目次
いちごランナーとは
ランナーは親株からのびる「つる」のこと
いちご栽培では、もともとの株を親株といい、そこから出てきたつるのようなものを「ランナー」といいます。
ランナーの先端にできる新しい芽を「子株」といいます。ランナーは地面を這うように伸びるため別名「ほふく茎」などとも呼ばれています。
ランナーの先端に新芽が育ち、そのまま土に根付くと新しい株となるため、畑などで栽培している場合は周りの地面に自然と根付いて勝手に成長していくこともあります。
いちごランナーの特徴
親株から伸びたランナーによって簡単に株を増やすことができ、親株と同じ性質の苗を増やすことができるという点が大きな特徴です。
同じ苗は種から育てることもできますが、ランナーを使うことで手間や時間が短縮でき、繰り返し作り続けることができます。
いちごのランナーの植替え
5~6月はランナーの剪定を行う
植替えにひつような新苗づくりは、実がなっている時期からは行いません。
ランナーは5~6月ころに伸びてきます。しかし、この頃はいちごの収穫最盛期。ランナーを伸ばしておくと栄養分が奪われてしまいます。
伸び始めの5~6月はランナーが株元の近くで留まるようにハサミを使って切り取りましょう。
せっかく出てきたランナーを切ってしまうのはもったいないと思うかもしれませんが、株が元気な状態であればランナーは次々と伸びてきますので、収穫を終えてから始めることをおすすめします。
植え替えの際は「2個目以降の子株」を選ぶ
1本のランナーには3~5個くらいのランナーができます。ランナーから子株を作るときは、親株に一番近い株は親株の病気やウィルスなどを受け継いでしまうことが多いため、2個目以降の子株を選ぶようにしましょう。
1株から10本程度のランナーが伸びてくるのが一般的です。ウイルス病特有の葉の縮れやモザイク病の症状がみられない元気な青々とした苗のランナーを選んでください。
≪ポイント≫
- 5~6月は新苗づくりは行わない。ランナーの剪定を行う。
- 子株は、2個目以降のランナーの株を選ぶ。
いちごランナーを活用した苗づくり方法
時期の目安
前述したように5~6月は収穫最盛期のためランナーの植え替えは行いません。
苗作りの時期は7月に入り本葉が3~4枚のころがおすすめです。
用意するもの
- ランナーから2個目以降の小苗
- ビニールポット(直径9㎝)
- 培養土
- Uピンまたは針金
ビニールポットを用意できない場合は、親株が植わっているプランターの空いている部分に植え付けるという選択もありますが、できる限りビニールポットを用意することをおすすめします。
苗づくりの手順
ポットに植え替える
- ビニールポットに培養土を入れ、小苗を土の上に置きます。
- 新芽の中心を挟まないよう、株元をUピンまたは針金で押さえて土に固定します。
- たっぷりと水やりをして、土が乾いたら都度水やりをしてください。
ランナーを切り離す
1週間くらいすると、小苗から根が伸びて土に根付いていきます。軽く引っ張ってみてぐらつきがないか確認をしましょう。しっかりと根付いていたらランナーを切り離します。
親株とつながっている側のランナーとは反対側に実が付くため、反対側が分かるように植え付けておくと向きを決めやすくなります。
切り離した小苗は、風通しが良くよく日の当たる場所に置きます。乾燥に注意しながら水やりを続けて、秋の植え付けまで育てて下さい。
苗を夏越しさせるコツ
いちごの原産地はオランダで、適した温度は18~25℃と暑さには強くありません。そのため暑さ対策が必用です。
【半日陰に置く】
そのため真夏は直射日光のあたらない半日陰に置くようにしましょう。半日陰の適した場所がない場合は、シェードなどを活用して日差しをやわらげるよう工夫してみてください。
【ガーデンラックに乗せる】
また、ベランダなどのコンクリートの上に置いて育てている場合は、日差しの照り返しなどでかなり高温になりますので、すのこやガーデンラックに乗せてあげましょう。
【たっぷりと水やりする】
土も乾きやすくなっていますので、水切れに気を付けながら根腐れしない程度にたっぷりと水やりを行います。
≪ポイント≫
- 苗づくりの時期は7月
- ビニールポットで育てるのがおすすめ
- いちごは暑さに弱いので「暑さ対策」が必用
いちごランナーで育てた苗を植え付ける
10~11月になったらいちごの植え付けを行います。タイミングを逃すとその後の生育にも影響が出るため、植え付けは遅れないようにしましょう。
育てた苗からできるだけ元気が良く葉の色が濃いものを選んでください。葉の色が黄色っぽく変色しているものや白や茶色の斑点が混ざっているものは病害虫の可能性があるため避けましょう。
いちごランナーに関するQA
A.美味しい実がつくとヒヨドリやアライグマなどが食べに来るため、ネットや防獣網を使って対策します。通販やホームセンターなどで購入できます。
A.病気はうどんこ病、灰かび病、イオウ病、炭そ病などです。害虫はアブラムシ、ハダニ、ヨトウムシ、アザミウマなどがあげられます。
A.病気になってしまったり虫がついてしまった場合は、無農薬でも対策はできますが、薬剤を使わないと対処できない場合もあります。窒素分を多く含む肥料を与えすぎるとうどんこ病にかかりやすくなると言われていますので気を付けましょう。
いちごの育て方
置き場所
いちごは日当たりの良い場所を好みますので、風通しの良い日の当たる場所に置きます。地植えの場合水はけのよい柔らかい土の場所に植えると、根が伸びやすく良く育ちます。水はけの悪い場所は腐りやすいので避けてください。
用土
土づくりは、肥料をまいて土を混ぜてからしばらくなじませておくのが良いため、少し早めに準備するのが望ましいです。
ただし、有機質肥料などは時間をおいてしまうと効き目が弱まる可能性もあるため、肥料と土を混ぜてから植え付けまでは間隔をあけないようにします。
弱アルカリ性の土を好むため、いちご専用の土や実を育てる野菜用の培養土などを選ぶのも良いでしょう。自分で作る場合は小粒の赤玉土と腐葉土とピートモスを6:3:1の割合で混ぜるのがおすすめです。
水やり
いちごの根は浅く張られているため乾燥しやすくなっています。表面の土が乾燥したまま時間がたつと苗が弱りやすいため水やりはしっかりと行いましょう。特に春の開花ご実ができ始めるころは特にこまめにチェックするのが良いでしょう。
逆に冬は休眠中で給水量は落ちます。冬の間は毎日与えず、土の表面が乾いたらお天気の良い午前中にたっぷりと与えるのが望ましいです。
肥料
植え付けをする際に、有機肥料の魚粉や油粕などを混ぜたり、化成肥料のリン酸やカリウム、またはいちご専用の肥料を与えてください。基本的に追肥は2回行い、生育を開始する前と花が咲き始めた頃です。
初心者であればあらかじめブレンドされた果物や野菜専用の肥料を利用するのがおすすめです。肥料にいちごが直接当たると傷んでしまうので気を付けてください。
防寒対策
寒さには比較的強いですが、真冬には防寒対策を取るようにしましょう。プランターであれば防寒ネットをかぶせます。地植えや畑の栽培は根元に藁を敷くと良いでしょう。
冬は葉の色が茶色っぽく変色してきますが、根は生きているため茶色く変色した葉だけを取り除くようにします。
1株につき5枚くらいのグリーンの葉が残るような状態を目安にするとよいでしょう。春になったら速やかに防寒用のネットやシートは外してください。
最後に
いちごはビタミンCが豊富な果物です。一度にいくつか食べることが多いためビタミンCを摂取するには最適です。ビタミンCは疲労回復や風邪の予防、肌荒れに効果的と言われています。
コツさえつかめばいちごの栽培は初心者でも失敗せず育てられます。また、ランナーを活用すれば継続して育てられるので是非チャレンジしてみましょう!