畳にカビができる原因とは?見分け方と効果的な掃除術を伝授

畳

畳にカビが発生しているのを発見した時のお掃除方法をご存知ですか?畳をきれいにお掃除するときに、やってはいけない方法も存在しています。正しい掃除方法をちゃんと理解し確認しておかないと後々大変なことになってしまう事があるのです。そこで今回は畳にカビが生えてしまった場合のお掃除方法とカビの発生防止対策を紹介します。

記事の監修
家事アドバイザー

家事アドバイザー・節約アドバイザーとしてテレビ・講演・コラム連載などで活動。頭を使って賢くスマートに、時間とお金をバランスよく使う暮らし方を提唱。著書に「シンプルライフの節約リスト」(講談社)などがある。

最近はフローリングの家が増えてしまいましたが、だからこそ畳の部屋の良い香りは貴重なものとなってきているのではないでしょうか。しかし一方で昔に比べて気密性が高くなっている日本の住宅は、畳にカビが生えやすい環境となっています。一度、生えた畳のカビは放置しておくとどんどんと広がっていくことに。カビを発見したらすぐに正しい方法で除去しましょう。

アルコール除菌スプレーと歯ブラシを利用して畳の奥にまで入っているカビを完全に取り除いてあげることが必要です。

除去が完了したらすぐ除湿器や扇風機を利用して乾燥させるようにしましょう。

畳にカビができる原因

カビは空気中にある非常に小さくて目で確認することができないカビの胞子が付着したのち、カビが発生する条件を満たすことで繁殖していきます。

どんな条件がカビを発生させる原因になるのかご紹介します。

カビが発生する条件

1:湿気
湿度が60%以上になるとカビは発生しやすくなります。雨の日に洗濯物を部屋干しすると窓を開けて換気をする事もできないので室内にどんどん湿気をためてしまうことになります。

2:室温
カビが繁殖するのに適している温度は20℃~40℃と言われ、特に25℃~28℃で活発に繁殖するとされています。この温度を考えるとカビは湿気の多い日本全域で発生すると考えることができます。

3:蓄積された汚れ
畳の上にたまるホコリなどの他に、日本では家の中では靴を脱いで生活をします。畳の上ではごろんと横になってみたり、裸足でいることで人から落ちる目に見えない垢や皮脂などの汚れがカビのエサとなり繁殖の原因になります。

4:空気
カビの胞子は空気中に普段からたくさん漂っています。カビの胞子は温度や湿度の条件が整うことで畳の表面に付着し、汚れなどの養分をエサに繁殖します。空気(酸素)がない環境であればカビはそもそも畳に付着することがないため、発生することはありません。

もちろん部屋の中を空気がない状態にはできませんので、できるだけ換気をすることが重要です。空気がこもっているとカビが発生しやすくなってしまいます。

イ草の性質はカビを発生させやすくする

畳の表面には天然の「イ草」という植物が使用されています。イ草は優れた吸湿性をもっており、畳は1帖で約500mlもの水分を吸収することが可能です。湿気を吸い取ってくれる畳は、湿気の多い日本にぴったりの床材だといえるでしょう。

しかし、いくら吸水性の高い畳でも、取り込むことができる水分量には限界があります。部屋の湿度が高い状態が続くと、イ草が水分を吸収し切れなくなってカビが発生してしまうのです。

上記のことから温度と湿気の高い状態が続いてしまう梅雨から夏場にかけての時期が最もカビが発生しやすい時期になるので、注意してこまめにお掃除をする事をおすすめします。

また、新しい畳も実はカビが発生しやすいので注意が必要です。これは畳が新しいとその材料であるイ草も新しく、新しいイ草は湿気や臭いの吸収力も強いため湿気を吸い過ぎてしまいカビが繁殖しやすい条件を満たしてしまうからです。

畳にできたカビの掃除方法

スプレーと雑巾を持って掃除をする女性

畳に発生したカビは自宅でも簡単に掃除することができます。まずは畳のカビを掃除する道具を準備しましょう。

用意するもの

1.乾いた雑巾やいらない布切れ
必ず乾いているものを用意してください。できればタオル地のものを用意すると畳の編み目まで入り込みお掃除がしやすくなります。

2.ゴム手袋
カビを直接手で触らずに済みます。発生したカビの程度によって薬品を使うので手荒れの防止になります。

3.クイックルワイパーのドライのもの

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クイックルワイパーにドライシート(乾いているもの)をつけて使用します。ウエットシート(ぬれているもの)は使用しません。

4.使い古しの歯ブラシ
掃除用の目地ブラシを用意したほうが作業的にやりやすいかと思いますが、わざわざ購入するのももったいないので、使い古した歯ブラシを使用します。掃除用目地ブラシがあればそちらを使用してください。

5.エタノール

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薬局などで購入してスプレーボトルに入れて使用します。別の容器に小分けしても使用します。エタノールが無ければ消毒用アルコールを代用して使用してもかまいません。

専門家による補足

カビは畳の奥に入り込んでいるものまでしっかり除去する必要があります。まずはホコリをほうきやフローリングワイパーでとりのぞきます。その後に使い古しの歯ブラシで畳の目に沿ってカビをかき出すようにします。その際に目や口に入らないよう、マスクと眼鏡をかけるといいでしょう。

歯ブラシでのかきだしが済んだらアルコール除菌スプレーを全体にかけて乾いた布で拭きあげます。

アルコール除菌スプレーで拭いたらすぐに乾燥を。除湿器があれば除湿器を無い場合は扇風機の風を直接当てるようにしましょう。

すぐに乾燥作業に入るためにも、畳のカビの除去は範囲を狭く区切ってやっていくことをおすすめします。

家事アドバイザー:矢野きくの

6.重曹

お掃除の強い味方で万能な重曹です。100円ショップで購入することができます。

7.酢
お料理で使用する米酢でかまいません。但し黒酢や果実酢などの色が付いている酢は使用しないでください。畳に色が残ってしまいます。

酢が使えない場合はクエン酸をスプレーボトルに入れて使用してもかまいません。クエン酸小さじ2に対して水500mlを入れてよく混ぜます。但し酢と違い蒸発しにくいので使用後は風をあてて乾燥させる必要があります。

8.マスクと眼鏡
カビを掃除する時は、カビや薬品を吸い込む恐れがあるのでマスクや眼鏡で体を守りましょう。眼鏡は伊達メガネやゴーグルでも大丈夫です。

準備ができたら、いざお掃除です!5つの手順で簡単にできます。

畳のカビ掃除の手順

  1. カビの表面の胞子をクイックルワイパーのドライシートを使ってそっと取り除きます。強くこすってしまうと畳にカビの胞子を畳にすり込んでしまうので力を入れすぎないように注意してください。
  2. スプレーボトルに入れたエタノールをカビ全体に吹きつけます。そのまま10分ほど放置します。エタノールは蒸発するので水分が畳に残ることはありません。
  3. 使い古しの歯ブラシを小分けした容器に入れたエタノールに浸して畳の目にそってブラシをかけてカビをかき出します。
  4. カビの色が残って気になる場合は、カビに重曹をかけてその重曹の上にエタノールをかけます。ブラシでやさしく擦って乾いた雑巾でふき取ります。
  5. カビの匂いが残って気になる場合は臭い対策に、酢をスプレーボトルに入れてカビのあった場所に霧状にしてかけて乾いた雑巾でふき取ります。独特な酢の臭いは残りますが除菌効果もあるので薬品を使用するよりも食品なので安全です。

あとはしっかり乾かすだけでお掃除は終わりです。むずかしいことはありません。ハウスクリーニングなどの掃除業者に頼らなくても簡単に畳のカビは排除することができます。

カビのお掃除にはカビキラーやハイターを思いつく方が多いと思いますが、畳は直接肌で触れる機会が多いので、できる限り使用を避けましょう。

特に小さなお子さんがご家庭にいる場合は、畳を触った手を口にすることもあるのでカラダに有害なもの使用はしたくないですよね。カビキラーやハイターは畳の変色を引き起こすこともあるので、ご紹介した重曹やエタノールなどを使用しましょう。

畳に発生するカビの見分け方

畳に繁殖するカビにはいくつか種類があります。種類によって除去のしやすさが変わりますので、見分け方をご紹介します。

白カビ
白いカビはカビの中でも掃除のしにくさは軽度のカビです。一見すると埃のようにも見えますが、実際の埃よりも白くてフワフワした見た目をしています。畳だけでなく壁や柱、窓枠にも発生しやすいです。

緑カビ
緑のカビは、見た目は異なりますが白いカビと種類は同じです。状態としては軽度のカビだといえるでしょう。いわゆる「カビ臭い」ニオイを発し、体内に入ると喘息などの症状を引き起こします。畳の表面が緑っぽく汚れていたら緑カビの可能性があります。

黒カビ
黒いカビは、クーラーやお風呂場などの湿気の多い場所によく発生します。黒カビは掃除するのが最も困難なカビです。

畳のカビ防止対策

カビは湿気のあるところで発生します。カビの防止には湿気が畳にこもらないようにするのが重要になります。お掃除の際に使用したエタノールのスプレーを吹きつけながら乾いた雑巾で畳の目にそって拭いておけば、除菌効果でカビの発生を防止することができます。

畳のある部屋は窓を開けてこまめに換気して風を通す

畳がある部屋は窓を開けてこまめに換気しましょう。換気をすればよどんだ空気や湿気を除去することができます。風の通りが悪い場合は扇風機やサーキュレーターを使用して空気を動かして風をあてましょう。エアコンの除湿機能を利用してもよいです。

布団を敷いたままにしない

畳の上に布団を敷きっぱなしにする、いわゆる「万年床」は畳にカビが生える原因となります。
人間は知らず知らずのうちに寝汗をかいています。

その量は一晩で約コップ1杯分にもなるので、寝て起きると汗で布団には湿気がこもります。畳を敷きっぱなしにすると布団と畳の間が湿ったまま放置することになってしまうので、当然カビが発生してしまうのです。布団は毎朝きちんと片付けるようにしましょう。

畳の上に絨毯やカーペットを敷かない

畳の上に常にものがある状態は通気性が悪く湿気がこもってしまいます。畳の上にカーペットや絨毯を敷くと、カビだけでなくダニも繁殖するので控えたほうが良いでしょう。もし畳の上にカーペットや絨毯を敷きたい場合は、畳との間に除湿シートを挟むと湿気がこもりにくくなります。

掃除をこまめにする

カビを発生させないために、畳はこまめに掃除をしましょう。皮脂や埃はカビの栄養になります。畳は掃除機や乾拭きをして清潔にしておくことが大切です。

畳を入れ替える

1度でもカビがひどく発生してしまった畳の場合は、見た目がキレイになっても畳の奥まで汚れている可能性があります。どうしても気になってしまう時は思い切って畳を入れ替えてしまうもの対策の1つです。

カビが発生しにくい畳に交換する

畳にカビが発生する原因の一つが材料になっている「イ草」です。最近はイ草ではなく、ビニールや和紙の素材でできた畳も販売されています。

イ草の畳よりも耐久性があり手入れも簡単なので、お子さんがいる家庭やペットを飼っているお家にもおすすめです。何度もカビが発生して困っている方は、思い切って交換してみてはいかがでしょうか。

畳のカビ掃除でやってはいけないこと

NG 禁止 怒っている女性

掃除機の使用

掃除機はごみやホコリといっしょにカビも吸い取ってくれますが、吸うと同時に排気もしています。目に見えないカビの菌がその排気にのって部屋中に拡散されてしまいます。また、掃除機の中に入ったカビが掃除機の中で繁殖してしまうことがあるので掃除機の使用はやめましょう。

雑巾で水拭き

雑巾で水拭きをするとホコリや細かいごみをキレイにする事ができますが、畳に水分を与えてしまうことになってしまいその湿気が新しいカビが発生してしまう原因になります。

乾拭き

カビができた畳を何もつけずに直接乾拭きしてしまうと畳の中にすり込んでしまい取り除くことが困難になってしまいます。乾拭きは必ずエタノールなどでカビを排除した後にしましょう。

まとめ

畳の上で眠る赤ちゃん

日本は特に梅雨から夏にかけて気温や湿度も高くカビが繁殖しやすい環境になります。冬でも暖房によって結露し湿気の多い場所ではカビが繁殖してしまいます。

カビは見た目も悪いものですが、それ以上にアレルギーの原因になってしまうなど健康面にも悪影響を及ぼします。小さなお子さんがいる家庭では畳は直接肌で触れることが多いので注意してください。適切な掃除方法で畳のカビを排除してカビの防止対策をしっかり行いましょう。

専門家による補足

カビは一度発生してしまうと根が生えている可能性も高く、次からも発生しやすくなってしまいます。
そのためにも部屋の湿度を下げることが大切。エアコンがある部屋であればエアコンの除湿機能を、ない場合は除湿器を利用して2~3週間に1度は部屋の除湿を完全にするようにしましょう。

部屋の除湿をすることでカビが生える可能性が一気に低くなります。
せっかくの畳の部屋、長く清潔に使うようにしたいですね。

家事アドバイザー:矢野きくの
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よくある質問

  • 畳の掃除の正しい方法は?

    1.家具をどける
    2.畳の目に沿って掃除機をかける
    3.固く絞った雑巾で水拭きをする
    4.乾拭きで仕上げる
    5.扇風機や除湿器やを使って完全に乾燥させる

    雑巾は新しいものを使用しましょう。使い古しの雑巾で拭くと、畳に汚れが移ってしまい、きれいにしたつもりでも、さらに汚れがひどくなることがあります。

    >> 詳しくはこちら

  • 畳の掃除のコツは?

    掃除機は必ず畳の目に沿ってかけるか、ほうきで掃くようにしましょう。そうすることで、畳の目を傷つけずに隙間のホコリを取り除くことができます。また、強くこすったり、押さえたりせず、掃除機を畳の上でゆっくり滑らせるようにしましょう。

    >> 詳しくはこちら

  • 畳にカビが生えたらどうする?

    クイックルワイパーのドライシートで、金型表面の胞子を除去します。次に、スプレーボトルに入れたエタノールをカビ全体に吹きかけ、10分ほど放置します。次に、小さな容器に入れたエタノールに使い古しの歯ブラシを浸し、畳の目に沿ってブラッシングしてカビを掻き出しましす。カビの色残りが気になる場合は、重曹をかけ、その上からエタノールをかけ、ブラシで軽くこすり、乾いた雑巾で拭き取ってください。

    >> 詳しくはこちら

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