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NHKの受信料
NHKのBS受信料の断り方に悩むのは、払う理由がよく分からない、または納得していないからでしょう。そこで、まずはNHKの受信料について詳しくご紹介します。
現代社会に欠かせないテレビは、日々の情報収集や娯楽に役立っています。総務省が所管する日本放送協会(=NHK)は、コマーシャル料によって運営されている民間放送局と違って、ご家庭ごとに受信料が設定されています。
国営ではありませんが、公共放送として定められている特殊法人で、国会で承認された事業予算が与えられています。その「NHK受信料」とは、運営費用として集められるもので、NHK放送を見ていなくても、テレビ番組を受信できる環境にいる場合は、NHKとの契約によって払わなければいけません。
ですが、それを疑問に思う人が多いのも事実です。現行の放送法によると、NHK放送が受信できるテレビを設置した段階で、NHKとの契約が法律上義務付けられています。契約をしなかったからといって、刑事事件に発展することはありませんが、例え番組を見ていなくても、受信ができる状態である限り義務が生じることを覚えておきましょう。
支払い方法によって料金が異なる
一旦契約したからには「見る」「見ない」に関係なく支払い義務が発生します。では、毎月かかる受信料金と支払い方法について確認してみましょう。
NHK放送の受信料には、地上波のみを受信する「地上契約」と、地上波と衛星放送の両方を受信する「衛星契約」の2種類があります。この二つは視聴できる番組が違うこともあって金額や支払い方法が異なります。
受信料の支払い方法
「口座振替」「クレジットカードでの支払い」「振込用紙での入金」という3つの方法から選択できます。そして基本となる「2ヵ月払い」の他に、「6ヵ月一括払い」「12ヵ月一括払い」の3種類の方式があり、支払い方法や前払いする月数によっても料金が細かく変わる仕組みになっています。
受信料をできるだけ節約したい方は、「口座振替」もしくは「クレジットカード払い」を指定し、12ヵ月分を前納するようにしましょう。一方で「衛星契約」は「地上契約」よりも金額が高くなります。
2021年現在で
- 地上波のみ:2ヶ月で2,450円
- 地上波と衛星放送(BS放送)のセット:2ヶ月で4,340円
となっていますが、変更されていないか事前にNHKのホームページで確認してください。
家族割引が適用されるケース
離れて暮らす家族には家族割引の制度があるのを知っていますか?
学生の一人暮らしや単身赴任など同一世帯で離れて暮らしている場合、また別荘を所有している場合には、50%の割引が受けられる「家族割引」が適用されます。
ただし、いずれのケースでも連続6週間以上、継続して受信料の支払いが済んでいる場合に限られるため、詳細を事前に確認しておきましょう。
支払い免除が適用されるケース
全額免除となるのは
- 生活保護世帯
- 市区町村税非課税で、身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者のいずれかを含む場合
- 老人ホームなどの社会福祉事業施設に入居している人
- 特例として一定の条件を満たす災害被災世帯
半額免除となるのは、
- 視覚、聴覚障がい者や重度の知的障がいと診断された人
- 精神障がい者(1級)や身体障がい者(1級または2級)などが世帯主で契約者となる場合
- 重度の戦傷病者にあたる人が世帯主の場合
ワンセグ携帯の場合
ワンセグ携帯は、自宅で映らなくても契約が求められます。NHKが受信できるのはテレビ以外にも、テレビチューナー付きのパソコンやワンセグ携帯、テレビアプリを搭載したスマートフォンなどがあります。
テレビの場合、受信できない環境だと判断されると契約の対象外となりますが、ワンセグ携帯の場合は電波が悪くて見られなかったとしても、電波のつながるところに移動すれば、見ることができる仕組みなので、ワンセグ携帯を持っているだけで、所有者すべてに契約が必要だとNHKは主張しています。
ですが、2016年8月に、ワンセグについてはNHK受信料の支払い義務はないという判決がありましたので、ワンセグがあっても受信料は支払わなくていいのです。もしNHKの集金人から「ワンセグ放送は見ていませんか?」と確認されたら、「持っていません」と答えましょう。
《 ポイント 》
- NHKを見ていなくてもテレビを受信している人は受信料を払わなければいけない。
- 受信料は「地上契約」と、地上波と衛星放送の両方を受信する「衛星契約」の2種類。
- 同一世帯で離れて暮らしている場合「家族割引」が適用される。
- 一定の条件を満たすと支払い免除が適用されるケースもある。
- NHKの集金人からワンセグの所持を確認されたら「持っていません」と答える。
マンション(アパート)がNHKのBS共同アンテナを設置している場合
NHKのBS受信料の断り方で、NHKのBS共同アンテナが設置している場合は、どうなるのかについてご紹介します。
最近のマンションやアパートなどの共同住宅には、BS やCSなどの衛星放送を受信するのに必要な共同アンテナが設定されていますので、全世帯が衛星放送を視聴可能な環境ということになります。
NHK側の言い分によると、BS共同アンテナを設置しているマンションに住んでいる場合には、BS受信料の契約もしなければいけない義務があるとのこと。
BS放送を見ていないし、これからも見ることがないとしても、見られる環境に住んでいるのであれば、BSの受信料を支払わなければいけない決まりがあるそうです。
これはNHKの「放送法第64条1項」の規定に、「NHKの放送を受信することができる受信設備が設置されていれば、受信契約をしなければならない」といった内容が記載されているためです。
このように、BSの受信設備が設置されている場合も、「地上波+衛星放送」のセット契約が原則で、双方の受信料を支払わなければいけないと言った義務が生じます。
《 ポイント 》
- 共同アンテナが設定されている住宅では「地上波+衛星放送」のセット契約が原則。
NHKのBS受信料の断り方
衛星放送が見られる環境下では「地上波+衛星放送」のセット契約が原則だとしても、どうしても衛星放送の受信料を支払いたくない人もいるでしょう。
そんなあなたに、NHKのBS受信料の衛星契約の上手な断り方を紹介します。
ドアを開けない
NHKのBS受信料を求められる場合には、まずはドアを開けないことです。インターホン越しに契約の意思がないことや、BSの受信を目的にしていないことをしっかりと伝え断るようにしてください。
それでも集金人がなかなか帰らなかったら、「警察に連絡します」と言えば、大抵の人は帰るはずです。
「お帰りください」
NHKの集金人から色々聞かれたとしても、インターホン越しに「お帰りください」の一転張りで、それ以上の会話をしないという方法もあります。
他にも、「夫に聞いてみないとわからない」「この家の住人ではないので」とだけ伝えて、余計なことを応える必要はありません。
「テレビがない」と伝える
「テレビはありません」「ワンセグ機器やカーナビもありません」と伝えてください。そして「将来的にもし使うことになったら、その時はインターネットで契約しますので、もう来なくて結構です!」と、見る意思がないこと、設備がないことをはっきり伝えましょう。
《 ポイント 》
- ドアを開けずにインターホン越しにしっかりと断る。
- 「お帰りください」とだけ伝えて余計なことは一切言わない。
- 見る意思もない、テレビもないことを伝える。
NHK受信料は払わないとどうなる
NHKのBS受信料の断り方が上手くいかずに、契約してしまいNHKの受信料を払わなかった場合はどうなるのかについてご紹介します。
一旦NHKと契約してしまえば、支払い義務が発生してしまいます。税金のような強制はありませんが、受信料を滞納した場合には、法人対個人での民事裁判になる可能性が考えらます。
罰金や禁固刑などの罰則はないものの、最終的に差し押さえの可能性が無いとは言い切れないので、安易な滞納はおすすめしません。
滞納を続けていると裁判所から「支払い督促」が届く
契約しているにもかかわらず、支払いが滞ってしまうと、NHKから頻繁に請求書が送られてきます。そのうち、電話での督促や地域担当者による訪問があるかもしれません。そうした対応を無視して滞納を続けていると、裁判所から「支払い督促」が届きます。
何年間も滞納し続けた場合には、裁判所とのやり取りが必要となる可能性も出てくるでしょう。「支払い督促」を受け取った後も滞納し続けた場合、最終策として差し押さえが強行執行されます。
差し押さえは、給与や預貯金から優先的に行なわれますが、「支払い督促」を受け取った時点で弁護士や司法書士に相談したほうがよさそうです。
支払いの時効は5年
水道料金や電気料金の時効は2年なのですが、NHK受信料の時効は5年とする判例が多く、全国的にこれが定着しているようです。
《 ポイント 》
- 罰金や禁固刑などの罰則はないが差し押さえの可能性がある。
- 全国的に定着している受信料不払いの時効は5年。
NHKBS放送が受信できない環境になった時のBS契約を解除する方法
先に紹介した、NHKのBS受信料の断り方が上手くいかずに契約し、その後NHKのBS受信ができなくなった時に、BS契約を解除する方法をご紹介します。
今まで住んでいたところでは、BS受信料を支払ってBS放送を見ていたとします。ところが、BSが視聴できる環境から視聴できない環境になった場合、どうしたらよいのでしょうか?
ここからはNHKのBS受信料を解約する方法について解説します。引っ越し先のアパートやマンションの環境によっては視聴不可能になることもあります。もし転居先がBS放送を受信できない環境であることがわかったら、NHKのBS受信料を払う必要はなくなります。
よって、視聴不可能と分かったらすぐにBS受信料の解約をしないと、無駄なお金を支払い続けることになりかねません。
それでは、自宅でのBS放送視聴不可能が確認できたら、地上契約はそのままで衛星契約を解除する手順を説明していきます。
<手順>
- 受信料の窓口であるNHKふれあいセンターのフリーダイヤル(※)に電話をする。
- 電話が繋がったら、担当者に「転居した」ことと、「転居先はBS放送が受信できない環境なので、衛星契約から地上契約に変更したい」旨を話す。
- 「氏名」「住所」「電話番号」などの個人情報を聞かれるので正確に答える。
- 「BSアンテナが無い」こと、「ケーブルテレビのBS配信がない」こと、「インターネットでのBS配信がない」ことなどを確認される。
- BSが受信できない環境であることが判明したら、契約変更の手続きが取られる。
- 最後に担当者から、契約変更の申請書が送付される流れの説明がある。
- 後日、申請書が手元に届いたら、契約内容の確認をして契約変更の申請書に必要事項に記入する。
- 記入後は返信用封筒に入れてNHKに郵送する。
以上のような手続きをふむと衛星契約の解約がスムーズに完了し、以後、BS受信料の支払いの発生はなくなります。
《 ポイント 》
- 視聴不可能な場合は解約をしないと無駄なお金を支払い続けることになる。
- BS放送を受信できない環境ならBS受信料を払う必要がない。
最後に
NHKのBS受信料の断り方、そして受信できない環境でNHKのBSだけを解約する方法を解説しました。
NHKのBS受信料の集金人が訪問した場合には、感情的にならずに簡潔に対応することが重要です。なかなか厄介な質問をしてくるでしょうが、断り方は、受信設備がなければはっきりと断わるようにし、見る意思がないことや、テレビやBS設備がないことなど簡潔に伝えましょう。
はっきりと意思を伝えるからと怒鳴ったりするのは絶対にいけません。集金人の方も一人の人間です。NHKから集金を委託された会社の社員なのでNHK本体の社員ではありません。生活のための仕事としておこなっているにすぎませんので、集金人の方には冷静に断るだけにしてくださいね。