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トリカブトとヨモギの違い
芽生え始めのトリカブトの葉とヨモギの葉はとても似ていますが、トリカブトは少量で致死量に達するほどの猛毒を持っていますので非常に危険です。
トリカブトをヨモギと間違って口にすると、不整脈、呼吸困難、心臓麻痺などで死に至るケースもあります。
自然のヨモギを摘む際にトリカブトと間違えないよう、まずはトリカブトとヨモギの特徴と違いをご紹介します。
トリカブトの特徴
トリカブトの一番の特徴は「毒」で、根・葉・茎・花など全体に含まれています。
トリカブトの毒成分はアコニチン系アルカロイド(アコニチン、メサコニチン、ヒパコニチンなど)というもので、1グラムでも致死量に至る猛毒です。
根の毒性が一番強いとされていますが、トリカブトの毒は接触しただけでも皮膚から吸収されますので非常に危険です。
トリカブトの種類は、日本では約30種類以上ありますが全てに毒があります。
トリカブトは多年草で、冬越えして春には芽を出し、8月~10月にかけて紫色の花が咲きます。トリカブトの種類によっては紫色以外にピンク、黄色、白色もあります。
生息地はトリカブトの種類によって異なりますが、日本全国の野原や山林などの木の陰や日陰で湿気の多い場所に生えています。
- 和名:トリカブト(鳥兜)別名:アコニツム、カブトギク
- 英名:monkshood
- 科・属:キンポウゲ科トリカブト属
- 分類:多年草
- 生息地:日本全土※本州中部以北の比較的寒い山中に多い
- 開花時期:8月~10月
- 種類:日本では約30種類以上
- 毒性:全株有毒 アコニチン系アルカロイド(アコニチン、メサコニチン、ヒパコニチンなど)
- 発生:日陰や湿気のある場所
- 草丈:80cm~150cm程度
- 葉:長さ8~12cm程度、幅12cm~15cm程度
ヨモギの特徴
和製ハーブの女王と言われるヨモギは、食用や薬用、美容など幅広い用途で使われています。ヨモギの一番の特徴は「香」で、ヨモギが使われている草餅や草団子は餅菓子の定番です。
ヨモギは多年草で日本全国の野原や山林、河川の土手など日当たりの良い場所に生えています。食用としての旬は3月~5月で、8月~10月にかけて小さな淡褐色の花が咲きます。
葉は葉先が羽状に深く切れ込みが入っています。また、葉の裏や茎には白い産毛が生えているのもヨモギの特徴です。
- 和名:ヨモギ (艾、蓬) 別名:モチグサ、モグサ
- 英名:mugwort
- 科・属:キク科ヨモギ属
- 分類:多年草
- 生息地:日本全土
- 開花時期:8月~10月
- 種類:日本では約35種類以上
- 発生:日当たりの良い場所
- 草丈:60cm~100cm程度
- 葉:長さ6~12cm程度、幅4~8cm程度
《 ポイント 》
- 芽生え始めのトリカブトの葉とヨモギの葉はとても似ている。
- トリカブトは少量で致死量に達するほどの猛毒を持っている。
- ヨモギは食用や薬用に使われる。
- トリカブトもヨモギも多年草で日本全土に生息しており、芽生え時期(3月~5月)や開花時期(8月~10月)は同じ。
トリカブトとヨモギの見分け方
「トリカブト」と「ヨモギ」は、葉の特徴、生える場所、香りなどで見分けることができます。
産毛の有り無し
ヨモギの葉の裏や茎には白い産毛のようなものが生えています。トリカブトには産毛は無く、葉の表面はツルツルで光沢があります。
葉の切込み具合
トリカブトは30種類以上ありますので、種類によって葉の形なども異なります。一般的に知られているトリカブトの葉は、3~5の切れ込みが基部まで深く入っています。
生える場所の違い
トリカブトは木陰など日陰で湿気のある場所に生えますが、ヨモギは日当たりの良い場所に生えることが多いです。ヨモギを探す時は、日当たりの良い場所を探しましょう。
香りの違い
ヨモギは独特の香りがしますが、トリカブトには同じ香りはしません。
《 ポイント 》
- トリカブトは湿気のある場所、ヨモギは日当たりの良い場所に生える。
- ヨモギ特有の香りがトリカブトには無い。
- ヨモギの葉の裏には白い綿毛のようなものが生えているが、トリカブトには無い。
トリカブトとヨモギを見分ける時の注意点
トリカブトを素手で触らない
トリカブトとヨモギを見分ける際、トリカブトを素手で触ったり、葉をちぎって香りを確認したりするのはやめてください。
トリカブトの毒のアコニチンは皮膚や粘膜からも吸収されますので非常に危険です。もし、トリカブトの液が皮膚についた場合はすぐ洗い流しましょう。
トリカブトは約30種類以上あり、種類によって葉の形や色などが異なりますのでトリカブトの種類を見分けるのは専門家でも難しいようです。
また、生息地や環境によっても毒の強さも変わりますので、トリカブトらしきものを見つけても決して触らないでください。
トリカブトを誤食したら
トリカブトを口にしてしまった場合、すぐに吐き出すか病院で胃洗浄してもらいましょう。10~20分後には口唇や舌のしびれ・手足のしびれなどの症状が出ます。
その後は、嘔吐・腹痛・言語不明瞭が出て、続けてチアノーゼ・瞳孔散大、体温低下・不整脈、最後に呼吸麻痺・心室細動・心停止になる可能背がありますので、放置せずすぐ病院に行きましょう。
トリカブトと似ている山菜
トリカブトと似ているのはヨモギだけではありません。ニリンソウ、モミジガサ(シドケ)、ゲンノショウコなどがあり、それぞれ見分け方があります。
ニリンソウとトリカブトの見分け方
ニリンソウもトリカブトに非常に似ています。ニリンソウの群落の中にトリカブトが混ざっていることもあり、ヨモギよりも誤飲事故が多いようです。
出典:厚生労働省HP「自然毒のリスクプロファイル」
この画像の黄色い矢印がトリカブトでその周囲はニリンソウです。このようにニリンソウの中にトリカブトが紛れ込んでいたら気が付かないのも分かりますね。
〈葉の違い〉
ニリンソウは地上部の茎の一か所から生えますが、トリカブトは茎に葉が交互に生えます。
〈根の違い〉
ニリンソウの根は棒形ですが、トリカブトの根は円錐形です。
〈花の違い〉
ニリンソウは白い花が咲きます。トリカブトの一般的な花の色は紫ですが、花の色が白い種類のトリカブトもあります。
ニリンソウにはプロトアネモニという毒が含まれていますが、湯がいてプロトアネモニンを抜くと食べることができます。
モミジガサ(シドケ)とトリカブトの見分け方
〈葉の違い〉
モミジガサの芽生えの葉には細かい毛が生えていますが、トリカブトには生えていません。モミジガサの葉は手のような形に切れ込みが入りますが、切れ込みは葉の中央部分までで基部までは切れていません。
〈根の違い〉
モミジガサ(シドケ)の根は白い細根ですが、トリカブトは棒形の塊根です。
ゲンノショウコとトリカブトの見分け方
〈葉の違い〉
ゲンノショウコは芽生えの葉には赤紫の斑点がありますが、トリカブトにはありません。
〈根の違い〉
ゲンノショウコの根は細根ですが、トリカブトは棒形の塊根です。
最後に
トリカブトとヨモギを見分ける際、トリカブトに触って毒がついたら危険ですので確認するなら白い産毛があるかないかに絞った方がいいでしょう。
ヨモギは30種類以上あり、産毛の無い種類もありますが自己判断は危険ですので「白い産毛があればヨモギ、なければトリカブト」と割り切って探した方が安全です。どちらか判断できなければ決して摘まないでください。
ヨモギは3月~5月の春先の新芽が一番美味しい時期です。ヨモギの葉は新鮮で柔らかいものを選びましょう。自然のヨモギを摘んで美味しい草餅を作ってみてくださいね。