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「ヶ月」と「ヵ月」はどちらが正しい?
「ヶ月」と「ヵ月」どちらも正解!
こちらをご覧の皆さん!「いっかげつ」はどのように書いていますか?「ヶ」や「ヵ」のような小文字のカナのことを、「捨て仮名(すてがな)」と言いますが、なぜ小さい「ヶ」なのか不思議ですよね。
加えて、「ケ」を「か」と読むのもおかしな話です。結論から言うと、「ヶ月」と「ヵ月」、このどちらも正しい表現です。
役所の公文書や公用文で使えるのは「か月」と「箇月」だけ
役所が出す公文書や公用文、重要度の高いビジネス文書などでは、いろいろな言葉の表現による混乱を避けるため、言葉の表記を統一しています。役所が公文書や公用文を作成するときに使えるのは「か月」と「箇月」の二つだけです。
だからと言って、役所で統一された以外の「ヶ月」と「ヵ月」などが間違った使い方というわけではなく、使用してもよい表記なのです。
よって、言葉の統一性をそれほど必要としない私用のメールや手紙などでは、自分の使い慣れた表記を使用しても問題ありません。
「いっかげつ」の表現だけでもたくさんある
「ヶ月」と「ヵ月」の違いだけでも悩んでしまいますが、パソコンや携帯で「いっかげつ」を漢字に変換すると次のような7種類が表示されます。
- 1ケ月
- 1ヶ月(小文字の「ヶ」)
- 1カ月
- 1ヵ月(小文字の「ヵ」)
- 1か月
- 1箇月
- 1個月
このようにいろいろな表現がありますが、あまりにも表記の選択肢が多いため、迷わずに使いこなせる人は珍しいのではないでしょうか。
《 ポイント 》
- 「ヶ月」と「ヵ月」はどちらも正しい。
- 役所の公文書や公用で使えるのは「か月」と「箇月」の二つだけ。
- 私用のメールや手紙では、使い慣れた表記でも問題ない。
「ヶ月」と「ヵ月」は使い分けの必要はある?
ビジネス文書検定の勉強をされた方は、この 「いっかげつ」 の書き方が複数あることに頭を抱えた経験があるのではないでしょうか。
前の章でお伝えしたように、「どれも間違いではない」のですが、もう一歩踏み込んで、役所の公文書や公用文、NHKや新聞報道ではどういう表記がなされているのか解説しましょう。
公文書・公用文は「か月」と「箇月」
役所の公文書・公用文で使えるのは「か月」と「箇月」ですが、その使い分け方は以下の通りです。
- 算用数「1」「2」「3」に使う場合は「1か月」「2か月」「3か月」
- 漢数字「一」「二」「三」に使う場合は「一箇月」「二箇月」「三箇月」
このような使い分けには厳密な規則があるわけではありません。
戦後になってから、公文書や公用文、学校の教科書などで「か」に統一され、そのときの慣習が今もなお続いているのです。
履歴書やビジネス文書は「か月」と「箇月」
履歴書やビジネス文書にも、公文書や公用文と同じく「か月」と「箇月」を使用したほうが無難でしょう。
気をつけないといけないことのひとつとして、間違いでないとはいえ、同じ文章の中に「1ヶ月」と書いてみたり「3箇月」と書いたりするのは避けてくださいね。
報道機関は対応がまちまち
テレビなどの報道機関は「か月」を使うところもあれば「カ月」を採用する場合もあり、対応のしかたはまちまちのようです。ですがNHK放送では現在、「か」を使って「か月」に統一しています。
新聞報道は「1カ月」
新聞業界では新聞表記に大きな 「カ」を使った「1カ月」を使用しています。業種や業界、使うシチュエーションによって「かげつ」の表記を変えて使用することもあります。出版業界では、「1か月」と平仮名に統一するルールを設けているところもあるようです。
《 ポイント 》
- 公文書や公用文、履歴書や正式なビジネス文書は「1ヵ月」と「一箇月」
- NHK放送では「か」を使って「1か月」
- 新聞表記には大きな 「カ」を使って「1カ月」
「ヶ月」と「ヵ月」を使う際のポイント
同じ文章の中で違う表記を使わない
「1ケ月」「1ヶ月」「1カ月」「1ヵ月」「1か月」「1箇月」「1個月」のどれを使っても間違いではないことはわかりましたが、そのせいかごちゃ混ぜになって使われていることが多いようです。同じ文章の中で「1ヶ月から3か月の間」などのように「1ヶ月」と「3か月」が混在する文章は見苦しいですよね?
これでは文章の内容よりも字の方が気になってしまいます。読みやすい表記を一つだけ決めたら、あとは最後までそれで通して一貫性を持たせるようにしましょう。その業界によっては、同じ文章の中で違う表記を使わないように、表記を統一するルールを設けているところもあります。
地名などの固有名詞はまた事情が異なる
都内の「自由が丘」や「霞が関」は、今では平仮名に直されています。一方で、佐賀県にある「吉野ヶ里」や静岡県の「三ヶ日」などでは小さい「ヶ」が使われているように、場所によって違う字を使用しています。
その土地の歴史や文化と密接に繋がっている固有名詞は、そう簡単に統一したり変更したりできません。もちろん、「五箇山 (ごかやま)」 などの地名以外にも、「箇条書き」「例の箇所は」 などは漢字で表記します。
《 ポイント 》
- 同じ文章の中で違う表記を使わずに一貫性を持たせる。
- 地名などの固有名詞は、簡単に統一したり変更したりできない。
- 「箇条書き」「例の箇所は」 などは漢字で表記する。
「ヶ月」と「ヵ月」の由来
小さい「ヶ」や「ヵ」を使うことも、「ケ」を「か」と読んでいるのも不思議な話だと思いませんか?この章では「ヶ月」と「ヵ月」、これらの由来を探ってみましょう。
中国の「一箇月」が日本に伝わった時に「1ヵ月」になった
皆さんがご存じのように、漢字はもともと中国で生まれたものです。中国では当時、「いっかげつ」のことを、漢字で「一箇月」と書いていたのだとか。
これがそもそもの始まりで、日本に伝えられたときに、中国の「一箇月」が「いっかげつ=1ヵ月」と書くようになったのだそうです。
「一箇月」の「たけかんむり」が「ヶ」になった
「箇」 の 上にある「竹」かんむりの右の部分が「ヶ」になっていますよね?この一つを省略して符号的に用いられてきたと言われているのが「ヶ」です。
昔の人が画数の多い「箇」の漢字を、簡単に書けるように略してしまったものがそのまま全国に広まり、「ヶ」の形になったとのことです。
「ヶ」 は漢字の 「箇(カ)」 の略体
カタカナの 「ケ」 を小さく書いたものを、「か」 または 「が」 と読みますよね。なぜそのまま「け」と読まないのか不思議に思ってしまいますが、実は「ヶ」と はカタカナの 「ケ」 ではなく、漢字の 「箇(カ)」 の略体の 「个(カ)」という漢字からきているという説もあります。
この「个」は、現代中国語でも「個」や「箇」と同じ意味でよく使われています。つまりは、「ヶ」は「ケ」の小文字というわけではなく、「箇」や「个」からきている記号です。それに似ている大きいほうの「ケ」も、同時に使われるようになったのではないでしょうか。
《 ポイント 》
- 中国では「いっかげつ」を漢字で「一箇月」と書いていた。
- 「竹」かんむりの右の部分が「ヶ」になった。
- 現代中国語で「个」は、「個」や「箇」と同じ意味で使われている。
- 「ヶ」 は、「か」 または 「が」と読む。
最後に
「ヶ月」と「ヵ月」のどちらが正解なのか、これを使い分ける必要はあるのかについて、解説しましたがいかがでしたでしょうか?
最近はパソコンやスマホで変換される文字の一番目をそのまま使ってしまいがちです。「ヶ月」と「ヵ月」の二つに限らず、「いっかげつ」を漢字に変換すると他にも、「1ケ月」「1カ月」「1か月」「1箇月」「1個月」合計7種類が表示されます。ひらがなと漢字、そしてカタカナが混在する日本語ならではの複雑な表現ですよね。
どれを使っても間違いではないのですが、あえて正しい使い方は何かと言えば、役所が出す公文書や公用文に則って「か月」か「箇月」の二つのどちらかで表記するのが正解と言えるのではないでしょうか。
同じように、重要度の高いビジネス文書や履歴書などでも、いろいろな言葉の表現による混乱を避けるため、言葉の表記を統一して「か月」か「箇月」で表記するのが無難だと言えます。
一方で、私用のメールや手紙などでは、普段使い慣れているものを使用しても問題ありません。ただし、「1ヶ月」と書いてみたり「3カ月」と書いたりと、一貫性のない書き方だけは避けたほうが良さそうです。