目次
靴を洗う前にすること
靴を洗う前に、素材別の特性を確認することと下準備が必要です。
素材の確認
靴の素材によっては洗えるものと洗えないものがあります。
水で洗える素材
「布製」と「合成皮革」の靴は水洗いすることが可能です。合成皮革も大丈夫ということは、ビジネス用の靴も洗えるということ、これはうれしいですね!
ただし、合成皮革は水に濡らすと表面が硬くなってしまいます。あまりバシャバシャと洗わずに軽く流す程度に留めましょう。
これらの素材の靴は内部まで水で洗い流せるので、内部にこもった嫌なにおいや湿気をとることができます。
水で洗えない素材
水をかけて洗えない靴の素材は「本革・天然皮革」と「スエード」です。本革は水に濡れると靴の表面にシミができてしまったり、型崩れの原因になります。
しかし、合成皮革と違って通気性に長けているので水に濡れないよう注意して普段から表面のお手入れをしていれば特に問題ありません。
スエードは起毛している革靴で、水に濡れると「カビになる」「シミができやすい」と言われています。実際は水を弾く力が強く、水に濡れてもほとんど跳ね返してしまいます。
あまりにビショビショにしたらさすがにシミができてしまいますが、普段からお手入れしていればちょっとやそっと濡れたくらいじゃ問題ありません。「水に濡らさない方がいい」けれど、お手入れしていれば「逆に水弾きが良すぎる」素材です。
下準備
靴を洗う前に、洗いやすくするための準備をしましょう。
靴ひもを外す
普段から履いたり脱いだりを頻繁に繰り返す靴は、靴ひもをいちいちほどかない人が多いんじゃないでしょうか?
しかし、ずっと靴ひもをほどかないでいると靴紐の裏にたまったゴミを落とせなくなってしまいます。洗う前に靴ひもを外すことで、靴ひもの裏に隠れた汚れやほこりをしっかり除去できる様になります。
中敷きを外す
靴の内部は湿気や臭いが充満しています。いくら通気性の良い靴でも、その問題からは逃れられません。
しかし、靴内部でも特に雑菌が多いのが中敷きの下です。足から出た汗や老廃物、そしてゴミなど受け止めているのは全て中敷き。
いくら靴を洗っても、中敷きを取らなければ中敷きの下にいる雑菌や汚れは落とせないので、洗う前に中敷きを取って靴の下部までしっかり洗いましょう。
砂や泥を落とす
砂・泥・大量のほこりなどがついた靴をそのまま洗浄するのは止めましょう。
洗浄する場所が汚れてしまいます。汚れ落とし用のブラシなどで落とすのが有効ですが、靴のかかと部分をトントン!と床や壁に軽く叩いて落とすだけでも十分です。
用意する物
靴を洗う時に必要な物をご案内します。
- 歯ブラシor靴洗い用ブラシ
- 浸け置き用バケツ
- 洗剤
- メラミンスポンジ
- 重曹
以上のアイテムを用意しましょう。
靴の表面に付いた砂や泥などの汚れを落とすのに、ブラシは必須です。歯ブラシでも大丈夫ですがおすすめなのは獣毛を使ったブラシ。獣毛ブラシは汚れを落としやすい上に靴の生地を傷めずに洗えます。
浸け置き用のバケツは靴が入りやすい形状とサイズを用意。縦に長い普通のバケツだと、靴を立てて浸け置きする形になってしまいます。そうすると型崩れを起こすかもしれません。理想は靴を立てずにすっぽり入る、タライの様な形状がベストです。
洗剤は食器用中性洗剤・洗濯洗剤が利用できます。もちろん靴専用の洗剤があればそちらが有効です。靴専用の洗剤は、靴の素材にダメージを与えず汚れを落とせます。お気に入りの靴は専用洗剤を使用するといいでしょう。
浸け置きで浮いた汚れを落とす時はメラミンスポンジをおすすめします。普通のスポンジでも落とせなくはないですが、メラミンの落とし具合は別格です。
メラミンは汚れを落とすというより「磨く」に近いです。表面の細かい網が繊維にくっついている汚れを絡めとってくれます。有名なメラミンスポンジは「激落ち君」ですね。100均ショップにも売っています。
もし、靴が全体的に黒ずんでいたり頑固な汚れが付いていたら重曹を使いましょう。浸け置き時に洗剤の代わりに重曹を入れればガンコな汚れでも浮かせてくれます。
靴の洗い方
靴の洗浄に必要な物はご用意できましたか?それでは、正しい靴の手洗い方法を見ていきましょう。
浸け置きする
浸け置き用のバケツに靴を入れ、しっかり漬かるほどの水を入れます。水は温度が高いほど洗剤が溶けやすく、かつ汚れが落ちやすいです。40℃から高くても50℃以下のお湯を入れましょう。
その後、洗剤を入れます。洗剤の希釈度は容器などに書いてある指示をご確認ください。浸け置き時間は約1時間です。また、靴に砂や泥などひどい汚れが付いている場合はすぐに浸け置きする前に歯ブラシなどで汚れをある程度落としましょう。
ブラシでこする
浸け置きが終わったら、ブラシを使って汚れを落とします。ガンコな汚れはメラミンスポンジを使って汚れを落としましょう。ブラッシングする時は靴の生地が傷まない様に優しくゆっくりと磨いてくださいね!
水で流す
汚れを浮かせたら、水で洗い流します。この時も水よりはお湯の方が効果的です。洗い流す作業は特に大事!靴の表面に洗剤が残っていると変色する恐れがあります。
泡が一切出なくなるまで念入りに洗い流しましょう。キレイな水(お湯)を入れなおしたバケツに浸けながら流すと洗い残しを防ぎやすいですよ。
陰干しする
洗い終わったら、靴を風通しの良い「日陰」で干しましょう。ただし「天日干し」はNGです!
天日干しの方が色々とメリットがありそうですが、実は靴を天日干しすると変色や変形してしまう可能性があります!
少し時間はかかりますが、日陰でじっくり乾かしましょう。干す前に洗濯機で脱水しておけば、乾くまでの時間を短縮することもできます。
干す時は、靴の形に合わせてハンガーを折り曲げて干します。100均やドラッグストアで販売している、靴専用のハンガーを使ってもいいですね。風通しがよくなるように干せばいいので、平干し用の網やカゴを使ってもかまいません。
また、吊るして干すことができない場合は、地面において乾かすのもありです。しかし、水の重みで型崩れを起こすので靴の中に新聞紙を詰めて型崩れを未然に防ぎましょう。
洗濯機を使う方法もある
これまで紹介したのは靴を「手洗いする方法」でした。しかし、手洗いをせずとも洗濯機を使って楽に洗う方法もあります。
やり方はとっても簡単。洗濯ネットに入れて単体で洗うだけです。コースは通常の選択コースでOK。注意してほしいのが脱水です。
脱水しなければシミができるし、そのまま脱水すると型崩れします。洗濯機で脱水工程に入る前に、靴の内部にタオルなどを詰めて型崩れを防ぎましょう。
また、洗濯槽の中央に靴を置くと壁にぶつかるので必ず洗濯槽の壁側に配置して脱水を始めてください。干し方は手洗いの時と同じ方法でOKです。
頑固な汚れや黄ばみには
普通に洗うだけでは落ちない頑固な汚れや黄ばみを落とす方法をご紹介します。
頑固汚れを落とす方法
歯磨き粉で落とす
スニーカーの表面やソール部分に付着した頑固な汚れ…いくらスポンジでこすっても取れなくて諦めてしまいそうですよね。
ですがそんな汚れに効果的な方法があります。それは「歯磨き粉」です。やり方はとても簡単。もう使わない歯ブラシに歯磨き粉を付けて、汚れの気になる部分を優しくこするだけです。
汚れを落としたら歯磨き粉が残らない様に水でキレイに洗い流すかウェットティッシュで拭き取ってください。歯ブラシは靴に装飾されたアクセサリーや靴紐まで磨けるので便利ですよ。
漂白剤入り洗剤で落とす
漂白剤入りの洗濯洗剤で、靴の頑固な汚れを落とせます。バケツにぬるま湯をはり、漂白剤入り洗剤を投入するのですが、このとき通常使用量の約6倍の洗剤を入れます。一定時間浸け置きして、通常通り乾かしましょう。
浸け置き時間は、白いスニーカー(運動靴)であれば一晩、色柄ものは8時間以内、金属の装飾があるものは1時間程度がベストです。
消しゴムで落とす
白い靴や色の薄い靴は、壁に擦ったり人に踏まれて黒く汚れることがありますよね。この汚れは頑固なように見えますが、実は消しゴムで簡単に落とせます。汚れた部分を消しゴムでこするだけという、シンプルな落とし方です。
ただしこの方法は水に濡れた状態ではできないので、必ず乾いた状態で行ってください。また消しゴムでの汚れ落としは、時間がたてばたつほど落としにくくなってしまいます。なるべく、汚れたその日に落とすようにしましょう。
黄ばみを落とす方法
酸素系漂白剤で落とす
特に白いスニーカーに起きる問題が「黄ばみ」ですよね。黄ばみと言えば使い古したシャツなどにできるイメージですが、靴の場合なぜか「洗い終わった後に黄ばみができた」なんてことありませんか?
靴に黄ばみができる原因はいくつかありますが、主な原因は「洗剤の洗い残し」です。洗剤だけではありません。実は靴を浸け置きする時に使用する「重曹」も原因の1つ。
すすぎがいかに大事かわかります。洗剤にせよ、重曹にせよ、黄ばみになる原因はそれらに含まれる「アルカリ性」です。「黄ばみ=アルカリ性」を落とすにはどうすればよいか?
そこで、酸素系漂白剤を使って浸け置きします。バケツに水(またはお湯)を入れて靴を浸けてください。時間は1時間程。それだけで黄ばみが取れます。もちろん、しっかりすすいでくださいね!
お酢で落とす
もし家に酸素系漂白剤が無かったら、お酢を使いましょう。お酢も酸素系漂白剤と同じ「酸性」なので、黄ばみを中和できます。
お酢と水(お湯)を1対1で割り、3時間くらい浸ければOKです。ただし臭いが付きやすいので、浸け置きし過ぎないよう注意してください。またそれでも黄ばみがひどい場合は、浸け置きする前に中性洗剤を用いてブラッシングするのがおすすめです。
クエン酸で落とす
お酢では臭いが気になるという方は、クエン酸がおすすめです。同じように3時間ほど浸け置きすると、黄ばみがキレイに落とせます。量は、バケツ一杯につき大匙2を目安にしましょう。
クエン酸はお酢ほどの即効性はないのですが、お酢のような刺激臭がないのがメリットです。また臭いがないのですすぎも簡単、洗い残しが起きにくいというメリットもあります。
洗い方の注意点
靴を洗う時の注意点を見ていきましょう。
強くこすらない
靴についた汚れがひどいと、ついつい汚れを落とそうとやっきになって強くブラッシングしてしまいたくなりますよね。
しかし強くこすってしまうと生地が傷ついてしまいます。とくに色柄ものの靴は、強くこすると色落ちしやすくもなってしまうのです。落ちない汚れは洗剤や重曹を使って焦らずじっくり落としましょう。
洗う頻度は半年に1回
靴を洗った後、あまりのきれいさに感動を覚える人は少なくないでしょう。気付かないだけで、靴って案外ひどい汚れが付いているんですね。
「もっと頻繁に洗うべきかな?」と思うかもしれませんが洗いすぎると色落ち・変色・生地の摩耗につながります。適切な洗う頻度は半年に1度程度で十分です。
どうしても気になるという方は、ブラッシングでほこりや泥・砂を落としたり軽く布巾で磨いたりするのを毎日行うのはいかがでしょう?
最後に
以上が、靴の適切な洗い方とガンコな汚れや黄ばみの対策、靴を洗う時の注意点でした。
靴を洗う時は洗剤とお湯による浸け置きでほとんどの汚れが落ちます。どうしても落ちない頑固な汚れは歯磨き粉と歯ブラシで落としてみましょう。
靴を洗う時に最も注意しなければならないことは「すすぎ」です。洗剤の洗い残しは後々黄ばみの原因につながるし、生地自体が変色してしまいます。また、干す時は必ず日陰を選んでください。日光も変色の原因の一つです。靴は頑丈そうに思えて意外と繊細なんですね。
靴は私たちの生活に欠かせない道具です。仕事している時も遊んでいる時も、ずっと足元で頑張ってくれています。今回紹介した洗い方を参考に、たまにはキレイな姿に戻してあげましょう!