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醤油の保存方法
醤油に貼られているラベルには「冷暗所に保存」とだけ書かれていることが多いですが、これはあくまで開封前の状態を前提としているので、開封後も含めて考えるとベストな保存方法とは言えません。鮮度と風味を落とす原因である酸化を極力減らすためのポイントを押さえておきましょう。
開栓前の保存
開栓前は容器内で密封されているため醤油の酸化は基本的に進みません。そのため、日の光などが当たらない涼しい場所に置いておくことで長期にわたって保存することが出来ます。
また空気に触れるだけでなく、温度が上がってしまうことも酸化を進めてしまう要因となりますので、光が当たらなくても熱くなるような場所は避けましょう。
開栓後の保存
開栓後は空気との接触が始まり、酸化が急激に進むことになります。酸化が進むと色もより濃く濁っていくため見た目も悪くなってしまいます。
開栓後はしっかりと蓋を締めて冷蔵庫に保管するようにしましょう。空気に触れさせないことが重要となるので、すぐ使い切れる程度の量が入る容器に小分けにして保存しておくと、醤油が空気に触れる時間を減らすことができます。
補足:減塩の醤油は注意!
また、醤油は塩分が主体となるので常温でも大丈夫だと思われがちですが、含まれる大豆のタンパク質は状況によって腐敗しますし、減塩醤油などになるとそのリスクもより高くなりますので、使っている醤油が減塩の場合は特に保存に関して注意を払う必要があります。
醤油の賞味期限の目安
醤油などの調味料にも当然ながら賞味期限は存在します。とはいえ、古くは保存食としても使われてきた物なのでしっかりと密封された開栓前の状態であればかなりの長期保存が可能です。
醤油に記載されているのは多くの場合、消費期限ではなく賞味期限なので、この期限が過ぎても数ヶ月は使うことが可能なケースが多いでしょう。
もちろん保存状態に大きく依存するため、賞味期限が切れてしまった物を使う時は、まず臭いや味などをしっかりチェックする必要があります。
また保存容器によってもある程度大きく変化し、ガラス瓶や缶の容器は密封度が高く長い保存期間が望めますが、ペットボトルの場合はやや密封性に劣り、微量ながら空気が中に侵入してしまうため保存期間が短くなりがちです。
開栓前
醤油の種類 | ペットボトル保存 | ガラス瓶・缶保存 |
濃口・再仕込み・たまり醤油 | 18ヶ月 | 24ヶ月 |
薄口・薄口醤油 | 12ヶ月 | 18ヶ月 |
白醤油 | – | 8ヶ月 |
開栓後
開栓後は、「濃口」「薄口」「白」どの醤油でも開栓後は1ヶ月が賞味期限になります。
濃口醤油と薄口醤油の違いと使い分け
醤油は濃口や薄口などで比率、仕込みの仕方、熟成期間などの違いこそ有るものの、材料は大豆、小麦、麹、塩、水で出来ている点は同じです。JAS規格によって分類が定められており、濃口、淡口、たまり、再仕込み、白醤油の5種類に分けられています。
濃口醤油
旨味やコクもあって香りも程よく、塩分の濃度もほどほどで基本となる醤油です。そのまま付けて使ったり調理に使ったりと幅広く使うことができ、国内生産の8割を占める醤油です。
レシピなどでも「醤油」とだけ記載されている場合は、基本的にこれを指します。醤油の風味とコクが強くハッキリしているので、煮物などでよく使用されます。
薄口醤油
色が薄いため薄口と言われている醤油ですが、実際の塩分濃度は濃口が約16%なのに対し薄口は約18%と高く、辛めの醤油です。色が薄く強い塩気を持つことから、あまり色を付けたくない料理などに使われます。
またコクなどが和らいだスッキリした味わいなので、風味を上書きせず素材の味をいかす事ができます。主に具材の旨味をいかしたい炊き込みご飯や野菜主体の煮物などに向いています。
たまり醤油
たまり醤油は材料の大豆の割合を多くして作った物で、濃口醤油よりも更に濃い色、コク、風味を持ち、とろみが有るのが特徴の醤油です。
塩辛さよりも旨味が強く、主に刺し身につける用途として使われます。また加熱することで赤みを帯びて色味が良くなり、綺麗な照りが出るので焼き鳥や照り焼きのタレにも使われます。
再仕込み醤油
通常の醤油は大豆・小麦を麹で発酵させた物を、食塩水と合わせて熟成させることで作られますが、この食塩水の代わりに醤油を使って作られるのが再仕込み醤油です。
熟成が済んだ醤油を使って更に熟成させる作り方なので、より強い旨味やコクを味わうことが出来ます。用途はたまり醤油に近いですが、醤油そのものの味わいが強みなので熱を加えない使い方が多いようです。
白醤油
白醤油は薄口醤油よりもさらに味が薄い醤油です。色の濃いたまり醤油とは対称的に、小麦を主原料としながら大豆や小麦の皮などを取り除いて使っており、熟成期間も短く色がつかないため、薄い琥珀色の醤油です。
小麦の割合が多いために甘みが強くなっており、他の醤油とは違った独特の香りを持つため、薄口醤油と似た素材の色味をいかす料理に向いています。また白醤油に出汁などを混ぜたものが「白だし」になります。茶碗蒸しやお吸い物などに使われます。
そのほかの調味料の保存方法
醤油の他にも馴染み深い調味料の保存方法をご紹介します。醤油とともに適切に保存して美味しく使えるよう鮮度を保ちましょう。
味噌
味噌は購入後密封されたままでも発酵が進んでいます。温度を低くするとその変化を抑えられるため冷蔵庫もしくは冷凍庫で保存しましょう。冷凍庫に入れてもカチカチに凍ることはないのですぐに使うことが出来ます。
お酢
非常に強力な防腐作用を持つため冷暗所で常温保存します。しかしポン酢や果実酒など別のものが混ざっているものは冷蔵庫での保存が必須です。
ソース
高温の場所に置くと、とろみや風味などがどんどん落ちてしまうので冷蔵庫で保存しましょう。
マヨネーズ
未開封は冷暗所、開封後は冷蔵庫の野菜室での保存が最適です。0度以下では油の分離を引き起こすので冷凍は避けましょう。
ケチャップ
未開封は冷暗所、開封後は冷蔵庫で保存。
みりん
本みりんは冷やしすぎると糖分が結晶化してしまうので冷蔵庫は避け、冷暗所で常温保存します。みりん風調味料の場合はアルコール量が少なく傷みやすいので冷蔵庫で保存しましょう。
キッコーマン「いつでも新鮮シリーズ」は開封後も常温で保存する
キッコーマンのいつでも新鮮シリーズは容器に空気が逆流することがなく、常に中身の密封状態を保って空気に触れない仕組みになっています。お客様相談センターでも「夏場であっても開封後の常温保存が可能」とアナウンスされており、開栓後常温保存でも90日間美味しさを保つそうです。
美味しい食材を料理するために、調味料も美味しい状態を保とう
普段なかなか見逃しがちですが、調味料は調理する際には欠かせないものであり、料理の味を大きく左右する物です。
それだけに正しく保存して調味料の風味を長持ちさせることは、普段の料理の味をワンランクアップさせることにもつながります。この機会に調味料ごとの保存方法や保存容器などを見直してみてはいかがでしょうか。