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味噌は古くから伝わる発酵食品の保存食
日本人の食生活には欠かせないといっていいほど身近なものとなっている味噌の起源は中国の「醤」(しょう・ひしお)と言われていて、日本に伝わったのも飛鳥時代と言われています。
大豆の生産量が増えてきた鎌倉・室町時代には自家製の味噌が作られるようになり、戦国時代になると味噌を染み込ませた干瓢(かんぴょう)を編み込んだものを戦場に持参するなど、冷蔵庫がない時代から保存食・非常食として利用できる貴重なたんぱく源でもありました。
味噌は時間が経つと色や風味が変化していく
発酵食品である味噌はその性質から腐りにくい食品のため、開封前などは常温保存をしている人も多い食品のひとつに挙げられます。
ですが正しく保存をしないと、時間が経つにつれ色が濃く変化し風味も落ちてしまい、美味しさも損なわれてしまいます。
味噌の味や風味が変化する原因はメイラード反応
色が濃くなるのは、原料である大豆などのアミノ酸が糖と反応して褐変する現象(メイラード反応)のためで、どんな味噌にもおこる特徴です。
特に、夏場の暑い環境では急速に褐変が進みます。
味噌の保存方法
常温保存の場合
味噌は冷蔵庫の無かった時代から調味料として使用されていた発酵食品であることからもわかるように、比較的腐りにくい食品で常温保存ができます。
とはいえ、どこにでも置いておくことができるというわけではなく、やはり発酵が進まない環境に保存をすることが望ましいでしょう。
味噌を常温保存した場合の賞味期限
味噌は常温保存できる食品で、正しい保存方法であればその賞味期限は2~3ヶ月くらいと言われています。
ただし賞味期限とは「その食品を美味しく食べることができる期間」ということですので、常温保存するのであれば、購入したらできるだけ早く使いきるようにしましょう。
湿気が少なく直射日光のあたらない場所で保管する
では常温保存する場合の正しい味噌の保存方法とはどのような方法なのでしょうか。
味噌は発酵食品なので温度や湿度が高いとそれだけ発酵がすすみ、どんどんと色も風味も味も落ちていきます。それを少しでも遅らせるためには環境を整えることが必要になってきます。
味噌を常温で保存する場合は、風通しが良く湿気が溜まりにくい直射日光があたらない場所で保存をしましょう。
冷蔵保存の場合
常温保存をする味噌は開封前のものですが、開封した味噌はどのように保存をしたらいいのでしょうか?
味噌の発酵を進ませないようにするためには、湿気が少なく低温であることが望ましいのでそういった環境で保存をしましょう。
味噌を冷蔵保存した場合の賞味期限
味噌を冷蔵庫で保存した場合、温度や湿度の変化がほとんどない環境のため、低温状態が続き発酵する速度が遅くなります。そのため開封した味噌は湿気が少ない環境が保たれている冷蔵庫で保存をすると、賞味期限もおよそ1年ほど延びます。
とはいえ湿気が少ないということは乾燥しやすいということでもありますので、表面などが乾燥しすぎて硬くならないように蓋つきの容器で保存をしましょう。
冷蔵保存では常温保存より4倍風味が長持ちする?
味噌は発酵食品なので、常温で保存しているとどんどんと発酵が進んでいきます。味噌は購入してから発酵させる食品ではないため、発酵が進むと味や風味も落ちていき色も褐変するため、美味しさも保てなくなります。
冷蔵庫内は湿気が少なく温度が低い環境が保たれているため、発酵の速度を遅らせることができ、味噌の保存場所に適しています。
冷凍保存の場合
私たちの日常に深く入り込んでいる味噌は、味噌汁だけではなく味噌炒めや酢味噌などいろいろな用途に使用できる調味料でもあります。それだけに安く販売されていると多めに購入したりする人もいるでしょう。
大量に購入したり季節の贈り物などで頂いたりしてもすぐには使用しなかったり、冷蔵庫がいっぱいで味噌を保存するスペースが確保できなかったりした時はどうしたらいいのでしょうか。
味噌を冷凍保存した場合の賞味期限
季節的に常温保存はできない、冷蔵庫も保存するスペースがないという時は冷凍庫で保存をしましょう。蓋の閉め忘れなどがないように、しっかりと保存ができれば賞味期限は1年以上になるといわれています。
とはいえ、長期間の保存はやはり風味が落ちてくるので賞味期限にかかわらず、早めに食べきるようにしましょう。
味噌は家庭用の冷凍庫では凍らない
味噌を冷凍庫で保存すると聞くと、「味噌が凍ってしまいすぐに使用できないのでは?」と思う人もいるでしょう。
一般的な家庭用冷蔵庫の冷凍室は約−18度と低温に設定されていますが、味噌が凍るのは−30度からと言われているので、家庭用冷蔵庫の冷凍室では凍りません。
少し硬くなりますが、すぐに使用できる程度の硬さなので、熱を入れて料理をする場合は解凍などせずに使用できます。
味噌の保存に一番おすすめなのは冷凍保存
味噌などの発酵食品は常温保存をすることによって温度や湿度の影響をじかに受けます。
味噌の中の酵母菌などによる発酵は、温度や湿度が高いとどんどんと進むため味や風味が落ちやすくなり、食べても美味しく感じられなくなりがちです。
冷蔵庫も常温保存に比べると低温低湿度が保たれていますが、冷蔵庫内がいっぱいになるとスペースがなくなり、冷気も十分にいきわたらないということもありますし、開け閉めのたびに温度の変化もあります。
冷凍庫は冷蔵庫よりも温度が低いため、発酵が進まないようにさせることができるだけではなく、カビなど菌の繁殖も防ぐことができるので冷蔵庫よりも長期間、味噌を保存することができます。
以上のことから味噌を保存するのに最適な場所は「冷凍庫」といえるでしょう。
味噌を保存する場合の注意点
味噌は保存する時の温度などにも気をつけないといけませんが、空気に触れないように保存するなど、ほかにも注意をした方がいい点があります。
ではどのような点に注意をすればいいのでしょうか。
注意点1:味噌が空気に触れないように工夫する
実は味噌は空気に弱い食品です。栄養が豊富な味噌は空気中の菌にとっても栄養があることになり、長時間空気にさらしたままにしておくと菌が繁殖してしまいます。また菌の繁殖だけではなく、味噌の表面が酸化したり乾燥して硬くなったりします。
スーパーなどで購入する透明のカップに入った味噌には、味噌の表面にピッタリとつくようにシートが敷かれていますが、これはカップ内の脱酸素剤が味噌の中に埋まらないようにするためのほか、表面を乾燥から守る役割もあります。
このシートでは丸まってしまうこともあるため、ラップなどを使用してできるだけ空気に触れないように保存をしましょう。
注意点2:脱酸素剤は取り除く
透明カップ入りの味噌を購入したときに入っている四角い袋は脱酸素剤(エージレス)といわれるものです。開封前の容器の中にある酸素を吸い取ることにより味噌の表面の酸化を防ぐ役割をもっていますが、開封後は効果がなくなってしまうため処分しましょう。
注意点3:だし入り味噌や減塩味噌は賞味期限が短め
健康を考えた減塩味噌や出汁などの調味料が入った味噌は、健康に気を使っている人や減塩をしないといけない人、他にも忙しい人には非常に便利なものです。
ですが通常の味噌と違い、塩が減っていたり調味料が入ることでカビが生えやすくなるなど、味噌本来の保存期間が短くなっています。
減塩味噌や調味料入りの味噌を購入したときは、賞味期限にかかわらず早めに使いきるようにしましょう。
味噌の保存におすすめの容器3選
スーパーなどで販売されている味噌は透明のケースに入っているか袋に入っているものが多くあります。
ケースに入っている味噌はそのまま保存をしている人が多いでしょうが、袋に入っているものはそのまま保存してしまうと味噌が劣化してしまう原因になってしまいます。
そのような劣化を防ぐために、味噌用の保存容器を用意して移し替えるといいのですが、保存容器はどのようなものがいいのでしょうか。
ホーロー素材の容器
味噌を保存する容器としておすすめなのがホーロー製の容器です。ホーローは表面をガラスでコーティングされているため、味噌に含まれる塩分による劣化がほとんど起きないですし、色や臭いが容器に移りにくいというメリットもあります。また洗いやすいのでいろいろな種類の味噌を試してみたい人にもいいでしょう。
プラスチックの容器
最近では100均のお店などにも味噌を保存する容器が置いてありますが、プラスチック製の容器だと軽いので移動させる時も楽にできますし、手軽に購入できるのもメリットになるでしょう。ただプラスチック製だと、臭いが容器に移りやすいので味噌専用の保存容器となってしまうということもあります。
ガラスの容器
ガラス製の保存容器の場合、煮沸消毒ができるので清潔に使用できますし、味噌を保存する前に煮沸消毒すると雑菌も繁殖しにくくなり、臭いもうつりにくいというメリットがあります。ただガラス製は重たいので移動させる時は気をつけましょう。
味噌を正しく保存して美味しく長持ちさせよう!
味噌は日本人の食生活に浸透していて身近でありながら昔からある伝統食品です。また自分で手作りすることもできる調味料ともなる食品です。
発酵食品という点で開封後の保存方法や容器などには気をつける点がありますが、それさえ守れば味も風味も長持ちさせることができる保存食でもあります。美味しい味噌でいろいろな料理を楽しんでください。