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ゆとり世代の特徴
「ゆとり世代」「さとり世代」この2つの世代の違いをご紹介したいと思います。
ゆとり世代とは
ゆとり世代とは1987年(昭和62年)から 2004年(平成16年)に生まれた、2002年(平成14年)から2010年(平成22年)の期間で実施されたゆとり教育を受けた世代のことを指します。
ゆとり教育の目的
- 暗記中心の詰め込み型の教育ではなく自ら考える豊かな教育を行う
- 加熱する教育によって発生してしまうイジメや不登校を減らす
- 無理の無い教育環境で生きる力を育てる
などを目的に実施されました。
その特徴は知識量の少ない世代とも言われていますが、失敗を恐れるあまりに自主性がない、自ら考えて行動することができない指示待ちの世代と言われたり、プライベートを優先するコミュニケーション能力の低い世代とも言われています。
その一方で、IT関連に強いことや無駄を省く合理的な思考で行動するといった特徴を持った世代でもあります。
30代以上の人が「これだからゆとりは…」と、20代の人を批判するときに使われることが多いですが、ゆとり世代は合理的な思考から安定志向で倹約家であり堅実な世代でもあります。ゆとり世代はストレスに弱く、ちょっと叱るとすぐに辞めてしまう!と言う30代以上の人が言いますが、職場の中だけの話です。
バブルが弾けた後に生まれたゆとり世代の人が会社に求めているのは、終身雇用が崩壊しはじめた時に成長しているので、就職先を探すときもやりたい仕事よりも安定している職場です。仕事の内容に関してはやりがいを強く求めていません。もしくは転職に向けスキルアップができる内容の仕事です。
仕事ぶりは真面目で一生懸命取り組んでやりますが、ゆとり世代の人にとってはあくまでもプライベートを充実されるための手段に過ぎません。終身雇用の崩壊や早期退職を促すニュースも多く見て育っているので、プライベートの時間や気分を害されてまでも続けるような、会社への帰属精神は持ち合わせていません。
職場よりも自分の人生を大事にする。というある意味人として正しい生き方の選択ができます。仕事よりもプライベートを重視するという人間生活において正しい選択ができることが、ゆとり教育の最大の目的である生きる力を学んだ成果と言えます。
さとり世代の特徴
さとり世代とはゆとり世代と全く違う年代の人を指した言葉ではなく、ゆとり世代を含んだ世代です。明確な年に関しては諸説ありますが、1987年(昭和62年)~1996年生まれ(平成8年)や1990年代生まれの人と言われていますが、1980年前後生まれの人と2004年以降生まれの人も含んでいます。
さとり世代はインターネットの巨大掲示板の2ちゃんねる内の『欲しがらない若者たち』(著:山岡拓)を語り合うスレッド内で誕生した言葉で、何度か新聞などで取り上げられて広く一般的に浸透しました。
これまで多くの人が欲しがっていた車やマンションやブランド品に興味を示さず、派手な暮らしをするよりも安定した生活の方が良いといった、どこか悟った考え方を持っていることからさとり世代と呼ばれる由縁です。
また、お金で手に入れることができる物以外にも、交際相手や昇進などにも興味を示さない人が多いとも言われています。しかし、自分の興味がある趣味やアイドルやゲームなど特定の分野に関しては執着してお金も時間も使います。
バブル崩壊後の「失われた20年」と言われる時期に幼少期を過ごしたので、大きな夢を追いかけるよりも、安定的な堅実な人生を送ることが重要だという考えの人が多いです。
さとり世代の人が一番嫌うことは無駄な失敗です。安定志向で不安のない確実な将来を求めています。しかしながら、実際には欲が全くないわけではありません。無駄な贅沢品や無駄な仕事や無駄な恋愛はいらない、しないといったコストパフォーマンスを重視してブランドや見栄えにこだわらずに本当に良いものや本当に必要なものを求める、成熟した社会の象徴と言えるかもしれません。
ゆとり世代とさとり世代の違いと共通点
ゆとり世代とさとり世代は同じ年代を指すため大きな違いはありませんが、さとり世代の方がより広い世代を指す場合に使用します。ゆとり世代が義務教育の影響で発生したと言われていますが、さとり世代は上の世代の独立や転職などの失敗を見て無駄なことはしないで安定志向で生きていこうと悟った世代といった違いがあります。
共通点としてはゆとり世代もさとり世代もバブルがはじけた1991年以降に生まれたので、不況や就職氷河期などのマイナスキーワードを耳にして成長しました。そのような時代背景から国や大人には頼ることはできない、自分の価値は自分で高めるしかないという危機感があるので、意外に思ってしまうかも知れませんが、成長意欲は他の年代で育った人たちよりもとても高いのです。
また幼少期からパソコンやスマートフォンが当たり前のように存在していたので、取り扱い説明書を読まずに触って操作方法を理解してきた世代なので、非常に通信・ネットワーク・セキュリティなどのITにひも付く要素を理解する能力、操作する能力に優れており、頭の回転が早く情報収集能力に長けているので、仕事をこなしていく能力も高いのです。
自分が好きなことや興味があることには夢中になりますが、興味が沸かなければ触れようともしません。ということは、自分自身の目標達成のためにはいくらでも頑張るけれど、組織の目標のために貢献しなくてはという意識は薄く、自己犠牲の精神はありません。
自己表現を得意としつつも、誰の顔も立てることができて愛想が良い印象となるのですが、コミュニケーション能力が高いということではありません。SNSなどを使った間接的なコミュニケーションの経験が多く、人と人で対面して信頼を育む直接的なコミュニケーションは苦手です。
ゆとり世代とさとり世代への接し方と指導の方法
やる気がないと感じてしまったり、根性がないなど感じて「これだからゆとりは…」と年代が上の方が指導をするときに言ってしまいがちなのですが、ゆとり世代やさとり世代の人はプライベート重視の考え方や無駄に感じることを嫌っているだけなので、むしろ真面目で確実に生きようとしている世代です。
理不尽で高圧的な態度で接することは嫌われてしまいますが、ゆとり世代とさとり世代は基本的に安定志向で将来を見据えての行動をしていますので、合理的なマニュアルを与えれば着実に仕事もこなします。
また、深く親密につながる人間関係や意見の対立による言い争いは好みませんが、表面的な気遣いは上手にできるので、職場では素直で気持ちの良い対応ができます。
反抗期がないまま成長してきた人が多く、反骨精神はあまり持っていませんので、きちんとその人の特徴を理解してプライバシーを重視してあげれば、扱いやすい世代とも言うことができます。
ゆとり世代やさとり世代の人達のやる気や能力を伸ばすためには、結果よりもその結果に至るまでのプロセスをほめることが重要になります。結果よりも前回よりも成長したことや努力したことを見つけ、言葉でそれを伝えてあげることが効果的です。上司となる人が自分をちゃんと見てくれていると感じられる言葉をかけてあげることが重要です。
ゆとり世代やさとり世代の後輩が仕事で良い結果を出したときには、先輩側から一方的に〇〇したことが良かったと褒めるのではなく、今回の件は何が良かったと思う?と問いかけて、良かった点が何なのか自分の口で話してもらうようにすると、ゆとり世代やさとり世代の後輩の承認欲求が満たされて、自己を肯定できるので士気も上がります。
ゆとり・さとり世代の人は、いくら他人から褒められても謙遜してしまうことが多いので、自分で自分を認めるステップを組み込むことがより能力を発揮するために重要です。
しかしながら褒めることが重要と言っても、仕事をしていく場面では褒めることばかりをしているわけにはいきません。最初に褒めてから指摘すべき点を上げて、良くなかった点を改善すればこのような結果につながって成長できるという伝え方をしましょう。
まず相手の努力を認めてあげるのは、肯定感を強くしてコミュニケーションを取るときの第一歩にです。その上で改善すべき点を指摘してあげてから前向きな言葉で締めることで、言われた側は受け入れやすくなり、反発することもなく素直な気持ちでやってみようという考えになれます。
ゆとり世代やさとり世代の人とコミュニケーションを取るときに重要なのは、自分自身の経験ややり方をゆとり世代やさとり世代の人と比べてはいけません。自分のことを基準として考えずに、ゆとり世代やさとり世代の後輩の良いところを見つけて伸ばして、成長させようという考えで接しましょう。
まとめ
今回はゆとり世代とさとり世代に関して紹介しました。世代間のギャップで「これだからゆとりは…」の言葉で済ませてしまっていた方には、ゆとり世代やさとり世代の人達がどのような考え方をしているかもわからなかったと思います。ゆとり世代やさとり世代の人達を理解して円滑なコミュニケーションを取ることで職場内の環境も円滑にすることができます。参考にしてみてください。