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不織布の特徴
不織布は読んで字のごとく、「織らない布」です!通常の布類は、縦に敷いた繊維と、横に敷いた繊維、それらをクロスさせ、編み込んで作っています。しかし、「織らない布」不織布は、2つ以上の縦に敷いた繊維を重ねて絡めただけです。重ねた繊維同士に、熱を押し当てたり、接着剤をつけることで固定しています。編機や織機は必要ありません。
安価で作ることができるので、日常の便利アイテムにこの不織布がよく使われているのをご存知ですか?マスクや、赤ちゃん用のおむつ、茶葉を入れるティーバッグなどは、実は不織布です。あまり聞き慣れないかと思いましたが、案外身近にあるものなんですね。使い捨てアイテムだけではありませんよ!不織布の衣類もありますし、毎日使うエコバッグもまた不織布ででてきいます。
ただ、通常の織物と違って、強度には心配があります。摩擦や高温に弱いので、不織布を使った衣類やエコバッグをお手入れする時は、少々手間がかかるでしょう。
不織布の洗濯方法
不織布を使った衣類などはどのように洗濯すればよいのでしょうか?洗濯機での洗い方、手洗いでの洗い方、2つのパターンを見ていきます。
洗濯機で不織布を洗うには
不織布は洗濯機で洗うことは可能です。しかし、不織布の繊維はデリケートなので、不織布を扱うメーカーは洗濯機に入れることをお勧めしていません。洗濯機を使った洗い方にはいくつかポイントがあります。優しく扱わないと、洗濯後の不織布は、シワが目立ち、毛羽立ってしまうでしょう。
- 不織布を洗濯ネットに入れる
- 他の衣類は一緒に洗濯機に入れない
- 脱水時間を短めにする
以上の3点を守って洗濯してください。
まず基本として、不織布を洗濯機で洗う時は、洗濯ネットに入れて、不織布のみで洗濯してください。その他の衣類とは一緒に洗濯機に入れてはいけません。不織布は洗濯機で撹拌されると、繊維にダメージを受けてしまいます。
脱水時間はかなり短め、1分ぐらいでOKです。不織布は、通常の脱水時間で脱水すると、ぐっちゃぐちゃのシワができてしまいます。水を含ませて乾燥させた方がシワになりません。
手洗いで不織布を洗うには
不織布は繊維が傷みやすいので、手洗いがおススメです。手洗いする際に以下のものが必要です。
- ぬるま湯を入れた洗面器
- 中性洗剤
- バスタオル
- ブラシ
洗い方ですが、ぬるま湯の入った洗面器に中性洗剤を少量加えます。そこに、不織布を使った洗濯物をつけて押し洗いしてください。摩擦をかけないように、やさしく押し当てましょう。また、衣類を洗う時は、裏返して内部までしっかり洗います。押し洗いだけでは落ちない汚れがあれば、衣類用のブラシが効果的です。もちろん、ゴシゴシと強くこするのではなく、汚れだけを狙って優しくブラッシングしてください。
汚れを落としたら、排水し、今度はすすぎ用の水を用意します。すすぎ用の水は、冷水でも構いませんが、温度の高い水を使うと乾きが早くなるので、ぬるま湯がおススメです。洗濯物についた洗剤をしっかり落としたら、バスタオルで拭き上げします。手でぎゅーっと絞ることは、当然NG!ぐちゃぐちゃのシワが付いてしまいますよ。
不織布の洗濯のコツと注意点
不織布はとっても繊細な布なので、洗濯時や乾燥時にはいくつも注意点があります。不織布を使った衣類などを、常にキレイに長持ちさせるにはどうすればよいのでしょうか?
不織布を洗う時は基本的に「手洗い」
不織布は繊維と繊維を編み込まず、くっつけて作られた布です。なので、弱い摩擦でも、繊維にダメージが蓄積され、変形したり毛がほつれたりしてしまいます。洗う時に洗濯機を使えば楽ではありますが、洗濯機の撹拌力によって繊維に強い摩擦が走ります。不織布を洗う時は、基本的に手洗いで優しく洗ってください。
そもそも不織布は、頻繁に洗う物ではありません。洗濯に耐えられる構造でできていないのです。不織布を使った衣類やバッグなどは、日頃から丁寧に大事に使って、なるべく汚れないように扱いましょう!
シワを伸ばしてから干す
不織布は簡単にシワができるし、おまけにアイロンを当てると溶けてしまうので、一度シワができると厄介です。そのため干す段階である程度シワを伸ばすことが重要です。不織布を使った洗濯物を両手で掴み、パンパンと振ってシワと水気を同時に切ります。そうすると乾いた後にシワがほとんど残りません。
干す前からシワを作らせない方法として、「脱水時間の調整をする」があります。先にも説明しましたが、不織布は水分を含んでいる方が、干す時にシワができにくいんです。そこで、脱水時間を短くし、不織布を使った洗濯物に普通よりも多めの水分を残しましょう。洗濯機での脱水時間は1分で良いでしょう。
洗濯バサミを使わない
不織布は、洗濯バサミを使うと挟んだ痕が残ってしまいます。しかも、挟んだ痕はピンポイントで残るので、シワよりも伸ばすのが困難です。不織布を使った洗濯物を干す時は、ハンガーや物干し竿を使いましょう。落ちないように直接引っ掛けて干してください。またはクリップ型になったハンガーラックを使うのもよいでしょう。クリップなら、無駄に圧力をかけることもないので痕が残る必要もないし、風で飛ばされる心配もありません。
アイロンがけしない
不織布を使った衣類やバッグはすぐシワが付きますよね。几帳面な人ならすぐにでも伸ばしたい!って思うでしょう。ですが、不織布を使った製品に高温のアイロンを使ってはいけません。なぜなら、不織布は熱を使い、繊維と繊維を繋げて仕上げた製品もあります。高温状態のアイロンを当てるとどうなるか?溶けてしまいます!
製品にもよりもますが、不織布が耐えられる温度は、高くても100℃程度です。アイロンの高温設定時の温度は80~150℃と言われています。不織布なんて、余裕で溶かせる温度ですね。それでもアイロンを使いたい人は、ある方法を2つご紹介します。ですが、無事で済む保証はありませんのでご注意ください。
1つ目は当て布です。不織布にアイロンを直接当てるのではなく、布を一枚挟んで、不織布に高温が伝わるのを防ぎましょう。そして2つ目、アイロンを低温設定にする方法です。細かく温度設定ができるのであれば、50~70℃の、不織布が溶けださない温度にしてからアイロンを当ててください。
不織布のメリットとデメリット
不織布を使った衣類やバッグなどには、他の布や綿製の製品とどんな違いがあるのでしょうか?メリットとデメリットをご覧ください。
不織布のメリット
- 安価で軽量
- 吸水性に優れている
- 通気性が良く、すぐに乾く
不織布が使われるメリットは3つあります。
1つ目は、不織布が安価であることです。不織布は、他の布製品のように編んで作らず、熱や接着剤で縦糸だけを繋げて作られています。不織布は横糸を必要としません。なので、安価で、しかも軽量に作ることができるのです。
2つ目に、吸水性の高さがあげられます。不織布をテーブル拭きとして活用すればキレイに汚れをふき取ってくれます。
そして3つ目は、乾きの速さです。不織布は縦糸のみで編み込みは無しなので、通気性もすごく良いです。雨の日やアクシデントで濡れてしまっても、広げておけばあっという間に乾きます。水滴の付きやすい冷凍食品などを買う際に、エコバッグを不織布入りのものにすれば、濡れるのを気にせず買い物できますね。
不織布のデメリット
- シワになりやすい
- 高温で溶ける
不織布は他の布類と違って扱いが難しい部分もあります。まず、シワになりやすい性質を持っています。洗濯時には、シワを作らないように工夫しないといけませんね。不織布製品で日常的に使う物といえば恐らくエコバッグですが、ぐしゃぐしゃにシワのついたエコバッグなんて、古びた印象になるので持ち歩きたくないですよね。
だからといって、アイロンがけも大変!不織布は熱にめっぽう弱いです。アイロンのような温度の高いものを当てると、繊維についた接着剤が溶けてしまいます。なので、シワができてしまうと、アイロンも注意して当てれば大丈夫ですが、溶けないか心配になりますよね。アイロン以外の方法は、重いものを一日中おいてシワを伸ばすしかありません。不織布は、洗濯にせよお手入れにせよ、ちょっと手間がかかります。
まとめ
以上が、不織布の洗濯方法や、コツと注意点、不織布を使うメリットとデメリットでした。
不織布は、通気性・吸水性・速乾性があり、ローコストで製造できるので、使い捨ての道具によく使用されます。私たちの生活に欠かせない物ですね。破れにくいので、衣類やエコバッグとしても優秀です。
しかし、通常の織物と違って熱や摩擦に弱いので、洗濯やアイロンがけをする際にはこの記事を参考にして注意して取り扱ってください。