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もやしは消化されにくい
もやしは大豆などの豆類を水に浸して人工的に発芽させたもので、カルシウムやビタミンなど栄養豊富な食材です。食べたもやしが消化不良で排出されることもあると言われていますが、本当にそうなのでしょうか?
もやしの消化時間
食物繊維が多く含まれているもやしは、野菜の中でも消化の悪い食品に分類されています。
噛む回数や料理方法によって違うので一概にいえませんが、消化にかかる時間の目安として、果物は30分、野菜では40分程度と考えられています。
とはいっても、含まれている食物繊維の量によって消化にかかる時間も変わってきます。食物繊維が多い食べ物は消化しにくく、もやしの消化時間は約40分~60分はかかると考えてよいでしょう。
もやしの消化時間が長い理由
なぜもやしが消化されにくいのかその理由や消化時間について解説します。食物繊維を多く含む野菜は、食べ物が胃に留まっている時間が長いのが特徴です。
食物繊維には「水溶性食物繊維」と、水に溶けにくい「不溶性食物繊維」の2種類がありますが、もやしは不溶性食物繊維を多く含んでいるため、水溶性食物繊維よりも消化されるのに時間がかかってしまいます。
豆の種類にもよりますが、大豆もやしに含まれる食物繊維の量は100g中2.3gもあり、消化が悪い食品に属するというわけです。
消化されにくいもやしを食べ過ぎるとどうなる?
もやしばかり食べ過ぎると、内臓に負担がかかり機能を低下させてしまうため、食べ物の消化・吸収がうまくおこなえずに腸のぜんどう運動が少なくなってしまうことがあります。
また、不溶性食物繊維を摂り過ぎると、腹痛を起こし下痢や便秘になる可能性もあります。消化不良によって栄養が不足しないように、さまざまな食物からバランス良く栄養を摂るように心がけましょう。
栄養豊富なもやしのメリット
消化されにくい食べ物が胃に長く留まるのは、健康にとって必ずしも悪いことだとは言い切れません。糖尿病の予防にもなりますし、空腹を感じにくくなるので食べ過ぎも防いでくれます。
また、適量の不溶性食物繊維であれば、腸内環境を整えて便通を改善してくれるなど体に良い効果もあります腸の中で水分を含んで膨れあがり腸を刺激する不溶性食物繊維は、便秘の解消に必要な栄養素として知られています。
さらにビタミンCは善玉菌のエサにもなり、もやしに含まれているカリウムは酵素の活性化を促してくれます。便秘解消やダイエットにもやしがおすすめなのは、このような栄養素がそろっているからなのです。
《 ポイント 》
- 不溶性食物繊維を多く含んでいるため消化の悪い食品に分類されている。
- 食べ過ぎは内臓に負担をかけ、機能を低下させてしまう。
- 過剰に摂取すると消化不良につながり腹痛を引き起こす可能性がある。
もやしの消化を良くする食べ方
過剰に食べ過ぎると消化不良を起こしてしまう「もやし」ですが、食べても良い1日の量の基本的な目安として、1日に2~3袋までにしておくと良いでしょう。
では、もやしの消化を良くするためにはどんな食べ方が良いのでしょうか?
そのためには、よく噛むことや調理の仕方を工夫することで消化を良くすることができますので、具体的に解説していきましょう。
よく噛んで食べる
よく噛んで食べるようにすると唾液の分泌を促します。唾液には消化酵素のアミラーゼが含まれていますので、噛み砕くことによって消化吸収を良くすることができ胃腸の負担を減らす効果があります。
消化吸収を良くする以外にも噛むことで得られる健康効果として、次のものがありますので意識してよく噛んで食べるようにしましょう。
- 脳神経が刺激され脳の働きが活発になる。
- 時間をかけてゆっくり食べることで満腹中枢が早く働き肥満予防につながる。
調理法を工夫する
【細かく切って食べる】
細長いもやしをそのままの長さで大量に食べると胃に負担がかかりますので、なるべく小さくカットしてから調理してみましょう。みじん切りにしたもやしは、いろいろな料理に幅広く活用できますよ。
【一緒に水分を摂る】
もやし料理を食べるときには、水分も一緒に摂るようにすると、不溶性食物繊維が便のかさを増やすので腸が刺激されて活発に働くようになるでしょう。
もやしに含まれているビタミンCは水に溶けやすい性質がありますので、鍋料理やスープにして栄養が流れ出た汁も一緒に食べるとよいでしょう。
色々な食材と一緒に煮込むと旨味が増し、同時に他の食材の栄養も摂ることができます。加熱された温かい食べ物は消化力が良くなるのですが、柔らかい分、のどごしが良くなるため噛む回数が少なくなりがちです。
咀嚼が少ないと栄養が体に摂り込まれずにそのまま排出されることがあります。内臓に負担をかけないためにも、意識的に時間をかけてしっかり噛むように気をつけましょう。
【油を使わない】
もやしの消化を良くするためには、そのまま食べるより加熱して柔らかくすることで胃腸の負担を減らすことができます。
炒め物にもよく使われますが、消化を良くしたい場合は油を使わずに「ゆでる」「蒸す」「煮る」などの加熱法をおすすめします。
中でも「電子レンジで加熱する」と、ビタミンCなど、熱に弱い水溶性の栄養素が溶け出すのを防ぐことができます。
《 ポイント 》
- 基本的な目安は1日に2袋~3袋まで。
- よく噛んで食べると胃腸の負担を減らす効果がある。
- 細かく切ったり加熱して柔らかくする。
- 水分を一緒に摂ると腸が刺激されて活発に働くようになる。
もやしの保存方法
日持ちがしないもやしを一度に調理しきれない時ってありますよね。シャキシャキした食感をキープした状態で長持ちさせる保存方法をご紹介しますので参考にしてください。
冷蔵保存のコツ
冷蔵庫でもやしを保存するのは、どのご家庭でも行っている一般的な方法ですが、ここにひと手間加えるだけでもやしをより長く保存できるようになります。
そのひと手間とは、「袋から出したもやしを、水を張った容器に入れる」、ただこれだけです。
もやし全体がひたるくらいの水を注ぎ入れ、フタをして冷蔵庫で保存して一日に一回水を入れ替えましょう。これでシャキシャキ感をキープしたまま、いつもより長めに保存できるようになります。ちなみに野菜室はおすすめしません。
冷凍保存のコツ
水に浸して冷蔵保存するとビタミンCなど水溶性の栄養成分が流れ出てしまいます。それを避けたい方や、しばらくは使わないとわかっている場合には冷凍保存がおすすめです。
シャキシャキ感は抜けてしまいますが、1カ月近く保存できますので、炒め物や汁物に入れるなら十分でしょう。
《 ポイント 》
- 水を張った容器に入れて冷蔵庫で保存する。
- 冷凍保存だとシャキシャキ感は抜けてしまうが1カ月近く保存できる。
最後に
もやしは栄養豊富な食材で値段も安いので、積極的に食べたい野菜のひとつです。ですが、不溶性食物繊維を多く含むため消化がよくないので、胃や腸に負担をかけないようにする必要があるでしょう。
消化しやすくするには、よく噛むこと、調理法を工夫するなどして適切な量を食べることです。このような方法で、内臓に負担をかけずにもやしの持つ栄養素を上手に摂り入れる食べ方を心がけてみてください。