目次
畳掃除の基本
まずは畳の構造を知って畳掃除の基本から学びましょう。
畳は何重にも重ねた稲わらを圧縮した「畳床(たたみどこ)」に、イ草を編みこんで織られた「畳表(たたみおもて)」を被せ、長いほうの辺に「畳縁(たたみべり)」を縫いつけて作られています。
「畳表」になるイ草の内部はスポンジ状になっていて、空気中の二酸化窒素などを吸着する性質があり、嫌な臭いも消してくれるといった空気の浄化作用が期待できると言われていて、その香りは人をリラックスさせる効果があります。
畳に掃除機をかけるポイント
畳掃除の基本は畳を傷つけないように畳の目にそって、掃除機で吸ったりほうきで掃きます。
力強く掃除機をかけたりほうきで掃くと表面のイ草を傷つけてしまい畳の持つ効果を失うことになってしまうのでゆっくりと、優しく行うのがポイントです。
掃除機やほうきをかけた後は、乾いた雑巾で畳の目にそって乾拭きをします。畳は湿気や水分に弱く湿気を残すことによってカビの原因にもなってしまうからです。
掃除機やほうきでの掃除は毎日、乾拭きは1週間に1度くらいで実施すれば畳をきれいに保つことができます。
ロボット掃除機で畳を掃除するときの注意点
ロボット掃除機、通称ルンバは自動でゴミを検知し吸い取ってくれる便利な家電。家事の時短になると人気が高まっています。しかし、残念ながらロボット掃除機ルンバと畳の相性はそれほど良くありません。
畳に掃除機をかけるときの基本は、目に沿って動かすことです。ロボット掃除機ルンバは畳の目にかまわず動き回るため、表面を傷つけてしまいがち。
畳のちょっとしたほつれやささくれに対しても、ゴミ検知機能が過剰に反応し執拗に吸い取ろうとする可能性があります。フローリングなどであれば便利なロボット掃除機ルンバですが、畳を掃除するときは使用を控えた方が無難です。
畳の掃除の正しい方法
手順1.家具をどける
掃除をする和室に置いてある家具を可能な限り、別室や廊下に移動させて掃除をします。細かいところまで掃除をする為に座卓、座椅子の他、置物なども移動させて畳の上に何もない状態を作りましょう。
手順2.掃除機やほうきでゴミを取り除く
畳の掃除の前に部屋の高いところから床に向かってハタキやハンディモップを使ってちりやホコリを落とします。
その後、部屋の奥から入り口に向かって掃除機やほうきでゴミを取り除きます。ご家庭でお使いの掃除機に「畳モード」があれば畳モードを使いましょう。
掃除の際は必ず畳の目にそって掃除機をかけたり、ほうきで掃きます。そうすることで畳の目を傷めず隙間に入ってしまったゴミを取り除くことができるからです。
掃除機はハンディータイプの物をお使いでは無い場合、本体を引きずりながら掃除をすると畳が痛むので出来る限り片手で本体を持ちながら掃除をしましょう。
畳だけではなく和室の掃除全般に言えることですが、強くこすらないでゆっくり優しく押し付けるのではなく滑らせるイメージで行ってください。
手順3.必ず乾拭きで仕上げ
はじめにご紹介したように畳はイ草という植物から出来ています。濡れた雑巾での拭き掃除で終わりにしてしまうと水分を含んだ状態になってしまいカビが発生してしまいます。濡れ雑巾で拭いたら、必ず乾いた雑巾で仕上げをしましょう。
畳のカビを掃除する方法
畳にカビが発生してしまった場合の掃除方法は、カビの状態によって掃除に使用する物が変わります。表面に少し見える程度のカビや青カビの軽度なカビには「酢」や「エタノール」を使用します。
酢を水で10倍に薄めて雑巾につけ固く絞ったら、畳の目にそって軽く擦りカビの除去をします。畳は湿気に弱いので必ず畳の目にそって乾拭きをしてください。
掃除の直後は酢の臭いが残りますが、時間と共に臭いは消えます。酢はどのご家庭にもあると思うのですぐに掃除をすることができます。
エタノールは酢よりもカビに対して効果的です。スプレー容器に入っている消毒用エタノールがあれば、畳の掃除以外にも使えるので便利です。
カビの部分に少し高い位置からスプレーしてから、使い古しの歯ブラシなどで畳の目にそって優しく擦りカビを取り除きます。取り除いたカビを雑巾で拭き取り、最後に再度スプレーをしてから乾拭きをして完了です。
畳にカビを見つけたら、すぐに掃除をすればカビがひどく広がることはないので早めに対処しましょう。
このページの掃除のしかたで何度となく「乾いた雑巾で乾拭きをする」と最後に出てきますが、それほどに畳にとって水分は天敵です。
乾拭きをしてもなんとなく湿っているような場合は、エアコンの除湿機能を使ったり、扇風機を畳にむけて3~4時間かけて完全に乾燥させることをおすすめします。
畳のダニを駆除する方法
ダニは湿度60%以上・適度な温度20℃~30℃・えさとなるちりやホコリや人間の皮脂などを好み発生し、生命力が強いのですが、「熱」には弱いと言う特性を持っています。
また、ダニを放置し死骸やフンを吸い込んでしまうことでアレルギーの原因となる可能性もあります。目で見ても存在がわかりづらいので、発生させる環境を作らないことを心がけましょう。
毎日の掃除
毎日の掃除はダニのえさになってしまう「ちり、ほこり、皮脂、食べかす」を放置しないことが大切です。掃除機を1畳あたり数十秒ゆっくり畳の目にそってかけることで、畳の表面にいるダニを排除できます。
ダニ駆除剤を使う
薬局などで購入することが出来るダニの駆除剤を使用します。スプレータイプは表面に吹きかけ、針を使った注入タイプは畳の内部に噴射して潜むダニを駆除します。
布団乾燥機を使う
ダニは熱に弱く60℃を超えると死滅します。畳1畳ずつ畳の上に布団を被せて布団乾燥機をかけます。こうすることによって布団の湿気を排除し布団のダニも胎児する事ができます。家族で使っている布団を畳1畳に1枚ずつ使えばまとめてキレイにする事が出来て効果的です。
布団乾燥機以外にもアイロンの熱でダニを駆除するという方法もありますが、アイロンの大きさから考えると効率が悪くなってしまいます。布団乾燥機をお持ちで無い場合は代用してもダニの駆除は可能ですが畳を焦がしてしまってシミなどを作らないように注意してください。
駆除剤や布団乾燥機を使った後も必ず掃除機で吸ってダニの死骸やフンを排除するのを忘れないようにしてください。
畳に付いた汚れの種類で異なる掃除方法
実は畳は汚れの種類によって掃除方法が大きく異なります。ただ単に汚れを拭き取り雑巾がけしただけでは、キレイにならないこともあるため注意が必要です。
飲み物
畳に飲み物をこぼした場合は、すぐ乾いたタオルに吸わせて液体を取り除きます。こぼしてからのスピードが重要です。吸わせた後はさっと固く絞った雑巾などで水拭きをし、最後に乾いた雑巾でしっかり乾拭きをして水分が畳に残らないようにします。
油
畳に油をこぼした場合は、粉末の洗剤やクレンザーなどをふりかけ油を吸わせた後で掃除機で吸引して固く絞った雑巾で拭き取ります。その後に消毒用アルコールをつけて再度拭き、乾いた雑巾でしっかり乾拭きをしてください。
チョコレート
畳に付いたチョコレートの汚れは、水と重曹を混ぜた液体を使い古しの歯ブラシなどに染み込ませてかき出します。その後お湯をつけ固く絞った雑巾でかるく叩きながら汚れを浮かせて拭き取り、最後にしっかり乾拭きをします。
ガム
畳にガムを付けてしまった場合は、サラダ油を使い古しの歯ブラシに染み込ませてかき出します。その後お湯をつけ固く絞った雑巾でかるく叩きながら汚れを浮かせて拭き取ってから最後にしっかり乾拭きをします。またはコールドスプレーでガムを固めてはがす方法もあります。
クレヨン
畳に付いたクレヨンの汚れは、チョコレートの時の対処方法と同じ方法で、水と重曹を混ぜた液体を使い古しの歯ブラシなどを使ってかき出します。その後お湯をつけ固く絞った雑巾でかるく叩きながら汚れを浮かせて拭き取り、最後にしっかり乾拭きをします。
油性マジック
畳についた油性マジックの汚れは、除光液を化粧用コットンに染み込ませて畳の目にマジックの汚れが入り込まないように注意しながら優しく拭き取ります。吸わせた後はさっと固く絞った雑巾などで水拭きして、最後にしっかり乾拭きをします。
タバコの灰
畳にタバコの灰をこぼしてしまった場合、いきなり掃除機で吸ったりほうきで掃くだけでは畳の目の中に灰が入り込んでしまいます。まずはあせらずこぼした部分に塩をまきます。軽く全体をなじませたら灰の周囲をトントンと叩くと塩に含まれる水分が灰を吸着してくれます。最後に掃除機で塩を吸い取ればキレイに掃除できます。
尿
子どものおねしょやペットの粗相などで畳に尿が付着した場合、塩や小麦粉が活躍します。
まず尿が付着した箇所を乾いた雑巾で拭き取り、塩・小麦粉をまきます。歯ブラシなどで擦ったあと掃除機でキレイに吸い取り、さらに雑巾で水拭きします。風通しの良いところで乾燥させることでシミが残りにくくなります。
もしも、この手順を行っても尿の臭いが取れない場合はクエン酸やアルコールなどで除菌しましょう。ファブリーズでも臭いはある程度軽減できますが、畳の変色を招く恐れがあります。
特に犬や猫は自分の尿でトイレとなる場所をマーキングします。せっかく洗っても臭いを放置していると、また粗相してしまうかもしれないため、できる限り消臭しましょう。
畳を掃除する際の注意点
畳を掃除する際の注意点は必ず最後に乾拭きをすることです。畳のイ草は水分を吸収しやすいので、水分が畳に残ってしまうとカビを発生させてしまうだけではなくダニを発生させてしまう原因となってしまいます。
カビやダニは病気やアレルギーの原因となる可能性もるので、小さなお子さんがいる家庭では特に注意してください。
畳を清潔に保つ方法
畳を清潔に保つ方法は毎日のお掃除と換気です。ちりやホコリだけではなく人間の皮脂や食べかすが畳に残っていたり、ジュースなどをこぼして放置してしまうとカビが生えて健康面にも良くありません。
畳はイ草で出来ているので呼吸するとも言われています。天気の良い日には窓を開け空気の入れ替えもしっかりとしてください。
まとめ
今回は畳の掃除の仕方について詳しく紹介しました。畳は直接肌で触れる機会が多いものです。畳の上にごろんと横になると何だかすごく落ち着いた気分になりますしさわやかな香りでいやされます。畳はいつも清潔にして快適な生活を心掛けてください。
畳の構造からダニやカビが発生するメカニズムまで紹介されている本ページなので、読者のかたはより深く畳への知識が得られたのではないでしょうか。
基本の掃除のしかた、汚れ別の多処方法など覚えておいて損はありません。正しく掃除をして、長く美しく畳を使えるようにしましょう。
家事アドバイザー・節約アドバイザーとしてテレビ・講演・コラム連載などで活動。頭を使って賢くスマートに、時間とお金をバランスよく使う暮らし方を提唱。著書に「シンプルライフの節約リスト」(講談社)などがある。
まずは掃除機やほうきを使って汚れがたまらないようこまめに掃除をすることが大切。畳の目にそって掃除をすれば、中に入りこんだ汚れも取れやすくなります。
また畳は湿気が大敵です。除湿器やエアコンの除湿機能を使って定期的に乾燥させてあげることも必要です。