目次
ポリエステルの洗濯方法とコツ
ポリエステル製品の洗濯は基本的にむずかしくはありません。ポリエステルはブラウス、ワンピース、アウターなどによく使われている合成繊維です。
ポリエステルは丈夫で軽く乾きやすい特徴があります。その一方で汚れを吸収しやすく洗濯で落としづらいという欠点も持ち合わせています。
ポリエステル100%でない生地や他の素材と混紡された生地は縮みやすいので、洗濯の際には注意が必要です。縮みやすい絹や綿と、伸びやすく縮みにくいポリエステル繊維を混紡した生地は、相反する特性により、シワや型崩れを起こしてしまうことがあります。
ポリエステルが100%では無い生地を洗濯する際は、どんな繊維と混紡されているか確認してみてください。
ポリエステルの洗濯前の準備
ポリエステル製品の洗濯をする前に事前に確認をする事や、やっておくべき事があります。
準備①:洗濯表示の確認
洗濯をする前に必ず洗濯表示を確認しましょう。ポリエステル100%の生地は丈夫なので自宅で洗濯しても問題ない場合がほとんどなのですが、縫製によってデリケートなポリエステル製品もあるので必ず洗濯表示の確認は必要になります。
水洗いマークがあれば自宅での洗濯が可能です。水洗いマークに×印がある場合は自宅での洗濯はできません。ドライクリーニングのマークの場合はクリーニング店に依頼します。
準備②:色落ちの確認
色柄ものを洗濯する場合はいきなり洗濯をしてしまうと色落ちしてしまう事があるので、洗濯前に色落ちしないか確認が必要になります。
用意するもの
- 洗濯で使用する洗剤
- ティッシュや白い布
色落ち確認の手順
洗濯しようとしている衣類の目立たない場所に洗剤の原液を少しつけます。数分後に洗剤をつけた場所にティッシュや白い布をあてて色落ちするか確認します。ティッシュや白い布に色が移っていた場合、洗濯で色落ちをしてしまうので、自宅での洗濯をあきらめてクリーニング店に依頼しましょう。
準備③:シミや汚れの事前処理
洗濯する衣類の一部にシミや汚れが目立つ場合は、シミや汚れの部分に直接洗剤をつけて軽くもみ洗いをしておきます。シャツの襟や袖口で汚れが目立つ場合は洗剤をその部分につけておきます。
ポリエステルの洗濯のコツ
ポリエステルの衣類を洗濯する前に、洗い方のコツについて知っておきましょう。
逆汚染には要注意!
ポリエステルは汚れをためやすい素材です。洗濯中に落とした汚れが再び付着してしまうことがあり、これを「逆汚染」といいます。
基本的にポリエステルは洗濯しやすい素材なのですが、この逆汚染だけは注意が必要です。洗濯で出た汚れの再付着、他の衣類からの汚れの吸収を避けるためには、予洗いと単独洗いがポイントになります。
基本は弱アルカリ性洗剤を使う
ポリエステルの洗濯に使う洗剤は、弱アルカリ性がおすすめです。弱アルカリ性洗剤は、中性洗剤よりも洗浄力が高いという特徴があります。ポリエステルは汚れを吸収しやすく落としにくいので、しっかりとキレイにできる弱アルカリ性洗剤が向いているのです。
ただし衣類によっては、中性洗剤を使用するように表示があるものもあります。中でも飾りが付いた衣類は中性洗剤を推奨している場合が多いので、予めチェックしておきましょう。
ぬるま湯で洗う
ポリエステルの衣類は、ぬるま湯で洗いましょう。とはいあえあまり高温なお湯は衣類が痛むので、30℃程度のぬるま湯を用意します。ぬるま湯は水よりも洗剤の回りが速く、しっかり浸透させることができるからです。
《 ポイント 》
- ポリエステルは毛玉ができやすいなどの欠点があるため、洗濯時には注意が必要
- 洗濯前には水洗いマークなどの洗濯表示を必ず確認する
- 色柄物は事前に色落ちチェックを行う
- シミや局部的な汚れは、洗濯前にスポット処理をする
- 洗浄力の高い弱アルカリ性洗剤が汚れをきれいに落とせる
- ぬるま湯(30°C前後)で洗うのがポリエステル生地に優しい
ポリエステルの洗濯方法
ポリエステルの洗濯は「洗濯機で洗濯する方法」と「手洗いで洗濯する方法」の2つの方法があります。それぞれの洗濯手順をご紹介いたします。
洗濯機で洗濯する方法
洗濯表示が水洗いマークのポリエステル製品は洗濯機を使って洗濯することができます。
準備するもの
- 洗濯用ネット
- 弱アルカリ性洗剤
- 柔軟剤
- 酸素系漂白剤(汚れや黄ばみが気になる場合は使います。)
洗濯の手順
- 洗濯用ネットに入れる
洗濯する衣類についているボタンやファスナーを閉め洗濯用のネットに入れます。ビーズなどの装飾が付いている衣類の場合は裏返しにしてネットに入れます。大きすぎるネットに入れてしまうと洗濯中にネットの中で動いてしまい、毛玉ができやすくなってしまったり、しわの原因になってしまうので大きさが合っているネットに入れましょう。 - 洗濯機を動かす
洗濯絵表示に合った洗濯コースを選んで、おしゃれ着用の弱アルカリ性洗剤と柔軟剤を入れて洗濯します。汚れや黄ばみが気になる場合は酸素系漂白剤を入れます。
洗濯機の洗濯でキレイに仕上げるコツ
- 脱水時間を短くする
- 汚れの酷いものと一緒に洗わない
- 水量を多めに設定する
- 洗濯物を入れ過ぎない
- 柔軟剤を入れて静電気を防止する
脱水時間を短くする
ポリエステルは乾きやすい素材です。洗濯の際、脱水時間は30秒~1分で止めて問題ありません。脱水時間を長くしてしまうとしわが出てしまいます。
逆汚染防止
前述したように、ポリエステルは逆汚染しやすい素材です。黄ばみや黒ずみ汚れの原因になってしまうので、汚れがひどい物と一緒に洗わない、水量を多めに設定し洗濯、洗濯物を入れ過ぎないようにします。あまり汚れがひどい場合は、酸素系漂白剤で洗うのもおすすめです。
静電気防止
ポリエステルは静電気を起こしやすい素材です。洗濯の際、柔軟剤を使用して静電気予防をしましょう。
手洗いで洗濯する方法
洗濯表示が手洗いマークの場合や水洗いマークの衣類でも薄くデリケートに感じる素材や特に大切にしたい衣類の場合は手洗いで洗濯しましょう。
準備するもの
- 洗面器
- 柔軟剤
- おしゃれ着用中性洗剤
ポリエステル洗濯手順
- 洗浄用の洗剤溶液を作る
30度前後のぬるま湯を洗面器にためておしゃれ着用中性洗剤を溶かします。 - 押し洗い
薄く平たくたたんだ衣類を洗剤溶液に入れて、手のひらで衣類を押したり離したりしながらやさしく押し洗いをします。こすり洗いをすると毛玉の原因になってしまうので押し洗いをしてください。 - すすぎ
洗面器の水を変えてすすぎをします。洗濯した衣類を泳がすように2~3回繰り返して最後のすすぎの時に柔軟剤を入れると仕上がりも良くなり静電気も防止できます。
ポリエステルの混紡製品の場合
洗濯表示が水洗いマークや手洗いマークになっている場合でも、ポリエステルと他の素材が混ざっている混紡製品の洗濯にはそれぞれ注意が必要になります。基本的な手順は変わりませんが混紡される素材によってコツがあるので個別に紹介します。但し、高価なコートの場合はご自分で洗濯せずにプロであるクリーニング店に依頼しましょう。
綿とポリエステルの混紡
綿とポリエステルの素材でできているマウンテンパーカーやトレンチコートやレインコートは基本的に手洗いで洗濯します。綿とポリエステルの混紡の場合はしわができやすくなるので、しわが目立つ場合はアイロンを低温設定にして当て布をしてしわを伸ばします。
ウールとポリエステルの混紡
ウールとポリエステルの素材でできているピーコートやダッフルコートも基本的に手洗いになります。手洗いでおしゃれ着用の洗剤を使うのですが、ウールはとても縮みやすいので洗うときは裏返しにしてすばやく洗います。干す際も変色しやすいので直射日光は避けて陰干しをします。
《 ポイント 》
- 洗濯ネットに入れて洗濯機で洗う。脱水は1分程度にとどめる
- 手洗いの場合は押し洗いで洗い、すすぎは2~3回行う
- 綿やウールなどと混紡の場合は手洗いが基本
- 混合生地の特性に応じた洗い方のコツがある
- 高価なコート類はクリーニング店に依頼する
ポリエステルの干し方とコツ
ポリエステル製品は洗濯してもしわになりにくく、乾きやすいという特徴があります。洗濯後は何も気にせず干して乾かしても良いのですが、ちょっとしたコツで干した後の仕上がりが変わるので意識して干すようにしましょう。
干す前に粗しわを取る
ポリエステル製品はしわになりにくいのですが、洗濯機から取り出してそのまま干すとしわがつくこともあります。干す前に生地の縫い目を持ってパンパンと叩いてしわを伸ばしたり、シャツの襟や袖をビッと引っ張りしわを伸ばします。
時間がないときは、さっと上下に振りさばくだけでもOKです。
基本はハンガーで干す
ポリエステル製品は、基本的にはハンガーで干してかまいません。シャツなどはハンガーに掛けた後、縫い目を引っ張りながらシワを伸ばすようにして干します。
コートやアウターなどの重たい衣類や、水を含んで重たくなった衣類は、ハンガーではなく竿に干すのがおすすめです。ハンガーで干すと重みで下へ引っ張られて、衣類が伸びてしまいます。
ニットは平干し
ポリエステルのニットはシワになりやすいので、平干ししましょう。ハンガーで干すと縦に伸びて、形が崩れてしまいます。専用の平干しネットを使用して、布地が重ならないように広げて干します。
干し場が狭くてネットを使えない場合は、ピンチハンガーの天面に置くといいでしょう。ニットのために場所を用意する必要がなく、省スペースになります。またハンガーを2つ用意して、ハンガーの穴部分に順番に通すようにして干す方法もあります。
なるべく陰干し
ポリエステル製品は基本的に日光にも強い素材ですが、色あせや生地の傷みを予防するために陰干しを心掛けましょう。陰干しを心掛けることで、日光による退色を防ぎ、衣類を長持ちさせることができます。
またポリエステル製品は、ニオイが残りやすいという特徴があります。ニオイの原因は、雑菌の繁殖です。風通しのいい場所に干して、雑菌が残らないようにしましょう。
付いてしまったシワはアイロンを使う
しわが残ってしまい、気になる場合はアイロンを低音設定にして必ず当て布をしてしわを伸ばします。当て布を忘れてアイロンがけをした場合、アイロンがけをした部分だけテカリが残ってしまう場合があります。
またポリエステル製品のアイロンがけは、なるべくスピーディーに行うことが大切です。短い時間でアイロンを当てた方が、衣類が長持ちします。
アイロンをかけ終わったら熱を冷まし、充分に冷たくなったら畳みましょう。熱いままに折り畳むと、しわができてしまいます。
《 ポイント 》
- 干す前にパンッと叩いてしわを伸ばしておく
- 基本はハンガー干し。重量のあるものは竿干しがおすすめ
- フォルムを保つため、ニットは平干しが適している
- 日光による損傷を防ぐ意味で、できるだけ陰干しが好ましい
- 残ったしわは低温のアイロンがけで伸ばす
ポリエステルのシミ対処方法
ポリエステル素材の製品にシミができてしまった場合は慌てずに生地の裏側に布を敷いて中性洗剤でシミをトントンと叩いて裏側の布にシミ汚れを移します。こすってはいけません。トントンと多く叩いたら洗濯表示に従って洗濯しましょう。
シミの原因がわかれば種類によって対処方法を変えることで生地への負担を減らしてスムーズに対処することができます。
水性のシミの場合
お茶、ワイン、コーヒー、醤油などの水性のシミは水に溶けやすいので、ついてすぐのシミは普通に洗濯をするだけでも目立たなくすることができます。シミに直接食器用の中性洗剤をつけてもみ洗いをしてすぐ洗濯をしましょう。
油性のシミの場合
化粧品、インク、チョコレートなどの油性のシミは油に溶けやすいので、洗剤ではなくクレンジングオイルを使って油で油を落とすとすばやい対処ができます。シミが溶け落ちたら洗濯しましょう。
混合性のシミの場合
カレー、焼肉のタレ、ミートソースは水性と油性の混ざった混合性のシミで落としづらいシミですが、クレンジングオイルで油汚れを溶かし、その後で中性洗剤をつけて洗います。洗ったら漂白剤をつけてドライヤーで温めてから洗濯しましょう。
洗濯表示が水洗い不可の場合は自宅での対処はできません。水洗いをすると傷んでしまう生地が使用されているのでクリーニング店にシミの位置や原因を説明して依頼しましょう。
《 ポイント 》
- 水溶性の茶渋等のシミはすぐに洗濯で対処できる
- 油性シミは擦り込み+洗濯で対応。クレンジングオイルが効果的
- カレー等の混合性シミは油+洗剤の併用洗浄が必要
- 水洗い不可の場合はプロに任せるしか対処法がない
ポリエステルの洗濯での注意点
ポリエステルは熱に弱く、高温の乾燥機を使用すると縮んで形を崩してしまうため、洗濯や干し中に注意が必要です。
乾燥機を使わない
比較的熱にも強いとされているポリエステルですが、高熱を加えると縮んでしまいます。乾燥機を使ってしまうと縮んでしまうので注意です。ポリエステルを使っている製品は自然乾燥させましょう。
濃い染色の衣類は別で洗濯する
ポリエステルは色落ちしやすいので、洗濯の際、濃い染色になっているものはほかの洗濯物と別にして洗いましょう。色落ちチェックをして平気な場合でも初回の洗濯はできる限り単体で洗濯し様子を見てみることをオススメします。
《 ポイント 》
- 乾燥機を使うと縮みが生じ形崩れしてしまうため避ける
- 色移りを防ぐ意味で濃淡のある衣類は分けて洗浄
- 加熱により衣類の損傷やサイズ変化が起きる可能性あり
まとめ
今回はポリエステルの洗濯方法とコツをご紹介しました。ポリエステルはさまざまな衣類で使用されているので洗い方をおぼえておくと役立ちます。洗濯前には必ず洗濯表示を確認して洗濯しましょう。大切な服は少しでも長持ちさせるように洗濯方法にも気をつけておしゃれを楽しんでください。