目次
使い捨てカイロの正しい捨て方
自治体のゴミの分別に要注意
使い捨てカイロの捨て方は、主に「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」「不燃ごみ(金属類)」のいずれかです。ただし自治体のゴミの回収に出す場合、自治体によってゴミの分別や捨て方のルールが異なるので、お住まいの自治体に必ず確認してから捨てるようにしましょう。
例えば、東京23区だけでも区によって「不燃または燃やさないゴミ」「不燃ごみ(金属類)」「金属・ガラス・陶器ゴミ」というふうに分類方法が分かれます。
自治体によって捨て方が違うのは、使い捨てカイロの成分に理由があります。使い捨てカイロに含まれる「塩類」や「活性炭」は燃えるのですが、主成分は「鉄」です。回収したあとにこの鉄をどう扱うが自治体で違うので、捨て方も異なるというわけなのです。
①燃えるゴミとして捨てる
神奈川県横浜市や川崎市、千葉県千葉市、茨城県水戸市などは「燃えるゴミ」として分別されています。
鉄が含まれる使い捨てカイロを焼却できる理由としては、第一に鉄量が少ないことが挙げられるでしょう。鉄以外の成分を焼却すれば、あとは細かな鉄粉のみが燃え残ります。例えば横浜市では、「燃える分だけ燃やした方が、埋め立てる量が減る」という理由で燃やすゴミに区分しているようです。
また自治体によっては、未使用の使い捨てカイロが発火するリスクを回避するために、燃えるゴミとして焼却しているようです。
②燃えないゴミとして捨てる
東京都渋谷区や豊島区、埼玉県川口市、愛知県名古屋市などは「燃えないゴミ」または「不燃ゴミ(金属類)」となります。
使い捨てカイロが燃えないゴミに区分されるのは、やはり鉄が入っているからでしょう。例えば東京都23区のゴミ処理を担う「東京二十三区清掃一部事務組合」では、粉砕した金属類を磁力でピックアップしたあと、リサイクル品として民間企業に販売しています。
ちなみに金属類をピックアップしたあとに残った燃えるゴミは、改めて焼却しているようです。
リサイクルすることで埋め立てスペースの節約になることもあり、全国的には「燃えないゴミ」として扱う方が多いようです。
③外袋と中身を分けて捨てる
ごく少数ですが、使い捨てカイロの外袋と中身を分けて捨てる自治体もあります。例えば、外袋に「プラ」マークがついているものはプラスチック製容器包装として分別し、その中身は金属として不燃ごみに分別されます。
このように、使い捨てカイロの捨て方はさまざまですのでお住まいの自治体に確認しましょう。
使い捨てカイロを捨てる時の注意点
使い捨てカイロの捨て方で、「使い捨てカイロが生ゴミの水分と反応して熱くなった…火事になった…」という噂がネットで出ているようですが、使い捨てカイロが原因で火事になることは無いとされています。とは言え、用心するにこしたことはありませんので念のためすることをご紹介いたします。
安全な捨て方
- カイロは完全に冷めてから捨てる
- 熱が冷めたカイロをビニール袋に入れ、袋の中の空気を抜いてから、しっかり口を閉じて捨てる(酸素にふれないよう袋の中の空気を抜いて捨てる)
- 大量の使い捨てカイロを捨てるときはお住まいの自治体に捨て方のルールがあるか確認する
- 暖房器具の側に捨てない
使い捨てカイロは火事にならないといわれている理由もご紹介いたします。
火事の心配は無い理由
- 使い捨てカイロの一般的な最高温度は60度~70度程度で、物が燃える温度ではない
- 一度冷たくなった使い捨てカイロは二度と熱くならない
- 使い捨てカイロは酸素と鉄が錆びる熱を利用して熱を出しているので、発火する温度にはならない
- 使い捨てカイロの外袋は水に溶けない。万が一、袋が破れて水分が入っても化学反応をおこし発火するようなことは無い
- 自治体によって使い捨てカイロを「燃えるゴミ」に分別しているところが多数あり、火事の恐れがあれば「燃えるゴミ」に分別することはない。
未使用の使い捨てカイロの捨て方
未使用の使い捨てカイロは、袋が破けて空気に触れていないのであれば、次の年の冬使用することになったとしてもだいたい問題なく使用できます。
未使用の使い捨てカイロは使用期限が過ぎていたとしても、酸素に触れたときに発熱することがありますので必ず袋を開け、完全に冷め切ってから捨てましょう。
使い捨てカイロは捨てずに再利用しよう
使い捨てカイロの成分は、水・塩類・鉄分・活性炭・バーキュライトになります。この中の鉄分が急速にサビることによって発熱します。そのため、完全に錆びてしまうと、二度と発熱できず、カイロとしての再利用は不可能となりますが、他の方法で再利用することができます。
使い捨てカイロの捨て方を知るのも大切ですが、再利用を知って活用するのは最もお勧めです。またゴミを減らすこともできますのでぜひ再利用しましょう。
消臭剤として再利用
使用済みの使い捨てカイロは、靴やブーツや下駄箱の臭い取りに使えます。使い捨てカイロの中の活性炭という成分は、実は脱臭剤にも使われている成分で活性炭の細かい穴が嫌な臭いを吸い取ってくれるのです。
しかも、袋の中で錆びてしまって酸化鉄となってしまった鉄分ですが、こちらも脱臭効果があり、脱いだ靴やブーツのなかにそのまま入れて一晩放置すれば嫌な臭いが消臭されます。
また下駄箱の臭い取りに使う場合は、使い捨てカイロの中身を出して小皿に乗せる方法もおすすめです。袋のままよりも強い効果を発揮してくれるでしょう。
ただし季節によって効果がなくなる期間が変わるので、消臭効果がなくなってきたら別の使い捨てカイロに取り換えましょう。
除湿対策として再利用
活性炭やバーミキュライトには細かい穴で水分を吸い取る効果があります。また、鉄分は空気中の水分に反応して水分を吸収する効果があります。中でも活性炭は湿気を吸収する力が強く、除湿剤として再利用するのにもってこいです。市販品でも、活性炭を使った除湿剤がありますよね。
そのため、湿気が多い場所において除湿することでカビの繁殖を防ぐ効果があります。除湿効果・消臭効果を活用して、クローゼットやタンスにも置くことをおすすめします。袋ごと置いてもいいですが、中身を取り出して小皿に乗せるとより効果的です。
ガーデニングとして再利用
バーミキュライトは土壌改良用の肥料として、観賞用植物の保湿土としてよく使われています。また、鉄分が土に含まれることによって野菜等の栄養化が増します。つまり、使い終えたカイロの中身をガーデニング用の土に混ぜることによって植物が元気になります。
なかには「使用後は花壇との肥料としてお使いください」と銘記された使い捨てカイロもあるようですが、それ以外の製品の場合、成分に塩類が含まれているため塩害を引き起こす原因にもなります。できるだけ塩分を取り除いてから使用することをお勧めします。
《塩分の取り除き方》
- 洗面器などに水を張り、カイロの中身を水の中に入れて混ぜ合わせ、しばらく放置する。
- コーヒーフィルター(ろ紙)などを使って、洗面器の水とカイロを分ける。
使い捨てカイロを水に混ぜることで塩分が水中に溶け出し、「ろ紙」でこすことによってカイロの中身がとりだせます。
脱酵素材として再利用
使い捨てカイロは、脱酵素材の代わりとして使えます。
脱酵素材とは、鉄が酸化する時に空気中の酸素を吸収し、カビや害虫、油脂の変質などを防止するものです。主に食品の包装や衣類関係で利用されています。脱酵素材と使い捨てカイロはともに「酸素を吸収する」効果があるものなので、同じように使えるというわけです。
お米の長期保存に活用
使い捨てカイロと衣類圧縮袋を使って白米の保存期間を延ばす方法があります。
《使用するもの》
- 白米(未開封のお米)
- 使い捨てカイロ
- 衣類圧縮袋
- つまようじ
- 除菌用品(除菌スプレーまたは除菌シートなど)
- ガムテープ
《手順》
- お米の袋の外側を除菌スプレーまたは除菌シートを使ってきれいに拭きます。
- お米の袋の両側に出ているビニールがひらひらした部分をガムテープで止めます。切り取らずにそのまま圧縮袋に入れると密封する際に隙間ができたり圧縮袋を傷つけたりジッパーに挟まる可能性があります。
- お米の袋全体につまようじを刺して穴を開けます。穴は2cm~3cmほどの間隔をあけて袋全体にまんべんなく刺しましょう。これはお米の中の酸素をできるだけ外に出して空気の通りを良くすることが目的です。
- 穴を開けたお米を衣類圧縮袋に入れます。
- 使い捨てカイロを軽くふって発熱が始まる状態にし、つまようじで穴を開けたお米の袋の上に使い捨てカイロを置きます。
- 衣類圧縮袋の空気を抜いて圧縮します。カイロはしばらく発熱していますが、しっかり密封していれば熱が冷めて冷たくなります。もし、いつまでたっても冷たくならない場合はしっかり圧縮されずに酸素が残っている可能性があります。圧縮袋に空気が残っている場合はしっかり空気を抜きましょう。
- しっかり密封し使い捨てカイロが冷たくなったら完了です。あとは湿気のない場所に保管しましょう。
NPO法人に回収してもらう
地球環境ネットワークの一環で「鉄の資源材」として使い捨てカイロの中身を使う運動がおこなわれています。ただし、誰でもが利用できるわけではありませんので活動しているNPO法人に条件などを確認しましょう。
そのまま捨てるのはもったいない使い捨てカイロです。カイロとしての役目を終えた後でも、脱臭剤・除湿財などに再利用・リサイクルすることによってゴミを減らすことができます。
参考:使用済み使いすてカイロのリサイクル|NPO法人 地域循環ネットワーク
使い捨てカイロの成分と効果
使い捨てカイロの捨て方で燃えないゴミに分別している自治体が多いのは、中身を知ると納得できると思います。
使い捨てカイロは、中身の鉄分を急速に酸化させることによって熱を発生させています。言いかえれば、粉状にした鉄を急速にサビさせることにより熱を発生させているわけです。これがカイロが温かくなる原理です。通常、鉄製品は時間をかけゆっくり酸化してサビますので、使い捨てカイロのように熱を発生することはありません。
使い捨てカイロに使われている原料は、「鉄粉」「水」「塩類」「活性炭」「バーミキュライト」の5つです。この5つを不織布の袋に入れて、使い捨てカイロが出来上がります。
鉄粉
カイロが暖かくなる原理は、鉄を粉状にすることによって急速に酸化させることにより熱を発生させます。鉄が粉状でないとカイロはなりたたないのです。
なぜ粉状にすると急速に酸化するかというと、粉の形態の方が表面積が大きいからです。表面積が大きい分、急速にサビさせることができるというわけなのです。粉状にすることで表面積を大きくし、素早い化学反応を促すことができます。
水
水によって鉄の粉の酸化を促進する効果があります。カイロがすぐに熱くなるのは水のおかげです。
塩類
塩類は鉄の粉の酸化を促進する効果があります。塩類はカイロにはかかせないものとなります。
活性炭
活性炭には表面に無数の穴があいていて、この穴に空気をたくさん取りこめることができます。鉄の粉と活性炭を混ぜることにより鉄の粉の酸化を促進させることができます。
鉄粉に水、塩類、活性炭を混ぜることで、鉄が化学反応を起こすのをさらに速くしているという仕組みです。
バーミキュライト
バーミキュライトとは小さい穴がたくさん開いた鉱物の一種で、高い保水力があります。カイロにはかなりたくさんの水が含まれていますが、中の粉を触った時サラサラしているのはバーミキュライトの表面の小さな穴に水分を取りこんで保水材の役目をしているからです。
例えばバーミキュライトを使った身近なものでは、観葉植物の保水土があります。植物の保水ができるくらい保水力が高いので、手で握ったり体に張り付けても不快感のない使い捨てカイロができるのです。
まとめ
使い捨てカイロの捨て方や再利用の方法はいかがでしたでしょうか?
昔は、使い捨てカイロといえば寒い冬に使用するものでしたが、近年では夏でもクーラーの効いたお店、オフィスで女性の冷え性防止や自律神経失調症から使い捨てカイロを使用する例が増えてきました。
つまり一年中使用されるということは、いつでもゴミとして捨てられることとなりますが、できる限り再利用することを心がけましょう。