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食紅は代用できる?
食品を鮮やかに色付けするのにあると助かるのが食紅です。「食紅」という名前は食材に「赤い色をつけるための色素」と思われがちですが、実際には赤に限らず色んな食用色素をひっくるめて「食紅」と呼びます。
お菓子づくりや料理などに使う際にはほんのちょっとの量で足りるので、わざわざ買いに行くのも面倒ですよね。そんな時、身体に安心な他の食材で代用することもできるんです。
食紅の原料には天然のものと化学合成のものがある
日本国内で流通している食紅は「天然のもの」と「化学合成のもの」、この2種類に分けられます。
天然色素で作った食紅
ベニバナやベニコウジなどの植物を原料として作られているのが天然色素の赤い食紅です。黄色はクチナシの果実、青色はクチナシを発酵させた果実など、淡い色合いが特徴で、和菓子に使われることが多いです。できるだけ自然由来のものを使いたい方は、天然色素の食紅だと安心して使えるでしょう。
化学合成で作った食紅
「食用赤色2号」や「食用黄色4号」など、人工的に合成された食紅は全部で12種類あります。合成着色料は値段も安く、カラーバリエーションが豊富なのでいろんな色のお菓子を作りたい時におすすめです。
少しの量でも色鮮やかに発色し退色しにくいので、初めて使う方でもきれいな色をしたお菓子を作ることができるでしょう。
食紅は体に悪い?
ほんのちょっとしか使わない食紅ですが、化学合成のものには発がん性物質があると思っている方もいるようです。実際のところどうなのでしょうか?人工的に合成された食紅の原料はタール色素というものです。
天然色素の食紅は自然由来のものなので、安全性が高いのに対して、人工的に作られた合成着色料の原材料は、石油を原料とするタール色素というものです。
このタール色素には発がん性があるということですが、致死量にあたる200g~300gを一気に摂取しない限りは心配いりません。
普通に食事している分には決して超えることのない量ですので、健康を害する可能性は皆無ではありませんが基本的には安全なものと考えて良いでしょう。
《 ポイント 》
- 食紅には「天然のもの」と「化学合成のもの」の2種類がある
- 普通に食事している分には健康を害することはなく、基本的には安全なもの
食紅の代用として使える食材12品
ほんのちょっとしか使わない食紅がないからと言って、わざわざ買うのももったいないですよね。そこで、食紅の代用品の中でも特に使い勝手の良いものをご紹介しましょう。食紅の代用になるものを知っておくと、いざというときに役立てることができるでしょう。
かき氷用のシロップ
夏定番のかき氷のシロップは、いちごは「赤」、メロンは「緑」、レモンは「黄」など、とても鮮やかな色をしています。果物の風味はそれほどしないので、色味だけ必要という場合に食紅の代わりを十分に果たしてくれます。甘味は結構強いので、使用する際は砂糖の量を調整した方が良さそうです。
また、ゼリーやババロアなど冷やして固めるものには使いやすいのですが、水分量が多いためクッキーやパンには向いていません。
ハーブや野菜、果物から作られた天然のフードパウダー
名前の通り、ハーブや野菜、果物をフリーズドライにしてパウダー状にした粉末です。食紅の代用として使えるものは数多くあり、例えばマカロンやクッキーなどお菓子作りに赤色をつけるのに適しているのは、いちごパウダーとトマトパウダーでしょう。
自宅にあるフードプロセッサーやブレンダーで砕いたお手製の天然のフードパウダー使うと、そのままの食感を楽しめますが、ほんのりと風味もついてしまうため色だけを付けたいときには向いていません。
ジャム
代用品としては比較的入手しやすいジャムはいちごジャムとブルーベリージャムです。いちごジャムを泡立てたクリームに加えればピンク色になり、ブルーベリージャムは爽やかな青というより、藍色に近い濃い青色がつくのが特徴です。
ジャムは砂糖を煮詰めて作られているため甘味と重量があり、他の材料としっかり混ぜ合わせるのが難しいです。
また、食材の風味が強く出るので、クッキーやゼリー、ムースなどの洋菓子に使用すると良いでしょう。
ココアパウダー
寒い時期になると飲みたくなる冬の定番といえばココアですが、茶色を出したいときの食紅の代用品になります。ココアには粉末ミルクが混ぜてあるミルクココアと、ココアだけの純(ピュア)ココアがあります。
食紅の代用として使うのであれば、少量でもしっかり色がつく純(ピュア)ココアがおすすめです。真っ黒い色づきとほろ苦さがあり、パンやクッキー、マフィン、マカロンなどの焼き菓子にピッタリです。
抹茶パウダー
比較的手に入りやすくパウダー状で使いやすいのが、緑の食紅代わりに使える抹茶パウダーです。お菓子つくりによく使われていますが、独特の薫りと苦みがあるため、色だけを付けたいものには向きません。
抹茶は水分を吸収しやすいので少量だけ加えるか、水分の量を少し増やしてバランスを取るようにしましょう。
青汁粉末
緑色の食紅代わりの中でも特に栄養バランスを意識したい方であれば、青汁粉末がオススメです。抹茶のような深い緑色の色彩を食材に付与することができ、緑黄色野菜などに含まれる豊富な栄養素を手軽に摂取できます。
ただし、青汁粉末によっては苦味が強いものもある点にはご注意ください。
竹炭パウダー
食用としても利用できる竹炭ですが、味も匂いもないため黒の食紅の代用品としてあらゆるものに使用できます。生地に竹炭パウダーを練り込んで使うと、ブラックココアパウダーよりも濃厚な黒色を出せますし、クリームなどに混ぜて使ってもOKです。
パンやドーナツ、スコーンの他、チーズケーキや白玉にもいかがでしょうか。ミネラルが豊富な上に腸内環境を整える作用があり体にいいので、健康的に代用することができますよ!
ビーツ
ビーツは天然成分の食紅としてロシア料理のボルシチに使われていることで知られています。代用するときは、ビーツを20~30分ほど煮詰めた煮汁を使うことで鮮やかな赤色になります。自然の食材なので、ケーキや生クリームにきれいな赤色を足したいときに安心して使うことができます。
香辛料
食紅の代用には香辛料も活用できます。例えば黄色を出したいときには、「カレー粉」「ターメリック」「サフラン」です。ターメリックやサフランは、使いすぎない限り味や香りはしませんが、お菓子作りには向いていません。カレー粉は料理によっては可能なのですが、カレーの香りが強くついてしまうので要注意ですよ。
赤紫蘇(あかしそ)
梅干しのパックの脇に入っていることが多い赤紫蘇ですが、真空パックされたものがスーパーで売られています。添加物や着色料を使用しているかどうかの安全性については、パックの裏に記載されているのを見てチェックしてください。風味がつくため紫蘇が苦手な方には向きませんので、お菓子以外の料理におすすめします。
野菜・果物ジュース
家にある野菜を絞ったお手製のジュースからつくる食紅の代用品は安全で、市販されていない色も作ることができます。例えばオレンジ色を出したいのなら「にんじん」
ご自宅にあるミキサーやジューサーでにんじんジュースを作っても良いですし、市販されている離乳食用のベビーフードを活用してもOKです。最近は、余計なものが入っていない色の濃い濃厚な野菜ジュースや果物ジュースが多く出回っていますので、栄養も同時に摂れますよ。
バタフライピー
青い紅茶と言われるバタフライピーは、青の食紅の代用として使うことができます。しっかりと煮出したものを使っても良いですが、焼き菓子にそのまま葉っぱごと入れてしまう使い方もあり、鮮やかな青い色がしっかりとつきます。
グレナデンシロップ
カクテルに深い赤色やコクを出したいときなどに使われるグレナデンシロップの原材料は、ザクロと砂糖のノンアルコールシロップです。お酒が苦手な人やお子さんがいるご家庭でも安心して使えるので、赤の食紅としても代用できます。
クッキーやパウンドケーキなどを着色したいときに使うと、ザクロの赤色が鮮やかさを演出してくれるでしょう。
黒ゴマ
黒ゴマは料理に風味をもたらしてくれるだけでなく、セサミンやミネラルなど栄養素を豊富に含んだ食材です。食紅代わりとしても使用しやすく、すりゴマやペーストタイプなど料理に合わせて使い分けられます。深めの黒色をつけたいとき重宝する食紅代わりです。
デコレーション粉糖
「デコレーションシュガーパウダー」という商品名でも扱われることが多い粉糖は、食紅代わりとしてかなり優秀です。ストロベリー粉末と混ぜ合わされた赤色や抹茶粉末とミックスされた緑色など様々なカラーバリエーションが存在します。
ただし粉糖という性質上、食紅の代わりとして利用できるのは、製菓など一部の料理に限定されやすいです。
《 ポイント 》
- かき氷用のシロップ
- ハーブや野菜、果物から作られた天然のフードパウダー
- ジャム
- ココアパウダー
- 抹茶パウダー
- 青汁粉末
- 竹炭パウダー
- ビーツ
- 香辛料
- 赤紫蘇(あかしそ)
- 野菜・果物ジュース
- バタフライピー
- グレナデンシロップ
- 黒ゴマ
- デコレーション粉糖
食紅の役割
食紅の主な役割は、着色料として食品に色をつけることです。
食紅の役割の具体例
- お菓子類をはじめ、ハムなどの加工食品やたくあんなどの漬物に。
- 誤って食べないように目印として食紅を混ぜて目立ちやすくする。
- 製氷機の掃除はクエン酸水と食紅を混ぜて製氷し、色のついた氷を捨てる。
食品にあえて色を付ける理由
- 色味をよくすることで見た目が良い。
- 食欲を増進させる。
- 時間の経過に伴う食品の退色を防ぐため。
などがあります。
また、食品添加物の本来の目的に反することとして、肉類、魚介類、野菜類のような生鮮食品への使用は、購入者が正しく判断できなくなるため使用を禁止しています。
食紅の購入場所
あまり購入する機会のない食紅ですが、簡単にきれいに着色したいという場合にはやはり食紅が便利です。ではどこで食紅を購入できるのでしょうか?
スーパー
ほとんどのスーパーでは、「製菓用品コーナー」や「調味料コーナー」に置かれていることが多く、よく使われる「赤」[黄]「青」なら手に入りやすいでしょう。
100均
スーパーと同じように、製菓食材やクッキーの型などが置いてある「製菓用品コーナー」に置かれています。クリスマスシーズンやバレンタインシーズンになると品ぞろえが豊富になります。
インターネットのショップ
確実に食紅を購入できるのがインターネットのショップです。スーパーや100均では珍しい「青」や「緑」なども、ネットショップなら色々と選ぶことができるでしょう。
《 ポイント 》
- 食紅の役割は着色料として食品に色をつけること
- 肉類、魚介類、野菜類のような生鮮食品への使用は禁止
- 珍しい色はネットショップで購入するのがおすすめ
最後に
食紅の代用品として安心して使えるものを12こ挙げてみました。めったに使わない食紅をわざわざ購入しなくても、様々な食材で代用できることがわかりましたね。ご紹介したような方法で代用できますが、色付けする食材によっては思っていたような色が出なかったり、味や食感が変わってしまうこともあるようです。
また、食紅には天然色素で作った食紅と化学合成で作った食紅があります。ほんの少しの量しか使わないので、普通に食事をしていてる分には体に影響は無いとされています。
食紅がないときでも身近なもので代用し、安全なお菓子つくりを楽しんでみましょう!