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糸こんにゃく・しらたきの特徴
肉じゃがやすき焼きの具材として定番の食材『糸こんにゃく』と『しらたき』。
家庭によってどちらを入れるか、意見は分かれるでしょう。そもそも、糸こんにゃくとしらたきの違いってみなさんご存知でしょうか?
実は、糸こんにゃくとしらたきに違いはありません。
見た目は異なりますが基本的には同じものだと考えて良いでしょう。どちらも原材料がこんにゃく芋で、こんにゃくを細く長い糸状にしたものだという特徴を持っています。
さらに、低カロリーでヘルシーなので手軽に料理のボリュームアップができるため、おでん・すきやき・肉じゃがなど様々な料理に加えて使うことができるという部分も共通点です。
《 ポイント 》
- しらたきと糸こんにゃくのカロリーは、100gで6kcalしかありません。
- 食物繊維はしっかり含まれているのでダイエットの助けになる食材です。
「糸こんにゃく」と「しらたき」の違う点
糸こんにゃくとしらたきは基本的に同じものだとご説明しましたが、まずは2つの違いは何か確認してみましょう。
色
一般的に糸こんにゃくとしらたきの違いとして最初に思い浮かぶのは「色」です。
糸こんにゃくとしらたきの色の違いは一般的に白いものがしらたきで、黒くまだらになっているものが糸こんにゃくと思われていますが、実際には黒くまだらになっているしらたきや白い糸こんにゃくも販売されています。
色の違いに関して説明すると、こんにゃくの昔の製法はこんにゃく芋の生芋を使用して作られていたので芋の皮や芋の灰汁でこんにゃくに色が付いていました。
しかし現在は生芋を使用はしていません。技術が高くなり、こんにゃく製粉を使用して製造するので白いこんにゃくができあがります。
そのまま販売されると一般的なしらたきとの違いが無くなるので、黒いこんにゃくらしさを出すために海藻粉末を製造工程で混ぜて作られています。糸こんにゃくの黒い粒々の正体は海藻だったのです。
発祥の地
しらたきが生まれたのは江戸時代の関東で、糸こんにゃくが生まれたのは江戸時代の関西です。
どちらも同じ時期に誕生し食されるようになっていましたが、食べられる地域によって呼び名が違っていました。現代もその風習が残っており、関東ではしらたき、関西では糸こんにゃくという名前で知られているのです。
昔は製法が違ったため太さも違った
「しらたき」は、固まる前のこんにゃくを筒の穴から押し出してお湯で茹でて固めて作ります。筒の穴から押し出されて出てくる姿が白い滝のように見えたことからしらたきという名称で呼ばれています。
「糸こんにゃく」はかつて、固まった板状のこんにゃくを細く切って糸状にして作られていました。しかし現在はしらたきと同じく細い穴にこんにゃくを通して製造しています。
しらたきと同じ作り方になったので違いは無くなりましたが、昔からの名残で糸こんにゃくと呼ばれ続けています。
昔は製法に違いがあったので太さにも違いがありました。しらたきは2mm~3mm程度の太さで、糸こんにゃくは4mm~8mm程度の太さになっていました。現在は製法が同じなので太さにも違いはありません。
《 ポイント 》
- 昔は製造工程に違いがあった。
- 現在では製造工程にはっきりとした違いはない
- 糸こんにゃくとしらたきは同じ物と言える。
- 昔からの名残で関東ではしらたき、関西では糸こんにゃくと呼ばれている。
糸こんにゃく・しらたきの賞味期限
糸こんにゃくやしらたきは違いがなく共に賞味期限は30日~90日です。
基本的に高温で殺菌処理されてから梱包されているため、賞味期限を過ぎてしまっても30日~60日くらいは腐ってしまうことなく保存ができるものも多いのですが、製造から時間が経過すれば経過するほど水分が抜けていってしまうので、徐々に細くなってしまい食感も固くなってしまいます。
傷んでしまった糸こんにゃく・しらたき
傷んでしまった糸こんにゃくやしらたきは、どろどろに溶けてしまった状態になります。購入時のパックのまま使用を忘れて、パックが膨らんだ状態になってしまった場合は開封しないでそのまま廃棄することをおすすめします。
《 ポイント 》
- 糸こんにゃくやしらたきの、賞味期限は長いので長期保存に最適です。
- 糸こんにゃくやしらたきを使うのを忘れて、しばらく経ってしまっている場合は賞味期限の日付は重視しなくていいが、傷んでしまっていないかということをしっかり確認する。
糸こんにゃく・しらたきの保存方法
糸こんにゃくとしらたきに違いはないですが、糸こんにゃく・しらたきを保存するときは開封する前と後と茹でた後で保存の方法が異なります。
以下では、糸こんにゃく・しらたきのそれぞれの保存の方法を紹介します。
開封前の保存の方法
糸こんにゃくやしらたきのパッケージに「直射日光、高温多湿を避けて保存」と表記があるものは、冷蔵庫に入れて保存しなくても問題ありません。直射日光が当たらない窓から離れた場所や棚の中に入れて保存することができます。
糸こんにゃくやしらたきを冷蔵庫に入れて保存する場合は凍らないように注意してください。冷気の吹き出し口の近くで保存した場合、凍ってしまうことがあります。凍ってしまうと水分が抜けてしまった状態になってしまうので細く固く縮んでしまうので食感が悪くなってしまいます。
開封後の保存の方法
糸こんにゃくやしらたきの開封後の保存の方法は、水を張った容器の中に糸こんにゃくやしらたきを入れて表面が乾かないように注意してラップをして冷蔵庫に入れて保存しましょう。このときに使う水はできればパックの中に入っていた水を使用してください。
開封後の糸こんにゃくやしらたきは2日~3日中に使い切るようにしてください。その際は傷んでいないかよく確認しましょう。
茹でた後の保存の方法
茹でた後の糸こんにゃくやしらたきは、茹で汁と一緒に冷蔵庫に入れて保存しましょう。茹でた場合はできるだけ早く食べ終えるようにしましょう。
《 ポイント 》
- 保存中に誤って凍ってしまった場合は、水分が抜けてしまっているので汁を吸収しやすい状態になっている。
- 凍ってしまった場合は、スープや煮物などの汁物の料理で使うことをおすすめします。
糸こんにゃくとしらたきのメリット
糸こんにゃくとしらたきには、共通して次のようなメリットがあります。
- ダイエット食になる
- 料理のかさ増しになる
- 保存が効く
糸こんにゃくとしらたきは、ダイエット食としても人気が高い食材です。茹でたり炒めたりすることで食感が増すため食べた時に満足感が高くなります。
さらに糸こんにゃく・しらたきともにカロリーは100gあたり6㎉、脂質0gと大変ヘルシーです。ラーメンやパスタの代用にすればかなり糖質を抑えることもできるでしょう。
また、炒め物に混ぜたり、細かくきざんでお米に混ぜればかさ増しも可能です。糸こんにゃくやしらたきを工夫してうまく使えば、食べる量は変えずにカロリーを大幅にカットすることができますね。
前述のとおり、開封前であれば賞味期限も長いため保存食として常備できるのも糸こんにゃくとしらたきの大きなメリットでしょう。
糸こんにゃくとしらたきの栄養
糸こんにゃくとしらたきは栄養価に違いはほとんどありません。どちらも成分のほとんど(97%)が水分でできています。
ご説明したように、カロリーが100gあたり6㎉と大変少ないのが特徴です。もう一つの特徴として挙げられるのが、カルシウムと食物繊維の豊富さでしょう。
糸こんにゃくとしらたきには100gあたりカルシウムが75㎎、不溶性食物繊維が2. 9g含まれています。現代人に不足しがちなカルシウムと食物繊維がたくさん取れるのはうれしいですね。
ただし、糸こんにゃくやしらたきを大量に食べると食物繊維の効果で腹痛や下痢を引き起こす恐れがありますので、過度に摂取するのはやめましょう。他の食材と一緒にバランスよく食べれば問題ありません。
糸こんにゃくとしらたきの使い分け
糸こんにゃくとしらたきは呼び名や見た目が違うだけで基本的に同じものだと分かりましたが、色や太さ、柔らかさなど製品によって微妙に異なる部分もあります。料理に使う時にはどう使い分ければ良いのでしょうか?
糸こんにゃくはしらたきに比べて少し太いことが多く、食感もしっかりしています。食べ応えや食感が欲しいパスタなどに使う時は糸こんにゃくがおすすめです。
しらたきは柔らかく、しっかり味を染みこませる料理に向いているので煮込み料理などに良いでしょう。しかしながら、「煮込むからこそ食感が残る糸こんにゃくを使うべきだ」という意見もあるので、結局しらたきと糸こんにゃくのどちらを選ぶかは好みだという結論になります。
肉じゃがやすき焼きに入れる際は、色や食感の強さなどを考えて好きなほうを使うと良いでしょう。
糸こんにゃくとしらたきに関するQ&A
A.食べやすい長さに切って沸騰したお湯で3分~5分茹でます。糸こんにゃくやしらたきは、下茹ですることで余分な水分や臭いが抜けて味が染み込みやすくなり食感も良くなりますよ。
最近では、「下処理済」や「アク抜き不要」と表記されている糸こんにゃくやしらたきも多くなっています。時短したい時には、そういった商品を使うと良いでしょう。
A.糸こんにゃくやしらたきに違いはなく、アルカリ性の食品なので、野菜に含まれているポリフェノールの一種であるクロロゲン酸と反応して緑や紺や黄色やピンク色に変色することがあります。
白いこんにゃくは玉ねぎと一緒に煮ると黄色、ごぼうだと緑色、里芋だと薄ピンク色に色が変化しますよ。他の野菜だとどうなるか、ぜひ試してみてください。お子さんと一緒に実験気分でお料理をするのも面白いかもしれませんね。
A.こんにゃくやしらたきの旬は、原材料であるこんにゃく芋が収穫される11月~1月頃です。
こんにゃく芋は収穫まで2~3年かかり、植えっぱなしではなく一度掘り返して保存庫で寝かせ、また植え直すという作業を繰り返す必要があるデリケートな作物です。食べる時はぜひそのことを思い出して味わってみてくださいね。
こんにゃくはもともと東南アジア原産で、マレーシア、ミャンマー、タイなどで食べられていました。日本には、なんと縄文時代には伝わっていたとされています。
ただし、初めは食べ物としてではなく医薬品として扱われ、平安時代では貴族や僧侶など身分が高い人しか食べられなかったそうです。
鎌倉時代から一般的な食材として料理されるようになり、江戸時代になって糸こんにゃくやしらたきを作る手法が考案されたことで、さらに多くの人に広まりした。こんにゃくは、かなり古くから日本人に食されていたんですね。
糸こんにゃく・しらたきの美味しい食べ方
糸こんにゃくやしらたきに違いはありません。そのため、普段のレシピなら糸こんにゃくやしらたき以外で作るものを、代用で糸こんにゃくやしらたきを使って作るとヘルシーでカロリーも低く抑えることができるのでダイエット食にもおすすめです。
しらたきのチャプチェ
春雨を使うところしらたきを代用してとってもヘルシー!
材料(4人分)
- しらたき:1袋
- 牛肉 :400グラム
- オイスターソース:大さじ3杯
- みりん :大さじ3杯
- 料理酒 :大さじ1杯
- 醤油 :大さじ1杯
- にんにく(チューブ):大さじ1杯
- ごま油 :適量
- 人参 :1本
- ピーマン:2個
- しいたけ:2個
- 生姜 :1/2片
作り方
- しらたきを5cm程度の長さに切ります。他の野菜も細切りにしておきます。
- 牛肉をひと口サイズに切っておきます。
- オイスターソースとみりんと料理酒と醤油とにんにくを混ぜ合わせます。
- ③で作った調味料に牛肉を入れて混ぜ込みます。
- フライパンにごま油を入れ牛肉を炒めます。
- 牛肉に火が通ったら残りの材料を加えて炒めたら完成です。
最後に
今回は糸こんにゃくとしらたきの違いについて紹介しました。
江戸時代には製造方法にも違いがあってので明確な違いはありましたが、現在では製造方法にも違いは無くなってしまったので、関東と関西で呼び方が違うのみとなっています。料理に使うときは、製造しているメーカーで太さが異なるので好みの太さのものを選んで使うようにしましょう。