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手羽元から血が出る理由
しっかりと焼いたはずの手羽元から赤い血のような液体がジワジワと滲み出てくることがありますが、実は血ではなく手羽元の骨の中にある「骨髄液(こつずいえき)」なんです。
赤い色は血液と同じヘモグロビンの色で、加熱して固まると茶色っぽい血合いのような色に変わります。
手羽元の骨にそって赤く液体がついていても、しっかり火を通すことで問題なく食べられます。骨髄液には旨みがたくさん詰まっていて美味しいので、是非食べてみてください。
《 ポイント 》
- 手羽元の赤いのは血ではなく骨の中にある骨髄液なので問題なく食べられる
手羽元の血を取り除く下処理方法
手羽元の赤い血っぽさを防ぐためには下処理が大切になります。赤い血のような部分を防いで調理するコツをご紹介します。
常温に戻してから調理する
骨がついている手羽元から赤い骨髄液が出てくることがよくあります。
それとは別に、外側だけ焼けて中心部まで火が通っていない生焼けの場合もあります。それを防ぐポイントは「常温に戻してから調理する」ことです。
冷蔵庫から出したばかりの手羽元は骨までしっかり冷えきっているため、十分に焼いたつもりでいても中がピンクで汁が出てくるのはそのせいなのです。外側だけ先に焼けて周りが焦げてしまっては台無しになってしまいます。
生焼けの場合は、レンジなどで後から加熱すれば食べられますが、骨髄液が流れ出てくるのを防ぐためには均一にしっかり火を通すようにしましょう。
調理前に常温に戻しておくということがとても重要になってきます。冷凍の手羽元はしっかり解凍してから使うようにしてください。
骨にそって切り込みを入れる
骨の内部は骨髄液で満たされているので完璧な血抜きは困難です。完全に血抜きをするよりも旨味を閉じ込めて下処理をすることで見た目も味も良くするので、骨にそって切り込みを入れるましょう。
均一にしっかり火を通すためや、味をしみこませるためにも切込みを入れる下処理をしておきましょう。手羽元は骨の周りに肉がついているので、骨にそって包丁で肉に切り込みを入れて骨をある程度むき出しにします。
このひと手間を加えることにより火の通りが格段によくなります。またキッチンバサミを使えば簡単にできるので時短になります。
流水で流しながら洗う
切込みを入れた手羽元をしばらく水に浸したあと、流水で洗うことで臭みを取ったり、余計な脂肪や血などをある程度落とすことができます。
ただし、水洗いした時の水が跳ねて口から入ってしまうと、食中毒が起きる可能性も考えられますので、水がはねないようにボウルの中で静かに洗うように気を付けましょう。使用したボウルや水滴がついた場所はしっかり洗ってください。
熱湯で下茹でする
からあげやグリル料理の場合は、周りに火が通りすぎないように下茹でした方が美味しく仕上がります。
切り込みを入れたら沸騰したお湯で10~15分ほど茹でると骨の中まで火が通り、骨髄液がしっかり固まります。下茹後に気になる赤い部分があれば水で洗うか、取り除きましょう。
しっかり加熱し菌を死滅させる
食中毒を起こしやすい「カンピロバクター」という菌をご存知ですか?鶏肉は食中毒の原因となる「カンピロバクター」に4~6割が汚染されていると言われています。
この菌は加熱することで死滅しますが、湯せん程度では菌は残ってしまうので十分に加熱する必要があります。手羽元の厚さにもよりますが、菌を死滅させるには75℃以上で1分以上加熱するようにしましょう。
カンピロバクターは生の鶏肉についているので、生の鶏肉を触った後に生野菜などを触ってしまうと菌が付着して食中毒の原因になることがあります。手やトング、箸など、生の鶏肉に触れたもので取り分けるのは避けなくてはいけません。
出典:カンピロバクター注意報_大阪府堺市役所
《 ポイント 》
- 調理前に常温に戻す
- 手羽元に切り込みを入れて流水で洗う
- 沸騰したお湯で10~15分ほど茹でる
- 鶏肉は加熱してカンピロバクターを死滅させる
手羽元の血が気になる場合
手羽元の風味に血の味が混ざっているのがどうしても気になるという方に、手羽元の臭みを消す方法をご紹介します。スッキリとした味に仕上げたい方はみを消す方法を参考にしてくださいね。
手羽元の臭みを消す方法
血の臭みを消す方法として、料理の味付けに合う身近にある物で試してみましょう。
- 酒で揉み込んで数十分置く
- 無糖ヨーグルトで揉み込んで数十分置く
- レモン汁で揉み込んで数十分置く
- すりおろした生姜を下味に加える
- 長ネギの青い部分と一緒に煮込む
- ローズマリーを下味に加える
- 食用重曹を水に溶いた中に数時間浸しておく
血の臭みを消す料理
【タンドリーチキン】
タンドリーチキンを作る時に使う調味料は、にんにく、玉ねぎ、生姜、ヨーグルト、ローズマリー、パプリカパウダー、ガラムマサラです。これらの調味料はその独特な風味で臭みを消してくれるので血の味が気にならなくなります。
【参鶏湯(サムゲタン)風スープ】
サムゲタンを作る時に使う調味料は、長ネギ、にんにく、生姜、塩こしょうなどですが、こちらも、臭みを消して骨から出る旨味を引き出してくれるので、手羽元ならではの美味しさを十分に味わうことができるでしょう。
《 ポイント 》
- 料理の味付けに合う身近にある物で血の臭みを消す
- タンドリーチキンや参鶏湯風スープのレシピで血の臭みを消す
手羽元の火が通る目安時間
鶏肉には「カンピロバクター」という食中毒の菌がついている可能性がありますので、75℃以上で1分以上加熱し、手羽元の中心部まで確実に火を通すようにしましょう。
では、手羽元の中心部が75℃になって完全に火が通る時間はいったいどれくらいなのでしょうか?手羽元の中心部に火が通るまでの時間は、調理方法によって違ってきます。
手羽元の加熱時間の目安
- 油で揚げる :5分程度
- 煮汁で煮る :15分程度
- 電子レンジで加熱する: 10分程度
- オーブンで焼く :20〜30分程度
オーブンや電子レンジを使って加熱した場合は、加熱ムラができやすいので気を付けてください。
手羽元に火が通ったかをチェックする方法
手羽元の一部に少しだけ切り目を入れてお肉を押してみて下さい。出てくる肉汁の色が透明であれば中まで加熱されている目安です。赤い血の汁が出てきたら生焼けと思って間違いないでしょう。食べると食中毒を起こす危険性があるので再加熱して下さい。
また、オーブンや電子レンジを使う場合は加熱ムラができやすいので、火が通ったかどうかをしっかりチェックしましょう。
《 ポイント 》
- カンピロバクターを予防するには75℃以上で1分以上加熱する
- 肉の切り目から赤い血の汁が出てきたら生焼け、透明なら加熱OK
最後に
手羽元からなぜ血がでるのか、それを食べても大丈夫な理由と下処理の方法をご紹介しました。
手羽元から出る血にはうま味が含まれているので、血抜きをするよりもうま味を閉じ込める方法がおすすめです。また鶏肉は十分加熱しないと食中毒を起こす可能性があるので、安全に食べるための下処理のひと手間が重要になります。
血の臭みがどうしても気になる方は、いくつかの食材や調味料を使って臭みを消す方法を試してみてください。手羽元の魅力をワンランクアップさせてみてはいかがでしょうか。