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『あなたのためを思って』の意味
「あなたのためを思って」と言われる時というのは、あなたの言動に否定的で注意を込めたアドバイスとして使うケースが多いものです。
「あなたの行いや考え方は間違っているから直した方がいい」といったニュアンスがあって、正しいと思う方に導きたいという意味で使う言葉ですが、実は、この「あなたのためを思って」と発するのには2つの意味が隠れているのです。
一つは、本心から相手を心配して「このままでは困難な目に合うから、あなたのためを思って」と助言しようとしている時。
そしてもう一つは、言った本人の都合が悪くなったら困るという「エゴ」からくるもので、アドバイスという名の心理的誘導をしている時です。いわゆる、相手をコントロールしたい時に偽善者がよく使う手です。
同じ言葉であっても、このように意味合いが大きく変わってしまうのです。そして、思いやりから言葉に出すのと、エゴで「あなたのためを思って」と言うことの決定的な違いは、「あなた」のためになることなのか、それとも「言っている本人」のためになることなのか、その言葉の真意をしっかりと見極めることが出来るようにならなくてはいけません。
《 ポイント 》
- 思いやりから言葉に出すのと、エゴで言う言葉の真意をしっかりと見極める。
『あなたのためを思って』と言う人の本音
自分の言うことに従わせたい
この「あなたのためを思って」というセリフは、親切心から心配して言われることもありますが、時には相手を自分の思うようにコントロールしたいという支配欲から使われることもあります。
例えば、対象者を強く怒って精神的に一度弱らせてから、「あなたのためを思って叱った」「味方は自分(叱った人)だけだ」と、今度は労わるように優しく接してきます。
何度も叱ってから励ますことを繰り返して、「いい人だから叱ってくれる」と思い込むように仕向けてくるのです。この行為は、ただ単に自分に従うように躾たいだけと思って間違いないでしょう。
相手より優位に立とうとしている
「あなたのためを思って」と言いながら、性格や見た目についてダメ出ししてくる人もいます。このような失礼な発言を平気でする人は、自分をよく見せて相手よりも優位に立ちたいという本音が隠されているのです。
この行為は、最近よく耳にする「マウンティング」そのものであり、相手を自分より下に見ているからこそ無意識に発している場合がほとんどでしょう。
自分のために言っている
「あなたのためを思って」と言って批判や否定をしてくる人は、「あなたのため」と言いながら、実は「自分のため」に言葉にしています。自分の不安な気持ちを安心させるために言っているのでしょう。
本当は心の中で、今の優位な立場から引きずり下ろされないように、「あなたのためを思って」と大義名分を掲げ、自分の立場を守っているのです。人の気持ちを思いやる余裕がないと、自分の気持ちが常に優先で偽善的になってしまうのです。
《 ポイント 》
- 「いい人だから叱ってくれる」と思い込むように仕向けてくる。
- 相手を見下している。
- あなたのためと言いながら実は自分のため。
『あなたのためを思って』という言葉を言いがちな人
「あなたのためを思って」とは、誰でも一度は言ったり言われたりしている言葉ですよね。その言葉を使う人は誰かと考えた場合、一番に思い浮かぶのはご両親や学校の先生ではないでしょうか。
親は子どもへの愛情の現れと思って言っているのでしょうが、よくよく考えてみると、もしかして子供を支配し過干渉に走ってしまう言葉だったかもしれません。ご両親や先生以外にも、このような言い方をする人は、以下のような性格だと考えられます。
- 個人的なことに首を突っ込む無神経な人
- お節介をやきたがる人
- それが愛情表現だと思い込んでいる人
- 心が満たされていない人
- 偽善的な人
- 支配欲のある人
- 自分のために言っていることに気づいていない人
中でも特に注意が必要な人は、悪意を持った偽善的な人でしょう。「あなたのためを思って」と、都合良く使いたがるのは「悪意のある偽善者」タイプです。
いつもニコニコしていて誰に対しても優しく接していながら、一度でも敵対視した人に対しては容赦しません。自分の敵だと思う人に対しても良い顔をしつつ、「あなたのためを思って」と言いながら隙を見つけては近づいてくるのです。
《 ポイント 》
- 一番に思い浮かぶのはご両親や学校の先生。
- 悪意を持った偽善的な人には特に注意が必要。
『あなたのためを思って』と言われた時の返し方
ある程度、親しい間柄だからこそ「あなたのためを思って」という言葉を使いながら、人のテリトリーに無神経に入って来てアドバイスしようとします。
しかし、その言葉を口にする人は、無意識に相手を支配しようとしているかもしれないのです。そんな事態にならないように、「あなたのためを思って」と言われた時の対処方法を考えてみました。
はっきりと自分の意見を言わずに軽く流す
「あなたのためを思って」と言う人の意見に異論があったとしても、反論するのではなく「そういう考え方もあるのですね」と軽く返して、自分の意見を口にしないようにしましょう。
余計なことを言うと敵意を向けられ悪者扱いされてしまうかもしれません。その通りにするとますます調子に乗ってくるでしょうし、だからと言ってトラブルは避けた方がいいので、そんなときには「YES」でも「NO」でもない曖昧な態度で聞き流すのが得策でしょう。
人に従わないと思わせる
「あなたのためを思って」と言う人は、自分に従うような相手なのかどうか、ちゃんと見極めています。人に従うような性格ではないと思わせるには、最後まで堂々とした態度で接するようにしましょう。
支配しやすいと思われるのは、「気が弱くて自己主張できない人」、そして「流されやすい人」です。自信満々の堂々とした姿勢で、利用しようと思っている人が近づけない雰囲気を作っておくことをおすすめします。
言葉を真に受けない
「あなたのためを思って」と前置きしながら注意してくる人は、あなたを自分の都合よくコントロールしようとしている可能性があります。
あなたのことを誠実に考えてくれている人は、いちいち「あなたのため」などと言い訳せず、正面から堂々と意見してくれるはずです。なので、もし「あなたのため」と前置きした内容の話であれば真に受けないようにしましょう。
厄介な相手の場合には、表向きは大人しくうなずいておきながら、心の中では従わないようにしてください。
感謝しているフリをする
皆から信頼されて人気が高い人が相手だったとしたら、その人に嫌われるような態度をとると悪いうわさが広がってしまします。
例え苦手な人であっても、表面的には感謝をしつつ言葉を素直に聞き入れるフリをしておきましょう。そのようにして、相手と関わらないように少しずつ距離をおくことで、悪意のある偽善者を避ける方法もあります。
「私にはもったいない」と伝える
人の世話を焼きたがる人はどこにでもいますが、ありがた迷惑なことに「あなたのため」と言って、プライベートな領域まで首を突っ込んでくる人がいます。このような人に、「迷惑です」とはっきり言っても、何が迷惑なのかこちらの気持ちが全く伝わっていないこともあり驚いてしまうことも。
ですから、「私にはもったいない言葉ですので、これからはあなた自身のために、今以上に素晴らしい人生を歩んでくださいね」と笑顔で返してみましょう。相手のお節介に感謝しつつ、さり気なく「もう私には結構です」と、謙虚にお断りの意思を伝えられる言葉です。
《 ポイント 》
- 軽く流して自分の意見を口にしない。
- 堂々とした姿勢で近寄りがたい雰囲気を作る。
- 言葉を真に受けて従わないようにする。
- 感謝しているフリをしながら謙虚に断わる。
『あなたのためを思って』と言われやすい人の特徴
自分に自信がない
誰でも、多かれ少なかれ自分の中に自信がない部分を持っています。「自己肯定感」とは、自分自身の価値や存在意義を肯定できる感情のことを言うのですが、自己肯定感が低くてそれを改善できずにいると、不安感がつのり他人に依存しやすくなってしまいます。
注意や文句を言わないと気がすまない人は、意思の弱そうな人、つまりいつもオドオドしている人だと判断したうえでかかわってくるのです。自分を大切にする気持ちを持って日々の生活を楽しむことができていれば、人から介入されることはありません。
相手に認めてほしい
「あなたのためを思って」と言われやすい人は、「一生懸命頑張っている私のことを見てほしい」という気持ちが心のどこかにあるようです。
また、他人から嫌われたくないと思っている人、もっと愛されたいという願望がある人も、そのような心理が影響してか、「あなたのためを思って」と言われやすくなるのです。相手から認められたいからと、何を言われてもニコニコ笑顔で受け答えしなくてもいいのです。
《 ポイント 》
- 自己肯定感が低くて不安感がある人。
- 嫌われたくない、もっと愛されたいと思っている人。
最後に
「あなたのためを思って」と言う人の本音と、言われた時の返しかたについて、いかがでしたでしょうか?
この思いやりのある言葉は、相手を心から心配してのアドバイスなのか、言った本人のエゴからくる心理的誘導をしているものなのか・・・二つの意味が隠れていることに驚かれたかもしれませんね。
同じ言葉であっても、このように意味合いがだいぶ変わってしまうのです。頼んでもいないのに「あなたのためを思って」と、とやかく意見を言ってくる人は、結局は自分の事しか考えていないことが多いので、偽善の罠に引っかからないように気を付けなくてはいけません。
言われた時には感謝するフリをしながら聞き流し、上手に返して対応してください。私たちの幸せの基準は人それぞれ違いますから、自分の幸せの基準を相手に押し付けてはいけません。常に自己肯定感を高く持ちながら、堂々と人間関係を築いていきましょう。