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梅干しが腐るのは塩分濃度が低いから
梅干しが保存食として長持ちする理由は、濃度の高い塩分の働きによります。
塩を大量に使うことで梅の実から水分が抜け、梅干しが腐る原因となる菌が繁殖しにくくなるため、梅干しは腐ることがないのです。
しかし、最近では減塩タイプの梅干しやハチミツ漬け、リンゴ酢漬け、おかか入りなど、塩分濃度が低く、他の食材と組み合わせたものも多いため、他の食材の賞味期限や消費期限も重なり、これらのようなタイプの梅干しはどうしても腐りやすくなってしまいます。
減塩・食品添加物無添加の梅干しの賞味期限
作り方や製造元によって差があるようですが、合成保存料を含まない天然素材のみで作られている、市販の食品添加物無添加・減塩タイプの梅干しの賞味期限は2週間程度と言われています。
食品を長持ちさせるための食品添加物が加えられておらず、塩分も低い梅干しはとにかく劣化が早い為注意が必要です。保存料を含まず塩分濃度も低い梅干しは、冷蔵庫で必ず保存して早めに食べきるようにしましょう。
「安全に食べられる期限」の消費期限は賞味期限よりも少し先にはなりますが、減塩タイプなどの人気の塩分濃度の低い市販の梅干しは、腐りやすいので扱いには十分注意してください。
市販の一般的な梅干しの消費期限
塩分控えめで、酢やハチミツ、おかか和えなど、最近の梅干しはバラエティ豊かです。自家製の昔ながらの梅干しと違い、市販のこれらの一般的な減塩タイプの梅干しには、食品添加物が加えられています。
表示成分をみてみると、ビタミンB1、または、ビタミンB1ラウリル硫酸塩との記載がある商品が多く見られます。これらのビタミンB1成分は、食品を長持ちさせるための食品添加物になります。
この添加物が加えられている減塩タイプやハチミツ漬けなど、塩分濃度の低い梅干しの賞味期限は、約6か月とされているものが多いようです。
《 ポイント 》
- 塩分濃度が高い梅干しは腐らない、または腐りにくい。
- 減塩タイプの梅干しや、ハチミツ漬け、リンゴ酢漬け、おかか入りなど、塩分濃度が低く、他の食材と組み合わせたものは腐りやすい。
- 塩分濃度の低い梅干しの賞味期限は約6か月。
昔ながらの梅干しは腐りにくい
自家製の梅干しは、正しい方法でたくさんの塩を使って作ったものであれば、市販の減塩梅干しよりも長持ちします。期間は1年程度から、中には10年以上も保存できることもあるようです。
たっぷりの塩を使用することで梅の熟成をうながし、しっかり水分を飛ばすために十分に天日干しをする工程を踏んで作ること、保存容器もしっかり下準備することで、賞味期限をぐっと長期化することが出来るそうです。
梅干しの塩分濃度は18%以上だと腐らない!
梅干しは、塩分濃度が18/%以上だと基本的に梅干しが腐ることはないそうです。ここまで濃度の高い塩分の場合、実際には賞味期限は存在せず、常温保存が可能だと言われています。
実は現存する最古の梅干しは、室町時代に作られたもので500年前のものですが、現在も梅干しが腐ることなく食べられる状態だそうです。
梅干しが腐るとどうなる?
自宅にある梅干しは腐るのか、または腐っているのかを確認する方法についてご紹介いたします。
以下のような状態の梅干しは、腐っている可能性が非常に高いので、食べる前によく確認をしてみてください。
- 梅干しの表面にカビが生えている(表面が湿って白っぽい)
※乾いて白い「粒」の場合は塩なのでこちらはOK! - 梅の香りではなく、変な臭いがする
- 変に水っぽくなっている
- ドロッとして糸を引く
- ヌルヌルしたぬめりが出ている
- 黒く変色している
- 箸で触れると簡単に崩れてしまう
梅干し腐らせないポイント
一定濃度以上の塩分を用いることで、梅干しは腐ることがないのが分かりました。ここでは、他に梅干しを腐らせないための、大事なポイントについてご紹介いたします。
保存容器も重要!お勧めの容器はなに?
梅干しをなるべく長持ちさせるには、適切な塩分量や十分な天日干しと合わせて、保存容器も重要になります。
梅干しの保存には、陶器製のつぼやガラス製の容器が最適!
梅干しの保存前にしっかりと熱湯消毒ができ、酸や塩に強く、容器の質が変質しない陶器やガラス製の容器が最もお勧めです。また、琺瑯製の容器もキズがなく金属面がでていないものであればお勧めです。
ただし、ガラス製の容器はフタが金属などでないものを選ぶようにしてください。金属部分は、塩分や酸の影響でさびてしまう事があるので向いていません。
アルミ製や金属製の容器はNG!
梅干しを長持ちさせるためにアルミ製や金属製の容器は絶対にNG!梅干しに含まれる酸が金属を溶かす可能性があるため、絶対に使わないでください。
プラスチック容器は梅干しの保存に向いていない
保存容器の消毒は大変重要です。熱に弱いプラスチック容器は素材の特性上、熱湯消毒や煮沸消毒が出来ないものが多いです、梅干しの保存にはあまり向きません。
塩分濃度18%以上の梅干しは常温保存可能
塩分濃度18%以上の塩分濃度の高い梅干しは常温での保存で問題ありませんが、保管場所は冷暗冷所、高温で湿気の多い場所は避けてください。
梅干しの保存環境の適温は、15℃前後~25℃位までだそうです。それ以上高温になる時期は、塩分濃度の高い梅干しであっても、冷蔵庫に入れて保存するようにしてください。
塩分控えめ、市販の梅干しは必ず冷蔵庫や冷凍庫で保存を!
最近人気の高い減塩の梅干し、または、他の調味料や食材と組み合わせて漬けこんである梅干しは必ず冷蔵庫で保存してください。
また、購入時はプラスチックの容器に入れられているものが多いですが、購入後はしっかり熱湯消毒して、水気が付いていない清潔な陶器かガラスの容器に入れ替えると良好な保存状態が保てます。
また、塩分濃度が5%以下の梅干しは冷凍保存もお勧めです。すぐに全部食べきれない場合、冷凍保存用の容器や袋に入れてから、冷凍庫にいれるようにしてください。
ただし、一度冷凍して解凍した梅干しの再冷凍保存は出来ませんので、一度解凍した梅干しは全て消費するようにしてください。
梅干しを冷凍保存する際は、梅干し数個ずつ一回で食べきれる分を小分けにしてラップに包んでからさらに冷凍用保存袋に入れて、冷凍庫に入れるようにすると、少量ずつ解凍ができるので、便利です。
なお、解凍する場合は冷凍庫から冷蔵庫に移して、3時間~4時間かけて解凍するようにしてください。
最後に
梅干しも腐るという話は意外でしたか?
梅干しは、食品添加物をあれこれ加えなくても、適切な一定以上の塩分濃度をたもつことで腐ることがない保存食ではありますが、強すぎる塩分の梅干しは食べにくかったりしますし、健康上、塩分の摂り過ぎがいかに危険かということは、昨今強く言われています。
塩分控えめで優しい味の梅干しを購入した際は、容器を適切なタイプのものに移し替えたり、冷蔵や冷凍保存することで、腐らせることなく最後の一粒まで食べることができます。
疲労回復効果のほかに、ポリフェノール類による糖尿病の予防作用、血圧上昇を抑える助けをしてくれるとも言われている梅干しは、常備食品としてとてもお勧めです。