目次
高菜と野沢菜の違い
こちらでは、まず高菜と野沢菜の違いや、それぞれの特徴についてご紹介いていきたいと思います。具体的には、どのような違いがあるのでしょうか。
高菜の特徴
高菜は、もともと中央アジアが原産といわれているアブラナ科の葉野菜で、からし菜の一種とされています。
古くは中国から九州に入ってきて、日本の各地に広まったようですが平安時代には、既に西日本地区では栽培されていたそうで随分古くから日本に定着してきた野菜の一つです。
<高菜の見た目>
高菜の株は20cm程度から1m近くになるものまであるそうです。その葉の形は、幅広で切れ込みはあまりなく少し縮れています。
高菜はいくつか品種があるそうで、葉の色が緑色をしている青高菜と呼ばれているもの、葉の色に一部紫色が入っている紫高菜、長崎県雲仙市吾妻町で栽培されている雲仙こぶ高菜などがあるそうです。
外側の大きな葉はやや固めで、内側の葉は柔らかくて生食も可能な青菜です。
<高菜の味>
高菜は、からし菜の系統の一種ですので葉は少しぴりっと辛味があるのが特徴です。この辛み成分は、マスタードと同じイソチオシアン酸アリルという成分によるものだそうです。
高菜は漬物にして食べるのが主流です。温暖な気候の九州地区の漬物はどんどん発酵が進み、酸味が強くなる傾向があります。元々の辛味と酸味のある高菜の漬物は、九州ラーメンのとんこつラーメンに欠かせない具材でもあります。
<高菜の栄養>
高菜は、βカロテンやビタミンC、カリウムの他に、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンK、葉酸、ビオチン、カルシウム等が豊富に含まれており、健康によい栄養素が豊富ですが、特に美容効果が期待できると言われています。
<高菜の旬な時期>
高菜は周年収穫することが出来るそうですが、漬物向けに収穫されるのは株が大きく成長してからになり、12月頃から3月頃までとなります。
<高菜の主な産地>
高菜は、古くは九州から近畿地方までの西日本の地域で広く栽培されていた時期があったようですが、現在は主に九州の各地の名産品として有名です。
主な産地は、三池高で知られる福岡県筑後地方、阿蘇高菜の産地である熊本県阿蘇地方、雲仙こぶ高菜の産地である長崎県雲仙市吾妻町などになります。
野沢菜の特徴
野沢菜は、アブラナ科アブラナ属の漬け菜の一種になります。
長野県の野沢温泉村で作られてきたことからの名前となりますが、近代では野沢温泉村だけでなく、その周辺で広く栽培されるようになったこともあり、信州菜(シンシュウナ)とも呼ばれています。
野沢菜の起源については言い伝えが残っており、1756(宝暦6)年に野沢温泉村にある健命寺の住職が京都に行った折に、地元に持ち帰った天王寺蕪の種をまいたところ、蕪は育たず葉だけが大きく育ったため、その葉を食すようになったと言われてきました。
しかし、現代の遺伝研究の結果、野沢菜は天王寺蕪の系統ではなく東日本の山間地に多い、ロシアのシベリア経由で入ってきた、耐寒性の強い西洋系の一種であると見られています。
<野沢菜の見た目>
漬物用に栽培されている野沢菜は、成長した大きいものは、およそ1m程の丈になります。葉の形状は、蕪や大根と同じで、根元から放射状に葉を伸ばしていきます。
品種が数種あり、蕪と大根を合わせたような、深い切れ込みがあるものもありますが、その多くは、だいたいが蕪の葉に近い形状をしています。
根元に小さな蕪に似た根が付いており、若いうちは、この根の部分も食べることが出来ますが、葉が大きく成長したものは固くなっていきます。
漬物用には、根は残したままで、葉の部分だけを収穫し手食用にします。
<野沢菜の味>
見た目が蕪の葉に似ているものが多い野沢菜ですが、その味は多少苦味がありさっぱりとしており食べやすいのが特徴です。
野沢菜は漬物として食べるのが一般的ですが、その漬物は長野県の寒冷地でゆっくり乳酸発酵されるため、味はマイルドで食べやすくご飯にとてもよく合います。
<野沢菜の栄養>
野沢菜は、食物繊維、βカロテン、ビタミンC、カリウム、亜鉛、ナトリウム、マグネシウムが豊富で、特に生活習慣病の予防に役立つ栄養素が豊富に含まれています。
<野沢菜の旬な時期>
長野県では10月下旬頃から収穫が始まり、雪が降りだすぎりぎりの11月下旬頃まで行われます。それ以降の雪が降る冬の間は産地を変え、その間の多くの野沢菜は徳島県で栽培収穫されるそうです。
<野沢菜の主な産地>
野沢菜は長野県が主な産地ですが、冬の間、豪雪地域の長野では作れないため、その間は徳島県が主な産地となるそうです。冬の間の漬物に使われる8割から9割もの野沢菜が、実は徳島県産と言われています。
その他の地域としては、長野県と隣接する新潟県産のものもあるそうです。長野県の野沢温泉村では、収穫された野沢菜を温泉のお湯で洗う「お菜洗い」という方法が古くから行われており、季節の風物詩として有名です。
高菜とからし菜の違い
こちらでは、高菜と非常によく似たからし菜についてご紹介いたします。高菜とからし菜の共通点や違いなどについて調べてみました。
高菜とからし菜の共通点
高菜は元々からし菜から生まれたもので、からし菜の変種になります。からし菜も高菜も同じアブラナ科の植物になります。
どちらも食べたときに、ぴりっとした辛味を感じることができます。辛味はありませんが、近い種類の野菜としては、かつお菜や小松菜が挙げられます。
そして、味もよく似ている高菜とからし菜の違いは、分類上としてはサイズによって分類されているそうです。
中サイズ以下は「からし菜」
長さが20cmくらいから、25cm位で収穫されたものは、からし菜に分類されます。からし菜の葉は、大根の葉に良く似ていて、深い切込みが入った形状をしています。
色見は黄緑色で、柔らかい葉物野菜です。味にはピリッとした辛味があり、お浸しや漬物として親しまれています。
中サイズ以上に育ったら「高菜」
高菜は、60cm程度まで成長します。特に、漬物用に使われるものは、大きく最大まで成長したものを使用します。からし菜と同じように、ピリッとした辛味を持ちますが、からし菜に比べると、葉や株が大きめです。葉は幅広になり、切れ込みがなくなったものが殆どです。
高菜・野沢菜・広島菜の違い
高菜、野沢菜、広島菜は、日本三大漬け菜と呼ばれています。特にこれらの違いについて、深く考えたことはありませんでした。
高菜と野沢菜については、ここまでにその特徴などについてご紹介してきましたが、こちらでは広島菜についてもご紹介していきたいと思います。
広島菜の特徴
広島菜はアブラナ科になり、白菜の一種とされています。一般的に売られている白菜は、先端の葉が丸まっている結球タイプという分類になりますが、広島菜は葉が広がっている不結球タイプの白菜として分類されています。
元々広島菜は、京都のお寺から伝わってきたと言われています。元来は、京菜(きょうな)、平茎菜(ひらぐきな)などと呼ばれていましたが昭和8年に広島菜と命名展示され、広島県を代表する野菜になりました。
<広島菜の見た目の特徴>
広島菜は50cmから60cmになり、重さは2~3kg程度まで大きくなるそうです。葉も茎も濃緑色で幅が広く肉厚、縦に平行した葉脈が走っているのも特徴です。
<広島菜の味>
漬物だけでなく、煮物や炒め物にも適しており、程良い歯切れ感があります。また、わさびと似た成分のぴりっとした辛味があります。
<広島菜の栄養>
広島菜は、むくみの予防や高血圧の予防にも効果的な野菜です。骨や歯を健康に維持し丈夫にするのに必要なカルシウム、リン、マグネシウムも含んでおり、カリウムも多く含まれています。さらに利尿作用があり、むくみの予防にも効果的です。
高菜・野沢菜・広島菜の選び方
こちらでは、これらの三大漬け菜と呼ばれている、高菜、野沢菜、広島菜を求める際の選び方についてご紹介してまいります。新鮮でよりおいしい菜を見分けましょう。
高菜の選び方
高菜を選ぶ際は、葉色が鮮やかな濃緑色で、張りがあり軸がしっかりしているものを選んでください。切り口の部分が変色していたり、葉がしおれたりしているものは避けてください。
野沢菜の選び方
野沢菜を選ぶ際は、根元から葉先まで、シャキッとしてみずみずしいものを選んでください。柄の部分に艶があることもポイントです。漬物にした際、最もおいしい箇所はこの柄の部分になります。
広島菜の選び方
広島菜を選ぶ際は、緑色が濃く、重みがあり肉厚なものを選んでください。切り口の部分が変色していたり、萎れてみずみずしさやハリのないものは避けてください。
最後に
今回は、特に漬物として有名な緑黄色野菜についてご紹介いたしました。
漬物としてとてもおいしくいただけますが、これらの野菜はその独特の風味を活かしてお浸しや煮物、炒めものにしてもおいしくいただけます。
また、これらの漬物はご飯にぴったりなだけでなく、麺類との相性もとても良いのでスーパーや販売所でお見掛けした際には是非お求めになり、ご家庭でいろいろなお料理でお試しになってみてください。