目次
手洗いの洗濯表示の見方とポイント
洗濯をする際、まずは洗濯表示を確認することが大切です。洗濯表示は少し前に改定されていて、現在は2種類の手洗い表示を確認することができます。
洗濯桶に手のマークが表記されているのが新マーク、「手洗イ」と表記されているものは旧マークですが、どちらも手洗いの指示がある衣類となります。
具体的な素材としては、
- 毛
- ポリエステル
- ナイロン
- アクリル
などの素材は洗濯機で洗うと縮みを起こす可能性があり手洗いに向いている素材です。またニットやカーディガンのほか、レース付きの衣類やワンピースなどは型崩れを起こしやすい衣類なので手洗いが適切です。
《 ポイント 》
- 最近改定された洗濯表示には、手洗いを示す新旧のマークがある。
- 毛、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの素材は手洗いに適している。
- ニットやレース衣類、ワンピースなども型崩れを防ぐ意味で手洗いが好ましい。
洗濯機の手洗いコースで洗う
洗濯機の手洗いコースでは、泡の力を利用しながら優しく衣類を洗うことができます。通常の洗濯とは異なる、衣類を傷めにくい洗い方が特徴的です。
デリケートな衣類にも最適
洗濯表示に手洗いの指示がある衣類は、基本的に洗濯機の手洗いコースやドライコースを使うことが可能です。
一般的な洗濯機の標準洗いは、たっぷりの水のなかで洗濯槽を力強く動かして汚れを落とします。脱水も回転力を利用して水をしっかりと絞るのが特徴です。
一方、手洗いコースやドライコースでは、洗剤を泡立てて泡の力で汚れを包み込み、流れるプールのような優しい水流ですすぎます。脱水も衣類が絡まないよう弱い力で行うため、デリケートな衣類を傷めずに洗うことができるのです。
衣類は洗濯ネットに入れよう
洗濯機の手洗いコースを使うときは、衣類は洗濯ネットに入れることがポイントとなります。
畳んでネットに入れることで、型崩れや生地の傷みを防ぐことができますが、汚れがきちんと落ちていないのではないかと不安になることもあるでしょう。ネットの大きさは衣類にあった大きさを選び、汚れている部分が表側にくるように畳みましょう。
シャツは汚れやすい襟を立てて、袖口はボタンをはずして内側を見せるように畳むのがコツです。もし、袖口の汚れが気になるようであれば、洗剤を直接汚れに染みこませてからネットに入れて手洗いコースで洗うと、きれいに汚れが落ちるようになります。
ただし洗濯機にドライコースがあっても、衣類の洗濯表示に水洗いNGというマークがついていたら、自宅での洗濯は諦めたほうがいいでしょう。その場合はクリーニング店でプロに依頼することで縮みや色落ち、型崩れを防ぐことができます。
《 ポイント 》
- 手洗いコースは泡の力で汚れを包み込み、優しく洗える
- 洗濯ネットに入れることで型くずれや傷みを防ぐ
- ネットの大きさを衣類に合わせ、汚れた部分を表に出す
- シャツは襟を立て、袖口のボタンを外して畳むと汚れ落ちいい
- 水洗いNGの表示があればプロに依頼する
手洗いの洗濯方法8選
洗濯機の手洗いコースがあったとしても、自分で手洗いした方が早くキレイに洗うことができる場合も実は多いです。他の物を洗濯機で洗いながら、横で大切なものだけ手洗いすれば、洗濯の回数を減らすことにもつながります。
基本は以下の手順なので、覚えておきましょう。
手洗いの基本の手順
- 洗濯物が浸かる30度のぬるま湯を用意する
洗面台のシンクに、洗濯物が浸かる程度の水かぬるま湯を溜めます。お湯の方が汚れは落ちやすくなりますが、熱い温度は生地を傷める原因になります。手洗いに最適な温度は30度と言われているので、衣類を入れる前に手を入れて温度を確かめるといいでしょう。 - 洗濯液を作る
水やぬるま湯が溜まったら、そこに洗剤をしっかり溶かします。使用する洗剤は、汚れがひどいものは粉末洗剤を、軽いものは液体洗剤を、デリケート素材にはおしゃれ着用の中性洗剤を使用するのが汚れを上手に落とすポイントです。 - 衣類を手洗いする
詳しくは後述します。 - 泡切れするまで新しい水で押し洗いする
洗い終わったら衣類を軽く押しながら洗濯液を流し捨て、同じ温度で2~3回水を換えながら押し洗いをし、泡が出なくなったら手洗い終了です。
①押し洗い
手洗いの中で、最も基本的な洗い方です。ぎゅぎゅっと押して汚れを落とすので、衣類を傷ませずに洗えます。手洗いマークの洗濯表示が付いているものや、デリケートな素材は押し洗いにしましょう。
おすすめの衣類
- ニット
- シャツ
- パンツ
- カシミヤ
- シルク
- ダウン
- ぬいぐるみ など
素材を傷ませない押し洗いは、冬用のニットやシャツに適した洗い方です。またカシミヤやシルクといった、シワになりやすい素材にも向いています。ダウンやぬいぐるみなど型崩れが不安なものも、押し洗いするのがおすすめです。
押し洗いの方法
洗濯液ができたら、汚れている側を表にしてゆっくりと衣類を手で押して沈めます。沈んだら手を放し、浮いてきたらまた沈めるといった動作を5分間で20~30回を目安に繰り返します。汚れがひどい場合は15分程度、衣類を洗濯液に漬け込んでから押し洗いすると汚れが落ちやすいです。
もし泡切れが気になるようなら、すすぐ前に衣類を洗濯ネットに入れ、洗濯機で脱水を30秒ほどかけます。そのあとで普段通りすすぎを行うと、泡が早くなくなるようになります。柔軟剤を使いたい場合は、すすぎ後に柔軟剤を溶かした液を作り、そこに2~3分浸けるとOKです。
②アコーディオン洗い
薄手の素材を傷ませずに洗うのが、アコーディオン洗いです。アコーディオンを弾くように「広げる」「寄せる」を繰り返して、汚れを落としていきます。春の衣替えで薄手の服を出したら、アコーディオン洗いでキレイにしましょう。
おすすめの衣類
- 薄手のブラウス
- 薄手のスカート
- 薄手のスカーフ
- レインコート など
アコーディオン洗いは、薄手の素材に適した洗い方です。シフォンブラウスや春夏用スカートなど、生地に厚みがないものに向いています。一方で、伸縮性の高い素材や厚手の素材は、「広げる」「寄せる」といった作業がやや手間なので、あまり向いていません。
アコーディオン洗いの方法
洗剤液の中に衣類をふわっと広げて、「中央に寄せる」「広げる」という動作を20回ほど続けます。アコーディオンを演奏するときのように、やわらかい動きで洗うと衣類が傷みません。シワや型崩れの元になるので、強く押したり握ったりしないようにしましょう。
③振り洗い
シワになりやすい衣類は、振り洗いで汚れを落としましょう。振り洗いは手洗いの中で最もダメージをかけないとされ、繊細な素材を洗うのに向いています。どうしてもシワになってしまう薄手のブラウスなどは、振り洗いがおすすめです。
おすすめの衣類
- 薄手のブラウス
- 薄手のスカーフ
- 薄手のブラジャー など
振り洗いは、片手で振れるくらい薄手の衣類を洗うのにおすすめです。またスカーフやブラジャーなど、小さい方が効率的に洗えます。シワになりやすい衣類の中でも、パンツやスカートなど面積の広いものは、振るのが大変なので不向きです。
振り洗いの方法
肩の縫い目やスカーフの四隅など、なるべく強度が高いところを持ちます。洗剤水の中で振るようにして汚れを落とし、一回水を取り替えます。水道水を流しながら、また振るようにしてすすいでいきます。
この洗い方では、基本の手順の④において、何度も泡切れする必要はありません。そもそも汚れが落ちやすい素材が多いので、軽くすすいだらさっと押し洗いし、完了としましょう。
④つけこみ洗い
つけこみ洗いは、そこまで汚れていない厚手のニットを洗うのにぴったりな洗い方です。押したり揉んだりしないので、型崩れしにくいのが特徴となっています。汚れがひどい洗濯物を洗濯機に入れる前につけおきすることがありますが、それと同じ要領です。
おすすめの衣類
- 厚手のニット
- 繊細な素材 など
つけこみ洗いは、衣類への負荷を極力抑えた洗い方です。そのため手洗いしたい衣類の中でも、あまり汚れていない衣類に向いているといえます。型崩れしやすいニットや、シワになりやすい衣類、装飾が付いた衣類などにいいでしょう。
つけこみ洗いの方法
汚れている面を表にしてきれいに畳み、洗剤水につけます。そのまま10分ほど放置して、軽くすすぎましょう。このとき、やみくもに衣類を動かさないように気をつけてください。
そのあと脱水をしますが、衣類に負荷をかけないようにバスタオルで挟んで水気を取り除くのがおすすめです。洗濯機で脱水したい場合は、30秒程度に留めましょう。
⑤つけおき洗い
ひどい汚れやニオイがきつい衣類は、つけおき洗いがおすすめです。こちらの方法はデリケートな衣類を洗うというより、洗濯機での洗濯前に手で余洗いをするというものになります。つけおくことで汚れが表面に浮き出し、洗濯機で洗うときに汚れが落ちやすくなります。
おすすめの衣類
- シャツ
- スポーツウェア
- 肌着
- マスク
- スニーカー など
汚れを落とすために酸素系漂白剤を使うので、デリケートな衣類は洗えません。毎日着るような衣類でとくに汚れがひどいもの、除菌したい衣類に最適です。ただし、おしゃれ着洗い用洗剤を使うのであればデリケートな衣類も洗えます。
つけおき洗いの方法
酸素系漂白剤で洗剤水を作り、20分以上放置します。汚れがひどければ、落ちるまで数時間つけてもかまいません。泥汚れは先にブラシでこすり落としましょう。襟の黄ばみは、汚れ部分だけに洗剤をつけると効果的です。
汚れの度合いに合わせて10分~1時間程度つけおきしたら、軽くすすいで、洗濯機でいつも通り洗濯します。
⑥もみ洗い
衣類の汚れた部分だけを重点的に洗うことを、「部分洗い」といいます。もみ洗いはその中でも、ダメージを受けにくい衣類を洗う方法です。泥んこになった子供のTシャツや体操服、黒ずんだ靴下、シャツの襟や袖の黄ばみなど、部分的なひどい汚れに適した洗い方です。
おすすめの衣類
- コットンの服
- リネンの服
- スポーツウェア
- 靴下 など
もみ洗いでは生地と生地をこすり合わせて汚れを落とすので、おしゃれ着はおすすめしません。あくまで日常着や丈夫な素材など、傷みや型崩れが気にならない衣類だけにしておきましょう。
もみ洗いの方法
汚れた部分に洗剤をつけ、両手を使ってゴシゴシと衣類をこすりましょう。洗剤を使っても取れない場合は、部分洗い用の固形石鹸を使うのがおすすめです。まずは汚れ部分に石鹸をこすりつけ、手で揉み込むように汚れを落とします。
⑦つかみ洗い
デリケートな衣類を部分的に洗いたいときは、つかみ洗いがいいでしょう。もみ洗いと比べて生地に負荷がかかりにくく、衣類を伸ばさずに洗えます。おしゃれ着洗い用の洗剤を使用すると、なお傷みにくいです。
おすすめの衣類
- 袖口が汚れたニット
- 袖口が汚れたシャツ
- 靴下の履き口 など
どんな素材でもかまいませんが、もみ洗いで伸びきってしまいそうな衣類はとくにおすすめです。例えばニットの袖口や靴下の履き口は、汚れやすい上に伸びやすいと思います。つかみ洗いは、そんなときの部分洗いに適しています。
つかみ洗いの方法
汚れた部分に洗剤をつけ、片手で生地を掴みます。そのあと離し、汚れが取れるまで繰り返しましょう。素材そのものがヨレやすい衣類の場合は、掴むのではなく「つまむ」洗い方にすると傷みません。指2本で生地を挟み、つまみながらゆっくりこすって汚れを落とします。
⑧たたき洗い
たたき洗いは、こすったり揉んだりすると伸びてしまう衣類の、部分洗いに適した洗い方です。洗剤をたたき込んで汚れを浮かせるので、シミ抜きにも向いています。例えば、コートの袖口にコーヒーをこぼしてしまった…なんてときに使えます。
おすすめの衣類
- スラックスの裾
- ダウンやコートの襟、袖
- デリケートな衣類の部分汚れ など
衣類を叩くので、あまりに繊細な衣類は向きません。またニットは、叩くことで毛羽立ってしまうのでおすすめできません。
たたき洗いの方法
スポンジに洗剤をつけ、汚れた部分をポンポンと軽く叩きます。叩いた刺激で汚れが浮き出し、コーヒーやジュースなどの頑固な汚れも落としやすくなります。スポンジはなるべく柔らかいものを選び、生地を傷めないようにしましょう。
《 ポイント 》
- 押し洗いは衣類を押して基本的に汚れを落とす手洗い
- アコーディオン洗いは薄手の衣類をアコーディオンのように洗う
- 振り洗いはシワになりやすい小さな衣類を振って洗う
- つけこみ洗いはあまり汚れていないニットを10分程度つける
- つけおき洗いは汚れのひどい衣類を前処理で浮かせる
- もみ洗いは部分的なひどい汚れをこすって洗う
- つかみ洗いはデリケートな衣類の部分汚れをつかんで洗う
- たたき洗いはスポンジで部分的に軽く叩き洗う
暮らしに手洗いを取り入れて洗濯上手になろう
衣類によっては洗濯機よりも手洗いの方が、生地を傷めずに汚れを落とすことができます。基本の手洗いは押し洗い、デリケートな素材はふり洗い、頑固な汚れは揉み洗いというように、手洗いを使い分けることで洗濯がもっと上手になるかもしれません。洗濯機と手洗いを組み合わせると大切な衣類をきれいに洗いあげることができますよ。