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小松菜の旬は冬
美味しい季節は11月~3月
小松菜はもともと寒い冬の季節の野菜ですが、ハウス栽培なども含めると一年を通して出荷されています。寒さに強いのが特徴で、霜が降りてからのほうが葉も柔らかく甘味も増して美味しくなると言われています。
小松菜の発祥は江戸時代です。冬の厳しい寒さの中でも栽培しやすく、昔から冬の間に食べることができる新鮮な緑黄色野菜として欠かせないものでした。冬の野菜ということもあり「冬菜・雪菜」、3月ころに出回るものは色が薄いため「鶯菜(うぐいすな)」とも呼ばれています。
同じ冬の野菜「ほうれん草」との見分け方
小松菜と同じ冬の緑黄色野菜であるほうれん草は、旬の時期だけでなく見た目もよく似ています。見分け方としては、根元が赤いものがほうれん草、赤くないものが小松菜と覚えると良いでしょう。
その他にも、ほうれん草の茎は細めで緑色ですが小松菜の茎は太く白っぽい緑色です。葉の形にも特徴があり、小松菜のほうが丸みを帯びた葉の形となっています。
小松菜の産地と種類
小松菜の主な産地は関東です。昔から関東で作られてきた野菜ということもあり、現在でも産地のトップ5は埼玉、東京、神奈川、千葉、茨城とすべて関東地方が占めています。
また、小松菜は畑や家庭菜園でも育てやすく交配もしやすいため、さまざまな種類があり地域での品種や名前の呼び方などがあります。
- 伝統小松菜(後関晩生小松菜)
江戸東京野菜として復活した小松菜で、鮮やかな緑色と柔らかい葉、細い茎が特徴です。 - 東京黒水菜
名前に水菜と付きますが小松菜です。緑色が濃く、冬の寒さにも強く栽培しやすいのが特徴です。 - 越冬小松菜
北海道の自然豊かな秘境で育てられる小松菜です。寒さに強い小松菜は糖分を蓄えながら乗り越えるため、雪の降る寒暖差を経験することでより甘みを増していきます。 - 紫コマツナ
葉の表が濃い紫色で、裏や軸部分は薄い紫色の小松菜です。柔らか生のままで食べてもエグミが気にならないのが特徴です。 - ちぢみ小松菜
霜にさらすことで葉に厚みち縮れがある冬季限定の小松菜です。甘みも濃く感じます。
旬の小松菜の美味しい食べ方
下ごしらえのコツ
小松菜はアクが少ないため、炒め物やスムージーにする場合でも下茹での必要がありません。調理前は葉先まで水分がいきわたるよう、しばらく水に浸けておくのがおすすめです。
そうすることで、加熱したときに熱が均一に通りやすくキレイに仕上がります。また、茹でる前に株に十字の切込みを入れておくことで、火の通りがよくなります。
茹でるときは株のままですが、炒め物や煮びたし、スープに使う時は茎と葉の部分で火の通りが違うため、カットしておきましょう。温野菜サラダや和え物に使うときは、株のまま茹でてからカットするとよいでしょう。
茹で方
- たっぷりのお湯をわかし、水1リットルあたり塩小さじ1杯程度入れます。
- よく洗った小松菜を立てて持ちながら茎の根元からお湯に入れます。
- 10秒ほど経ったら葉の部分もお湯に入れ、根の部分に少しかたさが残る位まで約1分茹でます。
- ボールに水を入れ茹で上がった小松菜を流水で冷やします。
- 根元をまとめながら軽く絞ります。
炒め方
- 小松菜を洗い水気を切りカットしたら、フライパンに油を入れ熱します。
- 小松菜の茎の部分を先に入れ表面が透き通るまで炒めます。
- 葉を入れて、塩を少々加え全体を炒め、火が通る前に調味料で味を調えます。
電子レンジを使う
- 小松菜を洗い2、3株ずつ互い違いの向きにしてラップで包みます。
- またはカットした小松菜は耐熱皿に入れラップをかけます。
- 600Wで約2分加熱します。
美味しい食べ方
小松菜のレシピと言えば作り置きできる常備菜の「ナムル」が人気です。茹でて和えるだけで簡単に作れるのと、冷蔵庫で3日程度日持ちするのも魅力です。
シャキシャキ食感をシンプルに味わいたい場合は「おひたし」がすすめです。醤油と鰹節で和えたあっさりレシピは箸休めにもぴったりです。
他にも和食の基本である油揚げとの「煮びたし」。小松菜は下茹で不要でそのまま煮汁に入れることができるので時短調理が可能です。
刻んで「オムレツ」に入れれば彩りと食感が楽しめます。小松菜は洋風メニューにも合うので、バターやガーリック、マヨネーズを使った「ソテー」も良いでしょう。
タンパク質と組み合わせることで、豊富なカルシウムを効率よく吸収できるため、牛乳を使ったクリームシチューやグラタンと組み合わせるのもおすすめです。
小松菜の栄養と健康効果
β-カロテン
ほうれん草には及びませんが、小松菜にも100g中3100㎍と多くのβ-カロテンが含まれています。体内でビタミンAに変換し皮膚や粘膜を丈夫にする効果や免疫力の強化を期待できるのがβ-カロテンです。
他にも、視力の維持、がん予防、アンチエイジングなど健康を保つために大切な働きをする栄養素です。
カルシウム
小松菜に含まれるカルシウムは100gあたり150~170㎎と多いです。この量は牛乳に含まれる110㎎を上回る量で、ほうれん草の約2倍となっています。カルシウムを摂取したい場合は小松菜を積極的に摂ると良いでしょう。
カルシウムは骨や歯の主要な構成成分になっているほか、脳神経や筋肉の興奮性を抑える効果も期待できると言われているため、ストレスの緩和にも役立つでしょう。
ビタミンC
小松菜には100gあたり39㎎のビタミンCが含まれています。ビタミンCは皮膚や細胞のコラーゲン合成には欠かせず、生体内のビタミンEとの相互作用で抗酸化作用も期待できると言われています。
そのほかの栄養素
そのほか小松菜には、血を作るのに必要な栄養素であり、貧血の防止に役立つと言われている「鉄分」、ナトリウムを体外に排泄する役割のある「カリウム」、酸素を運ぶ赤血球を成熟させる働きがあると言われている「葉酸」なども含まれています。
小松菜の選び方と保存方法
美味しい小松菜の選び方
美味しく新鮮な小松菜は次のような特徴があります。
- 葉の色は鮮やかな緑色で、端が黄色くなっていない
- 葉の形は内側に丸まって肉厚
- 茎はハリがあり根元がしっかりしている
- 茎が長すぎないもの
冷蔵保存方法
小松菜は乾燥に弱いため、湿らせたキッチンペーパーや新聞紙などにくるみ、袋に入れて保存するのがおすすめです。冷蔵室ではなく野菜室にできるだけ立てて入れておきましょう。
冷凍保存方法
固めに茹でた小松菜の水気を絞り、小分けにして冷凍する方法があります。他にも、食べやすく切って生のまま冷凍することもできます。生のまま冷凍することで栄養が逃げにくくなり、下処理せずに保存できるので手軽な方法です。冷凍保存は2~3週間保存可能です。
生のまま冷凍
- 小松菜をよく洗い、凍らせたときにくっつきにくくなるようしっかり水気を拭きます。
- 食べやすい長さ、3~4㎝に切ります。
- フリーザーバッグにいれて、空気を抜き冷凍します。1回に使う量ずつ小分けに冷凍しておくと使いやすいでしょう。
- 汁ものや炒め物には凍ったまま使います。
- ナムルやお浸しに使う場合は、冷蔵庫で2~4時間自然解凍して水気を切って使います。
さいごに
小松菜は収穫まで約1カ月で栽培でき、プランターでも育てやすいためベランダなどで行う家庭菜園にもおすすめです。
春まきと秋まきがあり、3月ころに種をまけば5月ごろ収穫できます。また、秋まきは9月下旬に種をまき、2週間をおきに分けてまくと冬の間長く収穫できます。