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ふるさと納税の「損得の分岐点」を知っておこう!
ふるさと納税と聞くと、豪華な物産品をもらって超お得!というイメージがあると思いますが、ふるさと納税には損得の分岐点というものがあり、それを知らないと損をするケースがあります。この記事では、ふるさと納税の損得についてご説明します。
まずは、ふるさと納税の仕組みを見みましょう。
ふるさと納税とは
簡単に言うと、応援したい自治体に寄付ができる仕組みのことです。ふるさと納税は、自己負担2,000円で応援したい自治体に寄付をすることで住民税や所得税が控除されます。また、寄付した自治体から特産品や特典などのお礼を受け取ることができます。
ふるさとの納税の目的
ふるさと納税は、国内の地域間でおこる税収の格差バランスを正す目的で創設された制度です。人口が少ない地域と人口が多い地域では、徴収できる税金に差がでてきますよね。
多くの人が住んでいる地域では、それに比例した住民税を徴収できますが、その一方で人口の少ない地域では少ない税収でやっていかなくてならない…少しでもその損得の差をなくそうというのがふるさと納税の目的です。
仕組みとしては、
↓
自治体の収益につながる
↓
自治体からお礼を受け取る
↓
所得税や住民税が控除される
ふるさと納税によって各地方に寄附金が回れば、全国各地の農工商が活性化する可能性が増え、経済面においても国や地方自治体の収益に繋がることでしょう。
ふるさと納税のお礼がもらえる
ふるさと納税をすると、実質的に2,000円の寄附で、地方のお肉やお米、お酒などの特産物をお礼の品として受けとることができます。
自治体によっては、その地域の観光に役立つように、旅館やホテルの宿泊券や観光施設の無料券及びサービス券をくれる地方自治体もあります。
生まれ育った故郷以外にも寄付できる
生まれ育った「ふるさと」に寄付をする人も多いと思いますが、自分が寄付したい、応援したい自治体(都道府県・市区町村)を自由に自分で選んで、寄付ができます。
お礼の内容によって寄付先を決める方も多く、寄付した金額によってもらえる品物も違うようです。
寄付した金額によって税金が控除される
ふるさと納税は、控除上限額内で寄付をおこなうと、寄付した合計額から2,000円を引いた金額が、所得税や住民税から控除・還付されます。
たとえば、50,000円の寄付をしたとして、最大48,000円が所得税から引かれます。
ふるさと納税は実質2,000円で、寄付した時自体からお礼の品を受けとることができるので、人気が高まってきています。2015年には税制改正により、控除される上限額が約2倍に引き上げられたり、確定申告をしなくてもふるさと納税の適用を受けられる「ワンストップ特例」などができ、まだ利用していない方でも興味が湧いてくるのではないでしょうか。
《 ポイント 》
- ふるさと納税のお礼がもらえる。
- ふるさと納税は生まれ育った故郷以外にも寄付できる。
- ふるさと納税は寄付した金額によって税金が控除される。
ふるさと納税の損得で「得」するケース
- 住民税や所得税を支払っている
- 年収や家族構成による寄付をしている
- ほかの控除を使っていない
それでは、それぞれどのようなケースが得をするのか説明します。
住民税や所得税を支払っている
住民税や所得税を支払っている人は、ふるさと納税をすると、2,000円を超える寄付金につき、寄付控除として所得税や住民税の控除を受けることができます。
たとえば、年収が400万円の独身の場合、ふるさと納税の限度額は約42,000円になり、2,000円は自己負担ですので、約40,000円が控除されます。
年収や家族構成による寄付をしている
ふるさと納税は、年収や家族構成によって、全額控除の上限が異なります。自分の年収・家族構成にあわせてふるさと納税をすることで、自己負担は2,000円だけですみます。
もし、全額控除の限度額を超えた場合、超えた分は自己負担になりますので注意しましょう。
ほかの控除を使っていない
ふるさと納税は、他の納税と併用することができますが、併用の内容によって、控除される金額が少なくなる可能性があります。ですので他の控除が無い、ふるさと納税の控除のみの方がふるさと納税としては得になります。
ふるさと納税の損得で「損」するケース
- 住民税や所得税を支払っていない
- 所得が少ない
- ふるさと納税をした翌年に無職になる
それでは、それぞれどのようなケースが損をするのか説明します。
住民税や所得税を支払っていない
総務省によると「所得税や住民税を納めている人が寄付金控除(ふるさと納税)ができる」ことになっています。
ふるさと納税の大きなメリットは住民税や所得税の控除ですが、住民税や所得税を払っていない人がふるさと納税をしても翌年の住民税が控除されることはありません。
所得が少ない
ふるさと納税は所得の少ない人は損をします。たとえば、年収300万円以下の夫婦で高校生と大学生の子供がいる場合、ふるさと納税を寄付しても税金が控除される金額はありません(0円)。
ふるさと納税をした翌年に無職になる
所得税はその年の12月ころの「年末調整」で納税していますが、住民税は翌年の6月ころに請求をしますので、無職で収入がない場合は所得税や住民税が免除されるようです。
つまり、ふるさと納税をしても、控除する税金が無ければ意味がないですよね。
損をしないためにおさえておきたい注意点
ふるさと納税の仕組みを正しく理解していないと損をしてしまう可能性があります。
- ふるさと納税は、減税や節税とは違う
- ふるさと納税は、年々、返礼品の還元率は減少している。
- ふるさと納税は、確定申告を行う必要がある。
- ふるさと納税は、所得によっては控除されない場合がある
- ふるさと納税は、ワンストップ特例制度の手間がかかる
ふるさと納税の損得分岐点
全額控除されるふるさと納税額の目安
通常、ふるさと納税から自己負担額の2,000円を差し引いた全額が、所得税と住民税から控除されますが、全額控除されるふるさと納税額には上限があります。それが、ふるさと納税の損得分岐点です。
上限は年収や家族構成でことなります。条件を超えた金額は、全額控除の対象にはなりませんので注意しましょう。
たとえば、以下の場合
- 年収:500万円
- 家族構成:夫婦+高校生の子供一人
- 全額控除対象のふるさと納税額の上限:33,000円
33,000円以下のふるさと納税であれば、自己負担は2,000円ですみますが、38,000円ふるさと納税をした場合、5,000円は自己負担になります。
38,000円-33,000円=5,000円
つまり、33,000円が分岐点となります。
自己負担額の2,000円を差し引いた全額が所得税と住民税から控除される目安は以下の表を参考にしてください。自分の年収、家族構成で、所得税や住民税が控除される上限の目安がわかります。
全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安
ふるさと納税を行う方本人の給与収入 |
ふるさと納税を行う方の家族構成 |
||||||
独身又は共働き | 夫婦 | 共働き+子1人(高校生) | 共働き+子1人(大学生) | 夫婦+子1人(高校生) | 共働き+子2人(大学生と高校生) | 夫婦+子2人(大学生と高校生) | |
300万円 | 28,000 | 19,000 | 19,000 | 15,000 | 11,000 | 7,000 | – |
325万円 | 31,000 | 23,000 | 23,000 | 18,000 | 14,000 | 10,000 | 3,000 |
350万円 | 34,000 | 26,000 | 26,000 | 22,000 | 18,000 | 13,000 | 5,000 |
375万円 | 38,000 | 29,000 | 29,000 | 25,000 | 21,000 | 17,000 | 8,000 |
400万円 | 42,000 | 33,000 | 33,000 | 29,000 | 25,000 | 21,000 | 12,000 |
425万円 | 45,000 | 37,000 | 37,000 | 33,000 | 29,000 | 24,000 | 16,000 |
450万円 | 52,000 | 41,000 | 41,000 | 37,000 | 33,000 | 28,000 | 20,000 |
475万円 | 56,000 | 45,000 | 45,000 | 40,000 | 36,000 | 32,000 | 24,000 |
500万円 | 61,000 | 49,000 | 49,000 | 44,000 | 40,000 | 36,000 | 28,000 |
525万円 | 65,000 | 56,000 | 56,000 | 49,000 | 44,000 | 40,000 | 31,000 |
550万円 | 69,000 | 60,000 | 60,000 | 57,000 | 48,000 | 44,000 | 35,000 |
575万円 | 73,000 | 64,000 | 64,000 | 61,000 | 56,000 | 48,000 | 39,000 |
600万円 | 77,000 | 69,000 | 69,000 | 66,000 | 60,000 | 57,000 | 43,000 |
625万円 | 81,000 | 73,000 | 73,000 | 70,000 | 64,000 | 61,000 | 48,000 |
650万円 | 97,000 | 77,000 | 77,000 | 74,000 | 68,000 | 65,000 | 53,000 |
675万円 | 102,000 | 81,000 | 81,000 | 78,000 | 73,000 | 70,000 | 62,000 |
700万円 | 108,000 | 86,000 | 86,000 | 83,000 | 78,000 | 75,000 | 66,000 |
ふるさと納税で気を付けておきたい事
本人名義以外のクレジットカードを使うと控除されない
ふるさと納税にクレジットカードを使用することができますが、クレジットカードでの支払いにも損得があります。実は、ふるさと納税に登録した名前以外のクレジットカードでは税金が控除されませんので注意しましょう。
クレジットカード払いができない自治体がある
ふるさと納税でクレジットカードが使えない自治体もあります。申し込みする前に支払い方法も確認しましょう。
最後に
ふるさと納税の損得を考えると、住民税や所得税を支払っている人の中で、特に「独身」は、ふるさと納税の限度額が高いのでおすすめです。
ふるさと納税の損時を、もらえるもので決めている方も多いと思いますが、それもある意味正解ですよね。自治体からもらう特産品や特典は日本全国さまざま。「たった2,000円でこんなにいいものが!」と喜べるものを選びましょう。