目次
生ひじきとは
生ひじきは洗うだけではダメなのをご存知ですか?なぜ、生ひじきは洗う必要があるかを説明したいと思います。
スーパーの乾物コーナーにある「乾燥ひじき」と違って、「生ひじき」は鮮魚コーナー片隅に並べられています。乾燥ひじきを水戻しする時間がないとき、この「生ひじき」があればすぐに使えて便利ですよね。
生ひじきは「生」ではない
海から採取したひじきをそのまま売っているのではなく、加工の段階で一度加熱したものを「生ひじき」として販売していますので、厳密にいえば「生」ではないんです。
海からとりたての生のままのひじきには、アクやえぐみがあり、加熱処理しないと食べることができません。
その加工方法は次のような工程で行われています。
- 旬の時期である2月から5月にかけて採取する。
- 水洗い、塩抜きをする。
- 蒸す、もしくは釜茹でしてアクやえぐみを取る。
- 乾燥させ異物を取り除く。
1~4までの作業を経て乾燥させたひじきはパック詰めされて、乾物の「乾燥ひじき」として店頭で販売しています。スーパーで購入できる「生ひじき」とは、この乾燥されたひじきを戻したものなのです。
その一方で、旬の時期に産地で見かける「生ひじき」は、採取した後、天日干しや乾燥させることなく、生のまま蒸すか茹でるかして売られている本物の「生ひじき」です。こちらは乾燥ひじきにくらべて、ぷりぷりとした食感でとっても美味しいんですよ。
ひじきの種類
ひじきの種類には、「芽ひじき」と「長ひじき」の2つがあり採れる割合は、芽ひじきが約40%、長ひじきが約60%です。それぞれ食感が違いますので、使うお料理にあわせて選んでみてくださいね。
<芽ひじき>
芽ひじきとは、ひじきの茎から出る「芽」の部分で、食感が柔らかくサラダや炊き込みご飯、炒め物に最適です。
<長ひじき>
長ひじきとは、ひじきの「茎」の部分にあたります。芽ひじきと比べて太くて長めなので、その歯ごたえの良さを活かし、きんぴらなどの炒め物や煮物にすると美味しくいただけます。
ひじきは油との相性が良いので、煮物だけでなく、炒め物や揚げ物など幅広い調理方法で楽しむことができますよ。
ひじきの栄養
「芽ひじき」と「長ひじき」の栄養価はどちらも同じでとくに違いはないようです。皆さんがご存じのように、海藻はビタミンやミネラルが豊富な低カロリー食品です。
なかでもひじきは骨や歯の形成に必要なカルシウム、血液の循環を保つマグネシウム、腸内環境の改善に繋がる食物繊維など、体にうれしい栄養がたくさん含まれています。
分かりやすく解説すると以下のとおりですので調理の参考にしてくださいね。
- カルシウムは昆布の2倍、牛乳の約12倍
- 食物繊維はゴボウの約7倍
- マグネシウムはアーモンドの2倍
また、ビタミンAをはじめ、カリウム、ヨード、マンガン、鉄分などのミネラルもたっぷりと含まれていることから、古くから「ひじきを食べると長生きする」と言われています。
このようなことから、高齢化社会の日本では、ひじきを食べて健康で長生きをしてほしいという願いをこめて、9月15日の当時の敬老の日を「ひじきの日」と制定されました。
《 ポイント 》
- 生ひじきは加工の段階で一度加熱したもの。
- 「芽ひじき」と「長ひじき」はそれぞれ食感が違う。
- 栄養豊富で「ひじきを食べると長生きする」と言われている。
生ひじきは洗うだけではダメ?
ひじきには、発ガンリスクがあると指摘されている「無機ヒ素」が、他の海藻類よりも多く含まれています。「ヒ素」と聞くと不安になってしまいますが、ひじきを調理する前にきちんと洗うなどの下処理することで、無機ヒ素の含有量を格段に減らすことができるのです。
無機ヒ素は水に溶け出す性質があるので、水でひじきを洗うだけでもヒ素の含有量を5割ほど減らすことができ、さらに加熱して茹でこぼすことで9割も減らすことができるという農林水産省の調査結果があります。
また、この下処理をしたとしても、鉄分、カルシウム、食物繊維などの栄養素の7割以上は残っているので、ほんの少しの手間を加えるだけで安全にひじきを食べられると言うわけです。
《 ポイント 》
- 発ガンリスクがある「無機ヒ素」が、他の海藻類よりも多く含まれている。
生ひじきの正しい下処理方法
スーパーで売られている生ひじきは加熱して下処理する必要はありませんが、旬の時期に産地で購入した「生ひじき」は、下処理する必要があります。
だからと言って難しいことは全くありません。ポイントは5~10分間加熱して茹でこぼすことです。
熱湯で5分湯がくと殺菌とヒ素の除去ができ、安全に食べられるレベルになるのですが、心配な方は念には念を入れて10分程度茹でこぼしてから完璧に取り除いた後に調理するようにしましょう。
生ひじきの下処理
- ボウルに重ねたザルにひじきを入れて、流水で丁寧に洗う。
- 沸騰したお湯に水気を切った生ひじきを入れて、再沸騰したら5~10分茹でる。
- 茹で終わった生ひじきをザルにあげて、流水で20秒すすぐ。
茹でこぼすとは?
「茹でこぼす」とは、材料を水と一緒に火にかけて沸騰したらザルに材料をあげてゆで汁を捨てる調理方法のことです。
材料によって加熱する時間は異なりますが、茹でこぼすことによって食材のアク、渋み、臭み、ぬめりなどを取り除くことができます。
《 ポイント 》
- 5~10分間茹でこぼすことで殺菌と無機ヒ素の除去ができる。
生ひじきの保存方法と保存期間
生ひじきは洗うだけではダメな理由はお分かり頂けましたか?ここでは生ひじきの保存方法と保存期間についてご紹介します。
冷凍保存の方法
- 下処理が済んだ生ひじきを小分けにしてラップに包みます。
- それを冷凍用の保存袋に入れて空気を抜き、冷凍庫に保存します。
- 調理する時は冷蔵庫で自然解凍するか、煮物や汁物なら凍ったままお鍋に入れてください。
また、下処理してから調理したひじきの煮ものなどでも、同じように冷凍することができるので、お弁当やあと一品というときに助かることでしょう。
下処理した生ひじき保存期間
生ひじきの賞味期限は冷蔵保存でも2~3日と短いので、冷蔵庫に入れたままにしておくとあっという間に傷んでしまいます。
できれば下処理をした生ひじきは、その後すぐにお料理に使うようにしてください。もし、調理する時間がない場合には。サッと下処理をして水分を切ったら冷凍保存してしまいましょう。
<冷凍保存した場合>
冷凍保存した生ひじきの賞味期間はおよそ1ヶ月ですので、小分けにして冷凍しておけば、色んなお料理にその都度使えて重宝しますよ。
水分が少ないひじきは、解凍した後に出るドリップが少なめなので、それほど食感が変わることなく美味しく食べられます。
《 ポイント 》
- 賞味期限は冷蔵保存でも2~3日と短め。
- 冷凍保存での賞味期間はおよそ1ヶ月。
生ひじきの美味しい食べ方
次に生ひじきを洗うなどの下処理をしたら、生ひじきの美味しい食べ方をご紹介します。
生ひじきを使った料理と言えば一番に浮かぶのが「煮物で」すよね。そこで、ひじきの煮物を始め、短時間で手軽に作れるレシピを紹介します。
生ひじきの煮物
<材料>
- 生ひじき :150g
- 人参(千切り):1/2本
- 油揚げ :2枚
- だし :小さじ1
- 砂糖 :大さじ1
- みりん :大さじ1
- しょうゆ :大さじ1
- 水 :100CC
<作り方>
- 生ひじき、人参、油揚げをフライパンで炒める。
- 水100CCとだし、砂糖、みりん、しょうゆを入れる。
- 時々かき混ぜながら中火で煮詰める。
ひじきとアボカドとトマトのサラダ
<材料>
- 生ひじき:150g
- アボカド:1個
- トマト :1/2個
- レタス :3~5枚
- お好みのドレッシング
<作り方>
- アボガド、トマト、レタスを食べやすい大きさにカットする。
- 下処理して水気を切った生ひじきと混ぜ合わせる。
- お好みのドレッシングと和える。
※他にも水煮大豆、豆腐、海藻、レンコンなどと合わせても美味しいでしょう。
ひじきのポテトサラダ
<材料>
- 生ひじき :150g
- ジャガイモ:1~2個
- ゴマ油 :小さじ1.5
- キュウリ :1本
- 塩コショウ:少々
- 酒 :小さじ1.5
- みりん :小さじ1.5
- しょうゆ :小さじ2
- マヨネーズ:適量
<作り方>
- マッシャーなどでつぶしたジャガイモに塩コショウをして混ぜ合わせる。
- ゴマ油を熱したフライパンで生ひじきを炒め、全体に油が回ったら、酒、みりん、しょうゆを加え、汁気がなくなるまで炒めたら粗熱を取っておく。
- 薄めの輪切りにして塩で軽くもみ込んだキュウリとジャガイモ、味付けしたひじきを混ぜたものに、マヨネーズを加えてさらに混ぜ合わせる。
※いつものポテトサラダに飽きたら、しょうゆとみりんで下味をつけたひじきを混ぜ合わせると、和風ポテトサラダのできあがりです。
最後に
生ひじきの正しい洗うなどの下処理方法について解説しましたがいかがでしたでしょうか?
海から採取した生ひじきは、無機ヒ素という毒性のある成分を含んでいるため、生ひじきは水で洗うだけでなくゆでこぼすことによって水溶性の毒をかなり減らすことができます。
一方で、スーパーなどの店頭に並んでいる生ひじきは、洗うなどの下処理が済んでいるものなのでそのまま調理して大丈夫です。
日本人に不足しがちな栄養が豊富ないいことずくめの生ひじき。今まで扱い方がわからずになんとなく敬遠していた方も、手軽に使えることがわかったのではないでしょうか。
また、適切に下処理をしたひじきを冷凍保存しておくと、いろいろな料理に使えてとても便利なので、家族の健康管理のひとつとして栄養補給に役立ててくださいね。