように思えます。農業従事者ならまだしも、毎日スーツを着て会社で働いている人にはあまり関係がないと言う人もいるでしょう。
しかし、そうではないのです。たとえ現代であっても、「年神様」はとても大切な存在として知られています。なぜなら「年神様」は、豊作を司るだけでなく、人々に一年の健康と幸福をもたらす神様だからです。だから「正月飾り」は、今日においてもなお、意味がある風習と言えるのです。
門松の意味
「正月飾り」の代名詞といえばやはり「門松」です。年賀はがきのイラストにもあしらわれていることが多いですから、毎年「しめ飾り」とか「鏡餅」を飾っている家庭でも「門松」は象徴的な飾り物ですよね。
ところで、「門松」にあしらわている「松竹梅」にはどんな意味があるのでしょうか?実は、これらにはめでたい言葉と“掛けられている”ため、「門松」にあしらわれているのです。「松」は神様を「祀(まつ)る」。
竹はあっというまに成長してグングン伸びていくので、寿命が「伸びる」と言葉が掛けられています。そして「梅の花」は、春を到来する象徴的な花ですから、農耕の“始まり”と一年の“始まり”が掛かっているのです。
しめ縄(しめ飾り)の意味
玄関ドアに「しめ飾り」を飾る家庭はけっこう多いと言われていますが、はたして「しめ飾り」にはどのような意味が込められているのでしょうか?
もともと「しめ縄」は、神道的にかなり深い意味があります。みなさんも神社の神木に「しめ縄」が巻かれているのを見たことがあると思いますが、これは「不浄な存在を近づけさせない」という意味があるのです。
ですから、正月の飾り物である「しめ飾り」も、同様の意味があります。一年の始まりである正月というめでたい日に「不浄な存在」を家に近づけさせないというわけですね。
鏡餅の意味
家のなかに飾られる「鏡餅」も正月らしい光景ですよね。みなさんもきっと、玄関や部屋に「鏡餅」を飾ったことがあるはずです。「鏡餅」もまた、神道とゆかりのある儀式道具です。
これはもともと、神様への「お供え物」としてこしらえられたものなのです。つまり「鏡餅」を飾ることで、簡易的ではありますが、神様(年神様)にお供え物をしていることになるわけですね。
正月飾りを外す日
それでは、「正月飾り」を取り外すタイミングは、いったいいつなのでしょうか?
あまり意識しないでいると、正月を過ぎても飾りっぱなしになっているなんてこともありますから、気をつけたいものですね。
「正月飾り」を取り外す(片付ける)タイミングは、地域によってやや違いがみられますが、だいたい1月7日頃が適切なタイミングとして知られています。
実はその昔は1月15日(いわゆる小正月と呼ばれる時期です)まで「正月飾り」を飾っていたのですが、近年では1月7日が主流となっています。
もちろん、1月15日まで飾ることが悪いわけではありません。そっちのほうがよりクラシカルで伝統的な感じがするので、好んで小正月まで飾り続ける家庭もあるようです。
自宅でお正月飾りを処分する方法
「正月飾り」は正月限定の飾り物とはいえ、由来が神道に根差した儀式道具なので、これを取り外したあとは、適切な処理をしなければなりません。くれぐれも、「もったいないから来年も使おう」とは考えないでくださいね。
「正月飾り」は一年ごとに新しいものでなければ意味がありません。なぜなら、もともと神道の神様は「不浄」を嫌うからです。以前に使われた「正月飾り」は神様には「不浄の存在」なので、絶対に使わないようにしましょう。
新しい「正月飾り」は「清浄」なので、一年ごとに用意するのが良いとされているのです。せっかく購入したのに処分するのは、なんだかもったいないような気もしますが、「正月飾り」を飾る以上は、伝統的な方法にのっとって適切な処分をしておきましょう。
では、どうやって「正月飾り」を処理すればいいのでしょうか?
庭付き戸建ての場合
みなさんもすでに知っていると思いますが、「正月飾り」を処分する方法は「どんど焼き」です。
小正月にあたる1月15日、日本全国各地の神社では、人々の奉納した「正月飾り」を焼いてくれます。1月15日の「どんど焼き」の風習は、昔と今も変わらず行われ続けていますので、みなさんもよく憶えておきましょう。
とはいえ、どうしても神社に「正月飾り」を奉納するタイミングを作れない場合もあるかもしれません。そんなときは、自宅で「どんど焼き」を行いましょう。
ただしこれは、庭付き戸建ての場合に限ります。まずは適量の庭土を用意し、それをお神酒(おみき)と塩で清めます。清め終わったら、その土の上に「正月飾り」を置き、火で焼きましょう。灰はゴミとして普通に処理して構いません。
これが、自宅で出来る「どんど焼き」です。
マンション住まいの場合
では、マンション住まいの人が神社の「どんど焼き」に行けなかった場合はどうすればいいでしょうか?
その場合は、新聞紙に「左・右・中央」の順番に塩をふって、「正月飾り」をくるみましょう。そして、他のゴミと一緒にはせず、個別でゴミ袋に包んで捨てればOKです。
うっかり処分を忘れてしまった場合
うっかり「正月飾り」の処分をし忘れてしまった場合はどうすればいいのでしょうか?
そのときは慌てずに最寄りの神社へ行きましょう。神社には「古札入れ」というものが置いてあります。そこに「正月飾り」を入れておけば、あとから神社が清めてお焚き上げをしてくれます。
ただし、「古札入れ」には紙で包んだ「正月飾り」を入れてください。けっして、ビニールに包まぬよう注意が必要です。
処分せずに使い回すのはNG
先ほども説明したように、どれだけ立派な「正月飾り」でも、それを翌年の正月に使い回すことだけは絶対に止めておきましょう。神道の神様は「清浄」を好み、「不浄」を嫌います。
「正月飾り」を使い回すということは、すでに役目を終えたはずの儀式道具を用いて神様を祀ることを意味します。それは神様にとって、とても「不浄」な行いであり、非常に礼を逸した行為にあたるので良くありません。
正月は一年に一回きりの行事。「正月飾り」を一年ごとに新しいものにすることは、一年を気持ちよくスタートさせるという意味でけっして無駄ではないはずです。
最後に
さて、みなさんいかがでしょうか。「正月飾り」に深い意味が込めれていることがおわかりいただけたかと思います。
「正月飾り」は神様を祀り、一年の病気平癒・延命長寿を祈ってもらうための大切な儀式道具です。そして、その「正月飾り」を「どんど焼き」(お焚き上げ)することで、神様にお帰りいただくわけです。
飾り付けからどんど焼きまで、この一連の過程があってこそ「正月飾り」には意味があるのです。