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鮎の旬は成長ごとに違う
鮎の旬は成長する時期によって異なり、1年で3回の旬を向える魚です。それぞれの旬で違う美味しさがあります。
鮎は1年で一生を終える魚
鮎は秋に産卵期を迎えて、体の色がオレンジ色の婚姻色になり皮膚も硬く黒くなります。
通常の鮎は産卵後その一生を終えてしまう年魚と呼ばれている魚です。ごく稀に産卵後も越冬して生き残る雌も存在しますが、2年目に産卵することはありません。
1年で一生を終えるというよりも鮭と同じ生殖活動が一生で1回しか行えないという性質となります。
それぞれの美味しい時期がある
鮎は成長する過程で、若鮎、成魚、落ち鮎と呼ばれる時期にそれぞれ旬を迎えます。
梅雨の時期から梅雨明けまでの6月から7月の初夏の季節が若鮎の旬となり、旬の走りと言われています。
8月から9月の夏の暑い季節が成魚の旬となり、産卵に向け栄養を身体に蓄えている旬の盛りを向かえ、9月の終わりから禁漁期までの晩秋の季節が落ち鮎と呼ばれる時期になり旬の名残りと言われています。
《 ポイント 》
鮎は1年で一生を終える魚で成長に合わせ3回の旬があり、それぞれに違う美味しさがあります。
旬の鮎の特徴
鮎には成長する過程においてそれぞれ違う旬があります。
旬の走りは「若鮎(わかあゆ)」
鮎漁の解禁時期の6月から7月の梅雨の時期から初夏に若鮎となり、成長の過程でまだ骨も柔らかく、脂の乗りも少ないのが特徴となります。
餌も稚魚の時の主食のプランクトンから藻類へと変わり、スイカやキュウリに似たさわやかな香りを放ち香魚とも呼ばれるようになります。
餌場の縄張りを持つようになり、ひれの縁や胸のあたりに黄色い斑点が出始める「若鮎の旬」となります。
旬の盛りは「成魚(せいぎょ)」
鮎は8月から9月の盛夏の時期に20㎝以上に成長し、身体は黄色味を帯びていき斑点もはっきり見えるようになります。この時期の鮎は産卵に備え栄養をたくさん蓄えて脂が十分に乗った「成魚の旬」となります。
鮎の産卵の時期は、水温が鍵となり北海道や東北から始まるので国内でも「旬の盛り」となる時期に違いが出てきます。
鮎の産卵は水温が15℃から18℃になると最盛期を迎えるので東北、北海道では8月下旬から9月上旬となり、中部地域は10月下旬から11月上旬で、中部地域以南では12月中旬頃と違いが現れます。
旬の名残りは「落ち鮎・子持ち鮎」
鮎は東北や北海道では8月下旬から9月上旬に産卵期を迎えるので落ち鮎・子持ち鮎のの時期が早くなりますが、東北より南の地域では、鮎の禁漁となる9月から晩秋にかけての時期が「旬の名残り」となります。
産卵のため栄養をそちらに与えているので、鮎は身が痩せている時期にもなりますが、食感に変化があり脂の乗った成魚とはひと味違うこりこりとした食感を楽しむことができます。
《 ポイント 》
鮎には若鮎、成魚、落ち鮎・子持ち鮎の3回の旬があり、その味わいも旬によって異なります。
旬の鮎の選び方
旬の鮎を選ぶときの目利きのポイントは、全体に張りがあり、腹部に硬さを感じられるものを選び、えらや体の色がはっきりとしてきれいなものを選びましょう。
天然ものの鮎は高級品ですので、スーパーなどに出回ることは滅多に無いのですが、養殖ものは比較的価格も抑えられているので購入時にはしっかり確認して美味しい鮎を選びましょう。
鮎の種類と産地
鮎には天然もの、養殖もの、湖産、海産という種類があります。育つ環境で特徴にも違いがあるので確認しておきましょう。
天然もの
天然ものの鮎は美しい黄色の斑紋が胸ひれ付近に浮かび、身体全体が黄色味を帯びて、肉厚で身がひきしまっています。水質がきれいな河川で獲れる若鮎はスイカやキュウリに似たさわやかな香りのする香魚と呼ばれています。
養殖もの
養殖ものの鮎は身体が全体的に青黒い色をしていて、黄色い斑紋も不鮮明となっていますが、天然ものと比較して脂肪が多くふっくらしています。鮎特有の香りを楽しむこともできませんが、脂がしっかり乗っていて安価で購入することができます。
湖産、海産
湖産ものの鮎は主に琵琶湖産でコアユと呼ばれています。また氷魚(ひうお)という名でも知られています。
河川ではなく湖で育ち、10cmほどの大きさで成魚となり、旨味が強くてほろ苦い味がするのが特徴です。山椒などで煮て作られる佃煮は滋賀の特産品としても有名です。
海産ものの鮎は河川で生まれた稚魚が海で成長し、春になって再び川に溯上する前に獲られた鮎です。細長く尾びれが長い特徴があります。
主な産地
鮎は北は北海道の余市川から南は屋久島の宮之浦川に至るまで日本全国の河川で獲れますが、その中でも鵜飼漁で知られる岐阜県の長良川や和歌山県の紀ノ川・熊野川、高知県の四万十川の天然の鮎は有名です。
漁獲量で調べると那珂川のある茨城県、相模川のある神奈川県、栃木県、岐阜県の順に多く獲られています。
鮎は養殖も盛んで養殖鮎の主な産地としては愛知県、和歌山県、岐阜県の3県で全国の6割の鮎を養殖しています。
《 ポイント 》
鮎は育つ環境で特徴にも違いが出ます。有名な産地で獲れる天然ものは他の種類とは別格な美味しさがあるので旅行などで現地に行くことがあるなら1度は食べてみてください。
鮎の旬に関するQ&A
A.鮎の産卵は水温が15℃から18℃になると始まるので、その時期は地域によって異なります。東北・北海道では8月下旬から9月上旬の時期で中部地域は10月下旬から11月上旬で中部地域より南の地域では12月中旬頃に産卵時期を迎えます。
A.鮎には横川吸虫という寄生虫が付いていることがあります。若鮎は骨が柔らかく筒状にスライスして生食で食べることもありますが、寄生虫がついたまま食べてしまうと小腸に寄生し、大量に寄生してしまうと慢性カタル性腸炎の原因になってしまうことがあるので、生食をする場合には注意が必要です。
A.鮎は塩焼きにして食べれば、わたやひれも美味しく食べることができます。
鮎の美味しい食べ方
鮎の美味しい食べ方として1番先に思い浮かぶ調理方法は塩焼きです。
炭火でじっくり焼く方法が理想的な焼き方ですが、自宅のキッチンでは炭火を使って焼くことは難しいので、鮎に塩を振ってフッ素加工のフライパンで中火で表裏をじっくり焼きましょう。
無理にひっくり返してしまうと身がくずれてしまうので慌てずじっくり焼くことが重要です。
焼いた鮎を美味しく食べるためには骨の抜き方を知っておくと食べ終わりもきれいに食べることができます。
骨の抜き方
- まずはひれや尻尾を抜きます。
- 次に鮎を上下から箸で押さえるようにしてほぐし骨から身を離します。
- 頭の後ろに切れ目を入れて胴体を箸で押さえ頭を引っ張りズルっと骨を引き抜きます。
鮮度の良い鮎は身が柔らかいのできれいに骨を引き抜くことができます。
子持ちの鮎は甘露煮にすることで骨まで丸ごと食べることができます。身に詰まった卵がプリプリとした食感で美味しく食べることができます。焼いた鮎を甘露煮にすれば香ばしさが加わり味わいも深くなります。
《 ポイント 》
お皿に盛り付けてある魚をきれいに食べることもマナーですので、骨の抜き方はおぼえてきれいに食べられるようにしましょう。
最後に
今回は鮎の旬と種類と美味しい食べ方を紹介しました。
海で獲れる魚と比較すると川で獲れる魚は人気がないものが多いですが、鮎は独特な香りから多くの人が好んで良く食べられています。
1年で一生を終える魚と言われていますが、旬と呼ばれる時期は成長に合わせ3度訪れます。それぞれの旬で美味しい鮎を楽しみましょう。