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意識比較調査により若者の車離れが加速していることが判明
近年、若い世代の車離れが深刻化しているという話を耳にする機会が増えました。
株式会社KINTOが普通自動車免許を所持している都内在住のZ世代(18歳〜25歳)と地方(政令指定都市がない県)在住のZ世代、約600名を対象に車に対する意識調査を行ったところ、若者の車離れが加速していることが判明したといいます。
運転は好きなのに…若者自身も車離れを自覚
調査によると、都内・地方在住のZ世代は、共に「自動車を運転することが好きだと感じますか」という質問に対して、約7割もの若者が「とても感じる」「やや感じる」と肯定的な意見を回答しています。
しかし、次の問いで「あなたは、『若者のクルマ離れ』と聞いて、自分自身のことだと感じますか」と質問されると、都内在住の若者の7割以上が「そう感じる」と回答。地方でも46%もの若者が同様に「そう感じる」と回答していることがわかりました。
つまり、運転が好きな若者は多くいるのに対し、現実的には本人たちも自覚するほどの車離れが顕著になっているのです。この矛盾が生まれる原因を根本的に解消しなければいけません。
自分名義の車所有率は都内が42.1%、地方が63.7%
また、自分名義の車の所有率を調査したところ、都内が42.1%、地方が63.7%という結果が出たそうです。
さらに「現在自分名義の自動車が欲しいと思いますか」という問いに対して「はい」と答えた割合は、都内の若者が約40%、地方の若者が63%でした。
都内と地方で割合に大きく差が生まれている理由は、車の必要性の有無にあると考えられます。
なぜ?若者がクルマに乗らない主な理由
多くの若者が車を運転することに対して肯定的な一方、実際に所有している人の数が少ないことや、「欲しいとは思わない」と回答する人が多い現状です。なぜ若者は車に乗りたがらないのでしょうか。
自動車の購入価格が高くて買えないから
若者が自動車を所有しない理由の上位に「自動車の購入価格が高くて買えない」という理由が上がっています。
昨今、さまざまな商品の物価が高騰し、その反面で実質賃金が上がらないという問題に直面しています。実際、若者もその影響を肌で実感している人が多く、「今の給料では高額な自動車を買うことはできない」「生活費や他の娯楽費に使いたい」と考える人が増えているようです。
自動車を所有すると高額な維持費がかかるから
自動車を所有すると、自動車税や保険料、車検や修理費などのメンテナンス費用な燃料費など、多くの維持費がかかります。
自動車を購入するだけでも高いのに、持続的に維持費が発生することを考えると、現在の生活では支払い続けることは難しいという若者の意見が多いようです。Z世代でなくとも、同じ理由で車を持たない上の世代の人々も多くいます。
公共交通機関で十分移動できるから
東京都内をはじめ、最近はさまざまな地域で公共交通機関が整備・拡充されています。そのため、移動手段として電車やバスなどの公共交通機関を使えば十分だからという理由も見受けられました。
特に東京都内などの入り組んだ道路設計の地域は、車よりも電車で移動した方が移動しやすいと考える人も多くいます。
また、スーパーや病院などの必要な施設も近場に点在しているため、わざわざ車を使う必要がないと考える人も多いです。
「駐車場の確保が難しい」の声も
東京都内では「せっかく車を購入したとしても、駐車場の確保が難しい」という意見もありました。
自分名義の車を所有するということは、常に車を保管しておく場所の確保が必要になります。しかし、近年は駐車場を確保することすら難しくなっている上、都内であれば駐車場の料金自体が高額なケースも多いです。
以上の理由から、そもそも保管場所を確保できないから車を購入しないと決めている若者も増えています。
家族所有の車やカーシェア、レンタカーを利用する人が増加
自分名義の車を持つことは金銭的な理由などにより必要性を感じない、難しいと考える若者が増加傾向にあります。しかし、時には車を運転したい、ドライブしながら旅行を楽しみたいという意見は依然として多いです。
最近では、自分名義の車を所有するのではなく、家族所有の車を借りたり、カーシェアサービスやレンタカーサービスを利用する若者が増加傾向にあります。
さらに、「クルマのサブスク」なるサービスも展開されはじめており、諸経費が含まれた月額利用料金を支払い、一定期間だけ車を利用するという方法を検討する人も増えているようです。実際、クルマのサブスクは若者への知名度が高く、都内の若者の9割が、地方の若者の約7割が検討したいと回答しています。
こうしたさまざまなサービス展開が「高くて車が買えない」「維持費を支払うのが大変」と考える若者たちに支持されています。
実質的な手取り収入の上昇が若者の車離れ抑止の大きな鍵に
いかがでしたか。若者の車離れが深刻化している背景には、実質的な手取り収入の低さや物価高が主な原因として挙げられます。若者の車離れを抑止するためには、実質的な手取り収入の上昇が大きな鍵になるでしょう。
データ参照元:【2025年版】若者のクルマ離れが急拡大? 都内Z世代の72.8%が「自覚あり」、 2024年比で21.5ポイントの大幅上昇|株式会社KINTO コーポレートサイト